« 無題 | トップページ | カンバス »

2009年9月 1日 (火)

木漏れ日の中…

木漏れ日の中を歩いてゆく。
狭い森の中の路ではあるが、舗装されていて歩き易い。
今朝も気分が良かったので、お化粧もしないで散歩に出ていた。

季節外れの別荘地には殆ど人がいない。特に朝早い時間であれば、道を歩いていてもすれ違う人などまったくいない。
人によっては淋し過ぎると言うが、ひきこもりであった僕には、願ってもいない状況だった。

 

僕は、それまでは単なるひきこもりの「男の子」だった。
転地療養を勧められたのは、もともとのひきこもりに加え、突然「女の子」になってしまったことがある。
女の子としての生活に慣れることと、少しでもひきこもりを改善することが、ここでの僕に与えられた命題だった。

一つ目の命題は、ほとんど強制的に克服されるようになっていた。
置いてある服は全部スカートだった。僕はこれを着るしかない。そして、女の子の服を着ていると、自然と女の子らしい仕草になってくるのだ。

部屋の中にはテレビもラジオさえも置かれていなかった。あるのは女の子向けのファッション誌や、手芸用品などばかりである。ひきこもりで部屋の中にいるとする事が何もないのだ。
暇を持て余し、鏡に顔を映していた時、ふと口紅が目に止まった。

気紛れが僕の唇に口紅を塗っていた。

ただそれだけだったのに、僕の顔は可愛らしい女の子になっていた。
鏡の周辺には様々な化粧品と化粧の仕方を図解した小冊子が置かれていた。
僕は暇潰しにいろいろなお化粧を試してみた。化粧だけでなく、髪型も変えてみる。
アクセサリーを付けてみる。雰囲気に合わせて洋服も変えてみた。
鏡の中には様々な女の子が現れた。

そこにいたのは、ひきこもりの男の子ではなかった。
快活そうな女の子がそこにいた。この娘は部屋の中ではなく、太陽の下にいるのが似合っている。
僕はサンダルを履いて外に出ていた。
二つ目の命題も変則的ではあるが、解決の方向が見えてきたようだ。

 

僕はちょくちょくこの娘を外に連れ出すようになった。
しっかりとお化粧をしたら、もう「僕」ではない。
ひきこもりの男の子ではなく、普通の女の子…街の中にいても恥ずかしいことは何もない。
バスに乗って街に出る。街の中をぶらつく。気に入ったアクセサリーを買ったり、ブティックで服を選び、試着してみる。歩いていると男の人に声を掛けられた。
何度かは断っていたが、この人なら大丈夫と思える人の誘いには乗るようになっていた。

喫茶店でコーヒーを飲みながらお喋りを楽しむ。もっとも、僕には話すような話題がないので、専ら聞き役に回ってしまう。それでも、相槌を打ったり、面白い話しに笑ったりしているだけで、相手は満足しているようだった。
コーヒーを飲むだけだったのが、ゲームセンターで遊んだり、カラオケに行ったりし始めると、親密度が増してくる。
彼が僕の事を友達に紹介するとき、「この娘、俺の彼女♪」等と言っている。
確かに、並んで歩く時にも手をつないでいるので、端から見ても恋人同士に見えたに違いない。

 

僕は今、ホテルの部屋にいた。
何でここにいるのか?と自問してしまう。部屋の真ん中で固まったように立っていると、彼の手が背中のファスナーを下ろしてゆく。
これから何が始まるのか?「男」としての僕の意識は、彼がこの娘を抱こうとしていると理解していた。
「女」としての僕は、まだ何が起きるのか理解していない。

髪を団子にして止めていた櫛が外された。
髪の毛が肩に広がる。
「セクシーだね♪」
僕は下着姿を彼の前に晒していた。恥ずかしさが湧いてくる。「見ないで」と言おうとした口が彼の唇で塞がれた。
両腕の外から、彼に抱き締められる。彼の舌が僕の口の中に入ってくる。押しつけられた下半身の間で、彼のペニスがビクビクしていた。
唇の次には、彼のペニスが僕の中に入ってくる…漠然と、そんな事が頭に浮かんだ。

膝が震えていた。
脚に力が入らない。
崩れ落ちる身体を彼の腕ががっしりと支えていた。

「感じ易いんだね♪」僕は彼に抱え上げられ、そのままベッドに運ばれていた。
彼の手でショーツが下ろされた。
「固くなってるね♪初めてなのかい?」

僕はどう答えたら良いのか解らなかった。もちろん、男の子としてもSEXの経験はなかった。
「力を抜いてね♪」
彼の掌が僕の股間に当てられた。指が溝の上で小刻みに蠢いていた。
「あ、ああん♪」もう一方の掌が性感帯を探して僕の肉体を隈なく触れて回っていた。むず痒さの中に快感が目覚めた時、僕は思わず喘ぎ声を上げてしまった。

「ほら、濡れてきただろう?これはキミの愛液だよ♪」
初めての快感にボーッとしながら彼の声を聞いていた。
「少し痛いかも知れないけど、すぐに気持ちよくなるからね。」
彼が伸し掛かってきた。
「いくよ♪」
僕の内に彼が侵入してきた。

(イタイ!!)

その痛みに僕は声すら上げる事ができなかった。「力を抜いて!気持ちを楽にするんだ。」そう言いながらも、彼は腰を動かし、更なる痛みを僕に与え続けた。
僕の目から涙がこぼれていた。

そして、僕は何も感じなくなった…

 

 
いつの間にか彼はいなくなっていた。
サイドテーブルに数枚の紙幣が置かれていた。
「女」の僕には、それが何を意味するか解らなかった。
起き上がると、膣の中から精液がこぼれ落ちていった。
シーツに赤い染みが付いていたのに気付くのはそれからしばらくしてからだった。

 

 
僕はふたたびひきこもりになった。
それでも、天気の良い日は家の周りを散歩している。

木漏れ日の中、ふと、僕は立ち止まった。
ゆったりとしたワンピースの前で両手を組む。
膨らんだお腹を抱えて空を見上げた。
キラキラと木の葉が輝いていた…

« 無題 | トップページ | カンバス »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 木漏れ日の中…:

« 無題 | トップページ | カンバス »

無料ブログはココログ