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2011年8月11日 (木)

ホレ薬(1/3)

「俺はホレ薬について常々思う所があったんだ。」
彼は僕の古くからの友人で、マッドサイエンティストだ。
「相手に飲ませるだけで己を惚れさせると言うのは、随分身勝手が過ぎるとは思わないか?何かを成す為には、それなりの代償が必要だと俺は考えた。」
話が長くなるのは彼の常である。結局、その先にあるのは「人体実験に協力してくれ」なのだ。
彼の実験は成功例こそ少ないものの、失敗したからといって命に関わることが皆無である事が最大の特徴だった。
僕が「惚れ薬」と聞いて、真っ先に飛びついたのには訳があった。生まれてこのかた、変な友人はいても、異性の友達をもった事は一度もないのだ。当然、女性経験はないし、体育のフォークダンス以外で女の子と手をつないだ事もないというヘタレな性格である。
そんな僕がただ一人、お友達になりたいと思っている女性がいる。三野綾香さんだ。
僕は中学生の頃から綾香さんだけを見続けていた。だから、今現在も彼女に特定の男性がいない事は解っていた。だから、その位置に僕自身を置く事ができるのであれば、僕は悪魔に魂を売り渡す事さえ厭わないだろう。
何より、彼は悪魔なんかではないのだ。
「で、例のものは持ってきたかい?」と促される。
彼の作る惚れ薬には、彼女の身体の一片が必要だとの事だった。それが髪の毛でも良いと聞き、僕はコレクションの中から最も状態の良いやつを彼に渡した。
「これよりDNAを抽出し、本能的に愛さずにはいられない要素を特定する。主にフェロモンだが、相手が惚れないではいられない組み合わせを作れる身体に作り変えるのが、俺の目指す惚れ薬なのだ。」
ムフハハハッと笑う彼を見ながら、僕本来のフェロモンに反応するように相手を作り変えられないのか?と、口に出さずに突っ込んでみた。

 
「さあ、できたぞ♪」どろどろの溶液の入ったビーカーが、僕の前に差し出された。
「これが惚れ薬なのか?」鼻を摘みながらビーカーの中を覗き込む。何か液体がウネウネと蠢いているようにも見えた。
「さあ、ぐいっと余さずに飲んでくれたまえ♪」
彼の失敗には命の危険は伴わない…という神話に縋るようにして、僕はビーカーの中身を喉の奥に流し込んでいった。
「一晩寝れば、改造は完了する。明日の晩には良い知らせが聞ける筈だ。」
とりあえず、飲んだ途端に苦しみだすような事はなかった。

 

 

トントン
とドアをノックする音で目が覚めた。眠い目を擦りつつ、ドアを開けると、そこには三野綾香さんその人が立っていた。
「三野さん?何でここに?」と言う僕の言葉など一切聞こえていないようだった。

「お…あ探ししました。そして、やっと巡り会えました。あなたこそ、私が求めていた方…」
彼女はウルウルと目に涙を溜めてゆく。そしてあろう事か、僕に抱きついてきた!!

「ああ、お姉さまぁ♪」と僕の胸の谷間に顔を埋めた。勢いで、僕も彼女をぎゅっと抱き締めた。
(ん??!!)
何で僕の胸に「谷間」なんてあるんだ?それに「お姉さま」って?

「とりあえず、落ち着きませんか?」マジックテープを剥がすように綾香さんとの距離を確保した。
「お茶を持ってきますから、そこら辺にでも座っててください。」と台所に向かう途中で洗面台の鏡を覗き込んだ。
「だ、誰だコレ?」
鏡には見知らぬ女が映っていた。が、僕が手を上げると鏡の中の女も同じ様に手を上げる。女は僕と同じ動きをする…って事は、この女は「僕」なのか?
彼女が着ているTシャツやトランクスは確かに僕のものであり、昨夜から寝間着代わりに着ていたものだ。が、その胸は大きく膨らんでおり、彼女が「女」である事を主張していた。そして、その胸の膨らみは、僕自身の胸にも付いている。
そして、もう一つ確認しなければならない事がある…
僕はゴクリと唾を飲み込み、右手をトランクスの中に入れた。

 
僕は頭をぼーっとさせたまま、冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出し、お盆にグラスを二つ乗せて綾香さんの所に戻っていった。
「ありがとうございます♪」とグラスを受けとる綾香さん…改めて見ると、彼女が着ていたのはパジャマだった。靴も履いていなかったみたいだ。彼女はそんな格好で町中をうろついていたのだ。
「話を聞かせてくれないか?」
僕も床に腰を下ろし、落ち着いた所でそう聞いてみた。

「夢の中で告げられたのです。私の愛の全てを捧げられるヒトが現れたと。私は夢に導かれてあの家、この家のドアを叩いて廻りました。中には怒鳴り、足下にされた事もありましたが、夢は次こそがそのヒトであると告げてくれたのです。」綾香さんは瞬きもせずに、じっと僕を見つめていた。
「そして、ああ、ようやくお姉さまの所まで辿りつけました。お姉さまがそのヒトである事は間違いありません♪」
「夢」とあやふやな表現だったが、奴の言うフェロモンの効果に違いなかった。僕の体から放出されたフェロモンは彼女の家まで届くくらい大量に撒き散らされたのだろう。気流なんかの関係で局所的に濃度が高くなった場所が彼女を惑わせたに違いない。
フェロモンの尋常でない効果の程は確認できたという事なのだろう。しかし、何故僕の姿が女になってしまったのかが説明つかない。
「しかし、何で僕…わたしなんでしょう?普通、女の子の想い人は男性でしょう?」
「私は男の人とはお付き合いできないのです。何と言うか生理的に受付られないのです。」
もし、綾香さんの男性拒否がDNAに書き込まれていたものであれば、奴の薬が僕を男でなくした可能性も否定できない?
「お姉さまは女の子が相手では困りますか?私はどんな男性よりもお姉さまを満足させられます。それはもう、幾人ものお友達にも確認できています♪」

ズイッと綾香さんが僕の上に被さってきた。僕はそのまま床の上に押し倒されていた。
「素敵です。お姉さまのお胸♪」とTシャツの上から揉みあげてくる。
ズンッと何か身体の内を突き上げてくる。程なく、それが快感である事に気づくが、その時は既に、僕は綾香さんの手で快感に翻弄されていた。
「お姉さまは感じ易いのですね。あっという間に大洪水ですゥ♪」そう言うと、僕の下半身からトランクスをはぎ取り、その開かれた場所に頭を潜り込ませた。
「あん、ああん♪」と僕は女の子のように喘いでしまっていた。
生暖かく、多少ざらついたモノが僕の股間を舐めあげたのだ。
「あぁ…お姉さまのお蜜は濃厚で、とても美味しいですわ♪」
彼女が彼女自身の舌で僕の股間に溢れる愛液?を舐め取っていた。
「この日の為に、お姉さまを満足させたい為に私は日々努力を重ねてまいりました。最高の快感を何度でも味わってくださいませ♪」

「ちょっと待って!!」と僕が制止するより先に、彼女の指が絶妙に責め初め、僕の発する声は全てが艶声と化していた。

 

ホレ薬(2/3)

ハジメテの女の快感…それも最上質の厳選された快感ばかり…に塗り固められた僕の脳が、ようやく意識を取り戻す迄にはかなりの時間が必要だった。
既に太陽は西の山に沈もうとしていた。ヤり疲れお互い眠ってしまっていたようだ。

確かに奴の惚れ薬は、僕と綾香さんを親密な関係にしてくれた。が、今の僕は「お姉さま」=女=になってしまっている。男性拒否症?の彼女に好かれるには女になるのが手っ取り早いのは確かだったが、僕は彼女とは男と女の関係を構築したかったのだ。

「ああ、お姉さま?良く眠れましたか?」僕の隣で綾香さんが目覚めたようだ。
クゥ~と同時に二人のお腹が鳴った。二人同時にプッと吹いてしまった。そう言えば二人とも朝から何も食べずに「激しい運動」を続けていたのだ。
「何か作りますね♪」比較的ダメージの少ない綾香さんが立ち上がった。
しかし、冷蔵庫には何もなかった筈…
「シンクの下にカップ麺があるから、取り敢えずそれを食べておこうか?」と声を掛けた。彼女もそれ以外に手が無いと判断しヤカンでお湯を沸かし始めた。
僕もノソノソと起き上がった。僕も綾香さんも全裸だった。流石に台所に立つ彼女は、そこらへんに落ちていたエプロンを着けていた。
こんな姿の綾香さんを見れただけでも良かった…と傾く意思を奮わせ、二人が着れるモノを探してみた。下着はトランクスしかない。ズボンはジーンズをベルトで締め付け、裾を折れば穿けない事もない。上は結局、Tシャツになるのだろう。乳首の突起が気になるなら、二枚重ねで着れば良いと思う。
問題な小さい足に合う靴がない。スニーカの紐を絞めてもジーパンのようには旨くいかない。靴下を何枚も重ね穿きするしかないか…

湯が沸き、所定の時間で出来上がったカップ麺を二人で啜った。シャワーで汗と汚れを洗い流し、僕の用意した服を着ていった。
綾香さんでは当然の事ながら、僕も体のサイズが一回り以上小さくなったようで、彼氏のTシャツを着た女の子に見えてしまう。
「これならワンピースで通るわね♪」と綾香さんはジーパンを穿かずに済ましてしまった。それでも、スニーカを履くため靴下の重ね穿きにも応じてくれた。

準備を終えて宵闇に紛れて綾香さんの家に向かう。確か男子禁制のマンションだった筈。部屋に上げてもらえるなんて逆立ちしても不可能だったのだが、今は堂々?と入る事ができる。
エントランスを無事通過。エレベータで目的の階へ…
扉が開くと、そこはもう綾香さんの世界だった。

「お姉さま♪部屋着を用意しました。」と持ってきた服を手渡すと、僕の手が塞がったのを良い事に勝手にズボンのベルトを緩めていた。
綾香さんの服を着れるなんて…と感動している間に下側を脱がされ、新たなモノが穿かせられた。…もしかして、綾香さんのパンティ?
洗濯されていても、一度以上彼女の股間を覆っていたモノが、今僕の股間を覆っているのだ。それは、彼女の部屋着を着せてもらう以上に衝撃的なコトだった。
ぼーっとしていると、Tシャツが剥ぎ取られ、頭からすっぽりと被せられた部屋着は、今綾香さんが着ているものとは色違いのものだった。

「お夜食に何か作りますね♪」と可愛らしいエプロンを着けてキッチンに立った。
すぐに立ち上る美味しそうな香りを嗅ぎながら、僕は綾香さんの部屋の中を見ていた。
そこは僕が想像していた「女の子の部屋」そのものだった。ピンクのカーテンの内側を覆う、可憐なレースのカーテン。床に散らばるクッションと女性ファッション誌。花柄のカバーの掛かったベッドの上には多くのぬいぐるみが並んでいる。
壁には綾香さんらしく、男性アイドル等のポスターではなく、造花のリースが品良くアレンジされていた。

クローゼットには、これまで僕が見たことのある綾香さんの服が詰まっているのだろう。引き出しの中にはパンティが、そしてそれとお揃いのブラジャーが詰まっているのだろう。
その隣にはドレッサーが置かれている。化粧品の罎や口紅、マニキュアが並んでいる。
僕は下着姿の綾香さんが、鏡に向かってお化粧する様を想像していた。

 

夜食が出来上がる。
カップ麺で足りない分を補うだけだと思っていたが、どうやらお酒の肴として作ってきたようだ。
ワイングラスが並べられる。白ワインが注がれた。
「お姉さまとの出会いに乾杯♪」
つられて僕も「乾杯♪」とグラスを重ねていた。
綾香さんの料理は美味しかったのと、ワインも飲み易かったので、酔いが回ったのになかなか気付かないでいた。
「お姉さま♪さっき私のドレッサーをじっと見ていましたよね?」いつの間にか向かい合わせではなく、ベッドに背中を預け、並んで座っていた。ドレッサーは今、僕等の向かい側にあった。
「お姉さまって、お化粧気がないですけど、なんで何ですか?お化粧すればもっと綺麗になりますよ♪」
彼女が立ち上がりドレッサーに向かう。止めようてしたが、お酒が回っていて身動きが取れなかった。
「ほら、口紅だけでも違いますよ♪」と僕の唇の上に紅が塗られてゆく。
「ほら♪」と差し出された手鏡の中に口紅を塗った僕の顔があった。
「私にも頂戴♪」と綾香さんの唇が僕の唇に重なる。綾香さんの唇がうっすらと紅に染まった。
「お姉さまったら可愛い♪」と綾香さんが突然笑いだす。
「どうしたの?」と聞くが、それには答えてもらえない。
「もう、お姉さまを襲いたくなっちゃった♪」と僕等の前に並べられたお盆を端に寄せた。
「二人して気持ち良くなりましょう♪」と僕の前に立った綾香さんのスカートの前が、何かに押され突っ張っていた。
「そ、それは何?」多分、僕には判っていた。
「コレでお姉さまを昇天させてあげますわ♪」とスカートを捲りあげる。
そこにはグロテスクな男性器を模した真っ黒な張型が装着されていた。
「女の子同士に抵抗があるのなら、私の事を男性だと思ってくださいな。スカートを穿いた今流行りの男の娘かしら?」

ホレ薬(3/3)

僕には拒否する選択肢は見つからなかった。女同士は嫌だが、それ以上に男に犯られる等とは考えられなかった。

しかし、今の僕は女なのだ。僕が望んだのは綾香さんとの男女の関係だ。だから綾香さんが男ならば、何の問題もない?
僕の頭が不毛な堂々巡りをしている間に、僕は綾香さんに簡単に押し倒されてしまった。
「三野さん…」僕が言おうとすると、
「綾香…この姿の時は綾人と呼んで下さい。」そう言われ
「綾人…」と言うと、僕は益々「女」として「男」に抱かれるんだ…と意識してしまう。

「お姉ちゃん♪大好きだよ!!」綾人が伸し掛かってきた。
綾人があたしの胸に顔を埋める。互いの下半身が密着し、彼の突起があたしの股間を刺激する。
見た目は女の子同士…だけど綾人のスカートの下には立派な男性自身が存在している。綾人の前戯に悶えていると、互いのスカートが捲り上がってゆく。
「お姉ちゃんも準備万端だね♪」綾人の指があたしの股間を撫であげていた。既に、あたしの愛液でクロッチが濡れているのを指摘したのだ。
そのままショーツを剥ぎ取られる。脚が抱えられ、広げられた股間が綾人の前に晒される。
「いくね♪」の声と供に、あたしの膣に綾人のペニスが侵入してきた。
張り裂けるような痛みに襲われる。なんとか叫び声をあげるのは抑え込んだが、意識が遠くなる…
「お姉ちゃんて処女だったんだ♪」と指に絡む赤い筋をあたしに見せた。
「大丈夫。即に気持ち良くなるからね♪」あたしは既に、痛みと伴に彼のペニスからもたらされる快感に気が付いていた。

昼間と同様に、あたしは綾人に責め続けられた。綾人のペニスからもたらされる快感に何度もイッてしまう。
意識が遠退き、本能だけで快感を追い求めていた。自分が発している声が発情した雌の嬌声でしかない事にも気付かずに、あたしは綾人の腕の中で翻弄され続けていた。

 

携帯が鳴っていた…
あたし…僕の携帯だった。手を伸ばし引き寄せる。いまだ鳴り止まない。
画面には奴の名が示されていた。
「あんばいはどうだい?俺も効果の程を確認したいんでね。もし、お楽しみを邪魔したなら謝るよ。」
「ぼ、僕は今…三野さんと一緒にいる。当初の予定とは違うが、効果は確認できた。」
「どうした?声が変だぞ。」
「だから、お前の薬は失敗作なんだよ。僕以外にあの薬は使っちゃ駄目だ。絶対にだ!!」
「あ、あぁ。とにかく、一度会って直接話が聞きたい。落ち着いたら連絡をくれ。待っている。」
と電話は切れた。

「誰から?」と綾香さん
「親友からだよ。」
「男の人?お姉ちゃんはもう僕だけのモノだからね。これから先、絶対に男の人とは会わないでよね!!」
綾香さん…綾人の目が異様に輝いていた。
「帰さないよ。ここに一緒に住もう。この先ず~っと♪」と綾人が言うなり、再び抱き絞められた。
「あん、ああん♪」返事をする代わりに、あたしは快感に喘ぎ声を漏らしていた。

 

 
「とにかく、あの薬は問題があり過ぎるのよ。あたし以外に被害者を出さないようにして頂戴ね!!」
多分この人と会うのはこれが最期だと思う。綾人は、あたしが男性と同席する事を極端に嫌うのだ。
「女性化で済んだだけでも幸運だと思うわ。相手の嗜好によっては人間でなくなってしまう可能性もあったのよ。あたしはこうして綾人と一緒になれたけど、たまたま上手くいったに過ぎないんだからね。」
あたしはそれだけ言うと席を立った。そして、少し離れた所で待っていた綾人の下に戻る。

あたし達はお揃いのドレスに身を包んでいた。綾人は赤であたしは白を基調としたデザインだ。
このドレスは、あたしが「女」である事を強調するとともに、綾人との関係が確かなものであることを示している。
「さようなら…」
それは親友への別れの言葉であると同時に、「男」だったあたしの過去との決別でもあった。

 

 

あたし達は街を歩いてゆく。
見た目には仲の良い女友達?確かに、肉体は女同士だが、あたしにとっては綾人は男性そのもの。
あたしはあたしの望み通りに綾人と男女の関係にどっぷりと填まり込んでいた。

 
足を止め、綾人を見つめる。
あたしの突然の行動に、彼が微笑みを見せる。
そのまま、瞼を閉じると、彼の唇があたしの唇を被っていった…

惑星ガルボ(1/4)

カプセルは順調に降下していった。
衛星軌道上の母船からの指示で細かな補正を繰り返しながら、カプセルは所定の着陸ポイントを目指していた。
 

………
 
「緊急事態だ!!」
そう告げられたのが一週間前。惑星ガルボの反陽子炉が暴走し掛けているとの一報が入った。抑制物質が不足しているからと、急きょ輸送隊が編成された。
刻々と状況が判明してくる。ガルボに大規模な流星群が突入してきたのだった。隕石の多くは大気圏で燃え尽きるのだが、今回は大量の燃え残りが反陽子炉周辺に降り注いだらしい。
反陽子炉自体は幾重にも防御されているため、当然のように無傷であった。が、抑制物質の貯蔵庫が直撃を受けてしまった。
抑制物質がなくなれば反陽子炉は制御不能に陥る…事故の直後から反陽子炉の緊急停止シークエンスが実施されているが、如何せん、抑制物質の絶対量が不足していた。
我々が運んできた物があれば、十分に安心できる量が確保できるのだが…宇宙港が利用不能となっていたのだ。
隕石の影響で、滑走路を始め、地表は一律に穴だらけになっていたのだ。着陸を強行しても、運搬手段がない。輸送トラックは整備された道路を走ることが前提となっているのだ。
唯一、俺が担当している六足歩行車のみが、稼働可能とわかった。が、搬送できる量にも限界がある。それに、宇宙港が使えないので、揚陸カプセルに頼らざるを得ない。
ガルボに到着する迄の間、様々なプランが考えだされ、検討された。その間の俺は六足歩行車の整備と揚陸のシュミレーション訓練に没頭していた。

………

 
逆噴射ロケットが点火され、カプセルは地表に降り立った。
宇宙港よりもかなり反陽子炉に近付けて設定された着陸点には誤差なく到達できた。格納庫の扉が開き、斜路が伸びてゆく。俺は六足歩行車を起動した。
俺の眼全に瓦礫の荒野が広がっていた。路面の凹凸は想定を超えるものがあった。が、六足歩行車の障害になるものではない。そもそも「道路」を通る必要さえないのだ。反陽子炉までをほぼ直線で辿ってゆける。
俺は操縦桿を握り、足を踏み出させた。
 
反陽子炉の建屋が目視できた。
これまで六足歩行車は順調に歩みを続けていた。想定したペースをそのまま維持している。周りを見るとあちこちから煙が立ち上っている。ひときわ大きく黒煙を上げているのが、抑制物質の貯蔵庫なのだろう。溢れ出た抑制物質が高温で激しく化学反応を起こしているに違いない。勿体ないが、こればかりは俺にもどうする事もできない。俺は六足歩行車の足を一歩づつ前に進めていった。
「人」の姿があった。
こちらに向かって走って来ている。
「おーい!!」と声が聞こえた。俺は窓から乗り出すように腕を出して振ってやった。
それには彼も気付いたようだ。一旦、手を振るのを止め、行く手を塞ぐ瓦礫の山を乗り越えていった。
「抑制物質か?」男は操縦席の窓枠に貼り付いていた。
「ああ、だが現時点で届けられるのはこれだけの量しかない。こいつで時間を稼いでくれ。宇宙港に母船が降りられれば、補給が効く。」
「ありがたい!!」男の瞳がキラキラと輝いていた。

男の案内もあって、反陽子炉の搬入口までは時間を掛けずに辿り着くことができた。が、そこで立ち往生してしまった。搬入口が瓦礫で塞がっていたのだ。
職員が総出で撤去に励んでいたが、重機が投入できないため、搬入口はいまだ埋まったままとなっていた。
俺は抑制物質を下ろして身軽にした六足歩行車を駆って撤去作業に参加した。後四脚で支持しながら、車体を大きく反らせると前二脚が瓦礫の上部に届いた。
六足歩行車のパワーで瓦礫を蹴り崩してゆくと、人手で行うよりも遥かに短い時間で搬入口が現れる事になった。一旦下ろした積荷を載せ直している間に、職員達が搬入口を開いていた。
六足歩行車の燃料も補給し、搬入口から反陽子炉の奥に向かってゆく。最初に出会った男が案内役として、再び操縦席の窓枠に貼り付いていた。

照明の落ちた通路は暗闇に包まれていた。
外のような瓦礫の山はないものの、そこかしこに備品が散乱していた。
通路は緩やかにカーブしながら、地下に降りてゆく。計器が反陽子炉の力場を捉える。いまだ活動状態は危険域にはあるが、最悪の状態までにはまだ少しの余裕があるようだった。
「もうすぐです」
男の声とともに、前方に明かりが見えた。先行していった職員が設置しておいたのだろう。広く開いた入り口を入ると職員達が待ちかまえていた。
手際よく積荷が下ろされ、抑制物質の投入口に送り込まれてゆく。しばらくすると、力場の状態を表示する計器が動き始めた。
「ありがとうございました。取り敢えずの危機は回避できたようです。」と案内に立った男が頭を下げた。そして…
「よろしければ、お手伝い願えないでしょうか?」
彼の依頼は、炎上する抑制物質貯蔵庫から退避することができた抑制がある。これを六足歩行車で運搬できないか?という事だった。
俺に与えられた任務は宇宙港の早急な復旧作業であった。が、それは現地の要員との共同作業が前提となっている。現地の要員が貯蔵庫に向いている限り、宇宙港には手が付けられない事は明白であった。
俺は彼等からの燃料の補給を受けながら、貯蔵庫と反陽子炉を幾度となく往復した。

反陽子炉の力場が危険域を脱した。
歓声が上がる…

が、その時
地響きと轟音が一緒になって襲ってきた。
「どうした?」
俺が状況を確認しようとした時には、既に皆は慌ただしく動いていた。パニックは起きていない。
炎上していた貯蔵庫で大規模な爆発があったらしい。貯蔵庫では抑制物質を退避すべく、幾人もの職員が頑張っていたのを目にしている。
「彼らは絶望的です。」無機質な声が伝えてきた。もし、彼等に危機が訪れていたとしても、今の俺にできる事が何もないのは事実であった。
「俺がする事はあるか?」と聞く。
「今は待機していてください。そのうち六足歩行車の出番もあります。今はエンジンを切っと燃料の節約を図ってください。」

そして、俺は操縦席で一夜を明かした。寝ずに働き詰めの彼等には悪いとは思うが、できるだけ良いコンディションで六足歩行車を投入する事が俺の使命であり、彼等の為にもなる事なのだ。
シートの中で固まってしまった筋肉を伸びとともに揉み解した。かなりの時間が経過した割りには、操縦席からの眺めは変わっていなかった。

惑星ガルボ(2/4)

「おはようございます。」俺が目覚めた事に気付いたのか、女が一人操縦席によじ上ってきた。
「状況は?」俺が聞くと、彼女は
「反陽子炉は安定しています。問題は外界と遮断されてしまった事。搬入路はかなり奥まで瓦礫に埋まってしまっています。現在、反陽子炉の直上に設置されたリフトを稼働させる所までいっています。後は建屋上部の瓦礫が撤去するだけです。」
「つまり、六足歩行車の出番という事だな?」
「はい♪」
彼女の明るい返事とともに、俺の肉体にも活力が戻ってきた。

 

俺は六足歩行車を起動し、リフトに向かった。操縦席の窓枠には彼女が昨日の男と同じ様に貼り付き、同じ様に誘導してくれた。
(?)
俺の意識に何か引っ掛かるモノがあった。
彼女と彼…「同じ様に」と言うよりは「全く同じに」か?
その仕草、その雰囲気までもが彼と彼女は同じなのだ。
「昨日の彼は君の兄弟?もしかして双子だったりして♪」
「…」俺の問い掛けに彼女からの回答はなかった。

(?)
通路を進む六足歩行車…幾人かの職員とすれ違う…が、彼等はみな女性だった。
「他の人達も交代したのかい?それにしても極端だね。要員を男女で固めるのに何かメリットがあるのかい?」

「わかりませんか?」彼女の声は六足歩行車の稼働音に掻き消されそうだった。
「いえ、もう気付いたんでしょう?」
俺を見つめる彼女の目にうっすらと涙が浮かんでいた。
「な、何が?」
「私達が交代なんかしていないということ…それは、貴方自身でも確認できるわね?」
「お、俺?」
「まだ気付いてないのかしら?反陽子炉の力場に長時間晒されているときに起こる現象について聞いていなかったのかしら?」
「力場の中に入る事があり得るとは聞いていたよ。でも、命の危険はないと聞いている。」
「確かに、命に係わる事態ではないわね。でも、聞かされていなかったのは問題だわ!!」
六足歩行車がリフトに辿りつくと、待ちかまえていたかのようにリフトに詰め込まれた。

上昇してゆくリフトの中で先ほどの会話が再開される。
「俺には何の事なのか、いまだに解らないんだが?」
「文字通り、胸に手を当ててみれば解ることよ。反陽子炉の力場は、その内にある生命体の性別を反転させる効果があるのよ。」
「性別を反転?男が女になるってことか?」
「ええ。力場の強さと晒された時間で反転している期間が決定されるの。私の場合、三ヶ月は元に戻れないと見ているわ。貴方も、ひと月はそのままだと思うわ。」
「俺?」と自分の胸に手を当てる。彼女程ではないが、肉の膨らみが存在した。そして、その手を股間に伸ばす…
「無くなってる?」
俺は彼女を見た。
「初めてでしばらくは混乱すると思うけど、慣れてしまえば、どうってことないわよ♪」

リフトが止まった。
何がどうなったのか…言葉の上では「この先一ヶ月の間俺の肉体が女になっている」
と理解した。が、具体的にそれがどういう事なのかまでは理解できていない…俺自身が理解する事を拒んでいた。
雑念を振り切るように、俺は六足歩行車を起動し、瓦礫の撤去に専念した。

 

幾人もの職員がリフトで昇ってきては、俺が切り開いた路を通って宿舎に向かってゆく。そして、交代要員と思われる男達がリフトで降りてゆく。
反陽子炉は安定したとは言っても、いつまた安定を失うかも知れない。新たな抑制物質を搬入できるようにしておかなければならない。
俺は自らの肉体の変化から意識を逸らしたいが為だけに、新たな作業を見つけようとしていた。

「ご苦労様♪」声を掛けてきたのは彼女だった。
「おかげさまで要員の交代も順調に進んでるわ。倉庫の工作機器が稼働すれば、一気に整備が進むわね。その為にも貴方にはもうひと働きしてもらう事になるわね。」
窓枠に付いていた彼女がスルリと操縦席に入り込んできた。多少ゆとりのある座席ではあるが、二人の人間が座るには無理がある…と思っていたが、今の俺はその姿を変えていたのだ。
女二人であれば、ギリギリで収まってしまうのだった。
「けど、今は少し体を休めましょう。宿舎に部屋を用意しておいたわ。シャワーを浴びてひと眠りするのも重要なコトなのよ。」
休息が必要であることは俺も認識していた。が、作業に没頭していれば肉体の変化を無視していられる。
逆に休息してしまえば、自然と肉体の変化に意識が向いてしまう。意識しようとしなくても、シャツの裏地が胸に擦れて痛む事で、自分の肉体が変化してしまった事を思い出されるのだ。ましてや、シャワーを浴びるなど…
「その角を左ね♪」
俺は彼女の指示通りに六足歩行車を操る事で気を紛らわせるしかなかった。

 

シャワーの湯気で視界が狭まっていることに感謝した。
俺は与えられた部屋に辿り着くと、極力何も見ないようにして服を脱いでいった。風呂場のドアを開けると、鏡に裸の女の姿…これが今の俺の姿なのだ…に目を奪われつつも、中に入りドアを閉めた。
シャワーの栓を見つけ、それを捻ると、一気に湯気が立ち込めたのだった。
「ふう」と一息点き、流れ落ちる湯滴の中に入っていった。
皮膚を打つ湯滴をここまで気持ちよく感じた事はなかった。女になった事で肌が敏感になったのかも知れない…
意識すると、己の肉体の男女の差異が際立ってきてしまう。胸を流れ落ちる水流の経路が二つの肉塊により大きく変化していた。
体の表面を流れ落ちる水流は腹を通り股間に達する。見えない事で却って鮮明に感じてしまう。
俺の股間に垂れ下がっていたモノは跡形もなくなっていた。そこには深い溝が刻まれ、その上を水流が流れ落ちてゆく。ソコに男には存在しえない「穴」が穿たれているかは、この状態では判別がつかない。
俺はゆっくりと股間に手を伸ばしていた。指先が割れ目の端を捉えていた。肉の合わせ目に沿って、その先まで伸ばしてゆく。
そのほぼ中心で俺は指先に力を込めた。
指の先端が、割れ目の中に侵入してゆく。

「あ、ああん!!」
俺は女のような淫声をあげてしまった。

声自体はシャワーの音に掻き消されてしまうが、これまでに感じた事のない快感が俺の肉体を振るわしてゆく。
(た、立っていられない…)
ガクガクと膝が崩れ、ペタリと床に尻を付いてしまった。それでも指は挟んだまま…快感を与え続けている。
胸の先端で乳首が勃っていた。落ちてくるシャワーに刺激される。
(も、もっと…)
俺は快感を求めて、更に奥へと指を送り込んだ…

惑星ガルボ(3/4)

ぼーっとした頭のまま、浴室を出てきた。
ベッドの上に着替えが用意されていた。パジャマと下着…女性の穿くショーツだ。確かに今の俺は女の肉体になっているから、これが正しいのかも…
「女になったら、女に成り切るのがイチバンよ。服も女の肉体ができるだけ動き易いように考えられているの。着て、動いてみれば解るわ。女らしい仕草も、それなりに合理的なんだから。男の時とは骨格からして違うんだからね♪」
別れ際に彼女が言った言葉を思い出した。
クローゼットの扉を開けると彼女が着ていたような作業着を初め、女物の衣服が並んでいた。
「これを俺が着る事になるのか?」
取り出してみた服はワンピースだった。体にあて、鏡に写す。それが「俺」自身でなければ「似合ってるヨ♪」とその娘に言ってあげたくなった。

あれこれ悩むより、俺の肉体が睡眠を欲していた。
服をクローゼットに戻す。出されていたパジャマを着てベッドに潜り込むと、一瞬後には俺は眠りに就いていた。

 

 
結局、彼女と同じ女物の作業着を着て六足歩行車に乗っていた。下着も女物を着けている。特に、ブラジャーの有無が動き易さに大いに影響する事も解った。
「今日はどこから始める?」今日め彼女が脇にいた。
「先ずはお化粧かしらね?」ガクリと俺が操縦桿を握り損ねた途端、六足歩行車が躓いてしまった。
「何コケてるのよ。女性の肌は敏感なの。しっかりとUV対策をしておかないと、ひどい目に会うわよ。お化粧って言っても、口紅を塗るだけじゃないんだからね。」
「は、はあ…」と一旦、六足歩行車を止めると彼女がポーチから取り出した化粧道具で顔中が塗りたてられた。
「これが俺?」口紅だけではなく、しっかりとアイメイクまでさせられた「俺」の顔は更に愛らしくなっていた。
「言葉も姿に合わせた方がストレスが少なくなるわよ。」と余計なアドバイスが飛んでくる。
「べ、別に自分の顔に見とれていた訳じゃないわ…ないんだからな!!」と俺は操縦桿を握り直した。

「少しでも重機を投入させたいの。」と、彼女に案内されて重機の格納庫エリアに着いた。ここもまた、辺り一面瓦礫に覆われていた。
「とりあえず、最短コースで通路を確保してもらえないかしら?」彼女は方向を示すと操縦席から降りていった。俺としては、黙々と路を切り開くしかなかった。

目標とした格納庫に近付くと、格納庫側でも動きがある事が解った。シャッターの内側で重機が起動していた。懸命にシャッターを上げようとしているが、瓦礫の山がそれを阻止している。俺は路を拓くのを中断し、シャッターを塞いでいる瓦礫を切り崩しにかかった。
程なく、シャッターが上がり始める。重機が外側の瓦礫を粉砕し始めると、一気にシャッターが全開した。
その後ろには準備の整った重機が並んでいた。格納庫内の隔壁を破って、棟内の重機を集結させたようだ。その全ての操縦席には女性ばかりが座っている。皆、反陽子炉の力場の影響で性転換した男達なのだろう。
「ごくろう様♪」と彼女が操縦席に上ってきた。
「ここはもう大丈夫だから、次の棟に向かいましょう。」

俺は陽が暮れるまでに五つの棟のシャッターを解放した。振り返ると動き出した重機が搬入路を切り開いていた。
「宇宙港の復旧にもとり掛かっているわ。」俺の視線の先を追ってか、彼女が情報を提供してくれた。
「明日も頼む事になるけど、その先についてはお休みしてもらう事になったわ。」六足歩行車もまだ手伝えると言ったが、燃料にも限りがあった。
六足歩行車は不整地でも行動できるが、トラックに比べると亀のように鈍く、燃費にも雲泥の差があった。明日の仕事が終わったら、残った燃料を抜いて他の重機に分配するとまで言われた。

実際、六足歩行車が動きを止めた後の重機達の活躍には目覚ましいものがあった。俺はまる一日「休息日」という名目で、ぼーっと彼女等の働きを眺めていた。
(それにしても…)俺は思った事を聞いてみた。
「俺以外に休んでいる人を見かけない。皆が働いているのに一人だけ休んでいるのも悪い気がする。」
「大丈夫よ。皆にはそれぞれ得意分野があって、予め決められた仕事をこなしているだけだから。」
それでもと言うと
「貴女のスキルは六足歩行車でしょう?他になにかできるの?男なら力仕事もあるけど女になってしまってはそれも無理ね。」と突き放された。
「まあ、貴女のような娘でも出来る仕事がない訳じゃないんだけど…」
「ぜ、是非やらせてください!!」俺の必死の頼みに彼女は
「判ったわ。夕食後に迎えに行くから、ちゃんとお化粧をして待っていなさいね。」

 

彼等は恐怖していた。
明日の朝には反陽子炉に向かう事になっていた。「男」でいられる間に力仕事を担当するのだ。そして、一定期間が過ぎると力場の影響で「女」になると知らされていた。
まだ若い彼等にとっては初めての経験となる。彼等は「男」でなくなる事に恐怖していた。だから殊更に今現在の自分が「男」である事を主張したがった。
その最たる行動が「女を抱く事」であった。

その彼等の前に据えられた「女」こそ…俺自身だった。
何もできない俺が唯一役に立てること。「女」として彼等に抱かれ、彼等の恐怖を少しでも和らげてやることだった。
「あん、ああん♪」
女のように喘ぎ声をあげてやるのも彼等の為なのだ。
脚を開き、俺の股間に彼等を導いてやる。猛りきった若い力が俺を貫いては、熱い奔りを俺のナカに放ってゆく。
演技ではなく、俺は嬌声をあげていた。彼等とともに快感に巻き込まれてゆく。
義務感や仕事としてではなく、俺自らが「男」を欲していた。誘うように身をくねらせ、艶声をあげて「男」をたかぶらせる。
「もっと♪突いて!かき回して!!」
幾人もの男達に抱かれていた。隣のベッドではまた別の「女」が男達に抱かれていた。
狂宴は朝まで続いた…

 

そして、男達は去っていった。
仕事に…反陽子炉の力場の中にむかっていったのだ。
「大丈夫よ。反応炉も安定を取り戻してきたから、彼等は一週間もすれば元に戻れるわ。」
声をした方を見る。
もう一つのベッドの上にいたのは彼女だった。
「さあ、シャワーを浴びちゃいましょう♪」と俺を立たせた。
膣から狂宴のなごりが滴ってきた。
「ちゃんと洗浄しておかないとね♪沢山射されたでしょう?私達は元は男でも、今はちゃんとした女なの。だから、気を付けないと妊娠してしまうわよ。」
「妊娠?」
「そう。子供を産むことになるの。実際、そうなった人も何人かいるわ。けど、妊娠すると男に戻る事ができなくなるわよ♪」
「女のまま?」
「その方が産まれてくる子供の為でもあるからね♪」
俺は慌ててシャワーの下に立っていた。

惑星ガルボ(4/4)

俺が男達に抱かれる日々が何日か続いた。
「母船が降りて来るって。」と彼女が伝えてきた。
日中は割りと暇があるので、俺は母船が降りて来るのに立ち会う事にした。宇宙港に向かうトラックに同乗させてもらい、管制塔に昇った。

スピーカから懐かしい船長の声が聞こえた。
「ガルボの管制は美人揃いだね。仕事が終わったら付き合ってもらえないか?」確か、カメラはまだ復旧していない筈だった。
「見えなくても声で判るさ♪」等と言っている。
「彼等のお相手も頼めるかしら?」結局、手の開いている俺にお鉢が回ってくるのだ。

そうこうしているうちに、母船が見えてきた。整備の整った1番ポートにピタリと着床すると、ハッチが開かれ、抑制物質を満載したトラックが続いて下ろされていった。
トラックは反陽子炉との間を何度も往復する。積荷の受け渡しも効率良く行われていた。母船の中はあれよあれよと言う間に空っぽになっていった。

「挨拶が遅れて済まなかったな♪」船長が管制塔に昇って来ていた。
「やはり美人揃いじゃないか?俺の耳に狂いはないな♪」
主任が前に出て挨拶を済ますと、俺を招き寄せた。
「状況が状況なので、満足な歓迎は出来兼ねますが、ベッドは用意してありますから、ごゆっくりおくつろぎ下さい。宿舎へはこの娘が案内します。」と俺が紹介された。

母船に積まれていた輸送車に乗員を乗せ宿舎に向かった。助手席に船長が座り、俺は運転手との間に押し込まれた。
「先に降りた六足歩行車のパイロットはどうしてる?」格納庫の脇にうち捨てられた六足歩行車が目に入り、船長が俺に尋ねてきた。
俺が本人だとは言いだせず
「彼の件はまた後程お話しします。」とだけ答えていた。

宿舎に着いた。
寝室を割り当て、集会室に用意した料理をふるまった。俺を始め数人の女の子が彼等の相手をした。
何故か船長は女の俺を気に入ったようで、彼の脇に座らせて放そうとする事はなかった。

当然のように、その後の流れで船長の寝室に連れていかれる。とうに男性との交渉に拒否反応を起こすこともなくなっている。ここの若者達とは違い、経験豊富な船長に抱かれる事を期待している自分もいた。
が、話しておかなければならない事は話さなければならない。
「船長。」俺は真剣な顔で船長と向き合った。
「六足歩行車のパイロットの件ですが…」
「そんな事、明日で良いから♪」と船長の手が俺の胸に向かって伸びてきた。
「今、話さないといけないんです。」
船長の掌が俺の胸を揉みあげ、俺は小さく喘いでしまった。
「あたしが、そのパイロットなんです!!」

「そんな事は判ってる。お持ち帰りOKも了解済みだ。その姿のまま船に戻って来れば良い。これからずっと可愛がってやるよ♪」
あっと言う間に服を脱がされ、ベッドの上に押し倒されていた。
流石に経験値の高いだけある。船長は女の悦ぶツボを知り尽くしていた。
「あん、ああん♪あ~~~ん!!」
その晩、俺は幾度となく昇天させられていた。

 

 

轟音とともに母船がガルボを飛び立っていった。
俺は燃料を補給された六足歩行車とともに母船に戻ってきていた。
しかし、自分の船室に戻ることはできなかった。狭い一般船室には持ち込んだ大量の女物の服を収められる空間が存在しないのだ。
俺は船長の「女」として船長室に囲われることになっていた。

「どうだ?」と日課のように船長が聞いてくる。それは妊娠検査薬の結果だった。
妊娠すれば、俺はもう「男」に戻ることはできない。一生を船長の「女」として生きるしかないのだ。
そろそろ俺が女になってから一ヶ月が経つ。男に戻っても良い頃なのだが、なかなかその兆候が現れて来ない。

そうこうしているうちに、事態は船長の思惑通りに進んでいった。
俺が妊娠したのが判明した。
船長は手近の惑星に連絡を取った。細かな数値データが送られてゆく。それが、俺の身体の採寸データであった事に気づくのは、惑星に降りたってからだった。

乗組員全員とともに連れて来られたのは「教会」だった。
俺ひとり、別室に案内される。
そこにあったのは純白のウェディングドレスだった。それは俺の身体にピッタリフィットしていた。

扉が開き、拍手で迎えられる。
その先に、牧師とともに船長がいた。
「汝、この者を夫とし、生涯変わらぬ愛を誓いますか?」

牧師の言葉に俺は…

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