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2011年12月 9日 (金)

無題

「止めてっ!!」
目の前の女は恐怖に顔を引き攣らせていた。

 

 
俺は手にした「銃」の口を彼女に向け…

トリガーを引いた。

何も音はしない。
だだ、その直後に女は目を閉じ、ぐったりと俺の腕の中に倒れ込んできた。
「銃」で吹き飛ばしたのは、彼女の「命」ではなく「魂」の方だ。つまり、彼女はまだ「死んで」はいない。この肉体に新しい魂を入れれば、即にでも動きだす…

勿論、そこいらへんに屯している浮遊霊なんぞにこの肉体をタダで提供してやるいわれはない。
俺は彼女を床に寝かせ、その上に重なるように体を横たえる。そして「銃」の口を眉間にあててトリガーを引いた…

一瞬後、俺は伸し掛かる物体の重さにうんざりした。
しかし、文句は言うまい。それは先ほどまでの「俺」のだった肉体だからだ。
ごろりと脇に転がした。ポケットから取り出した護符を額に貼り付ける。こうしておけば剥がれるまでこの肉体が動き出すことはない。
前回、新しい肉体に入った途端、乗っ取られた奴の魂が俺の肉体に入り込み、しばらく追い駆けっこするハメになったのだ。
疲れた上に、肉体を取り戻されては元も故もない。その対策として、少し値が張ったが護符を買っておいたのだ。

俺は立ち上がると、新しい自分の肉体を確認した。
それは先程、俺が襲った女の肉体だった。俺が見たブルーのワンピースを、今は俺が着ているのだ。胸にはブラジャーがあてられ、カップの中にはオッパイが詰まっている。
スカートの下の脚はズボンではなく、ピッタリとしたストッキングに包まれている。そして股間を覆うのはパンティだ。
その下には邪魔なモノはなく、神秘の渓谷が刻まれているのだ。
(早くナマで確認したい!!)
と逸る気持ちを抑えつつ、足元に転がる「俺」の手から「銃」を奪い取った。
女のカバンには「銃」は入らないので、俺が持ってきた紙袋に入れて腕に掛ける。

「女」らしいポーズを取って、独り悦に入っていた。しかし、いくらここが死角になっているとは言え、誰に発見されるとも限らない。見つかり、この状況の説明を求められた場合、無難

に済ませられる自信はなかった。
であれば、一刻も早くここから立ち去るべきである。俺は「俺」を一瞥すると、カツカツとハイヒールのかかとを鳴らして闇の中に消えていった。

 

 
「…んあん。あああん♪」
俺は女体の神秘の探求に没頭していた。指だけで何度もイッてしまう。オンナならではの快感に酔い痴しれていた…何者かがこの部屋に侵入したのも気づかぬ程に…

「ああん?!」
不意に冷たい掌が俺の胸を…オッパイを掴んだ。
(誰?)と推呵するより先に新たな快感に意識を奪われていた。
これまでは快感を与える動きと与えられる快感のリズムが連動していた。しかし、第三者に弄ばれる事で、予想できないタイミングで快感がもたらされるのだ。
その快感は自ら与えるものに比べ何倍にも感じられる。更に、侵入者は的確にこの肉体の感じる所を責めたててくる。
「あん、あああん♪あっ、ああ~~ん!!」
俺は盛大にヨガリ声を部屋中に響かせ、快感に悶えまくっていた。

「どうだい?その身体は♪」
男の声に一瞬で動きが止まる。
ようやく、侵入者に気付いた。背筋を冷たいモノが駆け下りてゆく。
(侵入者…強盗?…抵抗したら殺される!!)
様々なイメージが頭をよぎってゆく。
「先ずはイッパツ犯らせな♪」
と、男は俺の脚を取って強引に股を開かせた。
「もうヌレヌレなんだろう?一気に行くぜ!!」
と硬くなったペニスを俺の膣に突っ込んできた。
「あ、ああ~~~!!」
痛みはなかった。
男の行為は、俺を快感に染めあげてゆく。
独りでイク時の何倍もの快感が押し寄せてきた…

 

 
男が「俺」である事に気が付いたのは、失神から目覚めた時だった。しかし、今や「俺」の中身が何者であろうと問題ではなかった。
「その肉体をよこせとは言わない。俺はこの肉体でも十分に満足しているからな♪」
と男は言う。
「じゃあ、もう一度シてくれる?」
俺はシナを造って聞いた。
「何度でもしてやるぜ。そうさ、今からお前は俺の奴隷女だ。良いな?」
俺は快感を求めるあまり、何も考えずに頷いていた。が、その言葉に違わず、男は俺を女の快感に満たしてくれた。
その代償として、料理などの家事をこなす事なといかほどのものでもなかった。夜になれば抱かれまくるのだ。

俺は何も考えずに快感に満たされた毎日を過ごしていられた。

 

 

「散歩に出ないか?」
と彼が言った。
(こんな夜中に?)とは思ったが身支度を整えて彼の後に付いていった。
(夜の公園でスルのかな?)
彼はどんどん人気のない所に向かう。

「この辺で良いだろう♪」
彼が立ち止まった。
そして、手にした紙袋から何かを取り出した。
(「銃」だ!!)
「止めてっ!!」
俺はこの肉体が奪われる恐怖に叫び、顔を引き攣らせた。

 

トリガが引かれたのだろう。俺の魂は肉体を離れていた。
眼下では男が女の身体に自分を重ね「銃」の口を眉間に当てていた。
魂のなくなった男の肉体が地面に転がった…

俺は一瞬の隙をついて男の肉体に飛び込んだ。
奴が女の肉体を調べている間に、俺は「銃」を奪うと音もなくその場を立ち去る。

 

俺は新たな肉体を求めて「銃」を手に、今日も町を彷い歩くのだった。

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コメント

ANOTHER END

即に空いた肉体の額に護符が貼られてしまった。仕方なく公園を後にする。
(どこかに魂の抜けた肉体はないのだろうか?)
あてどなく宙空を彷徨っていると、ある一点から曳かれるモノがあった。

近付くと、何の変哲もない二階建ての一軒家だった。
その二階の窓に曳かれる。魂に物理的障害は意味がない。
花柄のカーテンの掛かった窓をすり抜け、部屋に入った。

ベッドの上に女の子が寝ている。
机の上には空になった睡眠薬の瓶と中の水を飲み干した後のコップがあった。
(自殺を図ったのだろうか?)
俺が彼女の肉体に霊体を重ねると、既に魂は失われていたのだろう。俺の魂はスッとその中に吸い込まれていった。朝になれば、俺は再び「女」として目覚める。
(こんな「アタシ」を悦ばしてくれる「彼」が早く見つかると良いね♪)
そう呟いて、俺は彼女とともに深い眠りの中に落ちていった…

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