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2011年10月 1日 (土)

百倍!!

カツカツとかかとの音が響く。
何で女の靴はこんなにも音をたてるのか!!とは言っても怒りをぶつける先が存在しない。
俺は心の中でぶつぶつ言いながらも、紀子の家に向かっていた。

 

今の俺は、単に女物の靴を履いているだけではない。
服も一式…下着から全て女物である。手にしたバックも身体に付けたアクセサリーも、全てが紀子の物だ。
更に言えば、この肉体自体は紀子の物と寸分も違わない。ちゃんと化粧を施した俺は「本宮司紀子」そのものだった。

 
発端は紀子が持ってきた怪しい薬だった。「性感が百倍になる」と言われて大枚を叩いて購入したらしい。
ものは試しと二人して薬を飲み、事に及んだ。が、結局はいつものSEXのまま、俺は紀子のナカに放出し、それを契機に紀子もイッたようだ。

しかし、気だるさの中でまどろんでいると突然、紀子が喘ぎ始めた。
「ど、どうした?」と紀子を見ると、その肉体がどろどろと崩れ掛けていた。
「あん、ああん…」それは快感の喘ぎ声であった。肉体は崩れながらも最高の快感に満たされているようである。彼女の表情が恍惚としているのが確認できた。

「あなたも一緒に♪」と紀子が言った。
俺も同じ薬を飲んだのだ。俺もまた、紀子と同じようにグズグズと肉体を崩してゆくのだろうか?
紀子の肉体は透明なスライムのようなモノと化していた。その触手が俺の身体を覆い始めた。(同化するのか?)と思ったが、どうやら違うようだ。
紀子は俺の身体を包み込むと、ギュッと締め付けてきた。型に填められたように俺の身体が変形してゆく。透明なスライムの内側に、崩れ去った筈の紀子の肉体が再現されていった。
「あなたも百倍の快感を感じて♪」紀子のスライムの身体は俺の身体の部分部分を覆うだけになった。
「あん、ああん♪」紀子が俺の身体を刺激すると、これまで以上の快感に襲われる。そして、「俺」があげてしまった喘ぎ声は「紀子」の声に変わっていた。
「まだまだ、これからよ♪女性の快感は男性のとは全然違うらしいわよ。」
と触手を俺の股間に捩じ込んできた。そこにあるのは紀子のものと同じ女性器だ。触手はペニスに擬態し、俺の膣に潜り込んできた。
同時に胸が揉まれる。その先端の乳首が繊毛のようなもので刺激される。
快感が俺を支配する。
堰を切ったように、俺の口からは止めどなくオンナの嬌声が奔り続けていた…

 

幾度かの絶頂を過ぎ、長めのインターバルを取った。ようやくまともな思考ができるようになる。
「女の快感が男の百倍以上だと言う事はわかった。で、この後どうすれば元に戻るんだい?」
俺が紀子に語り掛ける。スライム状の紀子にはこれといった目鼻がある訳ではないが、肌を触れていれば意思の疎通が可能だった。
「あたしも、こんな風になるとは思ってもいなかったわ。とにかく、薬の製造元に問い合わせるしかないわね。」
「で、連絡先は?」
(…)

 

 
そして、現在の状況に戻る。
連絡先は紀子の家にあった。しかし、スライム状の紀子は自分でそれを確認に行くことができなかった。
動けるのは俺しかいない。出かけようと服を手に取ると
「だめよ!!」と紀子がそれを阻止した。
「あたしの服を着てって!本宮司紀子として行ってきて頂戴!!」
と言われ、彼女の服を着ることになった。当然、下着から全てだった。
更に化粧までさせられる。アクセサリーを付け、バックを持ち、身だしなみを再度確認されて、ようやくOKをもらった。

かかとの高い靴も、歩き出してしばらくすると違和感が無くなった。新品の靴が足に馴染んで行くのとは逆に、履き慣れた靴と足が「俺」を馴染ませていったのかも知れない。

電車を乗り継いで紀子の家のある駅で降りた。改札を抜け、紀子の家に向かう道を歩いてゆく。

カツカツとかかとの音が夜の闇に響いてゆく。街路灯は間隔が開き、路の所々が闇に呑み込まれている。
「女が独りで歩いています♪」と言い触らしているような気がしてならない。
本来「男」の俺が闇を怖がる云われはないが「紀子の身体」が恐怖感を俺に伝えて来る。闇に潜んでいるのが、お化けの類と考えているのであれば、それは空想の産物だよと理性で制する事はできる。
しかし、そこに変質者が隠れているかも…との恐れを「空想のもの」と言い切ることはできなかった。
今の俺は「紀子」であり「女」なのだ。
十分に変質者のターゲットとなりうるし、襲われた場合に女の細腕では抗いようがない事は明白だった。
何より、今日の紀子の服はいつにも増して悩ましく、電車に乗っていても男達の好色な視線に晒されている事を十分に感じていた。

ガサリと音がした。

「ヒッ」と小さく叫び足を止めてしまった。俺の目の前を黒猫が走り抜けていった。
(何だ、ネコか…)
ふうと息を吐いた。

ガサリ!!

更に大きな音がした。
(何?!)
と振り向く間もなく、背中から抱き締められた。暴漢は慣れた手つきで俺に猿轡を咥えさせた。
(そうか、こんな時オンナは叫ぶをだったっけ…)
何故かのんびりとそんな事を考えている内に、薮の中に引きずり込まれていた。
地面にはピクニックシートが敷かれていた。俺はその上に倒され、暴漢に伸し掛かられていた。ギャングが被るような覆面を付けた男の瞳が妖しく輝いていた。
スカートが捲られ、パンストと一緒にショーツが剥ぎ取られていた。男の掌が股間に充てられ、指が肉壁を押し広げ、その奥へと差し込まれようとしていた。
「イヤがってる割りには、ヌレヌレじゃないか?」と男は肉壁に浮き出た滴をねぶりまわす。
一度、オンナとしての快感を覚えてしまった身体は、このような刺激にも敏感に反応してしまうようだ。こればかりは意志の力でどうにかなるモノでもない。
胸が揉まれ、乳首が刺激される。俺の股間はどんどんペニスを受け入れる態勢に入ってゆく…
「アンタのオ×ンコ、男が欲しくてヒクついているぞ♪」
男は卑しく嗤った…

脚が押し広げられた。そこに男の腰が割り込んでくる。ペニスの先端が膣口を叩き、一気に押し入ってきた。

猿轡で声が出せないが、俺は快感に嬌声をあげてしまっていた。
ピチャピチャと愛液が溢れてゆく。ペニスの先端の周囲にある不自然な突起が、想像以上に俺の膣を刺激した。
「なかなかの感度じゃないか?それじゃあ、気持ち良くイかしてもらうぞ♪」
と、男は腰を動かすリズムを変えた。俺には、それが射精に向かうための予備動作だと判っていた。
「そら、イくぞ♪」と言う。男のうめき声とともに俺のナカに精液が放たれていた。
と同時に、俺も達してしまった。快感と共に、俺は意識を失っていた…

 

 

どれくらいの時間が経っていたのだろう。
空はいまだ闇に包まれていた。当然の如く男は姿を消していた。
猿轡は外され、身体も自由に動かせたが、スカートの中は奴の精液と自分の愛液でドロドロになっていた。
脱ぎ捨てられたショーツが草の上に乗っていた。が、もうこれも穿く気にはならない。近くに落ちていたバッグを拾いあげ、当初の目的を達成しようと再び家に向かい歩き始めた。

辿り着くなり、着ていた服を脱ぐ。シャワーの下で全身の汚れを洗い流す。
(いつも以上に感じてしまったのは、あの薬の所為?)
汚れてしまった下着を切り刻み、ゴミに捨てるとようやく一息つけた。
(そう「薬」だ!!)
家に戻ってきたのは、薬の製造元を確認する為だった。送られてきた包みは捨ててしまっていたから、注文した時の記録から辿るしかない。
パソコンを立ち上げ、IDとパスワードを入力する。
(何でこんな面倒な設定にしていたんだっけ?)と普段は思ってもいなかった事が気に掛かる。
「薬」に辿り着いた時のルートを思い出し、様々なサイトを巡っていった…

「あった♪コレよ!!」
あたしは思わず歓声をあげてしまった。そして、もう一度薬の効能を確認する。
[男女の性感を百倍にします。効果は6時間。最も快感を得られるように身体が変化します。<注意>不感症の方は効果が百倍を超えてしまいます。激しい快感に精神が耐えきれない場合がありますので、ご使用はお控えください。なお、体内に異物が存在すると効果の持続時間が変動する場合があります。]
あたしは時計を見た。
薬を飲んでから、そろそろ6時間になる。アノ感覚をもう一度…と、バスローブを脱いでベッドに横たわった。
「異物は駄目なのよね♪」とピンクローターに伸ばしかけた手を止め、そのまま自分の股間に持って行った。
指がしっとりとした膣口に触れる。
(もう濡れているの?淫しい身体なんだから♪)
そのまま指を突き入れ、空いた手で胸を弄ぶ。即に快感が高まってくる。
(何か大事な事を忘れているような…)
そんな考えがあたしの頭をよぎったが、快感の前には消し飛んでしまう。
「あん♪ああ~~ん!!」
あたしは百倍の快感の名残に酔いしれていた。

 

 

気が付くと夜が明けていた。
あたし…俺は自分がいまだ紀子の姿のままである事に気付き、慌てて飛び起きた。
(そう、薬の製造元の連絡先を確認しなくちゃ…)
パソコンの画面には薬の効能が表示されたままだった。その下に製造元の連絡先が出ていたので、そのまま画面を印刷してしまう事にした。
タンスから下着を取り出し、印刷している間に身に着ける。連絡先がちゃんと印刷されてるのを確認し、折り畳んでバッグに入れた。
ブラウスにフレアスカート、そしてカーデガンを羽織る。鏡の前で髪をとかし、パッパとお化粧を済ませた。

昨夜とは逆に電車を乗り継ぎ、ホテルに戻ってきた。
ドアを開け中を覗き込むと、部屋の中央に白いモノが…干からびたスライムの残骸だった。
触れてみたが、声が聞こえる訳でもない。それよりも、その物体はとてつもなく脆く、即に崩れてしまう。
あたしはパスタブに水を張り、その中に物体を沈めた。水分を吸って、再びスライムに戻るかと思ったが、物体は砂糖のように水に溶け、跡形もなくなっていた。
「し…、知~らないっと♪」
あたしはバスタブの栓を抜いて、水を流してしまった。
部屋の中を片付け、彼の物をひと纏めにして紙袋に放り込んだ。
「あ、あたしは何も知らないのよ♪あたしは生まれた時から本宮司紀子よ!!」
あたしは部屋の中に変な痕跡が残っていないか確認してホテルを後にした。

 

 

「彼=彼女は異物の正体に気付いているのか?」
モニターには紀子の部屋が映っていた。
その前で悪魔のような姿の男が二人、コソコソと話をしていた。
「気付くのはもう少し先かと…しかし、女の知識を取り込んでいるので、先ずは生理がない事に気付く筈です。」
「で、堕したらどうなる?」
「個人差もありますが、一時間もかからずに元に戻りますな♪」
ヒヒヒッと卑しい笑い声が部屋の中に響いてゆく。

モニターに再び紀子が映っていた。
部屋に戻った紀子は紙袋を放り投げ、そのままベッドに転がった。
「女の快感は男の百倍って言われてるらしいわね?ん、んあん♪」
紀子はスカートの中に手を入れると、女の快感に溺れていった。

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