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2010年8月29日 (日)

お面

ふらりと立ち寄った店に並んでいたのは、リアルなお面だった。

夜店に並ぶ、子供向けのアニメキャラクターでも、著名人の特徴を捉えてデフォルメしたものでもなかった。
そこに並んでいた顔は、本人から型を取ったとしか思えない程精巧であった。どうしてそこ迄言えるかと言えば、これらのお面は皆、毎日ボクが顔を合わせている身近な人達の顔であった。
いるのかいないのか分からないヒルアンドンの仲村課長、小言ばかりの須崎チーフ、イロイロと指導してくれる藤堂先輩、何かと突っかかってくる一つ下の後輩の室田、いつも笑顔でボク達に安らぎを与えてくれる紅一点の涼子さん…
ボクの所属する三課のメンバーの顔が並んでいたのだ。
「どうだい?どれか欲しい顔はあったかね?」
店主と思われる白髪の老人が声を掛けてきた。
「試しに、コレを着けてみるかね?」
と涼子さんのお面が手渡された。

鏡の前でお面を着ける…

鏡に写っているのはワタシだった。
…って、ココはどこなの?確か藤堂さんとホテルに来ていたのに!!
それにこの服…会社の制服を着たままなんて…あ、あり得ない!!

戸惑っているワタシ…ボクの顔から、お面が外された。
「どうだったね?」
と店主が聞いてきた。
「ボ、ボクは涼子さんになっていたの?」
「まあ、そう言う事じゃな♪お面を着ければ、その人物に成り切る事ができる。記憶もそのままだから、何を考えていたかまで、手に取るように判ってしまう。」
つまり、涼子さんは藤堂先輩と大人のカンケイを持っていたと言う事なのか?
「使い方はイロイロある。どうだね?ひとつ買っていかんかね?」

ボクは再び並んでいるお面に目を向けた。
そこにはボクを除く三課のメンバーが全員揃っていた。
「これは?」
とボクが手に取ったのは見知らぬ女の子の顔だった。彼女ただひとりだけが三課のメンバーではない。
「はて?いつの間に紛れ込んだんじゃろう。」
と店主も不思議がっていた。
「じゃあ、これを貰うよ♪」
ボクは女の子のお面を手にして店を出た…

 
どこをどう歩いていたのだろう?いつの間にか、マンションのボクの部屋の前に立っていた。
カギを出してロックを外しす。ドアノブを手にして、一瞬躊躇した。イタズラ心がボクを支配していたのだ。

ボクはお面を着けていた。

「タダイマ♪」
ドアを開ける。もちろん誰もいない。ここはアタシの部屋…アタシが独りで住んでいる。
まあ、気分みたいなモノで「おかえりなさい」なんて言葉を期待している訳ではない。
それに、この先、結婚なんてしようものなら、常にアタシが「おかえりなさい」を言わないといけなくなるのだ。
良い妻、良い母はそうでなくてはいけない。

アタシは服を着たまま、ベッドによこたわった。

(涼子先輩は藤堂先輩とホテルに行っているんだ…)
アタシは藤堂先輩に憧れていた。涼子先輩ならお似合い…だけど、やっぱり悔しい。
今頃は藤堂先輩に抱かれ、甘い言葉を囁かれているのだろうか?それとも、激しく淫れ、野獣のようにお互いを求め合っているのだろうか?

ジッ…と股間のクロッチを湿らすものがあった。
アタシの子宮が疼いている。膣壁からは愛液が染みでてきている。

「涼子…」
藤堂先輩が涼子先輩を呼んでいる。アタシは涼子先輩になったつもりで藤堂先輩の声を聞いていた。
「涼子…」
彼の手がアタシの胸を揉みあげる。
「あああん♪」
快感にアタシは喘ぎ声をあげる。
彼に促され、股間を広げる。彼の手が内股を撫であげ、腰を割り込ませてくる。
アソコにペニスの先端が触れている。
「いくよ♪」
彼の声とともに、アタシのナカに入ってくる。彼のモノでアタシが満たされる…
「あん、ああん…イイわぁ♪」
彼が動き、アタシが喘いでいる。
快感は次第に高みを目指し、彼の動きも早くなる。
「あぁ、イッちゃいそう…」
「ぼ、僕もだ…」
「お願い♪アタシのナカに全部射してちょうだい!!」
「あ、ああ。イくよ!!」
アタシの膣に、子宮に、彼の精子が満たされてゆく…
「あ…ああ、シアワセ…」
アタシは絶頂の果てに意識を失っていた。

 

朝、目が醒める。
夕べは服を着たまま眠り込んでしまったようだ。着替えて、顔を洗い、会社に向かう。
「おはようございます。」
そう言って席に着くが、視線は藤堂先輩と涼子先輩を追ってしまう…

ポカリッ!!

書類を丸めたので頭を叩かれた。
須崎チーフだった。
「仕事に集中できないなら…って無理だよね。二人して部長の所に行ったって事は、決めたって事だよね。」
ボクは須崎チーフを見上げた。
厳しいヒトだけど、優しさも持っている事が解った。
「良かったら、今夜飲みに行かないか?」
そう言って見せた笑顔がトテモ素敵に見えた。

ポロリ…

ボク…アタシの顔からお面が剥がれ落ちていった。

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