« 人魚伝説 | トップページ | 生きるとは…(前) »

2009年9月 1日 (火)

生きるとは…(後)

トントンとドアがノックされた。
「アリサ。食事の支度ができたよ♪」と声を掛けられた。
「ハイ、パパ。今行くわね。」あたしは化粧道具を片付けると、リビングに降りていった。
「どうしたんだい?えらく女かし込んでいるじゃないか?」とパパに言われた。自分でも外に出る予定もないのに、何でお化粧しちゃったんだろう?
「別に良いよそのままで。今夜の食卓が華やいだ感じになる。」とパパに言われ、そのまま席に着いた。

あたしの前に置かれていたのはスープ皿に注がれた流動食だった。あたしの内蔵はまだ再生しきっていないのだ。
スプーンに掬って口に入れた。何日ぶりの食事だろう?あたしが…

「あたし」??

何で僕の一人称が「あたし」なんだ?
僕は崖から落ちて、死に損ねて、この男に蘇生させられた。
肉体が再生され、今日ようやく病室を出られたのだ。
彼が食事の準備をしている間、僕は彼の娘の部屋にいたのだ。
そこで何をしていた?
知らない筈の引き出しの中身、知らない筈の化粧の仕方、彼の事をパパと呼び、自分を「あたし」と言っていた。

「貴方は僕に何をしたのですか?僕の記憶に何で女の子の記憶が混ざり込んでいるんだ?」

 
「おや、自我を取り戻してしまいましたか。アリサが…娘が戻って来てくれたと思っていたのですが、残念です。」と言いながら、ステーキをパクついている。
「君の肉体を再生する際、アリサの細胞を少々混ぜ込ませていただきました。言ってはなんですが、君は私のアリサを再生させる為の実験動物なのです。」
僕はその言葉に固まってしまった。
「君は法的には、既に死んでいます。ご実家には位牌が供えられ、お墓には遺骨が埋葬されています。もちろん、私が再生した君の死体なのですがね。」
彼はステーキの肉を切り分けた。
「今の君には人権はありません。食べられるために生かされて家畜と同じです。生かすも殺すも所有者の意思のまま…」
とフォークに突き刺した肉を口に運ぶ。
「実験は成功したと言える。君も言ったように、再生した肉体にはアリサの記憶が宿っている事が確認できた。肉体的にもアリサを完全に再生する事ができた。」
「完全に…ってどう言う事?外見は僕のままに見えるんだけど…」
「君は本当の自分の顔を覚えているのかい?君には少々暗示を掛けさせてもらっている。鏡に映った顔が自分のものだと信じさせるのもその一つだ。」
「えっ?」と僕は記憶の糸を辿ってみた。本来の自分の、男である筈の顔が靄の向こうに隠れている。今はアリサの顔が元々の顔であったと感じてしまう。
「もう一つ。君は裸の自分を思い出せるかね?今の君の股間におちんちんが付いていた覚えはあるかい?」僕は慌ててスカートの上から股間に触れてみた。
(無い?!)
ワンピースを着る前にショーツを穿いた記憶はある。その時、僕の股間にペニスはあったっけ?
「今の君には、子宮も卵巣も存在する。しばらくすれば生理も始まるだろう。今の君は100%女の子、そして私の娘アリサなのだ。」

「違う!!!!」

僕はそう叫んで席を立ったが、同時に貧血を起こしたようで、目の前が暗くなると同時に、その場に崩れ落ちていた。

 

 

僕はぬいぐるみに囲まれたベッドで目覚めた。
布団の下でゆっくりと股間に手を這わした。ショーツの上からでも、そこにあるべきものがないのが解った。
布の下には、秘洞に続く割れ目の存在が確かめられた。手をショーツの中に入れ、割れ目に沿って指を這わす。そこはほんのりと湿り気を帯びていた。
(これが女の子の?)
何よりも好奇心が勝っていた。それに、これは僕自身の体なのだ。誰に遠慮がある訳でもない。
僕は指を立てると、割れ目の中に挿入していった。

(!!)

僕は僕の下腹部に侵入してくる異物を感じた。
それは指先から伝わる女の秘所に触れているという感覚よりも、遥かに刺激的であった。
(女の子はこういう風に感じるんだ…)
僕は膣に挿れた指をゆっくりと動かした…

「あふ…んんぁ…あん♪」
僕の口から艶めかしい喘ぎ声が漏れ出していた。指を動かしていると「感じる」所が解った。ソコを弄ると物凄く気持ちが良い。
気が付くと、僕は何度も昇り詰めていた。

 
心地よい余韻に浸っていると、いつの間にか彼がベッドの脇に立っていた。
僕の頭は霞が掛かったようになっていて、その事を認識はしたが、それに伴う行動を起こせないでいた。
「どうだい♪女の肉体は?」と卑しい笑みを浮かべている。
「それは、本来なら君が一生をかけても知ることのできない快感なのだよ。」彼は布団を剥ぐと僕の腕を掴んだ。僕の内から指が抜けてゆく。
「愛液も充分に潤っているようだね。それでは君にも本物を味あわせてあげよう。」と彼は僕を裸にし、その上に伸し掛かってきた。
脚が抱えられ、股間が広げられる。彼の股間に起立したモノの先端が僕の股間に触れていた。
「いくよ♪」
声と共に、ソレは僕の股間に割り込んできた…

 

 
僕の体は順調に回復していった。
僕の…と言うより、アリサの肉体と言った方が正しいのかも知れない。
胃が食物を受け入れるようになって、僕の肉体は急速に「アリサ」の姿を取り戻していった。
皮下脂肪が溜まり、女らしい肉付きになった。特に胸の成長が著しかった。
僕の胸は本来のアリサよりワンサイズ大きいようだ。彼女の服を着ると胸の部分が窮屈に感じる。
体の内側も回復し、彼が言ったように、生理も訪れるようになった。
定期的に繰り返す「女」の周期が僕にあるという事は不思議な感覚であった。

 
表面上、僕は彼の娘の「アリサ」として生活することになった。
しかし、アリサは本当に彼の「娘」だったのだろうか?
彼は毎夜のように「娘」の肉体を求めてくる。僕には、それを拒絶する権利はなかった。
その快感は、僕自らが彼にねだるようにもなっていた。

怠惰な日々が続く。

時々、これで良いのか?と思うこともある。
しかし、これ以外の選択肢を僕は持っていない。なぜなら、僕は「死んでいる」人間なのだ。
だから、僕は与えられた仮初めの生の中で満足できれば、それで良いのだ。

 
あぁ、パパが呼んでいる。
あたしは「ハ~イ♪」と返事をしてスカートを翻した。

« 人魚伝説 | トップページ | 生きるとは…(前) »

コメント

いつの日にか「パパ気持ち悪い」とかいって洗面所に駆け込むのですね。
そんな様子をみてニヤニヤ喜ぶパパの姿があるのですね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 生きるとは…(後):

« 人魚伝説 | トップページ | 生きるとは…(前) »

無料ブログはココログ