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2012年1月22日 (日)

羽衣伝説(6/6)

「今日は景色の良い所に出かけましょう♪」
と車に乗せられた。

車窓に海岸線が見え隠れする。
厭な感じが尻をくすぐっている。即にでも逃げだしたいが、走っている車の中ではどうする事もできない。

目の前に松が点在する浜辺に着いた。
そう「あの」浜辺だ。
羽衣が掛かっていた松も即に判別できた。
「あれが良いわね。そこの松の前に立ってもらえないかしら?」
あろうことか、彼女はその松を指し示した。
(羽衣の事は彼女が知る筈もないのだ!!)
と、自分自身に良い聞かせて、その松に歩み寄った。
スケッチブックが広げられ、鉛筆が動いてゆく。

 
「上手いのね♪」
いつの間にか彼女の後ろに二人の女が現れていた。人魚の姉妹だった。
彼女達の様子からは、俺の正体がバレたようには見えなかった。
「あの娘がモデルなの?」
と俺の方を見る。俺は平静を装うことに終始した。
「でも、何で人魚なの?ここは天女の伝説の場所でしょ?」
どうやら、俺は人魚として描かれているらしい。
「良かったら、彼女を本物の人魚にしてあげようか?」
と、姉妹は白と黒の羽衣を取り出していた。

(また、人魚にさせられる?)
俺は衝動的に走り出していた。
「もう二度と捕まらないからなっ!!」
すれ違い様、白の羽衣を奪い取る。

走り続けると駅が見えた。丁度電車が到着する所だった。
キップを買い、電車に飛び乗った。閉まるドアの向こうに人魚の姉妹が見えた。彼女等の悔しそうな顔を見て、ホッとため息がでた。

 

 

 
手に入れた白い羽衣は、俺を本来の=「男」の=俺に戻してくれた。
俺は何食わぬ顔で、元通りの生活を取り戻していた。

 
…が、それは昼間の話。

家に戻ると、俺は羽衣を外し「女」の姿になる。
今では、こちらの姿の方が俺本来の姿だと感じていた。
スカートを穿き、化粧をする。部屋の中も、もうこれが「男性の部屋」だとは思えない程になっていた。

「あたし」の携帯を確認する。
「彼」からのメールが入っていた。近くの喫茶店で待っていてくれている。
(これから「夜」のデートね♪)
彼には、もう何度も抱かれている。あたしは「女」の快感に満足していた。
(もう、24時間このままでも良いかな?)
そんな事を考えつつ、あたしは姿見に自分を写し、最高の微笑みを浮かべてみせた。

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コメント

羽衣伝説と人魚伝説。
そういうわけだったんですね。
こういう天罰なら受けてみたいかも?
ひょっとして、奈落さんの実体験?^^

よしおかさん
毎度コメントありがとうございます

画家の女主人との××なども書きたかったのですが、気力が続きませんでした。orz

羽衣をガジェットにした皮モノという感じでとてもツボにはまりました。

良く見る一般的な羽衣の絵みたいな感じではなくて、全身にぐるぐる巻きつけてしまう感じでしょうか。
ひじょうにたまらないものがあります。

人魚の身体にほころびができて、脱ぐことができたというのがまた。
(脱げるということは普通の人魚と人間に布を着せた人魚にはいろいろ違いがあるのかなとか考えてしまいます。
 それとも、実はあの姉妹も・・・?という想像も一瞬。)


着たり脱いだりの過程で身体の感覚が激変するシチュエーションはやっぱりイイものですね。
(最初に黒い布を着せられた時、性器感覚とかはどうなったのかな、と考えてしまいましたが)

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