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2010年3月26日 (金)

掴まれた秘密(1/3)

俺は無意識のうちに、自分の胸に手を伸ばしていた。
そこには、暖かく弾力のあるモノがあり、それに触れる事で、俺は落ち着きを取り戻すのだ。

しかし、その物体は決して「お守り」の類ではない。それは、俺の肉体の一部であり、そして、通常は男性の胸には存在しない筈のモノ…乳房…であった。

最初は俺自身の肉体の変化に戸惑っていたが、こうやって胸に手を当てて、ゆったりと揉んでやると気持ちが落ち着いてくる。その事が解ってからは、俺は自分の肉体の変化を受け入れる…とまではいかないが、それを無視できる位にはなっていた。

仕事に煮詰まった時、人間関係が上手くいかなかった時、俺は胸に手を入れる。
揉んでいると何もかもを忘れさせてくれる。
次第に乳首が勃起し、感度が増してくる。「ああん♪」と切ない吐息がこぼれてくると、ジクジクと股間が潤んでくる。
ズボンのチャックを下ろしてパンツの中に指を差し込む。既に俺の股間からは指の侵入を阻む邪魔者は姿を消していた。しっとりと濡れた谷間に指先を進ませてゆく。
淫汁が指にからみつく。
指先が温かな肉壁に圧し包まれるのを感じると同時に、俺は自分の内に侵入してくるモノの存在を感じていた。

「あん、ああん♪」
俺の口を突いて出るのは、女の媚声以外の何物でもなかった。
やがて快感の荒波が、俺を高みへと押し上げてゆく。一旦引いては、再び俺を放り上げる。
俺は絶頂に達する。
頭の中が真っ白に塗り潰され、快感の引き潮に身を任せ、表現し難い浮遊感の中に漂う。

やがて、自らの指だけでは満足できなくなってくる。
胎内の疼きを鎮めるモノが欲しくなる。俺は枕の下からバイブレータを引き出した。
男根を擬した棒状の部分を股間に当てがう。ローションは不要だ。俺の淫汁だけで充分に滑りが良くなる。
そのまま、俺の中に挿入してゆく。それは指よりもはるかに太く、その存在感を俺に伝えてきた。

充分に呑み込んだ所でスイッチを入れる。
俺の中でバイブが蠢き始めた。
「ああん、あん、ああん♪」快感に身を悶えさす。空いた手で胸を掴み揉み上げる。
「ああん♪イクゥ…イッちゃう~!!!!」

俺は快感に満たされ、ベッドの中に沈んでゆくのだった…

 

 
俺の肉体が「女」になっている事を知る者は誰もいない。
仕事に出かける時の俺は男物の服を着て、胸の膨らみも目立たないように押さえている。
声も女声にならないように気をつけている。尤も一人称は「俺」のままだったので、口調を気にする必要はなかった。

それでも、少しでもバレないように他人との接触は極力避けていた。仕事時間内は打ち合わせ等をパスする訳にもいかないが、アフター5の誘いはすべてバスしていた。その所為で、付き合いが悪いと言われるようにもなった。
アフター5を断っているのは、同僚に酒が入るとやたらに触りまくる奴がいるからだ。そいつは、男だろうが女だろうが構わずに触ってくるのだ。目立たないようにはしているが、胸に触れられれば、そこが普通でない事はすぐに判ってしまう。

しかし、そんな努力もいつかは破綻する。
その日は運悪く事故で電車が遅れてしまったのだ。
普段なら余裕で新聞も読めるのだが、遅れを取り戻そうと強引に乗り込んで来る人々ですし詰め状態になってしまった。
俺は腕も動かす事もできずに、人の間に挟まってしまった。そして、俺の前に立っていたのは偶然にも、同僚の女の子だった。
俺の胸が彼女の背中に押し付けられた。電車が揺れる。その間に彼女が振り返った。
そこに俺の顔を認め、驚いた表情を浮かべた。その顔は俺の胸が膨らんでいる事をはっきりと確認したと言っているようであった。

駅に着き、人の流れに圧されて彼女とは離れ離れになってしまった。仕事場に着いても、なかなか話をする機会がない。
ズルズルと5時を回ろうとしていた。

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