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2010年12月 4日 (土)

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)-その3.5-

「お帰りなさいませ。ご主人様♪」
浴衣に前掛け姿の女の子達が頭を下げて迎え入れてくれる。
「へ~っ。これがメイド喫茶なんだ。」
「でも、服が違わない?メイドさんて、紺色のエプロンドレスじゃなかったでしたっけ?」
女の子二人を連れて来たのは、装甲強化服を脱いだイブ=轟仁だった。
「ここはメイド喫茶とは言っても、純和風の女中茶房だ。本格的なやつが良ければ、今度連れていってやる。」
「わー♪仁さんて、色んな所知ってるんですね。」
「こういう奴の事を何と言うか知ってる?ヲタクって言うのよ♪」

「余計な事は良いから、早く座って注文しろ。」
仁はさっさと座ると、女の子達に「お品書き」を見せた。
「コーヒー・紅茶は無いのね?」
「うぁー、みつ豆にいっぱい種類があるぅ♪」
「みつ豆がこの店のウリなんだ。紅茶はないが、コーヒーは培煎豆濾湯で出て来る。ホットしかないがな。」
「じゃあ、あたしはそれに羊羹を付けてちょうだい。」
「ボクは栗のクリームあんみつに緑茶ね♪」
「わたしは煎茶とまんじゅうだ。」
それぞれの注文が決まると「承りました」とメイド…女中さんが下がってゆく。

「こういうお店って良く来るの?」
二人の女の子は興味津々に仁に詰め寄った。
「つ、月に数回だよ。もっとも、イブの姿では来る訳にもいかなかったからね。この店は結構穴場で、落ち着いた時間を過ごせるんだ。」
「へぇ~。」
二人の感心した視線が仁に向けられていた。
「ここではゲームもしないんだ。」
待機しているイブは携帯ゲーム機を手放さない事を知っている二人は疑問に思った。
「ここではね。騒いで遊びたい人達は、姉妹店のU画(ゆーかく)に流れるんだ。」
「あっ、それって遊郭のもじりでしょう♪オイランさんとかも居るの?」
「お子様は入れないよ。ウェンディがもう少し大人になったらね♪」
「あ~あ、また子供扱いする…」
と拗ねている所に
「お待たせしました。」と注文した品が運ばれてきた。
「わーい♪凄いぞ!!」
早速スプーンを手にしたウェンディを見て、仁がアリスに目だけで同意を求めた。
「まあ、この娘なりに努力した成果としておきましょう?」
「努力…って、これが本質だったような気もするが…」
二人の視線が注がれている事に気付いたウェンディは
「美味しいヨ♪二人も早く食べよう!!」
と屈託のない笑みを向けるのだった。

 

 
「ピピピピッ!!」
とアリスの携帯が鳴った。
通話ではなかった。画面を見るなり、
「行きましょう。お仕事よ!!」
と茶碗に注がれたコーヒーを飲み干して立ち上がった。
「先に行ってくれ、わたしは会計を済ませたら、市民の誘導を支援してくる。」
「判ったわ。行きましょう、ウェンディ♪」
と、お碗の底に残った蜜を恨めしそうにしている女の子を立ち上がらせた。

 
彼女達専用のバンが店の前にやってきた。
乗り込むと電磁溶液の補充を開始する。ホースの先端をアタッチメントに装着し、注入してゆくのだ。
ドクドクと彼女達のナカを電磁溶液が満たしてゆく。それは高揚感と伴に、装甲強化服の全体に浸透してゆく。
「状況は?」
アリスがスタッフに確認する。
「イブ=轟さんが適切に誘導してくれているので、被害は最小限に抑えられています。」
「今回もイブの捕縛魔砲はないのよね。ウェンディ、先に出れる?」
ともう一台のバンで充填しているウェンディに尋ねた。
「充填が90%で良ければ♪」
「お願い、時間を稼いでおいて。」
「了解。アリスが来るまでに終わっちゃうかも♪」
「無理は駄目よ!!充填が不十分な状態で戦うのだから、無理は禁物よ!!」
「判ってま~す。90%充填完了♪お先に行きまーーす!!」
ウェンディは装甲強化服なバワーを全開にするとバンを飛び出す。

「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス♪セットア~ップ!!」
翔の声が高らかに響き渡る。
バンが光の筋が天空に伸びてゆく。モンスターの視線がウェンディを追う。空中で反転し、迫り来るモンスターの一撃を薙払った。
パワー不足の所為か、今日のウェンディは防戦一方となっていた。それでも彼女の双剣はモンスターに傷を負わせている。致命的なものではないが、動きが鈍くなっていた。

「ウェンディ、コースを空けて!!」
アリスのバンから声が掛かる。見るとバン自体からもフェアリー・ダストが大量に漏れ出していた…

「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス、セットアップ。クラス・チェンジ、モード=マキシマム。バースト!!!!」
アリスがバンを飛び出してゆく。真っ直ぐにモンスターに向かう。
ウェンディは高く跳躍し、アリスに道を空けると同時にモンスターを牽制した。
アリスはそのまま、モンスターに肉迫する。腰貯めにした長剣を一旋する。

モンスターが上下に分断される。
振り返り跳躍
ウェンディ程の高さはないが、炎のようにフェアリー・ダストのまとう長剣を振り下ろすと、モンスターは更に左右に分断されていった。

体力を使い果たしたアリスが片膝を地面に落とした。
「大丈夫?」
ウェンディが駆け寄る。
「任務終了…」
アリスは仲間の腕の中に崩れ落ちた。

 

 
「しばらくは装甲強化服を脱ぎ、回復を待つんだな。」
大神健はほぼ強制的に装甲強化服を剥ぎ取られた。
「君は良く頑張ってくれた。ここらでしばらく休息するのも良いんじゃないか?ウェンディは戦力として申し分ないし、イブも戻っている。」
「最近のモンスターはウェンディのパワーでは抗し切れません。彼女が俺のようにバーストを使ってしまうと、あの脚は…」
「大丈夫だ。システムは改修して強固なプロテクトを掛けておいた。それに…」

二人の会話はドアをノックする音に中断された。
「お見舞いに来たよ♪」
「具合はどうだ?」
入ってきたのはウェンディとイブだった。
医師は彼女等と入れ替わるように部屋を出ていった。
「見舞いと言うな。まるで俺が病人みたいじゃないか?2~3日寝ていれば回復する。」
「まあココも、病室と言うよりは高級ホテルと言った方が良いかな?」
「だから、ココは病院でもなければ、病室でもない。イイ加減俺を病人扱いするのは止めてくれないか?」
「な~んだ。折角お見舞いにル・ファルコのロールケーキ買ってきたのにいらないんだ。イブ、二人で食べちゃお♪」
ウェンディがテーブルの上で持ってきた箱を開き始めた。
「あ、あたしを指し置いてル・ファルコのケーキなんて許せないわよ!!」
大神が上半身を起こそうとする。
「大丈夫よ。あんたの分もあるから…それより、今は変声機を付けてないのよ。言葉に注意した方が良いわよ。」
イブが大神の肩をポンと叩き、ベッドに寝かしつけた。
「大神さんにはボクが食べさせてあげる。」
とウェンディがケーキ皿を手に、彼の上に跨ってきた。
「はい♪あ~んして…美味しい?」
大神が「美味しい」と言うと、
「この間の約束覚えてる?今度はボクを食べてよね♪」
大神が何か言おうとする前に、ウェンディは次のひとかけらを彼の口に放り込んだ。

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