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2011年6月10日 (金)

脱皮

全身がムズムズすると思ったら、脱皮が始まっていた。
皮膚が剥がれ、半透明の膜のようになる。腕から始まり、全身の皮膚が剥離してゆく。しばらくはもう一枚の下着…というより、全身タイツを着込んでいるような感覚が続く。
ピリッ!!と背中が割れると完全に脱皮する事ができる。
頭の皮が生え残った頭髪とともに剥ぎ取られる。肩から腕を抜き、腰から下の下半身も脱ぎ取ってゆく。
そこには「俺」本来の肉体が姿を現す。

「やはりひと月が限度か…」
つぶやいても始まらない。俺はクローゼットの奥から、新しい「皮」を取り出した。
脱皮とは逆の要領で手足を填めてゆく。新しい「皮」はしなやかで、即に俺の皮膚に張り付いてゆく。
「皮」は俺の皮膚と同化し、背中の開口部が何事もなかったかのように閉じられてゆく。

「皮」が定着した所で、俺は姿見に全裸の「あたし」を映してみた。
どこから見ても、俺は17才の女子高生だ。誰にも見破られる事はない。俺はこの女の「皮」を被ってもう三ヶ月も過ごしているのだ。
女の子として学校に通う。友達も女の子同士として接し、一緒にトイレなんかも行く。勿論、体育の着替えも一緒だし、明日は皆でプールに行く約束もしている。(この姿で水着も買いに行ったんだぜ♪)

さらに、俺はボーイフレンドなどもGETしている。週末には彼を部屋に招いて、二人だけの時間を過ごすのだ。
ビデオを見終わる頃には、辺りは暗くなる。電気は点けず、ロマンチックなBGMを流す。
そのままの流れで、俺は彼氏に押し倒される。「男」に抱かれるという事に拒否反応があったのは、最初だけだった。
与えられる快感が男の時に感じたものとは比較にならないものだと知ってしまうと、週末が待ち切れなくなってしまっていた。
ああ、もうすぐ彼の来る時間だ。「あたし」は彼好みのワンピースを着て身支度を整えると、脱皮した抜け殻を丸めて押し入れの隅に突っ込んでおいた。

 

次の一ヶ月もあっという間に過ぎていった。もうすぐ脱皮の頃だと思っていたある日、下腹部の奥に痛みがあった。
(何か変なモノでも食ったかな?)
とトイレに向かった。出すモノを出してしまえばスッキリする筈と、便座に座りいきんでいると、ポチョリ…
何かが落ちていった。
が、それはどうも肛門から出たものではないようだ。確認のために便器の中を覗くと、溜まった水が紅く染まっていた…
(せ、生理か?)
一応、俺も「女子高生」である。知識としては知っていたし、生理用品も一通りは用意してある。(まさか、本当に使う事があるとは思わなかったが…)

脱皮は生理が終わると同時にやってきた。
が、次の月は生理が終わった後もしばらく脱皮が起こらなかった。明らかに脱皮の間隔が延びている?

(何か他に変化はないのだろうか?)
嫌な予感を抱えたまま、俺は次の脱皮を迎えた。それは、二ヶ月後の事だった。

 

「皮」を脱いだ「俺」の姿を姿見に映してみた。
最初はその変化に気付く事はなかった。
(すね毛が無くなってる?!)
普段、スベスベの肌で生活しているし、ムダ毛の手入れなどもするようになっていると、脚に真っ黒な毛が密生している状態など想像もできなくなっていた。
胸も少し膨らんできているような気もしたが、乳首がへこんでいないのに気付くことはなかった…

 

一年後に脱皮を迎えた時、あたしは元の体を思い出す事が難しくなっていた。
脱皮を繰り返すうちに、あたしの体がどんどん「皮」と同じに変わっている事は確かだった。
既に顔の造作は脱皮の前後での違いは無くなっていた。胸も十分に大きくなっている。
あたしが「男」だった事を証すのは、大分小さくなってしまった股間の突起だけだと思う。
あたしは最後の一枚となった「皮」に手足を送り込んだ。

この「皮」が脱皮した時、あたしは…

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