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2011年4月29日 (金)

変身(1/3)

構えもせずに真横に一旋、剣で薙払う。
彼等は名もないクリーチャーの雑魚共ではない。真っ当に生を受けた人間である。傷を受ければ痛みを感じるし、致命傷となれば命も落とす。彼等が死ねば、彼等の家族は悲しむ。
しかし、俺としてもここで倒される訳にはいかないのだ。俺の振るう剣に触れないよう、身を引いて欲しいとは思うが、彼等も雇い主の命令に従わない訳にはいかないのだ。
俺の剣を掻い潜り、俺にひと太刀でも届けばと、無理を圧して近づいてくるのだ。であれば、俺の剣に傷つこうが、命を落とそうが、自業自得というものであろう。

俺はもう一度、剣を薙いだ。
押し寄せる人垣に隙間が生まれる。俺は、その隙間を広げるべく、更に剣を振るうと、背後にかくまった「姫」の手を引き、その間隙に突き進んでいった。

 

 
「はあはあ…」
彼女の息が上がっている。深窓の令嬢たる「姫」の体力では、ここまでが限界であろう。俺は適当な洞穴に身を寄せると、結界を張った。
結界は姿を隠してくれるが、それも一時的なものにしか過ぎない。あたり一面をくまなく捜索されれば、結界そのものに気づかれてしまうだろう。
俺には空間転移や遠距離を飛翔するような大技の魔法が使える訳ではないので、彼等に発見されるのも時間の問題と思われた。
しかし、このまま何もできずに「姫」を奪われる訳にもいかない。俺は決断した。
「姿変えの魔法を使います。三日間ですが、姫には別の姿になっていただきます。俺が彼等を撹乱している隙に逃げ伸びて下さい。」
俺は姫を近隣の村のどこにでもいるような男の子に変身させた。
「誰かに見咎められたら、誤ってこの辺に迷い込んだように言って下さい。それと、口調には注意して下さいね。」
「あ、ああ。判ったよ。…こんな感じで良いのでしょうか?」
「良いです…頑張ってみて下さい。できれば喋らないで済ませられたら良いかと。」
「は…はい…」

俺は「姫」を残し、洞穴を抜け出した。
結界もそう長くは保たない。その間にできるだけ「姫」から離れ、かつ追っ手を引き寄せなければならない。
その際、俺と「姫」が別行動を取っていると気付かれてはならないのだ。
俺は手に持った「姫」のドレスをちらつかせ、今だ二人で行動しているように見せかけた。更に一定の距離以内に近づいた追っ手は、このカラクリに気付いた可能性がある為、可哀想だが一人残さず命を奪っていった。

結界が失われる時間が近づく。
俺は自らの肉体に姿変えの魔法を施し岩壁の窪みに身を寄せた。

 

「結局は見捨てられましたかな?」
背後からの男の声に、俺は「ヒィ」と小さく叫んだ。
腕を引かれ、窪みから引き出される。
「手、手を離しなさい!!」
俺は高貴な女性らしく抵抗を試みる。今の俺は「姫」の姿を写しているのだ。

巧妙に隠した剣の場所を確認し、彼等に見つからない事を祈りつつ、俺は彼等に引き連れられていった。
変身している間は、俺は「姫」なのだ。どんなに抵抗しても、彼等に抗いきれる事はないのだ。手筈通り、俺の相方が男の子の姿の「姫」を確保できる迄は彼等に俺が「姫」ではない事に疑いをもたれてはいけないのだ。

しばらく歩かされ、用意されていた馬で近くの村に向かう。俺の思惑通りに「姫」を捜索していた者達も俺達の集団に合流するか、直接村に向かっていったようだ。
村には馬車が用意されていて、俺は休む間もなくその中に押し込められた。当然のように馬車は王宮に向かう。本来の「姫」の在るべき場所ではあるが、現時点でそこに連れてこられた「姫」に待っているのは、過酷な仕打ち以外の何物でもないのだ。
既に「姫」の両親…王と王妃はこの世から消されてしまっていた。従って、現「王」は「姫」の兄が継承している事になっている。
が、兄王は傀儡にしか過ぎなかった。宰相となった兄の叔父…「姫」と兄王は母親が違うため、彼女と宰相には血の繋がりはない…が全てを牛耳っていた。
「手引きをした奴等にはそれなりの処罰を与えようと考えている。が、姫の祝言ともなれば恩赦の可能性もある。ここは大人しく我々の指示に従ってもらいたいですな。」
ヒヒヒッと卑しい笑みを浮かべ宰相が俺…ではなく「姫」に命じた。宰相は「姫」の父である先王とは異なり、敵対する帝国と繋がっていたのだ。
この国での全ての利権を宰相に与える代わりに帝国の皇帝が「姫」を欲したのだ。皇帝の妻として輿入れする…とは言っても、皇帝には既に正后を始め十人を超える妻を抱えているのだ。
その年齢の差と「姫」の愛らしさから考え、妻とは名ばかりの愛妾に他ならない事は誰の目にも明らかだった。そして、この婚姻により帝国との結びつきが生まれる事で利を得るのは宰相だだ一人であり、領民・家臣には重い負担が課せられるのだ。
だから「姫」を国外に亡命させようとする一派に俺が雇われたのだ。

宰相は既にその一派を捕らえているのだろう。「恩赦」をちらつかせ「姫」の気持ちを萎えさせるつもりだろう。
「恩赦」が出たとしても一派が生き延びる事ができない事は判っていた。「恩赦」はせいぜい彼等の墓を建てるのが許される程度のものであると想像できる。
が「姫」である俺は「恩赦」に希望を繋ぎ、宰相の命に従うふりをするしかなかった。

 

館には俺の見知った顔は一つとして見当たらなかった。宰相の粛正は徹底して行われたようだ。
侍女に連れられ、風呂に向かった。逃亡の際に汚れたドレスが剥ぎ取られ、全身の汗と汚れを拭い取られた。
姿変えの魔法は、直接俺の体に触れた侍女にも、偽物である事を気付かれる事はなかった。
全身をくまなく拭き取られ、なみなみと湯の張られた湯舟に浸かった。「姫」の姿のままではあったが、全身の疲れが癒される事に文句をつける事はない。
俺は積極的に疲れを湯の中に溶け込ませていった。

 

「姫様?」
侍女に声を掛けられ、ようやく自分が今どのような状態にあるのかを思い出した。
侍女に手を引かれ湯舟から上がった。タオルを手にした侍女達が一斉に集まり、俺の体から水分を拭き取ってゆく。その上にひんやりとしたローションが塗られる。「姫」ならではのサービスなのだろう。成分が肌に吸収され全身が潤ってゆくようだ。
その後で「姫」の服が着せられる。この後はベッドに行くと聞いていたので、その服の豪華さには驚かされた。生地は確かに滑らかで体に優しいようだが、いたるところにヒラヒラのレースやリボンの装飾が施されているのだ。
寝室で再度寝間着に着替えるかと思ったが、そのままベッドに上がらされた。
「ごゆっくり♪」と侍女が下がり、俺は眠りにつこうとした…

「!!」
気配を感じ、眠気が一気に吹き飛んだ。
俺の戦士としての魂が全身の神経を研ぎ澄ましていた。
ギッ!!
扉が開く。
本来の「俺」であれば既に物陰に潜み、剣を構えているところであるが、「姫」がそのような行動を取る筈もない。俺は寝たふりをしながら侵入者を確認した。
「ふん。てこずらせやがって…」
宰相であった。
「これまでは我慢していたが、これは逃げ出した事へのペナルティだ。多少のキズは皇帝も気になさるまい…」
ベッドの脇から「姫」を見下ろしていた宰相は、むんずと「姫」の胸を鷲掴んだ。
想定外の行動に、俺は一瞬の反応が遅れた。

「あふぁ…」

思わずあげてしまった声は、どうみても女の喘ぎ声だった。
「全身に塗り込ませた媚薬が効いているようだな?」
俺は奴に抵抗を試みるより先に、全身に響き渡る快感に抗うのに必死だった。奴の言う媚薬の所為なのだろう、与えられる刺激が全て快感となって俺を苦しめていた。
その快感は「女」の快感であった。姿変えの魔法で俺の肉体が備えることになった「女」の器官を活性化させていた。
ジクッ!!
俺の股間に甘蜜が溢れる。その奥、胎内の器官が疼きだしていた。
女の肉体が「男」を欲しているのだ…

「ヨイ娘じゃ、ヨイ娘じゃ。生娘だろうに、ちゃんと男を欲しがっておる…」
いつの間にか宰相は全裸となっていた。そしてその股間では魔が魔がしくも、逸物が勃起していた。
奴はベッドに上がると、俺の着けていた下着を剥ぎ取った。
「ヨイ匂いではないか。ますます興奮するではないか♪」
と鼻下で嗅ぎ捨てると、今度は俺の脚を掴んでいた。

「い、イヤッ!!」

俺は叫んだが、それ以上の抵抗はできなかった。
「案ずるな。素直に喘いでおれば、即に極楽を会得できるようになる♪」

グイと奴のモノが俺の膣に押し込まれた。
「ああっ、あ~~~!!」と俺は叫ぶしかなかった。
俺の全身に染み渡った媚薬がそれ以外の反応をさせてくれないのだ。
「女」の快感が俺を襲う。
幾度となく、俺はイッてしまった。
意識は朦朧とし、快感を求め自ら腰を振りだしたことも上の空に感じていた。
全てが快感の中に塗り込められていった…

 

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