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2010年1月27日 (水)

姫(2/2)

「お久しゅうございます。」僕の前で深々と頭を下げたのは、僕をこの世界に召喚した魔道士のグスタフであった。
「このたびは、ご懐妊おめでとうございます。」
そう、僕のお腹には夫との子供ができていたのだ。男であった僕が妊娠し出産する事になるなど、この世界に来るまでは思いもよらなかった事だった。
「身代わりとしては十分過ぎるお勤めでしたな。しかし、子供が産まれるのは不味い。姫様の外見は与えられても、その子供にまで影響を与える事はできないのです。生まれた子供が王族の血を引いていない事はすぐにも明らかになる。」
「つまり、遺伝子までは変えられないという事?」
「あんたの世界でどのように言われているかはどうでも良い。とにかく、今後の策を考えてきた。」
「堕せと言うの?」
「堕すのは難しいな。胎児が他人の目に晒された時点で問題となる。もちろん、姫様にお亡くなりいただいても同じ結果となるだろう。」
僕が殺される可能性があったと聞き、それがなくなった事で取り敢えずほっとする。
「幸いにも、王子はあんたを溺愛している。それも国政を疎かにする位にな。その隙に、我々は既に血縁による友好関係に頼らずとも良い程に力を蓄えることができた。」
「つまり、僕はもう用済みと言う事?」
「あんたが妊娠していなければ、戦のどさくさに口封じして終わりだったんだ。まずは、あんたに無事に脱出してもらわなければならない。その上で、この世界から完璧に消えてもらう。」

 

魔道士の告げたように、程なくして戦が始まった。僕は魔道士の息の掛かった侍女に導かれ、国を脱出した。辿り着いたのは、僕がこの世界に召喚された洞窟だった。
侍女が去り、あの時と同じ面々が顔を揃えていた。
「ここから、あんたを元の世界に送り帰す。時間がないので、お腹の子の事まで構ってやれないからな。」
魔法陣に向かっていた僕は、その言葉に魔道士を振り返った。
「だ、駄目!! この子を失うくらいなら、この世界に残して下さい!!」
「それは出来ない相談なんだよ。」
「でも…」
僕の言葉は最後までは届かず、僕は元の世界に飛ばされて行った。

 

 
僕は柔らかな土の上に転がっていた。目の前には急坂の階段があった。
あの時…僕はこの階段の頂上近くから落ちていったのだ。
僕は再び、この場所に…元の世界に戻ってきたのだ。

立ち上がり、服に付いた土を落とした。服もまた、あの時のまま。そして、僕の姿も…向こうで女にされ、妊娠までした体も…元の男の姿に戻っていた。
では、お腹の子はどうなったのだろうか?

(大丈夫よ)
僕に囁き掛ける女の子の声があった。辺りを見回したが誰もいない。
(あたしはココ。ママと共にいるわ。)
君は?と、内なる声に聞いてみた。
(あたしは生まれる筈だったママの娘よ。この世界に戻る時にママと融合したみたい。)
お腹の子はまだ赤ん坊にもなっていない。赤ん坊でさえそこまで理解できるだろうか?
(融合した事でママの知識をも共有したみたい。)
それでちゃんと話が出来るのか…と僕は納得していた。

 

自分の家に戻る。家も部屋の中も全ては召喚される前と同じだった。
しかし、僕自身は召還前と同じ…という訳にいかなかった。
それは、夜になり明らかになった。夜が訪れると同時に肉体が疼くのだ。
妻として抱かれる毎日が僕の肉体に女の快感を刻み込んでいた。男には存在しない器官が快感を欲して止まない。この肉体が女のままであれば、鎮める手だてもある筈である。が、今の僕は本来の姿を取り戻している。
もどかしくも、股間に指を立てるが、何の役にもたたない。
何とかならないのか?

(何とかできるかも…)
僕の心の叫びに娘が応えた。
(ママのあちらの世界での姿を取り戻す事はできないけど、ママの肉体にあたしの姿を投影する事は可能だと思うの。)
投影って?
(百聞は一見に…て言葉もあるわよね。やってみるからママは気を楽にしていてね♪)
僕の頭の中で彼女が呪文を唱えていた。何と言っているのかはさっぱり解らないが、次第に身体が火照ってきた。
目の前で僕の胸が膨らんでいった。懐かしい乳房の感触…僕は直に指先で触れてみた。
乳首がある。あの時の快感が蘇る。
僕はズボンの中に手を差し込んだ。ソコにもまた変化は訪れていた。
指が膣に入ってゆく。
できればもっと太いモノが欲しかったが、それでも疼きを鎮めるには充分だった。
「あぁ、良いわ…」
自然と女言葉が口を突く。指を出し入れしていると、愛液が滲んできた。快感が増してゆく。「アアアン♪」と躊躇いもなく、僕はオンナの艶声を迸らせていた。

 

(ママ。本当に良いの?)
僕は鏡に映る娘の姿に向かって言ってやった。
「この世界では僕は男以外の何者でもないんだ。たまたま君の魔力で女の姿になってるけど、それは本当の僕じゃない。それにこの姿は君自身の姿に他ならないのだろう?ならば、この身体は君が使うべきなんだ。」
ほら!!と頭の中で彼女に伝える。
「よ、良いの?」
彼女が初めて言葉を口にした。
(そうだよ。これからは君がこの身体を使うんだ。)
「良いのね?」と彼女は鏡の前で服を脱ぎ始めた。
「これが、あたし…」
彼女は自らの裸体に指を這わせた。
「ぁあん♪」と彼女が喘いだ。
快感が僕にも伝わってきた。
(ぁあ、もっとお願い…)僕の声に彼女が応える。
彼女が呪文を唱えると、掌に逞しい男根が現れた。
彼女はゆっくりとそれを股間に導いてゆく。
「アアアン♪」(アアアン♪)
二人の媚声が重なっていった…

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