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2012年1月22日 (日)

12ヶ月

「プレゼントは何が良い?」クリスマスを控えてミアが聞いてきた。
俺は今年の一年を振り返ってみた。
 
1月の初詣でで「恋人が欲しい」と願ったら、
どこからともなく現れたミアと言う女(実体は悪魔だったorz )が現れ
「貴方の恋人よ♪」と言ってつきまとうようになった。

 
2月のバレンタイン。
「プレゼントは何が良い。チョコレート?それとも、ア・タ・シ♪」と言う甘い言葉に
「ミアが欲しい♪」と言ってしまった。
「良いわよ♪この身体はアナタにあげるわ。」
そして、俺は「ミア」になった。
お約束通り、俺はミアからオンナの快感を経験させられた。

 
3月はひな祭り。
俺の部屋にひな飾りが置かれ、良い機会だからと振り袖を着せられた。
ミアは内裏様を気取って平安貴族の格好で、俺を押し倒した。
ミアは悪魔だけあって、男装ではなく中身まで「男」になっていた。
とうとう俺も「男」に抱かれ…女のようにヨがっていた。

 
4月は花見。
夜桜が良いと、夜の公園に向かった。
近くの会社のサラリーマン達がそこかしこでビニールシートを敷いて宴会に興じていた。
只一箇所、ほとんど特等席の場所だけがポッカリと空いている。
「ココにしましょう♪」とミアに促され持ってきたピクニックシートを広げた。
そこはミアの結界により誰にも気付かれないようになっているらしい。
それを良い事に酔いの回ったミアは俺を裸にして寝かせ、持ってきた料理をその上に並べていった。
「女体盛り~っ!!」と独り盛り上がっていた。

 
5月はGW。
俺達は遊園地にでかけていった。
そこは絶叫マシンのオンパレード。
女の子達の悲鳴があちこちから絶え間なく聞こえてくる。
「男」としては、叫ぶなど恥ずかしい事…と我慢できたのはほんの数秒間だけだった。
「きゃ~~~っ!!」と、即に他の女の子達に混じって黄色い声を上げている俺がいた。
気が付くと俺はミアの腕に縋っており、いつの間にかミアは男の姿になっていた。
これでは誰が見てもアツアツのカップルだ。
ご多聞に洩れず、夜はそのままホテルに泊まる事になった。

 
6月の梅雨
「雨の紫陽花寺が見たい♪」と言うミアと一緒に鎌倉に行った。
観光地の上、旬の時期なもので目的のお寺ひとつで、かなり疲れを感じていた。
「せっかく鎌倉に来たのだから、もっと見てまわりたい♪」とミアは言う。
「あれなら良いでしょ?」とミアが見つけたのは人力車だった。
ミアには逆らう事ができず、車夫のお兄さんに声を掛けた。
「ハイ!よろこんで♪」
明るく応対する彼の笑顔にドキリと胸が鳴る。確かに彼はハンサムである。
が、男の俺がトキメク筈はない!!
…筈ナノダガ…
最近、俺の思考が女性化してきたような気もする。

 
7月は海水浴。
ビキニの水着ではしゃぎまわったら、しっかりと水着の跡が付いていた。
「そこがセクシーなんじゃないか♪」
ホテルで俺のブラジャーを外しながら男のミアがそう言う。
ミアも俺と同じように水着の跡を付けてたのに、男になった途端、綺麗に消えてしまっていた。
俺はベッドに寝ると、脚を広げる。もう、抱かれる事に馴れてしまったようだ。
俺の股間は快感を期待して雫を垂らすのだった。

 
8月の花火大会は二人で浴衣を買って着た。
屋台のお兄さんにひやかされるのに快感さえ感じてしまう。
闇に紛れてミアの手が俺の乳房を弄びだした。
「駄目よ。声がでちゃうわ。」周りを気にして女言葉を使うのも板に付いてきた。
「大丈夫よ。花火の音に紛れちゃうわよ♪」そう言って、下にも手を伸ばす。俺の股間は既にしっとりと濡れていた。
ドド~~ン!!と音がする。
「たーまやーっ!!」の掛け声に合わすかのように
「あんああ~ん!!」と嬌声をあげる俺がいた。

 
9月。
俺は独り鎌倉に来ていた。
「こんにちは♪」と俺が声を掛けたのは、6月に出会った人力車の車夫のお兄さんだ。
「今日は何処に行きますか?」俺が彼と鎌倉を巡り歩くのは、もう何度かめであった。
俺としては彼とデートしている気分だった。
「どこか美味しい甘味処、知りませんか?」
鎌倉の主だった神社仏閣は廻りきっていたし、彼の案内で「穴場」にも連れていってもらえた。
「武士さんも一緒に♪」と半ば強引にテーブルの向かい側に座らせた。
「お勧めは?」
「みつ豆ですね。」
「じゃあそれを二つ♪」
出てきたみつ豆は、彼が勧めるだけあって、大変美味しかった。

 
10月。
武士さんとデートすることができた。
俺がヒラヒラのワンピースを着て鎌倉駅で待っていると、私服の彼がやってきた。
江ノ電に乗って江ノ島に向かう。お土産物屋が並ぶ小道を進むと海岸に出る。
橋の先にあるのが江ノ島だった。
竜宮城のような門を潜り神社をお参りしてから、島の一番上にある展望灯台に登った。
「わー、ステキ♪」
思わず歓声があがってしまう。素晴らしい景色が広がっていた。
「素敵な景色を見せてくれてアリガトウ♪」と彼の頬にキスをした。
最初のデートだから、これくらいで良いかな?と思っていたら、帰りの別れ際に、俺の額に彼からキスをしてくれた♪

 
11月。
武士さんとのデートを繰り返す。
食事をしてホテルに泊まる。
勿論、彼に肉体を開き、大いに悦ばしてもらってから眠りに就く。
彼との相性は問題ない。
男のミアは「理想的な男性」ではある。
が、どこかに「嘘」があるようで、武士さんとみたいにのめり込むような事はない。
ここしばらくのミアは単なる同居人として暮らしている。
性的なイタズラも仕掛けてくることもない…

 
そして、12月。
「プレゼントは何が良い?」と、クリスマスを控えてミアが聞いてきた。
今、俺自身が欲しいものとは何だろう?
「聞く事もナイか…」とミア。
「今の貴女は幸せでイッパイだものネ♪せいぜい武士さんといつまでも幸せでいたい…って所かしらね?」
「そ、そんなコト…」
ナイと否定できない自分がそこにいる。
「これが一年前まではサエない男性だったなんて、誰が思えるかしらね?」
「…まさか?」
「大丈夫よ。男に戻すなんて言わないから♪」とミアが笑って言う。
が、俺は背筋を冷たいモノが落ちてゆくのを感じていた。

 

 
除夜の鐘が鳴っていた。
鎌倉の人出は想像以上だった。こんな中で武士さんを探せるのだろうか?
あたしは慣れない振り袖を気にしつつ、約束の場所に向かって行った。

人の流れが途切れた。
その先が待ち合わせの場所。
そこにはスーツを着た武士さんが待っていた。
「ごめんなさい。遅くなって。」
「そんな事はないよ。」
慌てて近付こうとして、足が絡まる。
倒れそうになったあたしを彼はしっかりと抱き止めてくれた。
「じゃあ、行こうか。八幡様程立派ではないけど、御利益は変わらないからね♪」
とは言え、鎌倉はどこも人で溢れかえっている。
そして12時の時報とともに人が動き出す。しばらくは流れに任せるしかなかった。
やがて、二人並んで正面に立った。賽銭を投げ入れ、手を合わせる。
(武士さんと幸せな日々が過ごせますように♪)
お祈りが済んで隣を見ると、彼もあたしを見つめていた。
「手を出して♪」彼があたしの手を握り締める。
「これは神様ではなく、君への願い事…」と、あたしの指に指輪が填められた。
「ミアさん。僕と結婚してくれないか?」
あたしは、即に「はい♪」と答えていた。

 

 
その部屋には、あたし以外の誰かがいたような気がした。
(そんな事はない。あたしはここで、ずっと一人暮らししていたんだ。)
武士さんの所で一緒に暮らすことになり、荷物をまとめていたあたしは、落ちていた写真に目が止まった。
あたしと知らない男性が写っていた。日付は去年の一月。
こんな男性は知らない筈なのに…

何故か涙がこぼれていた。

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コメント

わぉ、素敵な話ですね。
ミア、本当に彼が好きだったんですね。そんな気がします。
さすが悪魔。最後に彼女(?)を泣かすなんて。

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