« 「魔女(子守:章前…)」 | トップページ | 百倍!! »

2011年10月 1日 (土)

お手伝い

「もう一日だけで良いから。」俊哉が深々と頭を下げる。
俺は「NO」と言う言葉が喉に引っかかったままで、無茶苦茶に苦しかった。

 

俺が今いる場所は、俊哉の叔父が経営している喫茶店の中だった。
閉店時間も過ぎ、片付けの終わった店内にいるのは俊哉の叔父の「マスター」と、俊哉と俺の三人だけだった。
「君達のお陰で、何とか店を畳まずに済みそうだよ。」とマスター
「それでもぎりぎりなんでしょう?もう一日イベントを続ければ、多少でも余裕ができるんだよ!!」
食い下がる俊哉にマスターは首を横に振った。
「もう良いんだよ。これ以上君達に負担は掛けたくないんだ。それに、新たにうちの味を知ってくれた人もいるだろう?ちゃんとリピータになってくれるよ。」
「叔父さんがそんな甘い考えだから、お店もこんな状態になったんでしょう?」
俊哉の追撃にマスターがうなだれてしまう。
「と、俊哉。これ以上はマスターに迷惑だよ。マスターの事を思うなら、俺達も明日から毎日のようにこの店に飲みに来れば良いんじゃないか?」
そしてしばらくの沈黙が訪れた。

「兎に角、イベントは今日で終わりにする。君達もありがとう。先ずは着替えちゃいなさい。その後で打ち上げだ♪」
言われて、俺達はまだイベント用のコスチュームを着たままだった事を思い出した。

今回のイベントは「メイドさんが給仕します♪」という事で、俺と俊哉がメイドさんに扮してこの店のお手伝いをするというものだった。
当然、今俺達が着ているのは「メイド服」という事になる。白いエプロンの下には濃紺のワンピースのスカートが広がっている。
つまり、女装しているという事だ。ご丁寧にブラの中に詰め物をしてDカップ程に膨らませている。ロングのカツラを結い上げ、白い帽子が被せられている。きちんと化粧をしてしまうと、誰も俺達が「男」だと気付かなかった。
これだけ完璧に「女の子」になってしまうと、仕草も自然とらしくなってしまう。その所為か、お客様の前に出ると声のトーンも変わってしまい、声からでも俺達が男だと気付かれる事はなかった。

俺はコスチュームを脱ぐ事に躊躇いを覚えていた。これを脱いでしまえば、一介の男子に戻ってしまう。
メイド服を着て働いている間に垣間見たマスターの顔が忘れられない。もっと長い間、マスターの側に居たかった。それは、女の子の抱く恋心のようなものなのだろうか?
もし、俺が女の子で、この先もマスターの手伝いを続けていたら、マスターも俺に応えてくれるだろうか?
抱き締めてもらいたかった…
キスをしてもらいたかとた…
女の子として抱かれたい…

「早くしろよ。叔父さんが待ってるよ。」と俊哉に急かされた。
「即済むから、先に行っていてくれ。」と脱ぎ掛けのドレスを一気に剥ぎ取った。
そして、俊哉がいなくなった時、俺はふと妙な悪戯心に駆られたのだった。

「お待たせ♪」
と畳んだメイド服を抱えて俊哉達と合流する。
俊哉は洗面台の前で化粧を落としていた。俺がかつらを外し終える頃には俊哉も準備が終わっていた。
「洗面台、開いたよ。」と俊哉。
俺は洗面台の前で髪をとかしながら、店の時計を見て言った。
「遅くなっちゃうから、俺はこのままで良いよ。」
その言葉に二人の視線が止まる。
そして…

「お前がそれで良いなら…」と化粧を落とさずに出かける事が認められた。
髪をとかしていたのは短いなりに化粧した顔に違和感が出ないように女の子っぽく整えていたのだ。何より、ドレスは脱いだが、下着はそのままにしたので、俺のTシャツの胸はDカップに膨らんでいたのだ。

食事のあと、カラオケに繰り出した。
俺はマスターの隣に陣取り、デュエットの曲ばかりを選曲した。もちろんマスターと歌った。甘えるように体を寄せると、歌詞の雰囲気につられてマスターの腕が俺の肩を抱いていた。
「♀いつまでも~貴方の事を~」
「♂君だけを~」
「♀♂愛~してる~」
マスターの腕に力が入り、俺はその抱擁にうっとりとしていた…

 

「いらっしゃいませ♪」
俺はマスターとお揃いのエプロンを着けてお客様を迎えた。
「って、俊哉かぁ…」
「いきなり男子モードに戻るなよ。」
俊哉が言う通り、俺は「ウエイトレス」としてこの店で働いている。当然、お客様には「女の子」として接しているが、相手が俊哉だとついつい「男」が表に出てしまう。
「大丈夫よ♪普段はちゃんと女の子してますから。ね、マスター♪」
「ああ、ミドリちゃんは良く働いてくれてるよ。大したアルバイト代も出してやれないのが心苦しいんだがね。」
「な、なんだよ?そのミドリちゃんて!!」
「客の前で俺を呼ぶのに男の名前はまずいだろう?ってマスターが付けてくれたんだ。」
「ハイハイ。惚気はそんくらいにして、注文でも取ってくれないかな?」
「惚気って何だよ。お前が振ったんだろうが?注文って一番安いコーヒー以外を頼んだことあるのか?」
「僕だって…」
と俺の差し出したメニューをしばし眺める。
「…いつもので良いです。」と俊哉からメニューを戻されると、俺はマスターにオーダーを告げた。

「しかし、お前の女の子も大分板に付いたなぁ?」と、俊哉が俺の全身を眺めまわす。
「まあね♪今では24時間フルで女の子してるからね。」その場でくるりと回るとヒラリとスカートの裾が広がる。
「ナチュラルメイクもマスターしたし、サプリのお陰で体型もらしくなってきたのよ♪」
「そう言えば、胸も違和感が無くなったよな?」
「Dカップじゃイカニモって感じだったものね♪自前の胸もAくらいにはなったから、パットと寄せ上げで自然な形が造れるようになったわ♪」
「Aって…お前、性転換する気か?」
「できればね♪…そうそう、これ!!」と俺は俊哉の手を取り、俺の股間に押し付けた。
「最近憶えたの。タックって言ってね♪見た目はもう女の子そのもの…」

「うほん!!」
と大きな咳払い。マスターだ。
「ほらミドリちゃん。コーヒーできたよ♪それから、店の中ではあまりはしたない事しないでね?」
へへへっと俺は笑ってごまかしながらコーヒーを俊哉に運ぶ作業に向かった。

 
性転換…
結局、行き着く所はそこなのだろう。いくら俺がマスターの近くに居たいといっても、彼が結婚して奥さんを持つようになれば、俺の居られる場所は限られてしまう。
かと言って、今のままの俺ではマスターの奥さん候補にはなれない。最低でも性転換して戸籍上も「女」にならなくてはならない。
しかし、手術で女になったからといって、元からの女性と対等になった訳ではない。彼女等はマスターの子供を産むことができるが、子宮も卵巣もない俺には、それができないのだ。
男女が夫婦となるという事は子孫を残すという生物学的な本能の現れでもあるのだ。俺だってマスターの子を産みたいと思っている。…が、思っているだけではどうにもならないのだ。

 

「ミドリちゃん、今日はどうしたんだい?ぼーっとしている時が多かったみたいだけど。」
閉店後、あと片付けをしている時にマスターに声を掛けられた。
「すいません。アノ日がちょっと辛くて…」
「あ、気付かなくてごめん。なら、今日はもう上がっても良いよ。」
「マ、マスター?冗談を本気に取らないで下さい。あたしって本物の女の子じゃないんですよ♪アノ日なんてある訳ないじゃないですか。」
「ご、御免。君を見てると、ついついその事を忘れてしまうな。」
「それって、あたしを一人の女の子として見てくれていると思っても良いんですか?」
「今日のミドリちゃんはどこかおかしくないか?」
「あ、あたし。マスターのコトが好きなんです♪愛しています!!」
「こ、困るよ。突然にそんなコト言われても。君のコトはキライじゃないよ。でもね…」
「あたしが女じゃないからですか?なら、即にでも女になって来ます!!」
「ミ、ミドリちゃん。早まるんじゃない!!」
マスターは出て行こうとする俺を引き留めた。
「僕もミドリちゃんの事は好きだ。店の手伝いも良くしてくれるし。お客さんのウケも良い。だからこそ、こんな歳の離れたオジサンが一人占めにしては良くないんだ。」
「そんな事ありません。マスターは十分に若いですよ♪」
「しかし…」
「あたし…じゃダメなんですか?」
「そうじゃない。が…」
俺はマスターの顔に手を伸ばし、俺を見続けるよう固定した。
「マスター。あたしをマスターの女にして下さい。あたしも本物のオンナになります!!」
そのままマスターの頭を手繰り寄せ、あたしはマスターの唇を塞いだ。

 

 

次の日は、いつもと変わらずに始まり、そして一日が過ぎていった。
「ミドリちゃん。後片付けのあと、付き合ってくれないか?」
店を閉める時、マスターがそう言った。
その後はほとんど会話も交わさずに後片付けを進めていった。

「戸締まりOKだね?」
「ハイ。」
マスターがシャッターの鍵を閉める。

あたしはマスターと並んで街を歩いてゆく。
マスターが足を止めたのはラブホテルの前だった。
「良いんだね?」
「ハイ。」あたしは首を縦に振った。
マスターに導かれ、ホテルの一室に入った。
「シャワーを浴びておいで♪」
あたしは言われるままに、服を脱ぎ、シャワーを浴びた。わたしが終わると入れ違いにマスターがシャワーを使う。
アタシはベッドの端に座り、マスターが出てくるのを待った。

「ミドリちゃん…」
マスターがあたしの体に巻かれたバスタオルを剥いだ。
「もう、すっかり女の子の体なんだね…」
あたしは「違う」とも言えずに、ただマスターの目だけを見ていた。
見えないだけで、あたしの股間にはマスターと同じ男の証が存在している。それに、マスターを受け入れる為の女の器官は持ち合わせていない。
マスターがあたしを抱き、ゆっくりとベッドに横たえた。
「ああ…、マスター…」
「ミドリちゃん。ここでは俊明と呼んで欲しいな♪」
「なら、ちゃん付けは止めて?」
「じゃあ…ミドリ♪」
「はい。俊明さん♪」
二人の体が重なった。

(??!!)

あたしのナカに俊明さんが入って来た。
それが男の人のペニスである事は間違いない。問題は、ソレが侵入してきた場所だった。
男同士の場合、受け入れる場所は一箇所しかない。肛門=アナルだ。けれど、あたしが今、俊明さんを受け入れているのはそこではない。
もう少し前の位置だ。
本物の女の子なら、確かにその位置に女性器=膣がある。丁度そこに、俊明さんのペニスが填まり込んでいる?
「ああ、ミドリ…良い感じだ♪」
と、俊明さんが動きだす。
「あん、あああん♪あたしも…」
突然襲いかかって来た快感の波に、それまでの考えが乱される。
全身を揺り動かす快感に、何も考えられなくなる。
「ああん、あ~~~ん♪」
あたしは快感の奔流に飲み込まれてしまった…

 

 
「ミドリ叔母さんか?」
俊哉がしみじみと言った。
「これにするわ♪」
「うん、良いんじゃないか?」
あたし達は今、結婚式の衣装を選んでいた。当然の事ながら、あたしが今着ているのは純白のウェディングドレスだ。

「仮性半陰陽ですね。貴女はもともと女性だったのです。」
あの後、医者に行き確認してもらったら、そう言われた。
あたしが豊胸のために飲み続けたサプリが、あたしのナカに眠っていた女性器を活性化させたらしい。タックの効果と相まってペニスは委縮し、睾丸と思っていた脂肪の塊も女性ホルモンの増加とともに自然消滅していた。
成長が遅れた分、まだしばらくは無理だと言われているけど、あたしの中には正常な子宮も卵巣もあった…つまり、妊娠することが可能なのだ♪

戸籍の変更は即に済み、あたしは名実共に「女の子」になった。
そして、俊明さんがプロポーズしてくれた。
あたしが「NO」と言う筈もなく、あっと言う間に、結婚式の準備が進められていった。

 

「ミドリ♪」と俊明さん。
戸籍の変更とともに、あたしの名前も正式に「ミドリ」となっていた。
「愛してる。」とあたしを見つめている。
「あたしも♪」
そう答えると、俊明さんはウェディングドレスのあたしを抱き締めた。
「良い加減にしてよね。」と言う俊哉の言葉など、耳に入らない。

あたし達は長い長いキッスに突入していった♪

« 「魔女(子守:章前…)」 | トップページ | 百倍!! »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: お手伝い:

« 「魔女(子守:章前…)」 | トップページ | 百倍!! »

無料ブログはココログ