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2010年12月31日 (金)

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)-その4.5-

「ウェンディ、始めるわね。」
エリザベスこと、山我悟の手でウェンディの装甲強化服が剥ぎ取られていった。
名目は足の状態を確認すると言う事であったが、山賀の目的はウェンディの本体である天野翔の肉体がどこまで女性化しているかを確認する事であった。

装甲強化服の前身である「素体」を長期に渡って着用していた山我は、その肉体が「素体」の形状を記憶してしまい、完全に女性化してしまっていた。
装甲強化服は改良を加えられているが、その影響は無視できないものと考えていた。
先に調査する機会を与えられたアリスこと大神に関して言えば、肉体的な男性機能は維持されてはいるものの、女性化の傾向は確認する事ができるものの微々たるものであった。
それに比べ、精神の女性化はかなり進行しているようであった。意識的に行動している場合は、外見に合わせて男女を使い分けられているようだが、無意識に行動する際には、女性形質が顕著に現れていた。
それでも、アリスやイブは定期的に装甲強化服を脱ぐ事ができる。「男」に戻っている時間が長ければ、それだけ女性化を遅らせる事ができる。モンスターさえ現れなくなれば、精神的にも男性性を取り戻す事は可能な筈だ。
が、ウェンディの場合は足の怪我が完治しない限り「脱ぐ」とは言わないだろう。それも、彼女の場合に於いては単に「歩ける」だけではダメなのだ。競技者として再起できるまでにならないと完治したとは認めない筈だ。
彼女のレベルでの「完治」は、筋力サポートの値を旨くコントロールしない限り、望むべきものではない部類のものである。モンスターとの戦いが続く中でそれを行うことは、不可能だと言い切れる。

山賀がウェンディを脱がすと、素の「翔」が現れてきた。
端から見ても彼の精神の女性化は相当に進んでいるのがわかっていた。しかし、現れた肉体の女性化は想像以上のものがあった。
骨格が女性化しているのと、外性器の変形までは山賀の想定内ではあった。腹部にエコーを当てると、まさかとは思っていたが、子宮や卵巣まで確認できたのだ。そこからは女性ホルモンが分泌されているのだろう、翔の肌艶が女性のものに近づいてきているのも納得できた。
更に、分析に廻した細胞片からは、染色体までもが女性化している事が判明した。

今、彼=彼女にこの事実を告げるべきなのだろうか?
躊躇している山賀の元に、モンスター出現の連絡が入ってきた。

その報は、当然のように翔の耳にも入る。
「山我さん…エリザベス!! ボクを戦えるようにして!!」
翔の手が山賀の腕をきつく握り締めた。
「今は駄目よ!!これから装甲強化服を装着しても、戦闘可能となるまでには時間が掛かるわ。特に貴女の場合はうちが調整しながらでないと、治る足も…」
「ボクの事はどうでも良い!!少しでも戦力を足さないと…」

山賀は考えた。
ここで自分がこの場を離れれば、目前の課題=翔に彼の肉体の状態を告げるべきか?と言うことをしばらくの間保留できる。
それに、このまま興奮状態の彼に告げるのもまずい事には違いない。
山賀は立ち上がった。
「戦力が心配なら、うちが出ます。だから、貴女はうちが戻るまでそこを動かないことを約束してくださいな。無理だとは思うけど、寝ていてくれるのが一番良いわ。」
「ボ、ボクも…」
「貴女は連れて行けません。酷だと思うけど、今の貴女は足手まといの何者でもないわ!!」
山賀は翔の答えを待たずに部屋を飛び出していた。

 

残された翔は何もできず、毛布にくるまっていた。
静かな部屋で独りになると、次第に熱気が冷めてゆく。心が落ち着きを取り戻してゆくと、肉体に芽生え始めた違和感に意識が向かってゆく。
装甲強化服から解放された肉体が「本来」の体形に戻ろうとしているのだか、染色体から変化してしまった翔は、その「本体」自体までもねじ曲げられてしまっていた。
胸がむず痒かった。装甲強化服を脱いだ事で見た目膨らんでいた胸も微かな膨らみ程度になっていた。その先端でむず痒さとともに、乳首がぷっくりと膨らみだしていた。
変化は外見だけではなかった。
下腹部の奥が疼き始めた。痛みは次第に激しくなった。胎内から排泄しようという欲求が生まれていた。
翔は何の疑いもなく、起き上がり、トイレに向かった。ドアを開け、パンツを下ろし、便座に座った。

確かに何かが排泄された。
が、それは大便とも小便とも違う。腹がくだっていた訳でもない。
何が排泄されたかは便器の中を見れば即に解る。そして、それを見た翔は声を失っていた。

 

排泄が終わっても、シクシクとした疼痛は残ったままだった。
結局、翔は山賀が戻るまでおとなしくベッドで寝ていた。

「まだ、検査の結果を聞いていなかったよね。」
ミッションから戻り、翔に向かったまま何も言わずにいる山賀に対し、口を開いたのは翔だった。
「それって、ボクが生理になった事と関係がある?」
その一言で山賀の表情が一変した。
「何?生理?!」
「あ…うん。始めてだから焦ったけど、母さんからは女の子のたしなみだってナプキンを持たされてたから、今はそれを付けてるんだ。何か変な感じするよね?」
「同意を求められても困るが、うちが躊躇ってたのは正しく、その事でした。ウェンディの肉体は、うちよりも女性化が進行しているようです。でも、生理まであるとは…」
「ボクはもう男には戻れないの?」
「それはうちにも判りません。今言えるのは、貴女の肉体が染色体レベルで女性化していると言うこと。生理があると言う事は、貴女は普通の女性と同じように、妊娠・出産も不可能ではないかも知れません。」
「赤ちゃんを産む…ボクが?」
「か、可能性の話です。ですが、不用意に男性と性交渉を持てば、望まない状況に至ることもあるという事です。」
「あぁ、それも良いかな?大神さんの赤ちゃんを産んで、お嫁さんになって…」

順番が違わないか?とツッコもうとした山賀だったが「夢見る乙女」の表情を浮かべた翔には、今は何も言うべきではないと自制し、装甲強化服の再装着の準備を始めていた。

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)-その5-

 

「お空けなさい!!」

凜とした少女の声が境内に響き渡った。

ごったがえす人込みの中に一本の路が真っ直ぐに神殿の正面へと伸びていった。
その路を、海を渡るモーセのように、一人の女の子がシャナリと進んでいった。
襟や袖にふんだんにレースをヒラつかせたド派手な振り袖。結い上げた黄金色の髪には、これでもかと言うくらいに髪差しが差し込まれていた。
その後ろには明らかに護衛と思われる黒服の男が二名、恐る恐るといった感じで付き従っていた。

「ほらっ!!」
神殿の正面に辿りついた少女が手を伸ばす。
「お賽銭!!」
少々凝れた感じで黒服の男達に命じる。
仕方ないか…といった風情で懐から財布を取り出すと…少女はあっと言う間に男の財布をひったくっていた。
「シケてんのね~♪」
と万札だけを抜き取り、財布を投げ返した。

カランカラン
と、清らかな鈴の音は奉ぜられた賽銭の多少には拘わらずに境内に響き渡っていた。

 

 
「キャ~~ッ!!」
と女の悲鳴が上がった。
少女に向けられていた参拝客の視線が、一斉に声の方に向かう。
その先には、いつの間にかモンスターが現れていた。
締め縄のような触手を振り回して、参拝客に襲い掛かろうとしていた。

「チッ!!」
振り袖の少女が舌を打つ音は、パニックに陥った群衆の雑音に聞こえる事はなかった。
が、
「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス♪セットア~ップ!!」
同じ口から、高らかにキーワードが唱えられた。

少女の全身が光輝く。燐粉のようなきらめきが少女を包み、戦闘モードへの変身が進んでゆく。
振り袖はちりぢりに砕け散り、その下のレオタード状の下着に包まれた少女のヌードラインをさらけ出す。
燐粉が少女にまとい付き、新たな衣装を形作ってゆく。

「はあっ!!」
とジャンプする。
燐粉が軌跡なぞる。
高々と舞い上がったその頂点で、大きく腕を振るうと、その先端から幾筋もの光の軌跡が伸びてゆく。
ザッ
ザザッ
と、モンスターの触手にナイフのようなものが突き刺さり、逃げ惑う参拝客に届く直前で、地面に縫い止められていた。

タン!!
とモンスターの前にフェアリーと同じようなコスチューム=装甲強化服に包まれた少女が降り立った。
「オリンピア参上♪ってとこかしらね?」
と、再度大きく腕を振るうと、先ほどより幾分か太めの光の筋がモンスターに伸びてゆく。グルリとモンスターの周りを旋回し、光の筋がモンスターを締めあげた。
光の筋は極細のチェーンだった。燐粉が飛び散り、光が褪せるとそこに銀色のチェーンが姿を表していた。
オリンピアがチェーンを締めあげると、モンスターが悶絶する。
「良い様ね♪このまま締め切ってあげましょうか?」
とオリンピアがチェーンを揺すると、モンスターの外側にあった触手の数本が、ボトリと地面に落下していった。

モンスターが絶叫する。
その声に被さるように
「「「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス♪セットア~ップ!!」」」
とアリス達の声が響いた。

「遅くてよ♪」
オリンピアが更にモンスターを締めあげる。
「ボクより目立たないでよね!!」
とウェンディが双剣を振るうが、波打つチェーンに阻まれる。
「邪魔すんなよ!!」
「そっちがトロいだけよ。それに今時ボクッ娘なんて流行らないですわよ。これからは姫娘の時代ですわ♪」
モンスターの絶叫は、オリンピアの主張を肯定させられているかのように聞こえた。

「集中してっ!!」
とアリスの声が飛ぶ。
切断された触手が、いまだに参拝客を襲おうと蠢いていた。イブとエリザベスは避難誘導に忙殺されている。
アリスが一本づつ長剣を振るって触手に留目を差してゆくが、なかなか追いついて行かない。
「触手を千切っても、意味はない。本体を殺らなきゃ!!」
「わ、わかっておりますわよ!!」
とチェーンの動きが緩む。
「はあーーっ!!」
双剣がモンスターに突き刺さりV字にえぐられる。
「はっ!!」
オリンピアのチェーンが輪をつくり、その切れ込みに填まった。
チェーンの輪が高速で回転を始めると、一気にモンスターの体を二分した。
それぞれが地面に倒れるまでの間に、ウェンディの双剣とアリスの長剣がモンスターの残骸を粉々に切り裂いていた。

 

「貴女が五人目という事ね♪」
アリスが握手を求めて手を差し伸ばしたが、オリンピアはそれを無視して変身を解除していった。
「貴女達と馴れ合うつもりはありませんわ。今回はたまたまわたくしの居る場所に現れたので仕方なく対応しただけよ。」
彼女を包む電磁流体が先ほどと同じ振り袖を形作っていた。

「お空けなさい。」
フェイスプレートを外したオリンピアが前に立つアリス達にそう言った。
気圧されたようにイブとエリザベスが動くと、正面に空いた隙間を通って歩きだしていた。
アリス達が振り返ると、オリンピアの後ろにいつの間にか現れた黒服の二人組の男が従っていた。
「な、何者なんだ、あいつは?」
「五人目には違わないようね。オリンピアと言っていたかしら?」
ウェンディの後ろ姿を見ながらそんな事を言っていると、二人組の男の一方がアリス達に向かってきた。
「申し後れました。」
と頭を下げ、一枚の紙切れを渡すとオリンピアの下に戻っていった。
紙切れは名刺だった。角が丸められ、花柄の地の可愛らしいものだ。
「相川唯」
と丸文字で印刷されている。

「相川…相川ってことはあいつの娘…いや、息子か?」
アリスが呟く。
「多分ね…」
エリザベスも肯定した。
「な、何なんだよう。二人だけで解ってても意味なくない?」
そう騒ぐウェンディの頭を撫でるのはイブ…
「さて、どうなりますかね?」
そう言ってオリンピアが消えたあとも、じっとその先を見つめていた。

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)-その5の裏-

「キモヲタ」
彼を表現するのに、これ以上ふさわしい言葉はなかった。
ひきこもりで運動不足の体はぶくぶくに膨れている。家がそれなりの資産家であったため、身の周りの世話をしてくれる使用人がいたため、身なりだけは清潔に保たれていた。が、それでも見るからに異臭が漂ってきそうな雰囲気があった。

「何とかしなければ…」
一応は親もそう思った。が、そうそう妙案が思いつく訳もない。
「今の自分とは違う…別人になってみれば、意識改革も可能ではないでしょうか?」
と耳打ちする男がいた。
「ご子息は変身ヒーローに憧れておりませんか?」
男は更に続けた…
「アイデアはあるのですが、研究・開発費が不足しておりまして…」

こうして、男は装甲強化服の開発を現実のものとしていった。

 

 
「こんなモノが?」
真っ黒な全身タイツ状のモノを身ながらそう言った。
「これがご子息の意識改革の決定打となります。ご覧いただいたように、戦闘モードへの変身も可能となっております。」
男はアリスの戦闘シーンを見せた後、装甲強化服を手渡したのだった。
「ただ、馴れないうちにあのパワーを全開されると面倒ですので、リミッターを掛けています。」
「力を出せなくする?…それは、生身の力も抑止できるのかね?あいつは、ただでさえ暴れだすと手に負えないんだ。できれば小学生なみに落としてもらえないなね?」
「それはもう…」
「では、善は急げだ。今ならあいつも寝ている筈だ。早速装着してもらえないだろうか?」
「はい。」
男はニヤリと嗤い、部下に指示を出すと、屋敷の中に機材を運び込ませた。

 

 
それは、母の胎内で羊水に浸されているような感覚だった。
「キモヲタ」こと相川唯が目覚めようとしていた…
いや、既に彼の外見は「キモヲタ」ではなくなっていた。装甲強化服は待機モードで稼働を始めていた。その顔を除けばお嬢さん然とした女性にしか見えなかった。
「お目覚めですか?」
男が声を掛けた。
「だ、誰だお前は?何でここにいる??」
一気に意識を取り戻した唯は、そう言うと同時に自らの肉体に違和感を感じた。
「思うように力が入らない。貴様が何かしたのか?」
「それは正しい認識です。しかし、最終的に指示を出したのは、貴女のお父様です。」
「親父が?」
「変身すれば、貴女も考え方を変えると考えたのです。貴女も変身には魅力を感じているのでしょう?」
「俺の変身はあくまでもフィクションだ。荒唐無稽の変身にはカタルシスを覚える。が、現実にはそんな変身はありえない。きぐるみや特殊フォームは興醒めだし、服や化粧での変身などタカが知れている。」
「それでは、今のご自身をご覧になっては如何ですか?」
男はキャスター付きの姿見を引き寄せると、唯が自分自身を確認できるように調整した。

「…これが…オレ?…」

唯は鏡に映る自分の姿から目が離せなかった。
「やるのであれば、このくらい思い切った変身でないとね♪お父様には既に説明してありますが、戦闘モードへの変身め可能です。本気を出せば、あのモンスターも倒せます。」
「…って、これは彼女と同じ?」
「そう、同じものです。装甲強化服と我々は呼んでおります。」
「なぜ?」
「お父様から、少々ご支援を戴きたくてね。ですから、お父様のご意志に従い、貴女の服ではパワーを制限させていただいております。そう、小学生の女の子くらいでしょうか?」

「脱がせろ!!」
唯は即座に男に言った。が、
「判断されるのはお父様です。それに、もう少し装甲強化服の性能を経験してみては如何ですか?」
「変身できると言うのか?」
「興味はおありでしょう?」

「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス♪セットア~ップ!!」
フェイスプレートを装着し、唯は教えられたキーワードを唱えた。
発声装置が凜とした少女の声を発する。
体が強制的に変身ポーズを描いてゆと、全身が光輝き、霧のようなものに包まれる。
魔法少女のようなヒラヒラの布状のものが全身にまとわり付いていった。
「こ、これは…」
唯は変身後の自分の姿に見とれていた。

「コードネームはオリンピア。実際、モンスターとも戦えるパワーを持っているが今は制限させてもらっています。」
唯は男の言葉など殆ど聞いていなかった。
「あたし…いえ、わたくしはオリンピア。無敵の美少女戦士なのですわ♪」
と鏡に向かい、ポーズを決めていた。
「パワーは抑えていますが、装甲強化服の要の電磁溶液の消耗は発生します。定期的に補給を行っていただく事になります。」
男は説明を続けるが、
「うるさいわね!!」とオリンピアに一喝される。が、
「な、何なの…それ?」
と振り向いた男の手に握られたモノの視線が釘付けとなっていた。
「電磁溶液補給用の装置です。これをアタッチメントに装着していただく事になります。」
男が手にしたホースの先端が男性のペニスの形状に酷似している事に驚いた。
「まさか…アタッチメントって…」
「貴女の股間にあるものです。このようにして装着します♪」
「あっ、何をするの?」
オリンピアは抵抗するが、今は小学生程の力しか出せない。何の抵抗も出来ないまま床に転がされてしまっていた。
男がオリンピアの胸にある制御装置を操作すると、強制的に戦闘モードが解除される。オリンピアは見た目、全裸の女性そのものになっていた。
「や、やめて…」
何故か本物の女に成りきったように、艶かしく抵抗している。
「即に済みますからね♪」
と男は彼女の股間を広げると、ホースの先端をアタッチメントに挿入した。

「ぁあっ!!」
彼女が喘ぐ。
「…な、何これ?な、何か変な気持ち… ♪気持ち良いの?」
電磁溶液が注入されると、オリンピアは快感に悶え始めていた。
「んあん♪ス、凄い!! 気持ち良すぎる。癖になっちゃいそう♪」

「宜しいんじゃないでしょうか?その姿が気に入ってもらえて何よりです。」
男は装置のモードを切り替えた。それは、オリンピアが気を失うまで、電磁溶液の充填・排出を繰り返すもので、装置は彼女に快感を与えるだけの存在になっていた。
男が去った後も、オリンピアは快感に揉まれ続け、何度も何度も絶頂を経験する事になった。

 

 

相川唯は外見とともに人が変わったように行動的になった。
今の自分に見合うファッションに気を注ぐようになり、暇さえあればショッピングに出かけるようになった。モデル並の姿を手に入れた事により、事件・事故の危険を感じた父親は、彼女にボディガードを付けた。
父親はいまだに彼女が小学生並の力しか出せないと思っているが、既にリミッターは解除されてしまっていた。彼女にとってボディガードなど必要はなかったが、何かと便利である事に気付いたため、側に置いたままにしている。

「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス♪セットア~ップ!!」
借り切った体育館で、彼女は戦闘の訓練も行っていた。得物は極細のチェーンだった。電磁流体を使い、自在に扱う事もできるようになった。
いずれは、自らモンスターに立ち向かうが、最も効果的な登場のパターンを模索している所だった。

訓練が終わると、オリンピアはボディガードの男を呼びつける。
「いつものヤツをお願いね♪」
とマットに横たわる。
男はオリンピアをうつ伏せにして訓練後の筋肉を揉みほぐしてゆく。が、
「そっちは良いから…」
とオリンピアが仰向けになる。
装置の無機質なモノよりも、本物の方が気持ちが良い事に気付いてしまったのだ。
「はやくぅ♪」
M字に脚を広げ、細い指先で股間のアタッチメントを開放する。
「気持ち良いコト、早くシよ♪」
ボディガードの男は自らも服を脱ぐと、オリンピアの上に折り重なっていくのだった。

2010年12月29日 (水)

どろどろに身体が溶けてゆく…

多分、そこは夢の中なのだろう。窓もドアも何もない部屋…どこから入ったのか、いつの間にかその部屋にいた。
その部屋は本当に何もない。空調のスリットもなければ、照明もない。床や壁と同じのっぺりとした平面が天井も続いていた。
こんなに密閉された部屋でいつまで息が続くのだろうか?

…だが、これは「夢」なのだ。そんな心配は無用なのだろう。夢なのだから、ご都合主義がまかり通るに決まっている。
その証拠に、窓も照明もないのに、部屋の状況が解るではないか。

部屋ばかりではない。今の自分自身だって見ることができる…
そう思った途端、身体がどろどろと溶けだしたのだ。

原型をとどめる事なく、スライム状に肉体が変形してしまっていた。着ていた服がどうなったか気になる所だが、そもそも着ていなかったような気もする。

 
そして、何故スライム状になってしまったか考えてみた。
ここは夢の中なのだ。何でもアリなのだ。イメージすれば、どんな姿にでもなれるに違いない。スター顔負けの美形になる事も夢ではないのだ!!
…って、これは「夢」なのでしたorz…
と自分に突っ込みつつ、理想の姿をイメージしてみた。

(あれっ?)

具体的なイメージが湧いて来ない。
それならば…と、本来の自分の姿は…

あぁ、思い出せない!!
な、何と言う事なのだ!!!!
なりたい姿になれず、元の姿にももどれない…もしかして、一生このスライムの姿なのだろうか?…
いや、これは夢だ。
夢から醒めれば、元の自分に戻れるのだ♪

 
ほぅ…っとため息をついて、落ち着きを取り戻した。
しかし、このままスライムのままでいるのも面白くない。適当に頭に浮かんだ姿を使ってみよう♪
寝る前に見ていた雑誌があった。グラビアの女の子の姿が思い浮かぶ。
(女の子?)
一瞬、躊躇うが(どうせ夢の中だ)とその娘の姿をスライムの身体に映し込んでいった…

 
グラビアでは水着を着ていたのに、今のあたしは何も着ていない…産まれたままの姿で何もない部屋の中にいた。
そう、ここは夢の中…誰が見ている訳でもない。だから、何をしても良いんだ♪
あたしはブラを着けていないバストに手を触れてみた。(気持ち良い…)
女のバストに初めて触れたかのような、ぎこちない手つきで揉みあげられた。その指が、今度は乳首を責め始めた。
「あん、ああん♪」
淫らな声があたしの口から漏れてゆく。
(胸でこんなに気持ち良くなるのなら、下の方はどうなっちゃうんだろう?)
あたしの手がそろそろと下に降りてくる。
這うように、お臍の上を通り越し、淡い茂みの中に入っていった。
(濡れてるの?)
伸ばした指先が湿り気を感じた。
更に指を伸ばし、深く刻まれたクレバスの中へと送り込んでゆく…

 
単なるオナニーなのに
何時も以上に感じているの?
まるで初めて経験するかのように…
怖いけど…早く感じたい…
「あ、あん。あ~~ん♪」
あたしは淫らな声をあげ続けていた。

(これは「夢」なんだよね?)

 

あたしの肉体は、どんとん昇り詰めてゆく…
「ああん♪イ、イクゥ。イっちゃう~~!!」

快感に頭の中がまっ白に塗り込められていった…

 

 

………

……………

 
気がつくと、そこは自分の部屋のベッドの中だった。
「本当に夢だったの?」

ゆっくりと起き上がる。
机の上に手鏡が置いてあった。
鏡を覗く…

 
鏡に映る自分の顔を見て、あたしはにっこりと微笑んでいた。

2010年12月28日 (火)

ミドリちゃん

「オーム、オーム。ナムラ、カサラム!!」

結界の中心で、僕は教えられた呪文を唱えていた。
それなりの対価を支払って手に入れた呪文である。ちゃんと効いてもらわなければ話にならない。

(ドクリ!!)

心臓が大きく脈動した。
次の瞬間、僕は僕の肉体から離れていた。
幽体離脱というやつだ。僕の魂は宙空に浮かび、僕の肉体を頭上から見下ろしていた。

僕は本来の目的を果たすために、部屋の外に出ていった。
これが幽体の便利さというものか、するりと壁をすり抜けていた。手足を動かすことなく、行きたい方向を念ずるだけで良いのだ。

廊下を挟んで反対側に兄貴の部屋がある。今日はミドリちゃんが遊びに来ていた。
ミドリちゃんは幼なじみで、僕のクラスメイト…そして、兄貴の恋人だ。
今朝早くから両親が旅行で家を空けているのをヨイことに、兄貴はミドリちゃんを自分の部屋に招いたのだ。
勿論、ナニをする為だ。
今も薄い壁越しにミドリちゃんの艶めかしい媚声が聞こえてきている。

(僕だってミドリちゃんと付き合いたかったんだ!!)
しかし、兄貴に向かってソレを言う事ができないのが「僕」だった。そして、それを知ってか、僕に見せつけるようにミドリちゃんを家に呼びつけるのが「兄貴」なのだ。
(ぼ、僕だってミドリちゃんとヒトツになりたいんだ!!)

そんな僕に悪魔が囁いてきた。兄貴に憑依すればミドリちゃんとヤる事ができる…その為の幽体離脱なのだ。

ドアも開けずに兄貴の部屋に潜り込む。ベッドの上には兄貴と…ミドリちゃんがいた。
二人は全裸で前技に戯れていた。兄貴はミドリちゃんの股間に顔を埋めている。クンニしているのだろう。ミドリちゃんは普段は絶対に見せない恍惚の表情で淫らに喘いでいる。
僕は憑依すべく、兄貴の背後に回り込んでいった…

「充分に濡れたろう♪じゃあ本番いくか?」
ミドリちゃんが頷くのを僕は兄貴の肩越しに見ていた。
その直後、兄貴が急に態勢を変えた。
憑依を成功させる為に慌てて兄貴を追う。
僕の慌てぶりなど知る由もなく、「いくよ♪」と兄貴。
僕は必死に兄貴の動きに追いつき、背後を取ろうと動く。その途端、兄貴が急に止まった。
勢いのついた僕は、憑依すべき「兄貴」をすり抜け…

(ヌプッ!!)

何かが僕の股間に挟まってきた。
「んあんっ♪」
思わず艶めかしい声をあげてしまった。

瞼を開けると、目の前には兄貴の顔…

「動くぜ♪」
僕のお腹の中に蠢くモノがあった。
「ああん、あん♪」
僕の声は可愛らしい女の子の声だった。

 

僕はミドリちゃんに憑依してしまったのか?!

 

兄貴が動くと、これまで経験したことのない「快感」が湧き起こる。僕は快感に支配されてしまった。何もできないまま、ただ快感に翻弄されていた。
そして、快感はどんどん高まってゆく…

「ああん、イクゥ…イッちゃう~~♪」

僕は兄貴の精液をナカに出されると同時に、快感の絶頂を迎えていた。
ふっと意識が遠退いてゆく…

…気がつくと、兄貴は僕の隣で寝息をたてていた。
既に、僕の股間からは兄貴のペニスは抜かれているのに、まだ、何か挟まっている感じが続いていた。
それは、決して不快な感じではない。否、もう一度ココに挿れてもらいたい…そんな欲求が生まれていた…

 

兄貴はぐっすり眠っていた。
僕は兄貴を起こさないようにベッドから降りた。そして、自分の肉体を確認する。
それは、全裸の女性…ミドリちゃんの肉体だ♪手を胸に上げ、乳房に触れてみた。
(これがミドリちゃんのオッパイ…)
指が乳首に触れる。
「ぁん」
兄貴に高められた肉体はいまだ敏感なままだった。
乳首を弄っていると、再び快感が高まってゆくのを感じた。
ジュクッと股間に蜜が溢れてゆく。僕は男だけど、ココに挿れられて得られる快感を否定する事はできなかった。
(挿れてッ♪)
欲求が高まってくる。僕が「男」を欲しがっている。そして、ベッドの上には…

(!)

 

 
僕は部屋のドアを開けていた。
廊下を挟んで反対側にもう一つのドアがある。「僕」の部屋のドアだ。兄貴の部屋をそっと抜け出して、僕の部屋に入った。
そこには「僕」がいた。
幽体離脱した時の格好のまま、部屋の真ん中で結界の魔法陣が描かれたシートの上に座っている。
僕は「僕」に近づくと、服を脱がせた。ズボンとパンツは「僕」を床に転がして剥ぎ取った。
全裸で仰向けに転がった「僕」の股間では、ペニスが乏しく萎えきっていた。僕は「僕」の上に跨ると「ミドリちゃん」の口に咥えさせてあげた。
意識はおろか、魂のない「僕」の肉体ではあったが、刺激を続けていると、次第に硬くなっていった。
(もう少しかな?)
と口から離して具合を見ていると、ピクリと「僕」の肉体が痙攣した。
(何?)と思った瞬間、ドピュ!!と乳白色の塊が僕の顔をめがけて飛び出してきた。

「僕」のザーメンが左目の上に命中した。
(…)

「貯まってたのよね♪」
僕はミドリちゃんの声で「僕」に言ってやった。
「気にすることないわよ♪もう一度フェラしてあげるね。」
僕は顔にこびり付いたザーメンを指で掬った。
いつもとは臭いが違う。頭の奥がジーンとする。
僕はその指を、僕の口に運んでいった。
チュパッと音をたてて舐めあげる…
「甘くて美味しいの♪」
決してそのような事はなかったが、今はそう言いたい気分だった。
「ネェ、もっと頂戴♪」
そう言って、僕は再び「僕」のペニスに咥え付いていた。

 

「今度は大丈夫よね?」
硬くなった「僕」のペニスを支えて、僕は体の向きを入れ替えた。
今度は「僕」の顔が見える。
「じゃあ、いくねっ♪」
そのまま腰を降ろして僕のナカに「僕」のペニスを導いていった。
兄貴の時と違い「僕」には意識がない。その分、僕が主体的に動かなければならない。自分が感じる所に手が届くとも言えるが、それ以上のものではない。
が、それでも快感を感じることはできた。
「あん、ああ~~ん♪」と艶声をあげれば、更に快感は増してゆく…

その時、僕は気づいていなかった。
快感に悶えていると、下に敷かれたシートが乱れてゆく。シートに描かれた結界の魔法陣も乱れしまう。折角の結界もいつの間にか崩れていた。

何のための結界か?
幽体離脱で魂の抜けた肉体を守るためである。世の中には、ヤドカリのように肉体を求めてまわる浮遊霊も沢山いるのだ。生悪な奴に奪われると、戻るべき肉体を失うことにもなりかねないのだ。

 
「ぁあん♪イイ~!!」
僕がそう喘いだとき、
カッ!!と「僕」の目が見開かれた。
「そんなに良いのか?ならば、モッとヤッてあげようじゃないか♪」
と「僕」が不敵な笑みを浮かべていた。
……………
………

 

 

僕はミドリちゃんと「ヒトツ」になる事ができた。
いや、それ以上の成果だ。なんと、ミドリちゃんが「僕」の性奴隷に堕ちてしまったのだ。

「ご主人さま~♪モットもっと愛してくださいまセ♪」
淫らに振られるミドリちゃんのお尻に「僕」の立派なイチモツが突き立てられる。
「あん、ああん♪」
甘い淫声をあげる僕に、ご主人様が最高の悦楽を送り込んでくれる…

そう、僕はミドリちゃんに憑依したまま戻れなくなってしまっていた。
「僕」の肉体を乗っ取った浮遊霊は狂暴なヤツで、僕も兄貴も逆らう事ができず、ミドリちゃんは僕の魂と共にヤツの性奴隷にされてしまったのだ。

でも、僕は後悔していない。
だって、ご主人様は僕のコトをいっぱい愛してくれるのだかラッ♪

 

2010年12月 4日 (土)

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)へのコメント

私の作品を読んで下さっている皆様
メールやコメントをいただきありがとうございます。

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)にいただいたコメントで
キャラクタのコスチュームに関しての問い合わせがありましたので
コメントしておきます。

この作品の戦士は「おねがい戦士」くらいのお姉様方が
プリキュア的な衣装(現時点ではキュアムーンライトが近い)
でモンスターと戦う様をイメージしています。


ってな感じです。
一応、5人目を出してこのシリーズを終えようと思っています。
(他にも中断させてしまった連作の多いことか…)

次回、オリンピアの登場まで今暫くお待ち下さい。


ザ・パワードスーツ(装甲強化服)-その3.5-

「お帰りなさいませ。ご主人様♪」
浴衣に前掛け姿の女の子達が頭を下げて迎え入れてくれる。
「へ~っ。これがメイド喫茶なんだ。」
「でも、服が違わない?メイドさんて、紺色のエプロンドレスじゃなかったでしたっけ?」
女の子二人を連れて来たのは、装甲強化服を脱いだイブ=轟仁だった。
「ここはメイド喫茶とは言っても、純和風の女中茶房だ。本格的なやつが良ければ、今度連れていってやる。」
「わー♪仁さんて、色んな所知ってるんですね。」
「こういう奴の事を何と言うか知ってる?ヲタクって言うのよ♪」

「余計な事は良いから、早く座って注文しろ。」
仁はさっさと座ると、女の子達に「お品書き」を見せた。
「コーヒー・紅茶は無いのね?」
「うぁー、みつ豆にいっぱい種類があるぅ♪」
「みつ豆がこの店のウリなんだ。紅茶はないが、コーヒーは培煎豆濾湯で出て来る。ホットしかないがな。」
「じゃあ、あたしはそれに羊羹を付けてちょうだい。」
「ボクは栗のクリームあんみつに緑茶ね♪」
「わたしは煎茶とまんじゅうだ。」
それぞれの注文が決まると「承りました」とメイド…女中さんが下がってゆく。

「こういうお店って良く来るの?」
二人の女の子は興味津々に仁に詰め寄った。
「つ、月に数回だよ。もっとも、イブの姿では来る訳にもいかなかったからね。この店は結構穴場で、落ち着いた時間を過ごせるんだ。」
「へぇ~。」
二人の感心した視線が仁に向けられていた。
「ここではゲームもしないんだ。」
待機しているイブは携帯ゲーム機を手放さない事を知っている二人は疑問に思った。
「ここではね。騒いで遊びたい人達は、姉妹店のU画(ゆーかく)に流れるんだ。」
「あっ、それって遊郭のもじりでしょう♪オイランさんとかも居るの?」
「お子様は入れないよ。ウェンディがもう少し大人になったらね♪」
「あ~あ、また子供扱いする…」
と拗ねている所に
「お待たせしました。」と注文した品が運ばれてきた。
「わーい♪凄いぞ!!」
早速スプーンを手にしたウェンディを見て、仁がアリスに目だけで同意を求めた。
「まあ、この娘なりに努力した成果としておきましょう?」
「努力…って、これが本質だったような気もするが…」
二人の視線が注がれている事に気付いたウェンディは
「美味しいヨ♪二人も早く食べよう!!」
と屈託のない笑みを向けるのだった。

 

 
「ピピピピッ!!」
とアリスの携帯が鳴った。
通話ではなかった。画面を見るなり、
「行きましょう。お仕事よ!!」
と茶碗に注がれたコーヒーを飲み干して立ち上がった。
「先に行ってくれ、わたしは会計を済ませたら、市民の誘導を支援してくる。」
「判ったわ。行きましょう、ウェンディ♪」
と、お碗の底に残った蜜を恨めしそうにしている女の子を立ち上がらせた。

 
彼女達専用のバンが店の前にやってきた。
乗り込むと電磁溶液の補充を開始する。ホースの先端をアタッチメントに装着し、注入してゆくのだ。
ドクドクと彼女達のナカを電磁溶液が満たしてゆく。それは高揚感と伴に、装甲強化服の全体に浸透してゆく。
「状況は?」
アリスがスタッフに確認する。
「イブ=轟さんが適切に誘導してくれているので、被害は最小限に抑えられています。」
「今回もイブの捕縛魔砲はないのよね。ウェンディ、先に出れる?」
ともう一台のバンで充填しているウェンディに尋ねた。
「充填が90%で良ければ♪」
「お願い、時間を稼いでおいて。」
「了解。アリスが来るまでに終わっちゃうかも♪」
「無理は駄目よ!!充填が不十分な状態で戦うのだから、無理は禁物よ!!」
「判ってま~す。90%充填完了♪お先に行きまーーす!!」
ウェンディは装甲強化服なバワーを全開にするとバンを飛び出す。

「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス♪セットア~ップ!!」
翔の声が高らかに響き渡る。
バンが光の筋が天空に伸びてゆく。モンスターの視線がウェンディを追う。空中で反転し、迫り来るモンスターの一撃を薙払った。
パワー不足の所為か、今日のウェンディは防戦一方となっていた。それでも彼女の双剣はモンスターに傷を負わせている。致命的なものではないが、動きが鈍くなっていた。

「ウェンディ、コースを空けて!!」
アリスのバンから声が掛かる。見るとバン自体からもフェアリー・ダストが大量に漏れ出していた…

「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス、セットアップ。クラス・チェンジ、モード=マキシマム。バースト!!!!」
アリスがバンを飛び出してゆく。真っ直ぐにモンスターに向かう。
ウェンディは高く跳躍し、アリスに道を空けると同時にモンスターを牽制した。
アリスはそのまま、モンスターに肉迫する。腰貯めにした長剣を一旋する。

モンスターが上下に分断される。
振り返り跳躍
ウェンディ程の高さはないが、炎のようにフェアリー・ダストのまとう長剣を振り下ろすと、モンスターは更に左右に分断されていった。

体力を使い果たしたアリスが片膝を地面に落とした。
「大丈夫?」
ウェンディが駆け寄る。
「任務終了…」
アリスは仲間の腕の中に崩れ落ちた。

 

 
「しばらくは装甲強化服を脱ぎ、回復を待つんだな。」
大神健はほぼ強制的に装甲強化服を剥ぎ取られた。
「君は良く頑張ってくれた。ここらでしばらく休息するのも良いんじゃないか?ウェンディは戦力として申し分ないし、イブも戻っている。」
「最近のモンスターはウェンディのパワーでは抗し切れません。彼女が俺のようにバーストを使ってしまうと、あの脚は…」
「大丈夫だ。システムは改修して強固なプロテクトを掛けておいた。それに…」

二人の会話はドアをノックする音に中断された。
「お見舞いに来たよ♪」
「具合はどうだ?」
入ってきたのはウェンディとイブだった。
医師は彼女等と入れ替わるように部屋を出ていった。
「見舞いと言うな。まるで俺が病人みたいじゃないか?2~3日寝ていれば回復する。」
「まあココも、病室と言うよりは高級ホテルと言った方が良いかな?」
「だから、ココは病院でもなければ、病室でもない。イイ加減俺を病人扱いするのは止めてくれないか?」
「な~んだ。折角お見舞いにル・ファルコのロールケーキ買ってきたのにいらないんだ。イブ、二人で食べちゃお♪」
ウェンディがテーブルの上で持ってきた箱を開き始めた。
「あ、あたしを指し置いてル・ファルコのケーキなんて許せないわよ!!」
大神が上半身を起こそうとする。
「大丈夫よ。あんたの分もあるから…それより、今は変声機を付けてないのよ。言葉に注意した方が良いわよ。」
イブが大神の肩をポンと叩き、ベッドに寝かしつけた。
「大神さんにはボクが食べさせてあげる。」
とウェンディがケーキ皿を手に、彼の上に跨ってきた。
「はい♪あ~んして…美味しい?」
大神が「美味しい」と言うと、
「この間の約束覚えてる?今度はボクを食べてよね♪」
大神が何か言おうとする前に、ウェンディは次のひとかけらを彼の口に放り込んだ。

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)-その4-

「ウェンディ!!」
イブが声を掛ける。
「任せてっ!!」
とモンスターに突入した。捕縛魔砲でモンスターの足が止まる。
ウェンディが双剣を羽のように舞わせ、動きを止めたモンスターの触手を切り落としていった。
捕縛魔砲に絡め取られたモンスターは、巨大な切り株のように立ち尽くしていた。
「これで最期ねっ!!」
ウェンディが高々と舞い上がり、モンスターの頭上に双剣を突き立てた。
が、
その瞬間を待っていたかのように、捕縛魔砲の網の目をかい潜るように、縄のような触手が一斉にウェンディを絡め取った。
イブは拳銃を撃ちながら彼女を助けようとモンスターに近づこうとするが、拳銃ではダメージを与えられない。
その間にも、ウェンディの自由を奪った触手の一本が、彼女の股間に伸びてゆく。
「あん♪ああ~ん!!」
艶めかしい声が上がる。
敏感なアタッチメントの周辺を攻められて、厭応もなく快感に染められていた。が…
「あっ、そ、ソコは駄目!!」
彼女の目がフェイスプレートの奥で、大きく見開かれた。その時になって、ようやく身に迫った危険に気付いたのだ。
装甲強化服のウィークポイントであるアタッチメント…そこを攻撃されると電磁溶液がそこから大量に流失する。電磁溶液は彼女達のパワーの源であり、装甲の要なのだ。
最悪、そこが破壊されると、戦えなくなるどころか、身ぐるみを剥がされてしまう。そして、破壊時のショックは精神的に回復不可能なダメージを被ると言われていた。
「厭ーッ!!ダメーーーッッ!!!!」
必死に抗するが、彼女を捕らえた触手はビクともしなかった。
触手がアタッチメントから彼女の内に侵入する。
一気に抵抗する力が失われる。
「あ”!!あ、ああ~~っ♪」
ついに、彼女は快感にのみ支配される。アタッチメントの破壊も時間の問題と思われた。

その時、

「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス♪セットア~ップ!!」

新たな声が上がった。

不意に目の前に新たな女戦士が姿を現した。
戦斧を肩にモンスターを見上げた。

次の瞬間、戦斧がモンスターの巨木の幹のような胴体にめり込んでいた。
新たな女戦士が2度3度と戦斧を繰り出すと、モンスターの胴体に刻み込まれた矩形の空間が広がってゆく。
「ラスト…」
女戦士の呟きとともに、戦斧はモンスターを伐り倒していた。

 
崩れ落ちるモンスター。触手が解かれ、落ちてきたウェンディをイブが抱き止めた。
「彼女がエリザベス?」
正気を取り戻したウェンディがイブに尋ねる。が、それを確認するより先に、新たな女戦士は姿を消していた。
 

 

「もう凄いの。戦斧が振られたかと思うと、ザックザックとモンスターの堅固な胴体に食い込ませていったの♪」
「あんたがソレを見ていた訳ではないでしょう?あんたはモンスターの触手にアンアン喘いでいたんでしょう?」
ウェンディが不満の表情をイブに向けた。
「そのビデオは俺も見させてもらった。なかなかのパワーの持ち主みたいだね。」
「彼女も私達と同じなのかな?」
「俺も何も聞かされていないからなぁ。」
「きっと田舎者よ。山の中で木を切り倒してばかりいるのよ。その正体は熊みたいに髭もじゃに違いないわ♪」

ウェンディがまくしたてている所に、トントンとノックの音がした。
「失礼します。」
と白衣の女が入ってきた。
「「あーっ!!」」
ウェンディとイブの声がハモる。
「山我さんがどうかしたのか?」
大神は二人の叫びの意味が解らなかったようだ。
「お静かに願います。うちは山我悟=エリザベスです。誤解のないよう言っておきますが、確かにうちは林業を営んでおりましたが、髭はいつも綺麗に剃り落としています。」
そう言って大神の手を取り、反対の腕の内向きの文字盤を見ながら脈を取っていった。
「け、結構サマになってるのね。」
「医術の心得はあります。家業を継ぐまでは、大学でメスを握っておりました。」
「な、何者なんだ?アンタ…」
ウェンディもイブも、その先を言うことができなかった。
「うちはエリザベス。4人目の女戦士ですよ♪」

 

「次回には大神さん=アリスも参戦できると思います。が、今回はこのメンバーでの対応になりますので、よろしく。」
エリザベスはそう言ってバンに乗り込んだ。
モンスター出現の報は再度、大神の周りに全員が揃っている時にあった。
「何よ偉そうに。あんたがリーダーじゃないんだからね!!」
とウェンディが続く
「このチームに明確なリーダーなんていたっけ?」
と呟きながらイブもバンに乗った。

 
「「「フレッシュ・ビューティー。モード=マックス♪セットア~ップ!!」」」
輝く光の中から3人の女戦士が現れた。

「ボクから行くね♪」
とウェンディが飛び出す。
「ち、ちょっと!!作戦はどうするのよ。」
と引き留めようとするイブをエリザベスが制する。
「大丈夫よ、彼女なら。うちも出ますから、援護をお願いします。」
と戦斧を担いでモンスターに向かっていった。
「本当に大丈夫なのかな?」
と呟きながらも、イブは捕縛魔砲の準備を始めた。

ウェンディが空宙からモンスターに切り掛かってゆく。モンスターは前後左右縦横無尽に動きまわるウェンディを追うのが精一杯のようだ。
モンスターの意識はウエンディに集中しており、ゆっくりと近づくエリザベスには気付いていないようだった。
戦斧が振り上げられる。
ズサリッ!!
モンスターの足が一本、切り取られていた。
グラリとバランスが崩れる。
「いただきっ!!」
生まれた隙を突いて、ウェンディの双剣がモンスターの腕を切り落とす。

づぼっ!!

モンスターの胴体から出てきたのは、もう一つの頭だった。
今までの頭はウェンディを追い続け、新たな頭はエリザベスを睨み付けた。
モンスターは上半身でウェンディに対応し、下半身…足を使ってエリザベスを攻撃し始めた。
戦斧は防戦一方となる。
双剣の攻撃も届かなくなりつつあった。
「な、何よっ!!」
ウェンディが叫ぶ。
切り取られたモンスターの腕と足が再生を始めていたのだ。

 
「空けて!!」
後方からイブの声が飛んだ。
次の瞬間、捕縛魔砲がモンスターを包み込んだ。
モンスターの動きが止まる。
「先ずは!!」
とウェンディの双剣が、腹から突き出た頭を切り落とした。
エリザベスの戦斧が、脳天からモンスターを真っ二つにした。
「ウェンディ!!」
エリザベスが呼びかける。
「あの金色の玉を殺って頂戴!!」
ウェンディは返事をするより先に身体が動いていた。
パシッ!!
っと玉が破断された。
と、同時にモンスターが崩れ落ちていった…

ザ・パワードスーツ(装甲強化服)-その4の裏-

うちの開発した「素体」が、あのような形で実用化されていたとは思いもよらなかった。

確かに、ウェンディに適用したやり方は、うちの思い描いていた治療方法である。が、何も全身を被い尽くす必要はないのだ。
うちの理想としていたのは、着用している事を意識させない「ギブス」なのだ。弱った骨や筋肉を支え、日常生活に不自由させずに治癒を行う事を目指していたのだ。
それが、全身タイプのまま…あの欠点を引きずったまま装着させるなど、正気の沙汰ではない。

確かに、悪いのはうちだ。真っ先に全身タイプを作ってしまった。それも女性型をだ…
それがうちの性癖に依るものだからといって許されるものではない。例え、うちがその身に罰を受けたからといって…

 

「や、山我君なのかね?」
「はい。」
うちははっきりとそう答えた。
「試着してみましたが、体型補正・筋力アシストともに満足のいくものです。」
「な、何も、男の君がやらなくても良いのではないなね?それは女性型なんだよ。」
「女性が女性型を試験しても体型補正のデータに誤差が生じるだけす。それに、筋力アシストの検証にはコツがありますから。」
「た、体型補正って…」
「うちの身体は完全に女性となっています。室長には、最終確認をお願いしたいのです。」
「…」
「室長に抱かれるのは嫌ではありません。いえ、むしろ室長に抱いてもらいたいがために、うちはこの研究をしてきたのです。」
「山我君、君は男性なんだよ。男同士というのは…」
「今のうちは女です。ほら、股間には愛液が溜まってます♪」
うちは指を伸ばし、絡め取った愛液を見せつけた。

これまで誰にも言えなかったが、うちの性的な対象は男性であった。
それも、常に抱かれていたいという「受け」の感情しか抱くことができないのだ。これまでにも、何人か好きになった男性はいたが、がっしりとした体格のうちが「抱いて欲しい」などと言える筈もなく、ただ、好きになった男性を遠くから眺めているだけであった。
当然であるが、彼等は女性にももてていた。可愛い女の子にとりまかれている姿を見て、うちもその輪の中に参加できたら…と思い続けていた。彼女達に己を投影し、彼に話し掛け、プレゼントを渡したりする…
妄想は広がり、彼女達の一人の姿になったうちが、彼と二人だけになり、抱き締められ、キスをする…彼の部屋に招かれ、ベッドの上に倒される。胸がはだけられ、彼のために守り続けた乳房が曝される。
彼の顔がうちの乳房に埋まる。
乳首が吸われる。
「ぁあん♪」
快感の吐息を上げた途端、
その声が男の声である事に気付き、現実に引き戻された事が何度あったことだろうか?

しかし、今のうちには豊に実った乳房があった。
股間には彼を受け入れる事のできる器も出来ている。
今までに溜めてきた想いを、今ここで満たしてやるのだ。

有無を言わさずに室長をベッドに押し倒した。中身はともかくも、全裸の女性を前にして「男」の機能が反応を示さない筈がない。
うちは室長のズボンを脱がすと、肉体を重ねていた…
「ぁあん♪あ~ん♪」
オンナとしての快感がうちの肉体を貫いてゆき、頭の中を染めあげてゆく…
うちの求めていたものが現実となる。何もかもが満たされてゆく。
「ああ、良い…射して♪うちのナカを貴方ノで満たして頂戴!!」
膣を絞めると、その刺激には耐える事は難しかったようだ。室長の精液がうちの膣を満たしてゆくのを感じていた。
「ああん、あ~~ん♪」
うちは満足の嬌声をあげていた。

 
「な、何と言うか…」
自分を取り戻した室長がしどろもどろとなる。
「ご心配には及びません。試験結果を公表する際にも、室長と特定される情報は一切伏せられます。うちとの事は誰が知る訳でもありません。それにサンプルはもう少し必要ですから。」
「き、君は他の男とも寝るつもりなのかね?」
「あら♪妬いてくださっているのかしら?」
「そ、そうじゃないが…か、勝手にしろ!!」
「はい。そうさせていただきます。でも、うちのハジメテは室長と決めていました。ありがとうございました。」
ありったけの笑顔を室長に向けたが、室長は逃げるようにして部屋を出ていってしまった。

 

 
結局、うちはこの研究成果を公表するには至らなかった。
「素体」に致命的な欠陥が見つかったのだ。
それは、三ヶ月の連続装着を終えた時だった。いつものように「素体」から出たのだが、思うように脚に力が入らなくなってしまったのだ。
確認してみると、筋力アシストの数値が異様に高くなっていたのだ。「素体」に肉体が慣れてしまい、自らの筋力に頼らずとも良い事を知り、筋肉を最適化=限りなく脆弱にさせていたのだ。
それは筋肉ばかりではなかった。骨も細く、脆く、柔らかくなっていた。柔らかくなったことで、体型補正の効果により骨盤の形状が女性のものになってしまっていた。
もちろん、骨ばかりではない。筋肉、贅肉までもが補正された形状に固定されてしまっていた。
すなわち、うちの外見は「素体」なしでも十分に「女」に見えるようになっていたのだ。

うちは、それを「罰」として受け止めた。これは今の世にあってはならないモノなのだ。己の欲望のために科学を弄んだうちに、神が与えた「罰」に違いなかった。
元の姿に戻らない限り、この研究成果は公表できない。そして、うちは元の姿に戻ろうと思う事はなかった。
うちは「素体」を封印し、実家のあった山に戻った。
自然の中でリハビリを行う事で、骨の脆さも筋肉の弱さも回復する事はできた。が、体型だけは元に戻る事はなかった。

 

山に篭もり、人と会う事を避けていたうちに「会いたい」との連絡があった。
室長だった。
「素体」が「装甲強化服」と名前を変えて使われている事を知らされた。
バーストによる身体への影響、ダメージからの回復…「素体」の開発者であり、医学の心得のあるうちへの協力要請であった。
「それから、君にも戦闘に参加してもらう事になる。」
室長はそう言った。
「いろいろと盛り沢山な事ですね。」
「無理は承知だ。が、君にしか頼む事ができないのだ。」

「わかりました。けど、一つだけ条件があります。」
うちは長い時間考えた末にそう言った。
「もう一度…」
室長と眼を合わせる。
「もう一度、うちを抱いてください♪」

「わかった…」室長は大きく頷いた。
うちは大きく膨らんだままのバストを包むブラウスのボタンを外していった…

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