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2012年2月11日 (土)

香里(5/6)

その日は体力と言うよりは精神的にくたくたになっていた。
風呂を出ると、パジャマを着るのもそこそこに布団に潜り込んでしまった。
「俺の匂い?」
大分慣れたが、布団にはこびりつくように臭いが残っていた。
(「男」の匂いは女の子をリラックスさせる成分が入ってるのよ。拒絶しないで、受け入れてみてごらんなさい♪)
香里のアドバイスに従い、大きく深呼吸して「俺」の匂いを吸い込んでみた…

ほかほかと体が暖かくなったような気がする。
力強い腕に囲われ、何物からも守ってくれる。全てを委ねてしまいたくなる…

俺は「男」に抱かれていた…

嫌な感じはしなかった。
「ぁあん♪」
首筋をくすぐられたような感じがして、思わず艶めかしい声をあげてしまった。
(乳首、勃ってるわよ♪)
言われて胸に手を伸ばす。が、敏感になった胸の先端はパジャマの生地に擦られて痛みを訴えてきた。
ボタンを外し、直接掌で触れてみる。確かに固く膨れていた。
指先で摘む。
「ああぁん♪」
快感に艶声が漏れる。
ジッと膣から染みでてくるものがある。濡れているのか?
(確かめてみたら♪)
片方の手が股間に伸びる。
指先がソレに触れた。
その指が奥へと向かう。
「あん♪ああぁん…」
(布団にはね♪)
香里が…
(男の人の匂いだけじゃなくてね…)
いや、香里が俺の体を動かしている訳ではない。
(フェロモンも沢山吸い込んでいるの。だから、それを嗅いだオンナは欲情せずにいられなくなるのよ♪)
俺自身が、快感を求めて指を動かしていた。
快感を与えるのも俺、快感に悶え、喘いでいるのも俺だった。
俺は「オンナ」の快感に飲み込まれていった…

 
朝になり、目覚めた時から香里が主導権を取っていた。
昨日買い出した食材でサラダを作り、簡素な朝食を摂った。
服を着て、化粧を済ませる。
(今日こそは先輩の所に?)
「ええ。とにかく会ってみないと始まらないから。」
(大丈夫か?)
「とは思うけど、万一の場合はあとを頼むわね。」
(あと…って、俺がそいつに抱かれるってことか?)
「ちゃんと妊娠してくれるとベストだけどね♪」
(無理を言うな!!)
「昨夜のように淫乱になれれば大丈夫よ♪」

俺は返す言葉を失っていた。
実際、オンナの快感に酔い痴れて3度はイッていたと記憶している。自分の指だけでこうなのだ。男に抱かれて俺がどう反応するかを考えただけでも…
(濡れちゃうのよね♪)
…香里の指摘に誤りはないのだが…

 
香里の言う「先輩」は、その日も以前と変わらずにテニスコートに立っていた。
周囲には香里と同じような可愛い娘が幾人も取り囲んでいる。
(モテるんだね?)
「でも、先輩はあたしを選んでくれたわ。君だけだよ♪って言ってデートしてくれたんだもの。」
「先輩」が本当に香里<だけ>を想っていたかは怪しいものだとは思いつつも、香里に気付かれないように「先輩」を値踏みしてみた。
確かにイケ面である。テレビに顔が出ていてもおかしくはない。テニスを始めスポーツ全般もそつなくこなすのだろう。
が、これだけ女の子達にもてはやされていて、天狗にならない程人間が出来ているようには見えない。

彼の練習時間が終わる。荷物をバッグに詰めて彼がクラブハウスに消えると、そこにいた女の子達も散り散りになっていった。
(彼を待たなくて良いのかい?)
「先輩は神出鬼没なの。いつの間にか出口を出てしまってるの。」
(テニスのあとに付き合ったりしなかったのか?)
「先輩の部屋で待っていることになってるの。その日はいつも携帯にメールが来るわ。」
そう言えば、女の子の一人が携帯を見ていたのを思い出す。その娘は最後まで居ずに、いつの間にかいなくなっていた。
(彼の住んでいる所はどこ?)
「っえ?ああ、こっちよ。」
と香里が歩きだした。そう遠い所ではない。
マンションの階段を上ってゆく。
「?」
と香里がドアの前で躊躇いを見せた。
(どうした?)
「先輩の名前じゃない…」
(引っ越したと言うことかな?かまわないからチャイムを鳴らしちゃいなよ。)
「うん。」と首を縦に振り、香里がボタンを押した。

「誰?」
ガチャリとドアが開いた。
「げっ!!香里?」
出てきた男は慌ててドアを閉めようとした。俺は咄嗟に足を挟み、隙間を残した。
男は「先輩」ではない。さえないゲームオタクのようだ。
(うそ…)
多分、隙間から部屋の中を見たことからだろう。
(先輩の部屋のままだったんだね?)
(うん…)
「先輩と香里の事について少々聞かせてもらえるわよね?」
男は幽霊でも見たかのように、顔面を蒼白にしていた。
「香里が死んだことは知っているようね♪安心しなさい。あたしは幽霊じゃないから。」
(あたしはここにいるけどね。)
香里も幾分かショックから回復が進んだようだ。
「ここは元々貴方の部屋だと言う事で宜しいかしら?」
部屋に上がり込み問い正すと、いろいろと解ってきた。
想像通り「先輩」は香里だけの相手をしていた訳ではなかった。ここと同じように、幾人かの男友達の部屋を自分の部屋と称して女の子を連れ込んでいたのだ。
香里の前にも数人の女の子とやっていたらしいが、香里が死んでからはこの部屋を使う事はなかったらしい。
(今も別の部屋で女の子を抱いているのかも知れないのね?)
それが確実である事は言わないでおく…

香里が妊娠していた事は、この男も知っていた。先輩は堕そうとしない香里を鬱っとおしいと思っていたようだ。
そこに、あの事故である。何の憂いもなくなり、先輩の女の子関係も元のペースに戻ったそうだ。

(まだ、先輩に抱かれたいと思ってる?)
(それは、もう無いわ。)
「この匂いって、貴方のものだったのね♪」
(な、何を言い出すんだよ?)
「僕ってそんなに臭い?」
「そう言う訳じゃないの。先輩に抱かれていた時、布団の匂いに違和感があったの。あたしは貴方の匂いの方が好きだわ♪」
「誘っているのか?」
(お、おい。待てよ。今、ここでこいつに抱かれるのかよ?)
「そうね♪貴方の事、気に入ったわ。貴方のなら…貴方のじゃなきゃ駄目なの♪」
と香里は男を布団に押し倒していた。

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