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2011年2月19日 (土)

無題

「虫」が俺の中に潜り込んでいった。
尻の穴に突っ込まれた虫は本能に従って腸の中を這い上ってくる。「虫」の出す分泌物には麻酔効果と代謝を促進する効果がある。
腸壁を喰い破られても痛みが届く事はない。そして腸壁の穴は即に修復されてしまうのだ。
「虫」は俺の腹の中を動き、臍の裏少し下あたりに落ち着いた。その場所で「虫」は本格的な活動を開始した。
代謝を促進する分泌物に特殊な酵素が追加される。それは、俺の細胞が再生される際に遺伝子情報を書き換えてしまう。
「虫」の周りに肉壁が生まれた。それは、小さいながらも人体に存在する器官そのものだった。そして、その器官が活動を開始する。書き換えられた遺伝子の情報を元に俺を造り変えてゆくのだ。

俺の内に新たに生まれた器官は「子宮」だった。「男」には存在しない「子宮」は女性ホルモンを大量に分泌した。
俺の肉体が変えられてゆく。ペニスが委縮するとともに睾丸が体内に引き込まれていった。子宮の両脇に落ち着くと、その姿を卵巣に変えていた。
ペニスからは尿道口が移動し、更に委縮を続け陰核となった。いずれ、その下には裂け目が生まれ「虫」のいる子宮に繋がるのだろう。

胸がムズムズとしていた。睾丸が卵巣に変わった事で、分泌される女性ホルモンの量が一気に増えたのだろうか、変化が俺の外見にまで及んだのだろう。
内側からシャツを押し上げるように乳首が膨らんでいた。バストに肉が集まり、盛り上がってゆく。その分、筋肉が落ちてゆき、俺の手足が細くなっていった。同時に日焼けした肌からボロボロと皮が剥け落ち、卵のようにツルリとした白い肌に変わっていった。
喉仏が消えていた。もう低い声は出せない。聞こえてきたのはもう「俺」の声ではなかった。
視力が回復したのだろうか?目の前が明るく感じる。瞼がパッチリと開いているのだろう。視界も広く感じる。
既にバストはブラジャーの支えが必要な程に大きくなっていた。立ち上がるとバランスを取るのに苦労する。それは何もバストの所為ばかりではないようだ。
俺の骨格が変わってしまっていた。骨盤が大きく左右に張り出している。それは引き締まったウエストにつながり、女性そのもののシルエットを描きだしていた。

自然と膝が内側を向く。自分が「男」であると意識しないとガニ股で歩く事など不可能であった。
いや、それ以前に「俺」は「男」なのだろうか?
変化は肉体だけに止まるとは思えない…

 

 

鏡の中には見たことのない女性が写っていた。どことなくに似ているが、誰もこの娘が同一人物であるとは信じてくれないだろう。
指紋や虹彩には変わりはない筈だ。しかし、あたしが同一人物である事を示すものはそれしかない。
だから、あたしが「別人だ」と言ってしまえば不審に思う人はいない筈…

あたしは膣から転げ落ちてきた「虫」の死骸をティッシュにくるむと、トイレに流してしまった。
もう、証拠は何もない。

真新しい下着を身に着け、化粧をし、ワンピースを着ると、あたしは夜の街の闇に紛れていった。

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コメント

いつも読ませてもらっています。
変身シーンが好きなので、この作品でも主人公が変化をしていく様子をドキドキしながら読みました。
これからも楽しみにしています。

がんばってくださいねo(*^▽^*)o

一読者様
コメントありがとうございます。

変身シーンが何かパターン化している気もしますが
これからもお願いします。

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