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2011年8月11日 (木)

ホレ薬(1/3)

「俺はホレ薬について常々思う所があったんだ。」
彼は僕の古くからの友人で、マッドサイエンティストだ。
「相手に飲ませるだけで己を惚れさせると言うのは、随分身勝手が過ぎるとは思わないか?何かを成す為には、それなりの代償が必要だと俺は考えた。」
話が長くなるのは彼の常である。結局、その先にあるのは「人体実験に協力してくれ」なのだ。
彼の実験は成功例こそ少ないものの、失敗したからといって命に関わることが皆無である事が最大の特徴だった。
僕が「惚れ薬」と聞いて、真っ先に飛びついたのには訳があった。生まれてこのかた、変な友人はいても、異性の友達をもった事は一度もないのだ。当然、女性経験はないし、体育のフォークダンス以外で女の子と手をつないだ事もないというヘタレな性格である。
そんな僕がただ一人、お友達になりたいと思っている女性がいる。三野綾香さんだ。
僕は中学生の頃から綾香さんだけを見続けていた。だから、今現在も彼女に特定の男性がいない事は解っていた。だから、その位置に僕自身を置く事ができるのであれば、僕は悪魔に魂を売り渡す事さえ厭わないだろう。
何より、彼は悪魔なんかではないのだ。
「で、例のものは持ってきたかい?」と促される。
彼の作る惚れ薬には、彼女の身体の一片が必要だとの事だった。それが髪の毛でも良いと聞き、僕はコレクションの中から最も状態の良いやつを彼に渡した。
「これよりDNAを抽出し、本能的に愛さずにはいられない要素を特定する。主にフェロモンだが、相手が惚れないではいられない組み合わせを作れる身体に作り変えるのが、俺の目指す惚れ薬なのだ。」
ムフハハハッと笑う彼を見ながら、僕本来のフェロモンに反応するように相手を作り変えられないのか?と、口に出さずに突っ込んでみた。

 
「さあ、できたぞ♪」どろどろの溶液の入ったビーカーが、僕の前に差し出された。
「これが惚れ薬なのか?」鼻を摘みながらビーカーの中を覗き込む。何か液体がウネウネと蠢いているようにも見えた。
「さあ、ぐいっと余さずに飲んでくれたまえ♪」
彼の失敗には命の危険は伴わない…という神話に縋るようにして、僕はビーカーの中身を喉の奥に流し込んでいった。
「一晩寝れば、改造は完了する。明日の晩には良い知らせが聞ける筈だ。」
とりあえず、飲んだ途端に苦しみだすような事はなかった。

 

 

トントン
とドアをノックする音で目が覚めた。眠い目を擦りつつ、ドアを開けると、そこには三野綾香さんその人が立っていた。
「三野さん?何でここに?」と言う僕の言葉など一切聞こえていないようだった。

「お…あ探ししました。そして、やっと巡り会えました。あなたこそ、私が求めていた方…」
彼女はウルウルと目に涙を溜めてゆく。そしてあろう事か、僕に抱きついてきた!!

「ああ、お姉さまぁ♪」と僕の胸の谷間に顔を埋めた。勢いで、僕も彼女をぎゅっと抱き締めた。
(ん??!!)
何で僕の胸に「谷間」なんてあるんだ?それに「お姉さま」って?

「とりあえず、落ち着きませんか?」マジックテープを剥がすように綾香さんとの距離を確保した。
「お茶を持ってきますから、そこら辺にでも座っててください。」と台所に向かう途中で洗面台の鏡を覗き込んだ。
「だ、誰だコレ?」
鏡には見知らぬ女が映っていた。が、僕が手を上げると鏡の中の女も同じ様に手を上げる。女は僕と同じ動きをする…って事は、この女は「僕」なのか?
彼女が着ているTシャツやトランクスは確かに僕のものであり、昨夜から寝間着代わりに着ていたものだ。が、その胸は大きく膨らんでおり、彼女が「女」である事を主張していた。そして、その胸の膨らみは、僕自身の胸にも付いている。
そして、もう一つ確認しなければならない事がある…
僕はゴクリと唾を飲み込み、右手をトランクスの中に入れた。

 
僕は頭をぼーっとさせたまま、冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出し、お盆にグラスを二つ乗せて綾香さんの所に戻っていった。
「ありがとうございます♪」とグラスを受けとる綾香さん…改めて見ると、彼女が着ていたのはパジャマだった。靴も履いていなかったみたいだ。彼女はそんな格好で町中をうろついていたのだ。
「話を聞かせてくれないか?」
僕も床に腰を下ろし、落ち着いた所でそう聞いてみた。

「夢の中で告げられたのです。私の愛の全てを捧げられるヒトが現れたと。私は夢に導かれてあの家、この家のドアを叩いて廻りました。中には怒鳴り、足下にされた事もありましたが、夢は次こそがそのヒトであると告げてくれたのです。」綾香さんは瞬きもせずに、じっと僕を見つめていた。
「そして、ああ、ようやくお姉さまの所まで辿りつけました。お姉さまがそのヒトである事は間違いありません♪」
「夢」とあやふやな表現だったが、奴の言うフェロモンの効果に違いなかった。僕の体から放出されたフェロモンは彼女の家まで届くくらい大量に撒き散らされたのだろう。気流なんかの関係で局所的に濃度が高くなった場所が彼女を惑わせたに違いない。
フェロモンの尋常でない効果の程は確認できたという事なのだろう。しかし、何故僕の姿が女になってしまったのかが説明つかない。
「しかし、何で僕…わたしなんでしょう?普通、女の子の想い人は男性でしょう?」
「私は男の人とはお付き合いできないのです。何と言うか生理的に受付られないのです。」
もし、綾香さんの男性拒否がDNAに書き込まれていたものであれば、奴の薬が僕を男でなくした可能性も否定できない?
「お姉さまは女の子が相手では困りますか?私はどんな男性よりもお姉さまを満足させられます。それはもう、幾人ものお友達にも確認できています♪」

ズイッと綾香さんが僕の上に被さってきた。僕はそのまま床の上に押し倒されていた。
「素敵です。お姉さまのお胸♪」とTシャツの上から揉みあげてくる。
ズンッと何か身体の内を突き上げてくる。程なく、それが快感である事に気づくが、その時は既に、僕は綾香さんの手で快感に翻弄されていた。
「お姉さまは感じ易いのですね。あっという間に大洪水ですゥ♪」そう言うと、僕の下半身からトランクスをはぎ取り、その開かれた場所に頭を潜り込ませた。
「あん、ああん♪」と僕は女の子のように喘いでしまっていた。
生暖かく、多少ざらついたモノが僕の股間を舐めあげたのだ。
「あぁ…お姉さまのお蜜は濃厚で、とても美味しいですわ♪」
彼女が彼女自身の舌で僕の股間に溢れる愛液?を舐め取っていた。
「この日の為に、お姉さまを満足させたい為に私は日々努力を重ねてまいりました。最高の快感を何度でも味わってくださいませ♪」

「ちょっと待って!!」と僕が制止するより先に、彼女の指が絶妙に責め初め、僕の発する声は全てが艶声と化していた。

 

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