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2011年1月29日 (土)

人は「夢」を見る

「夢」は鬱積した欲望の発現

人によっては、それが「悪夢」となって自らを災なむ事になる

人は「夢」を選べない…

 

 

香取大介はその日も元気良く目覚めていた。
「ん~~!!」
と大きく伸びをし…ふと、違和感に気付く。
部屋の雰囲気がいつもと違うのだ。窓やドアの位置など部屋の造りは確かに自分の部屋…なのだが、内装が全く違う。アパートやマンションで隣の人の部屋に入った場合には、こんな感じがするのだろうか?
しかし、大介の家は親が頑張って建てた戸建の家だ。同じ間取りでも、なんらかの違いは出てくる。

が、この部屋は「大介」の部屋に間違いなかった。それは、窓を開け、外の景色を見て更に確信した。
(では、この違和感の正体は何なのだろう?)
大介は寝間着のまま、ベッドの端に腰掛け、もう一度部屋の中を見渡した。

机やベッド、家具の配置には何もおかしい所はない。窓に掛かる花柄のカーテン、壁のカレンダーやポスターも見慣れたいつもの景色だった。

ふと、自らの身体に視線を落とした。
ピンク色のパジャマの胸が大きく張り出している。
(何ッ?!)
大介は立ち上がると、机の上の鏡を覗き込んだ。
鏡には愛らしい女の子の顔が写っていた…

「夢じゃないのか?」
そうつぶやき、大介は自分の頬をつねってみた…
「痛……くない……」
つまり、これは「夢」なのだと大介は理解した。

大介はTSF=男が女になってしまうという空想小説の愛好家であり、自らも一度は女の子になってみたいと思っていたのだ。
だから、このような「夢」を見ている事にも納得し、慌てることもなかった。

「では、お約束をやってみますか?」
と立ち上がり、片手をパジャマのズボンの中に入れ、もう一方の手を胸に当てた。
「む、胸があるっ!!」
とパジャマの上から見事に膨らんだ自分のバストを揉みあげた。
そして…
「な、ない…」
ズボンの中の手は、更にパンツの下に入り、股間に達していた。
大介の指は股間にある女の子の割れ目を探りあてていた。
「……」
大介は無言のまま、床に膝を突いていた。
その指先には既に愛液さえ絡み付いていた。
大介は自分の肉体が完全に「女の子」になっている事を確認した。が…

(感じない…)

これは「夢」の中なのである。頬をつねられた痛みをはじめ、触れられた感触が一切ないのだ。
もちろん、大事な所を触れられる事による「快感」も生まれてくる事はなかった。

(「夢」…だからか?)

自らの肉体から快感を得られないと知った大介は、次善の楽しみに手を出す事にした。
立ち上がり、洋服箪笥の扉を開けた。大介の考えていた通り、そこには女の子の服が詰まっていた。
扉の裏側は姿見になっており、そこには先程鏡でみた女の子がピンクのパジャマを着て立っていた。

「先ずはコレだな♪」
と学校の制服を取り出す。
勿論、詰め襟などではない。クラスの女の子達が着ているのと同じブレザーだ。
が、これを着るにはまだ準備が必要だ。パジャマを脱いでベッドの上に放り投げる。パンツを穿いているのは判っていたが、上半身には何も着けていない。
形の良いバストが目に入ったが、このままではクラスの男子には目の毒である。ブラウスの胸に乳首が浮き出るのも一興とは思ったが、ここはグッと堪えて引き出しからブラジャーを取り出した。

大介には女装の経験はない。が、特殊な趣味の為知識は豊富である。知識だけでいえば、メイド服さえ自分で着れる自信があった。
だから、ブラジャーを手にすると、最初から背中でホックを止める事など考えずに、胸の下で止めてクルリと反転させたのだった。
ストラップを肩に通し、カップの中にバストを詰め込んだ。
キャミを被り、ブラウスに腕を通した。そしてスカートを穿く。穿いた後、スカートを捲りブラウスの裾を引っ張って形を整えた。更に、腰の所を3回折り畳み、スカートの丈を短くする。
「これで良いかな?」
とその場でくるりと回ると、ヒラヒラとスカートの裾が舞った。
「キャン♪」
と可愛らしくスカートを押さえた…

 
「早くしなさい!!学校に遅れるわよ。」
大介の母親が呼んできた。
「あ、ハ~イ♪」
と、大介は鞄を手に部屋を飛び出していた。

 

スニーカではなく、革のローファーを履いて学校に向かう。
鞄には愛らしいマスコットがぶら下がっていた。
歩くと、ブラジャーで固定されているにもかかわらず、揺れ動く自分の胸に感動していた。
毎日歩く通学路の景色も、いつもと違って見えた。

学校に近付くにつれ、同じ制服の数が増えてゆく。
「香取ーっ♪」
声を掛けてきたのはクラスの女の子だった。いつもは遠くから眺めていただけの「女の子」が、どんどん近付いてくる。
「オハヨッ♪」
と背中まで叩かれた。
「お、おはようございます。」
と返事をしたが、彼女はさっさと先を行ってしまった。

何気ない朝の光景ではあったが、大介は自分が彼女のクラスメイトの「香取」であると認識されていた事に思い至った。
(香取…何と呼ばれているのだろうか?女の子なのに「大介」はないよな?)
などと考えながら歩いていると、いつの間にか教室に辿り着いていた。
教室の扉を開けるとクラスメイト達の視線が集中する。
「お、おはようございます。」
と、とりあえず挨拶すると、一人の男子が大介に向かって歩いてきた。
「大介!!いつまで寝呆けてるんだ?」
彼は大介の脳天に空手チョップを落とした。
 

 
「い、痛ぇな。何するんだよ?!」
大介は天頂に走った痛みに手を当てた。
「だから、もう寝呆けるのは止めておけと言ってるんだ。」
と彼。

(痛い?痛みを感じるという事は「夢」から覚めたという事?)
大介はキョロキョロと回りを確かめる。
目の前には親友の長瀬祐希。彼をはじめ、クラスメイトの視線が集まっている。
「俺、寝呆けたまま学校に来てた?」
「寝呆けるにしてもな?何も沙織さんの制服て来ることはナイだろう?」
沙織は去年この学校を卒業した大介の「姉」だった。

寝呆けたまま登校した罰として、大介はその日一日、沙織の制服のままで過ごす事になってしまった。
(じ、女装はTSとは違う…)
大介の心の叫びが聞こえる者は、どこにもいなかった…

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