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2011年6月10日 (金)

無題(4/4)

 
「おや?」
と声を掛けてきたのは、俺が処女を奪ってしまった、あの旅の女だった。
「ここで会ったのも何かの縁だ。次の町まで一緒しても良いか?」と気安く声を掛けてきた。
「何のつもりだ?私が君を襲わない保証はないんだぞ?」
「あんたはそんな事しないと判っている。とにかく、旅は一人より二人、二人より三人の方が楽しいんだ♪知っていたか?」
彼女には俺の姿は見えない筈だった。彼女は、彼が彼女を襲う事はないと言っているが、男がそれ程の自制心をもっているとは思えない。
俺としては、もう一度彼女に憑依して、彼に抱いてもらいたいと願っていた。
「良いだろう。但しどんな結果が訪れようと、俺は責任を取らないからな。」
「堅いコト言ってないで楽しく行こう♪」と、彼女は何も気にせずに先を歩き始めた。

 
「あん…、ああん。う~~ん♪」
魔術士の腕の中で彼女は快感に喘いでいた。
彼を誘ってきたのは彼女の方だった。
「貴方にならアタシをあげても良いと思う。」
野宿をする焚き火のそばで、彼女は魔術士に寄り添い、その股間を刺激し始めたのだった。彼は成り行きに身を任せ、そのまま彼女を組み敷いていった。
「キテ♪」
彼女が誘う先は既に十分濡れていた。そのままスルリと彼のモノを受け入れる。
「ああん♪」と艶声をあげ、更に奥深くまで彼を咥え込んでいった。
「ああん♪コレよ。あたしはコレが欲しかったの…」
それは、俺が彼女の肉体に刻み込んでしまったものなのだろうか?彼女本人(精神)は処女であった筈である。男に抱かれる悦びなど知っている筈もない。
だだ、俺が憑依した際に散々オンナの快感に溺れていたために、その肉体が快感を覚えていたのだろう。
「あ、あっ、あっっ…来る…イ、イク~!!」と、彼女は一気に昇り詰めると、意識を失っていた。

「お前もどうだ?」と俺にも声が掛かった。
俺の意識がスーッと彼女に吸い込まれてゆく。そして、俺は彼女の目で魔術士を見つめた。
「私はまだ、イききれてないんでね♪」
情事が再開される。俺はこれまでに身に付けたテクニックで彼にも快感を与える。勿論、俺自身も最大限に快感を享受している。
立て続けに三度イかせる。少し間を置いて、全部で七回。全ての精を俺は膣に受け入れていた。
「ねぇ、朝までこのままでいさせて♪」
俺は彼と結ばれたまま、一夜を過ごしたかった。が、彼は即座に拒否した。
「それでは彼女の肉体が回復しない。明日も旅は続くのだ。それに、私の精をいつまでもその胎の内に溜めておく訳にもいくまい?」
「あら♪貴方がセキニン取ってくれれば、アタシは何も言わないわよ♪」
「バカ!!その体はお前自身のモノではないんだぞ。」
「でも、彼女だって同意見なのよ♪ちゃんと彼女の脳に書き込まれていたわよ。」
「あ、あまり覗き見するんじゃない!!終わったんだから、即に離れなさい。」

俺は憑依を解かれ、幽体状態に戻っていた。
必要な処置を終えると、彼は安らかに眠る彼女の傍らに身を横たえた。幽体の俺は疲れを感じる「肉体」を持たないため、眠る必要はない。
が、彼との契約により、この場を離れることもできず、もう一度彼女に憑依しようとしたが、これも無駄に終わった。
「憑依」以外で何かできることはないものだろうか?そんな事を考えながら、俺は再び女に近づいていった。

女は愛らしい寝息をたてていた。俺は女の顔に寄った。小さな鼻の穴から空気が出入りしている。
(!)
俺は彼女が吸い込む空気と伴に、彼女の内に入り込む事に成功した!!

憑依ではない。そこは彼女の肉体であって、かつ、肉体でない場所だった。
気道を通って肺の中に入り込む…同じような場所は他にもある。俺は幽体の一部を肺に残したまま、食道から胃、腸へと幽体を送り込んでいった。
が、これでもまだ幽体の半分近くが外に残っている。耳の穴を使っても納まり切るものではない。
無駄な事をしてしまったか…と諦めかけた時、更なる肉体の隙間を発見した!!
人間の肉体を構成しているのは骨、肉、血などである。それらはびっしりと人間の肉体の内側に詰まっているように見えたが、拡大して見ると、そこここに隙間が存在したのだ。
彼女の肉体のあらゆる隙間に幽体を送り込んだ俺は、憑依とは別の形で彼女と重なって存在することになった。憑依とは違い、彼女の意識はちゃんとそこに存在している。が、俺が望めば、彼女の肢体を自由に操れるのだ。

俺は眠っている彼女を起こさないように、ゆっくりと起きあがった。
そして、傍らに寝ている魔術士の股間に手を伸ばした。彼の息子は俺の与える刺激に素直に反応した。
勃起したペニスをズボンから引き出すと、俺はソレを優しく口に咥えた。口全体で更に刺激を加える。
十分な硬さになったところで、俺は彼の上に跨った。彼の逸物と同様、俺の股間も濡れていて、準備は完了していた。
ゆっくりと腰を降ろす…
「ぁあ、ああん♪」
喘ぎ声をあげたのは「彼女」自身だった。何時から目覚めていたのか俺には解らなかった。肉体の主導権は既に彼女のものとなっていた。
俺は彼女の行為に一切の手出しもできなくなっていた。彼女の得る快感だけを共有するだけだった。が、俺にはそうやって与えられた快感であっても、十分に堪能する事ができた。

彼は即に、俺が彼女の内に在ることを把握したようだった。しかし、彼女から俺を引き剥がすことはできないでいた。
彼女が寝ている間に、俺に問いただす。が、
「契約した事さえチャンとしておけば文句ないでしょう?あたしはこの状態が気に入ってるの♪そこ迄言うなら、力ずくで引き剥がしてみたら良いじゃない。」
と言う俺の言葉には為す術もないようだった。

次の町を過ぎても、彼女は俺達と行動を伴にした。もちろん、それは「彼女」の意思であり、俺はそれについて何の影響も与える事はできないのだ。
が、実際のところ、彼女と俺の境界はかなり怪しくなってきていた。俺が俺として行動しているつもりが、いつの間にか彼女自身がその行動を引き継いでいるのだ。
流石に「憑依」する事は彼女に出来るものではないが、俺が彼女の内に居る間の行動は、「俺」という存在が消えてしまう程、俺と彼女は一体化してしまっていた。

 

 

「ねえ、こんなのを作ってみたんだけど、お口に合うかしら?」
彼の仕事の関係で、俺達は半月近くこの町に滞在していた。今回は憑依の必要がなかったので、暇を持て余していた俺は宿の女将さんから地元料理の手ほどきを受けていたのだ。
「まあ良いんじゃないか?」
素っ気ない返事ではあるが、器の料理を完食してくれる様を見ていると幸せな気分に浸れるのだ。
長めの滞在なので、着たきりなのもおかしいと、何着かスカートを手に入れお洒落を楽しむ事もしている。今日もエプロンの下には花柄のロングスカートを穿いているのだ。
彼が気がつかないのは解っているが、俺とて「女」なのだ。「綺麗だ」とか「可愛い」とかを言われてみたいとは思う…

って、俺はもう「男」であった事など忘れ果ててしまう事が度々あった。幼い頃からの彼女の記憶を自分のものと感じてしまっている。時を経ずに、俺は生まれた時から「女」であったと刷り込まれてしまうかも知れない。
もう、鏡に写る顔を自分のものとして認識してしまっていた。昔の顔を思い出すこともできない。
口紅を買ったのは何年ぶりだろうか?俺は鏡を見ながら、唇に紅を塗った。
「これなら旦那さんも張り切るんじゃないの?」と女将さんにも冷やかされた。
「ねぇ、今夜はトクベツな日にしたいの♪」
まだ夜も更けきらないうちから、彼をベッドに誘った…

 

あたしは彼に愛されている証が欲しかった。何故か、あたしは自分の子宮の中の状態が解っていた。
今日、彼の精子が到達すれば、あたしの卵子は確実に受精する…あたしの内に新しい命が宿るのだ。
あたしは彼を抱く。彼のペニスをあたしの奥まで導いてゆく…
「頂戴♪貴方の精液であたしを満たして…膣も子宮も溢れるくらい。貴方の精液をいっぱい頂戴♪」
彼が達して精液を吐き出す。ひとつひとつの精子の動きが解るような気がする。
一つの精子が勢いよく卵子に向かってきた。
尻尾が切れ、核が融合する。
分裂が始まった。
新たな命の誕生だ。

「ありがとう♪」
あたしは彼に囁く。

受精卵が子宮に降り立つ。胎盤が優しく包み込む。
あたしの内で胎児が育ってゆくのだ…

 
ふと、あたしの内から何かが抜け落ちていったみたいだ。
そう。あたしには解る。余分な幽体が生まれたばかりの生命体に吸収さるていったのだ。
それは「輪廻転生」とでも言う事象なのだろうか?
ただ一つはっきりしているのは、あたしはもう憑依を行う事ができなくなったという事だ。
もう、仕事で彼のパートナーとなる事はできない。
「新しい契約をしましょう♪」
あたしは彼に提案した。
指輪の必要な、永久の誓いをしましょうね♪

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