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2010年12月 4日 (土)

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)-その4の裏-

うちの開発した「素体」が、あのような形で実用化されていたとは思いもよらなかった。

確かに、ウェンディに適用したやり方は、うちの思い描いていた治療方法である。が、何も全身を被い尽くす必要はないのだ。
うちの理想としていたのは、着用している事を意識させない「ギブス」なのだ。弱った骨や筋肉を支え、日常生活に不自由させずに治癒を行う事を目指していたのだ。
それが、全身タイプのまま…あの欠点を引きずったまま装着させるなど、正気の沙汰ではない。

確かに、悪いのはうちだ。真っ先に全身タイプを作ってしまった。それも女性型をだ…
それがうちの性癖に依るものだからといって許されるものではない。例え、うちがその身に罰を受けたからといって…

 

「や、山我君なのかね?」
「はい。」
うちははっきりとそう答えた。
「試着してみましたが、体型補正・筋力アシストともに満足のいくものです。」
「な、何も、男の君がやらなくても良いのではないなね?それは女性型なんだよ。」
「女性が女性型を試験しても体型補正のデータに誤差が生じるだけす。それに、筋力アシストの検証にはコツがありますから。」
「た、体型補正って…」
「うちの身体は完全に女性となっています。室長には、最終確認をお願いしたいのです。」
「…」
「室長に抱かれるのは嫌ではありません。いえ、むしろ室長に抱いてもらいたいがために、うちはこの研究をしてきたのです。」
「山我君、君は男性なんだよ。男同士というのは…」
「今のうちは女です。ほら、股間には愛液が溜まってます♪」
うちは指を伸ばし、絡め取った愛液を見せつけた。

これまで誰にも言えなかったが、うちの性的な対象は男性であった。
それも、常に抱かれていたいという「受け」の感情しか抱くことができないのだ。これまでにも、何人か好きになった男性はいたが、がっしりとした体格のうちが「抱いて欲しい」などと言える筈もなく、ただ、好きになった男性を遠くから眺めているだけであった。
当然であるが、彼等は女性にももてていた。可愛い女の子にとりまかれている姿を見て、うちもその輪の中に参加できたら…と思い続けていた。彼女達に己を投影し、彼に話し掛け、プレゼントを渡したりする…
妄想は広がり、彼女達の一人の姿になったうちが、彼と二人だけになり、抱き締められ、キスをする…彼の部屋に招かれ、ベッドの上に倒される。胸がはだけられ、彼のために守り続けた乳房が曝される。
彼の顔がうちの乳房に埋まる。
乳首が吸われる。
「ぁあん♪」
快感の吐息を上げた途端、
その声が男の声である事に気付き、現実に引き戻された事が何度あったことだろうか?

しかし、今のうちには豊に実った乳房があった。
股間には彼を受け入れる事のできる器も出来ている。
今までに溜めてきた想いを、今ここで満たしてやるのだ。

有無を言わさずに室長をベッドに押し倒した。中身はともかくも、全裸の女性を前にして「男」の機能が反応を示さない筈がない。
うちは室長のズボンを脱がすと、肉体を重ねていた…
「ぁあん♪あ~ん♪」
オンナとしての快感がうちの肉体を貫いてゆき、頭の中を染めあげてゆく…
うちの求めていたものが現実となる。何もかもが満たされてゆく。
「ああ、良い…射して♪うちのナカを貴方ノで満たして頂戴!!」
膣を絞めると、その刺激には耐える事は難しかったようだ。室長の精液がうちの膣を満たしてゆくのを感じていた。
「ああん、あ~~ん♪」
うちは満足の嬌声をあげていた。

 
「な、何と言うか…」
自分を取り戻した室長がしどろもどろとなる。
「ご心配には及びません。試験結果を公表する際にも、室長と特定される情報は一切伏せられます。うちとの事は誰が知る訳でもありません。それにサンプルはもう少し必要ですから。」
「き、君は他の男とも寝るつもりなのかね?」
「あら♪妬いてくださっているのかしら?」
「そ、そうじゃないが…か、勝手にしろ!!」
「はい。そうさせていただきます。でも、うちのハジメテは室長と決めていました。ありがとうございました。」
ありったけの笑顔を室長に向けたが、室長は逃げるようにして部屋を出ていってしまった。

 

 
結局、うちはこの研究成果を公表するには至らなかった。
「素体」に致命的な欠陥が見つかったのだ。
それは、三ヶ月の連続装着を終えた時だった。いつものように「素体」から出たのだが、思うように脚に力が入らなくなってしまったのだ。
確認してみると、筋力アシストの数値が異様に高くなっていたのだ。「素体」に肉体が慣れてしまい、自らの筋力に頼らずとも良い事を知り、筋肉を最適化=限りなく脆弱にさせていたのだ。
それは筋肉ばかりではなかった。骨も細く、脆く、柔らかくなっていた。柔らかくなったことで、体型補正の効果により骨盤の形状が女性のものになってしまっていた。
もちろん、骨ばかりではない。筋肉、贅肉までもが補正された形状に固定されてしまっていた。
すなわち、うちの外見は「素体」なしでも十分に「女」に見えるようになっていたのだ。

うちは、それを「罰」として受け止めた。これは今の世にあってはならないモノなのだ。己の欲望のために科学を弄んだうちに、神が与えた「罰」に違いなかった。
元の姿に戻らない限り、この研究成果は公表できない。そして、うちは元の姿に戻ろうと思う事はなかった。
うちは「素体」を封印し、実家のあった山に戻った。
自然の中でリハビリを行う事で、骨の脆さも筋肉の弱さも回復する事はできた。が、体型だけは元に戻る事はなかった。

 

山に篭もり、人と会う事を避けていたうちに「会いたい」との連絡があった。
室長だった。
「素体」が「装甲強化服」と名前を変えて使われている事を知らされた。
バーストによる身体への影響、ダメージからの回復…「素体」の開発者であり、医学の心得のあるうちへの協力要請であった。
「それから、君にも戦闘に参加してもらう事になる。」
室長はそう言った。
「いろいろと盛り沢山な事ですね。」
「無理は承知だ。が、君にしか頼む事ができないのだ。」

「わかりました。けど、一つだけ条件があります。」
うちは長い時間考えた末にそう言った。
「もう一度…」
室長と眼を合わせる。
「もう一度、うちを抱いてください♪」

「わかった…」室長は大きく頷いた。
うちは大きく膨らんだままのバストを包むブラウスのボタンを外していった…

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コメント

少し複雑で重たい話でしたけど、納得させられる展開でもありました。
それにしても、4人目がこんな人でしたとはw

(やっぱり、スーツを脱ぐ場面が無いのがちょっと残念だったです。)

体型・骨格が女性になっても性器はそのままなんですか?

>体型・骨格が女性になっても性器はそのままなんですか?

「素体」では外見が女性化します。
山我の外性器も例外ではありません。男性器は消失してしまっています。が、女性器を保有するまでには至っておりません。

「装甲強化服」は更に進化をとげ…(後はその5で)

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