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2009年9月25日 (金)

家庭教師

 

「ヨシカズ君♪送っていくよ。」

ヒロアキさんの部屋を出ようとすると、彼が後ろから付いて来た。
「大丈夫ですよ。ボクは女の子じゃありませんから。」
「なら、尚更だね。その格好は襲ってくださいって言っているようなものだ。その中身が男の子だとバレたら、只じゃ済まないと思うよ♪」

ボクは自分の姿を見下ろしてみた。胸元の赤いリボン、お尻から太股を覆うスカート。足元の青いソックスとの間には白い生足が輝いている。
ボクは姉さんのお古の制服を着ているのだ。

「着替え、持って来れば良かった…」そう呟いてもあとの祭りであった。
「そういう事だから、素直に送られなさい♪」
ボクはコクリと首を縦に振っていた。

 

姉さんの家庭教師をしていたヒロアキさんとボクの関係はかなり前に遡る。
出身校の文化祭にきたヒロアキさんが僕と出会ったのは、それこそ偶然であった。ボクは彼の事など覚えていなかったが、姉さんの家庭教師としてボクの前に再び現れたのは偶然ではなかったのだ。
ヒロアキさんは合法的にボクの家に入り込み、ボクに近づくために姉さんの家庭教師になった。もちろん家庭教師の腕は確かで姉さんの成績はみるみる上がり、かつ、女の子を教えているにも係わらず不純な目で姉さんを見ることもなかったので、両親も彼を大変信頼していた。
だから、姉さんが大学に進学した後もたびたび家に訪れても、誰も不思議とは思わなかった。

その日は両親が二人揃って温泉旅行に出かけていた。姉さんも親の目が届かないのを幸いに「今夜は帰らないからね♪」と新しい彼氏と出かけていってしまっていた。
ドアベルが鳴った。「先生?今日はだれもいませんよ。」
「今日は君に用があるんだ。」と紙袋を手にしたヒロアキさんが入ってきた。
その瞳がいつもと違った輝きを発していたのを今でも覚えている。

 

「君は僕の事をどう思っているのかな?」
居間に案内し、冷蔵庫にあった飲み物を二人分のグラスに注いで持って行くと、ヒロアキさんはボクにそう問い掛けてきた。
「どうって、貴方は姉さんの家庭教師でしょう?」
「それには元が付くけどね。」
ヒロアキさんはボクの運んできたグラスを手に、一気に飲み干した。
「端的に言おう。僕は以前から君の事が好きだったんだ。僕は君と付き合いたい。僕を受け入れてくれることはできないか?」

ボクは頭の中が真っ白になってしまった。
「せ、先生は男で、ボクも男ですよ…」
「僕が好きになった君がたまたま男だっただけだ。男同士に問題があるのなら、一方が女になれば良い。それなら問題ないだろう?」
「そう言う問題では…」とボクが煮え切らないでいる間に、ヒロアキさんは紙袋の中から何かを取り出すと、ボクの頭に被せた。
「ほら、これなら問題ないだろう?」と手鏡をボクに向けた。
「?」鏡の中には姉さんに良く似たロングヘアの女の子がいた。

「これを着てみてくれないか?」と紙袋の中から何かを取り出した。シャツのボタンが外された。袖から腕が抜きとられる。上半身を裸にされたところで、紙袋から取り出されたものを被せられた。
腕が袖に通される。ゴムが入っているのか、上腕が締め付けられる。
「立ってみて。」と言われ立ち上がると、腰のまわりに掛かっていた部分が下に落ちていった。
チーッと背中のファスナーが上げられた。
ボクの腰を覆う布の中に手が入ると、ズボンが脱がされた。
「こっちに来てご覧♪」と玄関脇の姿見の前に立たされた。
そこに居たのは「女の子」だった。
「これなら良いね♪」とヒロアキさんの顔が迫ってくる。反射的に目を閉じていた。
ヒロアキさんの唇にボクの唇が塞がれていた。
ゆっくりと目を開けると、鏡にはヒロアキさんに抱かれてうっとりしている女の子が映っていた。
(ボクは女の子だったの?)

 

 
ヒロアキさんの部屋にはボクに着せる為の服が沢山あった。
家族には「ヒロアキさんの所で勉強を教えてもらっている。」と言ってヒロアキさんの部屋に入り浸っていた。
月謝と言って親が持たせてくれたお金はすぐにボクの=女の子の服に変わっていた。

一応は勉強も見てくれているので成績が下がる心配はなかった。(もちろん勉強を始める前からボクは女の子になっていた)
勉強が終わるとお楽しみのひとときがやってくる。
ボクは鏡の前でお化粧をして「女の子」から「女」に変身する。気分によってはもう少しセクシーな服に着替えてみる。
胸元が広く開いた服を着るときは、ヒロアキさんが買ってくれた疑似バストを貼り付ける。
(自前の胸でココが埋められるようになればなぁ…)と思うのは、ボクの内面も女の子になってしまったのかも知れない。

ベッドで待っていたヒロアキさんの前に跪く。
「今夜も可愛いね♪」その一言だけで嬉しくなる。
「イッパイご奉仕するね♪」とすでにパンツの前を高く突き上げているヒロアキさんに触れた。
「もうコんなに硬いの?」パンツのゴムを力一杯引いて、中から出してきた。
口の中で舌を湿らせ、舌の先でヒロアキさんの先端に触れた。
ピクリと脈動する。
頭の所を舌でまんべんなく唾液を刷り込んでいった。
フウと息を吹きかけると「オゥ?」とヒロアキさんがうめいた。

口の中に入れる。唇で圧力を加えながら前後に動かす。先端を喉の奥まで送り込む。
苦しいが、ヒロアキさんが喜ぶ顔が見たかった。
「お、おうっ」とヒロアキさんがうめく。熱い塊がシャフトの中を昇ってくる。
ボクの口の中にヒロアキさんのセーエキが放たれた。大部分は飲み込む事ができたが、一部が口の端から垂れてきていた。
「良かった?」とボクが聞くと、
「上等だよ。」と微笑んでくれる。
「今度は僕がしてあげるね♪」とボクをベッドにうつ伏せにすると、スカートの中からショーツを剥ぎ取った。
「もうヌレヌレだね♪」本物の女の子ではないボクは愛液で股間を濡らすことはできない。先走りの汁がショーツを濡らしていた。
ひんやりとしたローションがボクのお尻に塗り込まれた。
「ああんっ」と淫声が出てしまう。ヒロアキさんの指がお尻の穴に差し込まれたのだ。条件反射のように力が入る。
「おお、良い締まり具合だ。」ヒロアキさんはそこでもぞもぞと指を動かすと、スッと抜きとってしまった。
「あん♪」ボクのお尻が彼の指を追いかけた。
「大丈夫。これからお望みのモノをあげるからね。」とヒロアキさんの手がボクの腰を固定した。
ヒロアキさんの先端がボクの入り口に触れていた。女の子ではないボクのただ一つの女の子の口に、ヒロアキさんが潜り込んできた。
「あ、ああ。イイ~!!」
ボクの内にヒロアキさんが在った。ボクは全身でヒロアキさんを包み込んだ。
「動くよ♪」
ヒロアキさんがボクの内で動いている。快感が広がってゆく。
ボクはヒロアキさんのモノで何度もイかされていた…

 

 
ドアのベルが鳴った。
カチャリとドアが開く。
「先生、いらっしゃい♪」と言った母さんの笑顔がボクを見て蔭っていった。
「お姉ちゃん…じゃないわね。ヨッちゃんなの?!」
ボクは「ただいま…」とだけ言った。
「とにかく、中に入りなさい!!」とボク等を引き込むとドアを閉めた。

ボクは姉さんの制服を着たまま、ヒロアキさんと並んでソファに座っていた。
向かい側には父さんが座っている。
「結婚を前提にお付き合いさせていただきたいと考えています。」
正面の父さんを見つめてヒロアキさんがしっかりとそう言った。
「ヨシカズ。お前はそれで良いのか?」と父さんがボクを見つめた。
ボクは「ハイ」と答えていた。
「ヨシカズも、こんな姿はしていても、もう一人前の大人だ。あれこれ口を挟む訳にもいくまい。」
と、父さんは滅多に吸わないタバコに火を付けた。

「時代も変わったな。息子を嫁に出すとは思わなかったよ。」
父さんがタバコの煙を吐き出すと同時に、緊張していた空気がほぐれていった。
「大学はどうするんだ。」
「結婚は卒業を待ってからにしたいと考えています。彼にもまだ学ばなければいけない事が沢山ありますから。」
「そうだな。いろいろ準備もしないとな。ヨシカズも覚悟はできているんだろうな。」
「ハイ」ボクはヒロアキさんの腕をぎゅっと握った。

「母さん。日本酒があったろう。杯と一緒に出してくれないか? それと、ヨシカズの服を見てやってくれ。いくらなんでも高校の制服のままでは場が白ける。」
ボクは自分の部屋ではなく、姉さんの部屋に連れて来られた。クローゼットから清楚なピンクのワンピースが出された。
これに着替えろと言う事だ。ボクは制服を脱ぎ、下着姿になった。
「あら、可愛いの着ているじゃない。それ、お姉ちゃんのじゃないでしょ。自分で買ったの?」制服をハンガーに掛けながら、母さんがこっちを見て言った。
「今度、一緒に買い物にいきましょう♪」と言いながら背中のファスナーを上げてくれた。

階下では既にヒロアキさんと父さんの酒宴が始まっていた。
姉さんが戻ってくる頃には父さんは出来上がっていた。
「先生?それにヨッちゃんなの?!」訳が解らないという姉さんに、
「先生がヨシカズを嫁にするそうだ。今日からヨシカズはお前の妹だ。」と端的に状況を説明した。
「お姉さん!!ヨシカズ君は僕がきっと幸せにします。」ヒロアキさんも父さんと同じ位飲んでいるようだ。
「ヨッちゃん!どういう事なの?」と姉さんが睨み付けてきた。
「だから、つまりヒロアキさんがボクと結婚したいって父さんに言ったんだ…」
「あんた達、付き合ってたの? それも男同士で?」
「男同士って言うか、ボクはヒロアキさんの前では女の子だから、普通の男女交際と同じだと思うよ。」

姉さんは助けを求めるように母さんを見た。
「初めから妹が居たと思えば良いのよ。あんたも早く良いヒトを見つけて来なさいな♪」
「もう、勝手にして頂戴!!」と姉さんは部屋にこもってしまった。

ボクと母さんは酔い潰れた父さんとヒロアキさんをベッドに運んだ。ヒロアキさんには父さんの予備のパジャマを着せて、ボクのベッドに寝かした。
ボクもパジャマに着替えると、ヒロアキさんの横の隙間に体を滑り込ませた。
「ううむ…」とヒロアキさんは寝返りを打つと、ボクを抱きかかえるような形になった。
ボクはそのまま、ヒロアキさんの腕の中で安らかな眠りに就いていた。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪

 

一月前は大学の卒業式だった。ボクは振り袖に紺袴で卒業証書を手にしていた。
卒業が決まった後の、この半年は結婚式の準備に追われていた。
去年の夏休みに、ボクは本物の女の子になる手術も受けていた。
「ヨシエ」と呼ばれるのにも慣れ、卒業旅行は女友達と一緒に温泉にも入れるようになっていた。

そして今日。

ボクは純白のウェディングドレスに包まれている。
控え室に家族四人が揃っていた。ボクは姿勢を正し、両親と向かい合った。
「お父さん、お母さん。今日まで育てていただきありがとうございました。また、わたしの我が侭を受け入れていただき、感謝しています。お姉ちゃん。弟として、また、妹として可愛がっていただきありがとう。」
ボクが深々と頭を下げた。
父さんはムスッとした顔で何も言わなかったが、母さんは「幸せにね」とボクを抱き締めてくれた。
「あんたはまだ半人前なんだから、解んない事があったらすぐに母さんに聞くんだよ。」と姉さんが言った。

「お時間です。」と係りの人が呼びに来た。
父さんの差し出した腕にボクの手を添えた。
チャペルの扉が開き、オルガンの調べが広がってゆく。

バージンロードの向こうにボクの幸せが待ち侘びている。

ボクは新たな人生の一歩を踏み出した…

2009年9月18日 (金)

秘薬

 

俺は女の上に跨り、腰をグラインドさせていた。
俺の広げられた股間に突き立てられた彼女のペニスが、俺の膣の中で暴れ回っている。
そのペニスは本来、俺の股間にあるべきモノであり、今俺の股間にある膣は彼女の股間にあったものだ。
俺達は性器を交換してSEXしているのだ。俺はこの倒錯的な情事に溺れていた。

 

「ねえ、[薬]を使ってみない?」
顔見知りとなった風俗の女が、マンネリを解消するためといってそんな事を言ってきた。
「非合法なヤツなら遠慮さしてもらうぞ。」覚醒剤などに手を染めたら、裏の世界に引きずり込まれ、すぐにでも廃人にされてしまう。
「もちろんヤバイものじゃないわよ♪薬といっても覚醒剤や麻薬の類ではないの。古代中国伝来の秘薬らしいわ。」
「それを使うとどうなるって言うんだ?」
「塗り薬なんだけど、塗った所を粘土みたいに自由に整形できるの。本来は大怪我した時の傷口を塞いだり、失った指を再生させたりしたらしいわ。」と紙袋の中から、瓶ではなく陶器に入った[薬]を取り出して言った。
「でもね、睦事に使う時は、ペニスを二本生やしたり、乳首とクリトリスを入れ替えたりといった風に使えるわね。」
俺は「ふーん」と頷いたが、そのグロテスクな光景には辟易していた。しかし、女を前にして「じゃあ、やってみるか?」と強がってみせていた。

彼女は先ず、俺のペニスのまわりに薬を塗り込んでいった。俺の息子は普段とは異なる刺激に早々に硬くなっていたが、彼女の手の動きに合わせて大きくグラつき始めていた。
彼女がその肉棒を掴むと、グイと引き抜いてしまった。
ベッドの上にバイブさながらの俺のペニスを放置すると、今度は自らの股間に薬を刷り込み始めた。
俺のと同じ位の時間が経過した後、彼女は自分の股間から何かを取り出していった。
「これがあたしの膣ね。今、貴方のお股に填めてあげるわ。」と、今だ粘土状の俺の股間に、彼女の膣を埋め込んでいった。
俺の方の作業が済むと、彼女はベッドの上の俺のペニスを自分の股間に装着した。

互いに裸になり、鏡に姿を映してみた。
俺の方はペニスの存在が見えないだけで、あまり変化がないように見える。が、彼女の方は股間に起立したペニスがその存在を主張していた。
艶めかしい女体にペニスを生やした、美しいアンドロギュノスが彼女だった。

「フェラしてみて?」との彼女の要求に、俺は何の躊躇もなく、彼女の前に跪いていた。

 

ベッドの上に寝かされた俺の上に彼女が伸し掛かってきた。両脚を開かされ、その中に腰を割り込ませてくる。
「感じたら声に出すと良いわよ。変に我慢すると苦しいだけだから。」と勃起したペニスを俺の股間に押し当てた。
「あたしのは使い込んでるから痛くはない筈よ。力まないでね♪」既に俺の股間に愛液が染み出ているのが感じられた。
(早く来て♪)と俺の内で膣が打ち震えていた。
「いくわよ。」と俺の股間に肉棒が突き立てられた。
体内に異物が侵入してくる。それは経験のない感覚であったが、膣がそれを悦び快感を伝えてくるのが解った。
「あん、ああん♪」無意識の内に俺は女のような喘ぎ声を上げていた。
突かれる度に快感が増してくる。
「あん、あん、あん!!」彼女の動きに合わせて俺も腰をくねらせていた。そして、その先に快感の絶頂が見えてきた。
「ああ、イク?イッちゃうの?」
「そうよ。そのままイッちゃいなさい♪」
「あっあっ、あ~~ん!!」

 
俺は絶叫とともにイッてしまったようだ。
俺がイクと同時に彼女も俺の膣に精液を放出していた。
「どうだった?」
俺は何と答えて良いか解らなかった。意識せずに口を衝いたのは…
「もっと…」だった。

 
俺は四つ這いになり、後ろから突かれた。
再び正常位に戻り、三度立て続けに放たれた。
俺のペニスにそれだけの精力があるとは信じられなかった。

今度は俺が上になった。端から見れば普通の男女の交わりに見える。しかし、ペニスを持っているのは女の方なのだ。
俺は俺の膣を貫くペニスを操り、最も快感が得られるように導いていった。
「あ、ああ♪イク、イッちゃう~~!!」
俺は、その夜何度目かの、そして最高の絶頂に達し、意識を失っていた。

 

 

目が覚めると、そこに女はいなかった。
ベッドサイドのテーブルに棒状の物体と、彼女の書き置きが残されていた。
「ペニスはお返しします。[薬]がないと貴方の体に付けれないけど、その必要はないわよね♪  貴方には十分楽しませてもらったから、次の玩具を探しに他の街に行きます。探しても無駄だからね♪」

俺は一緒に置かれていた棒=俺のペニス=を手に取ると、そのまま股間に…俺の膣に挿入していった。

 

========

あたしは自らのペニスをバイブ替わりに挿入してオナニーに更ける男をドアの影から窺っていた。
再び絶頂を迎えて余韻に浸っている男を見て、あたしは満足の笑みを浮かべた。
男の痴態にあたしも興奮したようだ。股間に再生した膣から愛液がこぼれ落ちている。
あたしは愛液の味を確かめ、膣の再生が巧くいったことを確認した。それは次の愉しみの準備が整った証だった。
(次はどんな男を墜そうかしら)あたしはそっとドアを閉めた。

振り向くと、窓ガラスには[薬]で造り変え別人となったあたしの顔が映っていた。

アゲイン

 

「アブナイッ!!」

俺は車道に出て行こうとする子供に手を伸ばした。
トラックが目の前に迫っていた。
俺は子供を歩道側に押し倒していた。
最期に聞いたのは女子高生の発したかん高い悲鳴の声だった…

 

 
それが最期の筈だった。
しかし、俺の想像とは違い、俺は「目を覚まして」いた。

辺りを見渡す。
どう見ても病院の部屋には見えなかった。
(ピピピピ)と目覚ましが鳴っていた。
手を伸ばして目覚ましを止めた。
トラックとぶつかったにしては、どこにも痛みがない。

それよりも、ここは何処なのだろう?
俺の知識に合致するのは「若い女の子の部屋」である。
何で俺がこんな所に…それもベッドに寝かされている?

ピピピピピッ
再び鳴り出した目覚ましを止める。その目覚ましも女の子が好みそうなキャラクターが描かれていた。
その上部のスイッチに俺の指が掛かっている。

(俺の?)
それは「俺」の指には見えなかった。ごつごつして、黒い体毛が茂っていなければならない筈だ。しかし、この指は細く、柔らかなうぶ毛があるだけだった。

「ミドリッ、早く起きなさい。遅刻するわよ!!」
階下で娘を起こす母親の声がした。

とにかく、ここは病院ではなく一般家庭のようであった。
この家にはミドリという女の子がいるようだ。
もしかすると、この部屋はミドリという娘のものかも知れない。しかし、肝心の所有者であるミドリはどこにいるのだろうか?

ある想いが俺の頭をよぎった。

俺は布団から出た腕を見た。
女の子向きの柄のバジャマの袖が目に入った。
布団を剥ぎ、上体を起こす。頬に髪の毛の先が触れた。俺の髪はこんなに長くはない。
視線を落とす。
バジャマの胸の辺りが膨らんでいる。両手でそれを押さえる。それは単なる皺ではなく、内には実体を伴っていた。
左右の違いに戸惑いながらパジャマのボタンを外した。
そこには「女の子の胸」があった。

「ミドリッ!!ぐずぐずしないで頂戴!!」
母親の叱咤に思わず「ハ、ハイ。」と返事してしまっていた。

起き上がり、用意されていた服…下着にブラウス、そして制服に着替えた。
この制服はよく見かける近くの女子校のものだ。最期に聞いた叫び声の女の子も着ていたっけ…
机の上にノートがあり「羽山翠」と名前が書いてあった。

「おはよう」と階下に降りた。
「早く食べちゃいなさい。」母親はトーストが供えられたテーブルを指した。俺は言われた場所に座り、トーストを齧った。
点けっぱなしのテレビがニュースを報じている。この家も俺と同じチャンネルに合わせているようだ。

「?」と俺が気がついたのは、流れているニュースは一度聞いた覚えがあった。昨日の朝と同じことを言っている?
まさかビデオに撮って翌日に見るようなことはしないだろう。俺は同じ日をもう一度繰り反そうとしているのだろうか?

 

 
俺は「あの」場所に立っていた。
向こうから「俺」が歩いてくるのが見えた。
俺は何をしようとしているのか、もう一度自分に問いかけてみた。
「貴方はもうすぐトラックに撥ねられて死にます。」とでも言えば良いのだろうか?
俺が何か行動を起こせば「俺」が死ぬ事はない。
しかし「俺」が死ななかったとしたら、今の俺はどうなるのだろうか?

 
目の前をスーと子供がよぎっていった。
「「あっ!!」」
俺と「俺」の声が重なる。
俺は歩道から出る寸前で、その子を抱き止めていた…

「お姉ちゃん、苦しいよ。」
俺は自分が何をしたのか解らなかった。「ご、ごめん。」と腕を緩めた。
「あぶないから車道に出ちゃだめだぞ。」と男の声がした。
「わかってるよ」と子供は元の所に戻っていった。
声のした方を見上げると、そこには「俺」がいた。

「立てる?」と「俺」が言う。どうやら俺は道に座り込んでいたようだ。差し出された「俺」の手を取って立ち上がった。
「膝を擦り剥いているじゃない。手当てをしてあげるからウチに来て。」

 

俺は「俺」の部屋で「俺」と向き合っていた。
「貴女、本当はあそこで死んでいたのよ。」と「俺」が言った。
「車道に出た子供を避けようとしたトラックが突っ込んで大惨事になったの。でも良かった。やり直す事ができて。あたしは男になっちゃったけど、貴女はちゃんと生きていてくれた…」
俺の目の前で「俺」がぼろぼろと涙を流していた。

俺は泣いている「女」にはどう対処して良いか解らなかった。
「俺」の内に居るのが翠なのは間違いないようだ。俺の記憶とは大分異なるが、俺達は一度過去に戻ってやり直す事で死なずに済むことができたようだ。
とりあえず、彼女の事情は解った。ここで更に俺の事まで話すべきなのだろうか?彼女の内に居るのが「男」だと知って、彼女がどう反応するかが解らない。

俺は話すのを諦めた。
 

 
「結婚してくれないか?」
プロポーズしてきたのは翠だった。
「うれしいわ♪」と俺。何故か涙がこぼれてきた。

二人はあの時から付き合ってきた。
意識が分離した事で記憶があやふやな所があるからと、いつも一緒にいてもらったお
陰で俺は「翠」としてやっていく事ができた。
一緒にいる口実として、まわりには「付き合っている」と言ってきたが、いつしか俺も「女」として彼を愛し始めていたみたいだ。

デートの最後にホテルに向かった。俺は「女」として彼に抱かれるのだった。
お互いにその肉体は本人のものであったのだ。相性が悪い筈もない。俺は快感に翻弄された。

もうすぐ、俺は彼の花嫁に…「俺」の妻になるのだ。
子供を産み、母となり、幸せな家庭を築いてゆく。昔描いていた理想とは全く違うものではあったが、一度「死んだ」と思えば何という事もない。
俺は「女の幸せ」を否定するものではない。女となった今では、積極的にそれを求めているのかも知れない。
とにかく、今の俺は「女」なのだ。もう、過去に囚われることはない。

 
彼に突かれる度、俺は快感の媚声を上げ続けていた。

無題(1)

 

「ねえ、女になってみない?」
枕元で女はそう言った。

俺はその女の名前などは覚えていない。街で声を掛けられ、その場で商談成立。そのままホテルに直行し、ひと心地ついたところだった。

「何バカな事言ってるんだ?俺は女を抱くためにココにいるんだ。余計な事は言うんじゃない。気が削がれる。」
「あら、気持ち良いのよ。それに、お金もチャラにしてあげるわ。」

彼女の話は良く理解できなかったが、これだけヤッて無料で済むのは美味しい話である。
「解ったよ。でも、その前にもう1ラウンドヤッてからな?」
俺の提案に「良いわよ♪」と簡単に了解した彼女の目に妙な笑みが浮かんでいるのに気付く事はなかった。

 
女は事の済んだ俺のペニスを綺麗に舐めあげた。
「ちょっと変わったスキンだから、気にしないでね?」と封を切ったスキンを被せてきた。
ペニス全体を包み込んだ後、更に玉袋も包んで終端が尻の穴に差し込まれた。
「次は胸ね♪」と俺の上に馬乗りになった。チューブからクリームを捻りだし、胸全体に刷り込んでゆく。
その間にも、股間に被せられたスキンがベニスを締め付けてきた。
「何だよこのスキンは?キツ過ぎないか?」
俺の問いに女は「もう少し痛みがでるかも。ちょっとの間、ガマンしててね♪」と言いながら着々と作業を続けていった。

俺の胸に疑似バストが乗せられた。接着面に空気が残らないように、慎重に押し付け
てゆく。「くすぐったいな。」と言うと、「すぐに気持ち良くなるわよ♪」と返してきた。
股間の痛みはピークを迎えると、呆気ないくらいに痛みがなくなった。
「この飴を飲み込んでくれない?」と包みから取り出した飴が俺の口の中に押し込まれた。
「噛み砕かないようにしてね。舐めていれは小さくなるから、適当な大きさになったら飲み込んでね。」
まどろっこしいのが嫌いな俺は、すぐにも飴を飲み込んでしまった。
「飲んだぞ。」と俺の発した声に違和感を感じた。女が俺の喉に掌を充てた。
「何か喋ってみて♪」
「な、何か声がおかしくねえか?」と言った俺の声は、既に「俺」の声ではなかった。
「良いようね。これでアナタも女の娘よ♪」
女が疑似バストの先端の乳首を指先で弾いた。

「ヒャン!!」

俺は女のように叫んでいた。弾かれた乳首を守るように両手でバストを覆った。
俺の手から、暖かな女のバストの手触りが伝わると同時に、俺の胸に乗せられた掌を感じる事ができた。
「感覚があるのか?」「そうよ♪」女は片方のバストを塞ぐ俺の掌をどけると、先端の乳首をパクリと口に含んだ。
ざらついた舌が俺の乳首を刺激した。
「ああん♪」
俺の口から女の喘ぎ声がこぼれた。
もう片方の掌も外され、彼女の手で揉みしだかれた。

それは今まで感じた事のない=女の=快感であった。
男としての意識が女のように喘ぐのを潔しとせず、俺はシーツを握り締め喘ぎ声を上げまいと耐え忍んだ。

「声を出すと楽になるわよ。快感も声と一緒に高まっていくんだから♪」
俺は首を左右に振った。
「でも、我慢していられるのは最初のうちよ。ほら、アナタのココは正直に反応しているじゃないの♪」

彼女の指が俺の股間を撫で上げた。認めたくなかったが、既に俺の股間は女のように濡れていたのだ。
愛液の絡みついた彼女の指が、俺の唇に触れた。口紅を塗るかのように、俺の唇に「俺」の愛液を刷り込んでゆく。

「さぁ、どこまで我慢できるかしらね?」
彼女の指が再び俺の股間に向かった。
今度は表面だけではなく、内に侵入させてきた。男には有り得ない場所に彼女の指が挿入されている。

「!!!!」

衝撃が脳天を突き抜けていった。
「あ、あがっ!!」
とうとう声が漏れる。
「あぐ…、あくぁ…、、あふぁ…」
繰り返される刺激は快感に変わっていた。
「あん…、あぁん!!」
耳に届くオンナの艶声が快感を助長させる。

 

「そろそろ良いかしらね♪」
俺の脚が抱えられ、女が俺の股間に割り込んできた。
「貴女の処女をいただくわね♪」
彼女が腰を突きつけてきた。俺の内に指ではない、太いモノが侵入してきた。
「あっあぁぁぁ…」
あっと言う間に根元まで挿入された。その先端は奥にある子宮口に触れている。
「さぁ、イッちゃいなさい!!」
彼女が腰を動かすと、俺の膣の中を彼女のペニスが刺激してまわる。
つぎからつぎへと快感が押し寄せてくる。
意識が跳ぶ…
快感しか感じられない。
俺は快感の坂道を一気に駆け昇っていった…

 

 

俺は四つ這いになり、高く上げた腰を揺らしていた。
「お願い♪もっとイッパイ射して頂戴!!」
俺が懇願すると、男の手が俺の尻を掴んだ。
「本当に好きなんだなぁ。ココなんか愛液でドロドロだぜ♪」
そう言って硬くなった逸物を俺の膣に突き立ててくれた。
「あん、ああん♪」
演技ではなく、それだけで簡単に媚声がでる程俺の肉体は敏感だった。
「あぁ、イイわぁ♪どんどんイッて頂戴。」
と彼の逸物を絞め上げると、彼の本気に火がついたようだ。
「オラッ!!何度でもイかせてやるぜ!!」

「来て~♪」

俺は最高に艶めかしく腰を振っていた。

 

無題(2)

 

心が壊れてゆく…

俺はベッドの上に力なくよこたわっていた。
しばらくすれば、また別の男が訪れ、俺を犯しては去ってゆく。
それの繰り返しだ。

男達は嬉々として俺を犯ってゆく。彼等の目には俺の事が可愛い女の子に見えているのだ。
鏡がないので、自分がどのような顔をしているか不明であるが、この肉体が「女」であることは十分に思い知らされている。
胸には男達に弄ばれる豊満な乳房があり、股間には彼等を受け入れる事のできる膣口が開いているのだ。

 
ふとした切っ掛けで、俺は女にされ、ここまで墜されてしまったのだ。
胸の乳房も股間の性器も偽物であった筈だった。
しかし、どういう具合か血肉が通い、外すことができなくなっていた。
更に、ソコからもたらされる「女」の快感は俺の心を麻痺させていた。
気がつくと、俺は俺の股間に「男」を受け入れていた。
淫らに腰を振り、嬌声を上げ、モットモットとねだっていた。

俺はいつの間にか、モノのように売り飛ばされ、監禁され、男に抱かれる日々を与えられた。

 
男に抱かれるという事に嫌悪感はなかった。快感が嫌悪感を感じる隙を与えてくれなかった。
俺にとり男は同性ではなかった。かと言って異性として感じることもなかった。
男は俺に快感を与えてくれる機械。俺は快感を享受して喘ぎ、悶えるだけの機械。
機械同士の間に好きも嫌いもある筈もない。

俺は股を広げて「男」を受け入れる。
俺は機械だ。
とうに心は壊れ、どこかに消し飛んでいってしまった。
俺は機械だ。
男に犯されて、快感に悶えるだけのロボット以下の単純な機械なのだ。
心もない…
考える事もない…
ただ、男の精液を燃料に動くだけの機械なのだ。

 

あぁ、また新しい「男」が来た。
「さあ、どうぞ♪」
俺は股を広げて、そう言った。

無題(3)

 

「ご苦労様♪」
女はそう言って、再び俺の前に現れた。
「お陰様で目標以上に稼ぐ事ができたわ。あんたって名器なんだってね♪」と彼女は服を脱ぐと、前技もなく股間に生やした肉棒を俺の股間に突き立ててきた。

そう、俺はこの女に「女」にされ、男達に抱かれる日々を過ごしてきたのだ。俺の胸には男心をくすぐる巨大な乳房が付けられ、股間には淫卑な肉洞が穿たれている。
ここに監禁されて数ヶ月。俺は男達に抱かれ続けていた。もちろん男達はそれなりの対価を支払い、その全てが彼女の懐に入っていったのだろう。

「女のあたしには名器かどうかなんて解らないけど、あんたの反応を見てると性欲が増してくるのよね。ほら、びんびんに硬くなってるでしょう?」
そう聞かれた俺にしても、股間のモノが名器だかどうかは測りようもない。
突かれれば反射的に喘ぎ、抜かれそうになれば離すまいと無意識のうちに締め付けてしまう。俺の肉体は膣の中を動き回る肉棒に刺激されると体中の性感帯が反応してしまうのだ。
その快感に耐え切れずに俺は喘ぎ、悶える。そんな俺を見て性欲が掻き立てられたとしても、俺の知る所ではなかった。
「んあぁ!あんたってサイコー♪」女はさんざん突きまくったあげく、肉棒の先端から疑似精液を奔らしていた。

 

「今日はあんたにご褒美を持ってきたんだ。」女は服を元通りに着ると俺にそう言った。
「あんた、ここに連れてこられてから一度も外に出たことなかったでしょ?」確かに監禁されてからは部屋から一歩も出る事はなかった。
俺は、女にされ、監禁され、さんざん男に抱かれた今では全てを諦めるようになっていた。何も考えないようにしているうちに「外」という概念も失っていたようだ。
窓のないこの部屋が地下室なのか、高層ビルの一角なのかは知る由もない。部屋の「外」の他に建物の「外」があった事に今更のように気づかされた。

「シャワーを浴びてきなさい。」俺は女に命じられるまま部屋の片隅にあるシャワーの下に立った。
「着るものを持ってきたわ。」と紙袋が渡された。中に入っていたのは当然のように女物の衣服だった。
今更ながら、自分が「女」にされてしまったと思い知らされる。
ショーツやブラジャーを着け、スカートを穿いた。彼女の手で髪が結われ、化粧が施された。かかとの高い靴を履かされる。

ドアが開けられエレベーターでエントランスに向かう。自動ドアの向こうに夕暮れの街があった。

 

「逃げても構わないわよ♪」建物の外に出たところでそう耳打ちされた。
俺は目を見開き、彼女を見た。
「信じられない…って言う感じね。あんたには十分稼いでもらったし、あんたも女が板に付いたみたいで面白みもなくなっちゃったからね♪」

半信半疑のまま、俺は彼女から離れた。
しばらくして振り返ったが、既に彼女の姿はどこにもなかった。
本気で解放してくれたのか?と近くにあった公園のベンチに座り、渡されたハンドバックの中を覗いてみた。
発信機のようなものは隠されていないようだ。バックの中には化粧品など普通の女性が持っているような物が入っていた。
そしてもうひとつ、万札が20枚入った封筒があった。俺は彼女の言葉を信じてみようと思った。

 

幾本か電車を乗り継いで俺の部屋に戻ってきた。
隠しておいた鍵で部屋に入る。そこは俺が監禁される前のままになっていた。
明かりを点けようとスイッチを入れたが電気が来ていないようだ。今は寝るだけなので、俺は服を脱ぐとベッドの中に潜り込んだ。
布団には「俺」の匂いが染み込んでいた。今まで気になった事などなかったのだが、久々に嗅いだ「俺」の匂いは、さんざん俺を抱いた男達と同じ匂いだった。
条件反射なのか?その匂いに反応して股間が濡れ始めていた。
(肉体の芯が疼いている?)
毎日飽くことなく抱かれ続けていた俺の肉体は、もう「男」なしでは堪えられなくなってしまったと言うのだろうか?
俺はショーツの中に手を入れ、自らを慰めることにした。

 
「あぁん♪」
俺は自らの指の動きに喘ぎ声を漏らしていた。挿入した指が俺の膣に締め付けられる。
「もっと頂戴♪」流石に指だけでは満足しない。(もっと太くて逞しいのがイイ…)
何でもヨかった。股間から指を抜くとともにショーツを下ろした。
ベッドを降り、冷蔵庫に向かう。中からしなびた茄子を取り出した。
俺はベッドに戻らず、そのまま床の上にしゃがみ込むと、茄子を膣口に突っ込んだ。
指より太く、硬い。俺は空いた手で乳首を弄ぶ。
「あん、あああん!!」快感が高まってゆく。膣口の陰核を責めた。
「あああ…」俺は一気に昇り詰めていく。
愛液に溢れた俺の膣は茄子を呑み込むと、産み落とすという行為を繰り返していた。
その度に、俺は頭の中を快感で真っ白に染め上げるのだった…

 

俺は再び女の服を着た。
今の俺を「俺」と認めてくれる者は誰もいないだろう。このまま、この部屋に居付くことはできない。
今な俺は「男」に抱かれずに夜を過ごす事はできそうになかった。かといって「俺」以外の男をこの部屋に入れることはできない相談である。

俺はもう、ここには戻らない覚悟を決めてドアを閉めた。

俺は一夜を伴にしてくれる「男」を求めて、街に戻っていった。

2009年9月 1日 (火)

生きるとは…(前)

何気ない一言が、心に大きな傷を付ける事がある。

僕に投げかけられた一言は、杭のように僕の胸を貫いていた。
「死のう…」
自然と、そんな言葉が浮かんできた。

 

波の音がする。
遥か下の岩肌に打ちつけられ、飛沫を散らす波は凍える程冷たそうだった。
僕は断崖の上、岩肌にしがみつくように生えている松の幹に手を掛け、下を見下ろしていた。
当然のように足が竦む。
僕はここから飛び降りようとしているのだ。
辺りには、そんな僕の行為を留めようとする者はおろか、見える範囲に人のいる気配は感じられなかった。

セオリーなら、靴を脱ぎ、遺書と一緒に揃えて置くのだろう。
(あ、遺書を書いていなかった)
紙もペンも持っていない。駅近くにコンビニがあった。そこまで戻って遺書を書くべきなのだろうか?

と、突然、強風が吹き付けてきた。
バランスを崩す。
慌てて松を掴もうとするが、するりと指先から抜け落ちていった。

いや、落ちたのは僕の体だった。
空が見えた。
それが最期だった…
 

 

 

辺りは真っ暗になっていた。
波の音も聞こえない。
ここはどこだろう?

僕は今、立っているのだろうか?
上下感覚も解らない。
波間に漂っているようにも感じられる。

「おーい!」
と叫ぼうとしたが、声が出ない。
どこか夢の中にいるような感じだ…

そうだ!!僕は夢を見ているんだ!!!!!!

夢から醒めるには、どうしたら良い?
とりあえず頬をつねってみ… つねろうとしたが手が動かなかった。
これって金縛り?
大声を上げようにも、声はでない。
そもそも、自分が呼吸しているのかさえ定かではない。

遠くで星が輝いていた。
星がどんどん大きくなってゆく。
それは星ではなかった。空間にぽっかりと開いた穴。その向こうには明るい場所があるみたいだ。
穴はどんどん大きくなってゆく。僕はその穴に吸い込まれていった…

 

 

「あぁ、気づいたかね?」
男の声がした。
ぼんやりとした視界の先には、病院の天井が見えた。
「ここは?」と聞いた声は多分に干からびていた。
「無理に喋らない方が良い。君の肉体は再生中だからね。強くイメージすればこちらのモニタに表示されるから声に出さなくても大丈夫だ。」
彼の言葉には解らない単語が多すぎた。
「すまない。解りやすくしようとは思っているんだけどね♪」
どうやら喋らなくても済むのは確かなようだ。
「取り敢えず、君が気にしている事だけでも話しておこう。」
と言ってくれたのだが、やはり全てを理解することはできなかった。

彼の話しによると、
僕が彼に発見されてから三ヶ月が経っていた。その間ずっと意識を失っていたことになる。
ここは彼の私的な研究施設であった。彼は個人的に人体組織の人工培養を研究していた。
僕は文字通り彼に拾われたのだった。外傷はないものの、内蔵に壊滅的なダメージを受けていた僕は、死体そのものであった。僕は壊死した器官を除去された上で、培養液に浸された。
三ヶ月の間に失われた器官の主要な部分が再生され、僕は意識を取り戻した。

意識が戻ったので培養液の水槽から出されたが、組織の再生は今だ継続中のため僕の体には培養液を循環させるパイプが何本も突き立てられていた。
数日が経過し、徐々に体力が回復していった。培養液のパイプが届く範囲であればベッドから起き上がり歩き回る事もできるようにもなった。
更に日が経過すると、僕の体から培養液のパイプが抜きとられた。
体の中の器官は今だ完璧に復元できた訳ではないが、後は自然治癒能力に任せれば良いらしい。
今までの診察服から普通の服に着替える事ができる。食事はまだしばらくは流動食らしいが、口から物を入れられると思うと嬉しくて仕方なかった。
「部屋を用意しておいたからそっちに移動しよう。」と病室を出ることになって嬉しさも2倍になった。

研究施設とを隔てる扉を潜ると、そこは普通の(とはいっても、かなり上級の)居住空間だった。
階段を上がった二階に部屋が用意されていた。そのドアには「アリサ」のプレートが下がっていた。
中は全くの「女の子の部屋」であった。
「娘のアリサが使っていた部屋だ。事故で使われなくなってしばらく経つが、そのままにしておいたんだ。君にならここを自由に使わせてあげるよ。もちろん部屋の中の物は全て自由にしてくれて構わないよ。」と敷き詰められた絨毯の上に踏み入れた。
「私は食事の支度をしてくるね。出来たら呼びに来るから適当に着替えておきなさい。」と僕の背後でドアが閉じられた。

ノブに手を掛けたが、どうやら外からロックされているようだ。仕方なく、部屋の中を物色してみた。
ベッドや窓際には愛らしい動物のぬいぐるみが並べられていた。窓のカーテンや壁紙も女の子の部屋らしく、花がちりばめられている。
当然のように、クローゼットの中には女の子の服が詰まっていた。

クローゼットの内扉に鏡が付いていた。久しぶりに鏡を覗き込んだ。
髪の毛がボサボサに伸びていた。机の上にブラシがあったので、軽く梳かしてみた。
思いのほかブラシが流れる。髪質が変わったのだろうか?数回梳かしただけで髪の毛が落ち着いた。
鏡の中には女の子のように髪を伸ばした僕の顔が映っていた。
男の顔にこんな髪では違和感があるかと思ったが、どちらかと言うと僕の顔が女の子のように見えてしまう。
これでリボンを付けてスカートを穿いてしまえば、男には見えないかも知れない…

ここにあるのは「女の子」の服だった。
試してみる事はできる。
(そんな変態的な事…)
と思いつつも、試してみたい衝動の方が強かった。

僕は一番前にあったワンピースを着ていた。
鏡に映っているのは、どこから見ても「女の子」だった。髪の毛にリボンを結んだ訳でもない。
ワンピースを着ただけで僕は女の子になっていた。

髪の毛を結べばもっと可愛くなってしまいそうだ。
試しに両手で髪を左右に束ねてツインテールにしてみた。更に、団子にしてシュシュを付けてみる。
確か、机の引き出しにイヤリングを仕舞っていた筈…
机に移動すると鏡を立てて左右の耳に三日月のイヤリングを填めてみた。
目の端にピンクのマニキュアの瓶が止まった。キャップを開けて刷毛についた液体を爪に塗った。
小物入れから口紅を出した。キャップを取りスティックを捻る。鏡を見ながら自分の唇に付けた。
眉毛を描き、睫毛を整える。
鏡の中の女の子はどんどん可愛くなっていった。

生きるとは…(後)

トントンとドアがノックされた。
「アリサ。食事の支度ができたよ♪」と声を掛けられた。
「ハイ、パパ。今行くわね。」あたしは化粧道具を片付けると、リビングに降りていった。
「どうしたんだい?えらく女かし込んでいるじゃないか?」とパパに言われた。自分でも外に出る予定もないのに、何でお化粧しちゃったんだろう?
「別に良いよそのままで。今夜の食卓が華やいだ感じになる。」とパパに言われ、そのまま席に着いた。

あたしの前に置かれていたのはスープ皿に注がれた流動食だった。あたしの内蔵はまだ再生しきっていないのだ。
スプーンに掬って口に入れた。何日ぶりの食事だろう?あたしが…

「あたし」??

何で僕の一人称が「あたし」なんだ?
僕は崖から落ちて、死に損ねて、この男に蘇生させられた。
肉体が再生され、今日ようやく病室を出られたのだ。
彼が食事の準備をしている間、僕は彼の娘の部屋にいたのだ。
そこで何をしていた?
知らない筈の引き出しの中身、知らない筈の化粧の仕方、彼の事をパパと呼び、自分を「あたし」と言っていた。

「貴方は僕に何をしたのですか?僕の記憶に何で女の子の記憶が混ざり込んでいるんだ?」

 
「おや、自我を取り戻してしまいましたか。アリサが…娘が戻って来てくれたと思っていたのですが、残念です。」と言いながら、ステーキをパクついている。
「君の肉体を再生する際、アリサの細胞を少々混ぜ込ませていただきました。言ってはなんですが、君は私のアリサを再生させる為の実験動物なのです。」
僕はその言葉に固まってしまった。
「君は法的には、既に死んでいます。ご実家には位牌が供えられ、お墓には遺骨が埋葬されています。もちろん、私が再生した君の死体なのですがね。」
彼はステーキの肉を切り分けた。
「今の君には人権はありません。食べられるために生かされて家畜と同じです。生かすも殺すも所有者の意思のまま…」
とフォークに突き刺した肉を口に運ぶ。
「実験は成功したと言える。君も言ったように、再生した肉体にはアリサの記憶が宿っている事が確認できた。肉体的にもアリサを完全に再生する事ができた。」
「完全に…ってどう言う事?外見は僕のままに見えるんだけど…」
「君は本当の自分の顔を覚えているのかい?君には少々暗示を掛けさせてもらっている。鏡に映った顔が自分のものだと信じさせるのもその一つだ。」
「えっ?」と僕は記憶の糸を辿ってみた。本来の自分の、男である筈の顔が靄の向こうに隠れている。今はアリサの顔が元々の顔であったと感じてしまう。
「もう一つ。君は裸の自分を思い出せるかね?今の君の股間におちんちんが付いていた覚えはあるかい?」僕は慌ててスカートの上から股間に触れてみた。
(無い?!)
ワンピースを着る前にショーツを穿いた記憶はある。その時、僕の股間にペニスはあったっけ?
「今の君には、子宮も卵巣も存在する。しばらくすれば生理も始まるだろう。今の君は100%女の子、そして私の娘アリサなのだ。」

「違う!!!!」

僕はそう叫んで席を立ったが、同時に貧血を起こしたようで、目の前が暗くなると同時に、その場に崩れ落ちていた。

 

 

僕はぬいぐるみに囲まれたベッドで目覚めた。
布団の下でゆっくりと股間に手を這わした。ショーツの上からでも、そこにあるべきものがないのが解った。
布の下には、秘洞に続く割れ目の存在が確かめられた。手をショーツの中に入れ、割れ目に沿って指を這わす。そこはほんのりと湿り気を帯びていた。
(これが女の子の?)
何よりも好奇心が勝っていた。それに、これは僕自身の体なのだ。誰に遠慮がある訳でもない。
僕は指を立てると、割れ目の中に挿入していった。

(!!)

僕は僕の下腹部に侵入してくる異物を感じた。
それは指先から伝わる女の秘所に触れているという感覚よりも、遥かに刺激的であった。
(女の子はこういう風に感じるんだ…)
僕は膣に挿れた指をゆっくりと動かした…

「あふ…んんぁ…あん♪」
僕の口から艶めかしい喘ぎ声が漏れ出していた。指を動かしていると「感じる」所が解った。ソコを弄ると物凄く気持ちが良い。
気が付くと、僕は何度も昇り詰めていた。

 
心地よい余韻に浸っていると、いつの間にか彼がベッドの脇に立っていた。
僕の頭は霞が掛かったようになっていて、その事を認識はしたが、それに伴う行動を起こせないでいた。
「どうだい♪女の肉体は?」と卑しい笑みを浮かべている。
「それは、本来なら君が一生をかけても知ることのできない快感なのだよ。」彼は布団を剥ぐと僕の腕を掴んだ。僕の内から指が抜けてゆく。
「愛液も充分に潤っているようだね。それでは君にも本物を味あわせてあげよう。」と彼は僕を裸にし、その上に伸し掛かってきた。
脚が抱えられ、股間が広げられる。彼の股間に起立したモノの先端が僕の股間に触れていた。
「いくよ♪」
声と共に、ソレは僕の股間に割り込んできた…

 

 
僕の体は順調に回復していった。
僕の…と言うより、アリサの肉体と言った方が正しいのかも知れない。
胃が食物を受け入れるようになって、僕の肉体は急速に「アリサ」の姿を取り戻していった。
皮下脂肪が溜まり、女らしい肉付きになった。特に胸の成長が著しかった。
僕の胸は本来のアリサよりワンサイズ大きいようだ。彼女の服を着ると胸の部分が窮屈に感じる。
体の内側も回復し、彼が言ったように、生理も訪れるようになった。
定期的に繰り返す「女」の周期が僕にあるという事は不思議な感覚であった。

 
表面上、僕は彼の娘の「アリサ」として生活することになった。
しかし、アリサは本当に彼の「娘」だったのだろうか?
彼は毎夜のように「娘」の肉体を求めてくる。僕には、それを拒絶する権利はなかった。
その快感は、僕自らが彼にねだるようにもなっていた。

怠惰な日々が続く。

時々、これで良いのか?と思うこともある。
しかし、これ以外の選択肢を僕は持っていない。なぜなら、僕は「死んでいる」人間なのだ。
だから、僕は与えられた仮初めの生の中で満足できれば、それで良いのだ。

 
あぁ、パパが呼んでいる。
あたしは「ハ~イ♪」と返事をしてスカートを翻した。

人魚伝説

そこは人魚姫の伝説のある郷であった。
郷の若者に恋した人魚姫は「人」となり、その若者と結ばれた。幸せな一時を過ごした後、人より遥かに長寿である「人魚」に戻ることはせず「人」として短い命の終焉を迎えたと聞く。その亡骸は、郷の外れに伴侶とともに埋葬された。
その墓の所に社が建てられたのが、この海宝神社の起源と言われている。

この地方には鳥や獣が「人」となって嫁いで来たという伝承が多数存在していた。
僕は大学の資料室にあった民間伝承の断片を辿ってみた。あまたの伝承は「話」だけのものが多く、ここのように墓が存在したというものは珍しかった。
僕は実際にその伝承の特異性を確かめるため、この地に足を運んだのだった。

 

雑草に囲まれた社の周囲を見て廻ったが、墓らしきものを確認する事はできなかった。
ふと見ると、雑草の中に紅い実を付けた植物があった。珍しい葉の形をしている。植生は専門外であるが、どうやらこの地方独特のものなのだろう。

この実は食べられるのかな?と、手に取ろうとした時
「それは食べない方が良いですよ。」と女性の声がした。
振り向くと巫女さんが立っていた。
「ありがとうございます。食べれそうな気がしたので…」
「いえ、食べれない事はないのですが、この実は特別な儀式の時にだけ使われるものなのです。」
「へ~。何か、お祭りとか? …すみません、自己紹介がまだでしたね。僕は武藤清彦といいます。大学で民俗学を専攻しています。」
「恐れ入ります。私は静香と申します。ここで巫女のような事をしております。よろしければ中に入りませんか?」
と僕は静香さんに導かれて、社の中に入っていった。

僕は伝承の詳細を巫女さんの口から聞く事ができた。
その女が「人魚姫」であったかの真偽は定かではないが、相当な美人であった事は確からしい。ある日、どこからともなく現れた女は、自分の事を人魚の化身だと称していた。
素性は定かではないものの、気立ては優しく村の為に労を惜しまない態度が好感を呼び、すぐにも村の中に受け入れられた。
以降は普通の女として一生を完うしたのだが、彼女の死後に村を訪れた旅人が、話に尾鰭を付け、墓のあった場所に社まで建ててしまったところから、現在の伝承につながったという事だった。

 

「それで、あの紅い実は?何の儀式に使うのですか?」
一通りの話を聞き終わった後、僕は気になっていた事を聞いてみた。
しばしの沈黙の後、静香さんが口を開いた。
「人魚姫はその実を食べて人に変じたと言われています。人魚云々は作り話としても、その実を食べた人は全くの別人に変化します。この地方で鳥や獣が人に変じたというものの幾つかも、この実を食べて別人となった人の事が伝えられたのだと考えられています。」
「変身…するのですか?」
「なんなら、試してみますか?儀式では一夜限りの人魚姫との逢瀬に使われます。この実の効果は半日から一昼夜となっています。」
「僕なんかが使っても良いのですか?」
言葉ではそう言っても、僕は好奇心の塊となっていた。
「ええ。でも、ここでは何ですから、私の家にいらっしゃいませんか?」

 
静香さんの家はそう遠くはなかった。巫女装束のまま田舎路を歩いてきた。
自室に戻り普段着に着替えた静香さんは、ソファの前に大きな鏡を置くと僕を手招きした。
「ここに座ってくださいな。本当は裸になった方が変化が解り易くて良いのですが、恥ずかしさもあるでしょうから、シャツのボタンを外しズボンはベルトを緩めるだけで良いですよ。」
僕は彼女に言われるままにソファに腰掛けた。
「さあ、これをどうぞ♪」と、紅い実が乗った皿が差し出された。

僕は皿から紅い実を取ると口の中に入れた…

鏡の中で変化が起こってゆく。
ザワザワと肌が波打ち体毛が消えていった。指先が腕が脚が細くなってゆく。
全体的に身体が縮んだように見える。
しかし、皮膚は弛むことなくピンと張ったまま。更に瑞々しさを溢れさせていた。
もともと陽に焼けていない肌が、白さを増していった。

劇的な変化は顔にあった。
鏡に写っていたありふれた男の顔が、みるみる内に美しい「女」の顔になっていったのだ。

「これがボク?…」

その声も、鈴を鳴らしたような女の声になっていた。
「これが人魚姫の正体よ。何故か女性がこの実を食べても変身は起きないの。けれど、男性が食べると美女に変身してしまうの。」
僕はだぶだぶとなった服の上から胸に手を当てた。そこには、確かに女の胸が存在していた。
「だいたい一日以内で元に戻るけど、紅い実を食べ続ければ変身は継続するわ。何らかの理由で元の姿を放棄したのが人魚姫達の正体だったのね。」
僕はソファから立ち上がり服を脱いでみた。鏡にはまさしく「女」の肉体があった。

「元に戻るまでは、これを着ていた方が良いわよ。」
と先ほどまで彼女が着ていた巫女装束が手渡された。
「今夜はうちに泊まっていきなさいな。明日まではその姿のままでしょ?」
静香さんの提案には従うしかないのだろう。
「今は女同士なんだから、一緒にお風呂に入りましょうね♪」
夜になるとそう言って風呂に連れていかれた。他人に身体を洗われるのは小さな子供の時以来のことだった。
風呂から上がると、静香さんの下着とパジャマを借りて着た。
「清香ちゃんは何を着ても可愛いわね♪」
いつの間にか、僕の名前は「清香」になっていた。

畳に並べて布団を敷いた。明かりが消えると静香さんが僕の布団に潜り込んできた。
「こうして抱きあって寝るのも久しぶりね。」
と身体を擦り寄せてきた。
「し、静香さん?女の子の姿になっていても、僕は男なんですよ。そんな事されると理性で制御できなくなってしまいます。」
「大丈夫よ♪女同士なんだから。襲ってくれても構わないわよ。」
と耳元に甘い息を吹きかけてきた。
「逆に、あたしが襲っちゃおうかしら♪」
静香さんの手が僕のパジャマのボタンを外し、胸の先端を責め始めた…

 

 

「よう、起きたかい?」
まどろみの中で、僕は男の声を聞いていた。
「夕べは十分に楽しめただろ♪」
男の手がうなじに触れてきた。
「静香さん?」

そう、静香さんもまたあの実を食べていたのだった。
夜中に戯れている間に効果が切れ、男に戻ってしまったのだ。女の静香さんに責められて、女の肉体に火を焚かれていた僕は、流れのままに男の静香さんを受け入れてしまったのだった。

僕の手に静香さんの剥き出しのペニスが触れた。それがピクリと反応する。
「寝起きにイッパツいくかい?」と静香さんが笑いかけてきた。
「意地悪言わないでください。恥ずかしいです。」僕が慌てて手を引くと、静香さんは布団から起き上がった。
もちろん全裸である。その股間には僕のものより数段立派なペニスがぶら下がっていた。
夕べの僕は、嬉々としてそれを咥え、膣に受け入れていたのだ。
思い出すだけで恥ずかしくなると同時に、オンナの快感が甦り、股間が湿り気を帯びていった。

「そろそろ清香も起きた方が良いわよ♪」
いつの間にか女の静香さんに戻っていた。
朝食を済ませると、僕は昨日と同じ巫女装束、静香さんはトレーナにジーンズのラフな格好で再び神社に向かった。
神社に着くと静香さんはエプロンをして境内を掃き清め始めた。
何もしないでいるのも悪いと思い、僕も竹彗を手に境内を掃いていった。
「結構様になってるじゃない。しばらくココで巫女さんやっていかない?」と静香さんが囃したてる。
「そんな事したら、静香さんのお仕事が無くなっちゃうんじゃないですか?」
「そん時は街に出て、カラダを売ろうかしらね♪」
「やめてくださいよ。僕には大学がありますから。ここの巫女は静香さんしかいません!!」
このまま話を合わせていたら、静香さんは本当に実行しかねない雰囲気がした。
「神様も若い娘の方が喜ぶと思うんだけどな…」どこか未練がありそうに、静香さんはバケツを手に社の中に姿を消していった。

 

昼が過ぎ、しばらくして不意に腹が締め付けられた。
身体が一気に元に戻っていったのだ。袴を止めていた紐が元の大きさに戻った腹に食い込んできたのだ。
「静香さん!戻ったみたいです♪」と社に上がって行った。

「あらやだ!!」と僕を見た静香さんが大声を上げた。
「どうしたんですか?」と聞くと「ごめんなさい。あなたの洋服を家に忘れてきてしまったわ。」
その言葉に僕の頭はパニックで思考停止していた。
「このままじゃ帰れないでしょう?もう一晩うちに泊まろうよ。」と紅い実が差し出された。
「これを食べれば苦しくなくなるわよ。」と促される。
僕は何の疑いもなく紅い実を食べた。静香さんの言った通りすぐに苦しさはなくなった。
「今夜も、うんとサービスしてあげるね♪清香ちゃん。」
僕は女の子に戻っていた。静香さんが僕の頭を優しく撫でくれていた。

 

 
その神社には、美人姉妹の巫女さんがいた。
訪れる者の皆無な境内には、娘二人の明るい笑い声に満ちていた…

カンバス

「不思議な画材を手に入れたの♪」
画家志望の姉さんが僕にモデルを頼みにくるイツモのバターンだった。

当然、断る事もできず、僕はアトリエのドアを開けた。
備え付けの籠に脱いだ服を畳んで入れた。姉さんが要求しているのは全裸モデルである。女性モデルは女友達と交代でやっているみたいだが、男性モデルはそうもいかない。
丁度、家にはブラブラしている弟が居る…と僕は良いように姉さんに使われてしまうのだ。

いつもの様にイーゼルに囲まれた中に進もうとすると、
「この椅子に座って♪」と、いつもはイーゼルの置かれている場所にソファが置かれていた。
「今日はモデルじゃなくて、あんたをカンバスにして描こうとしてるの。」

訳が解らなかったが、とりあえず椅子に座った。
最初に刷毛で透明な液体が胸に塗られた。ヒンヤリとした感覚が染み渡るうちに、刷毛の触れるくすぐったい感じがなくなっていった。
「こんな感じかな?」と姉さんが刷毛を置くと、僕の胸はカンバスのようになっていた。
「じゃあ描くわね。」と姉さんが筆を取った。

カンバスと化した僕の胸は筆が触れても何も感じなかった。
次第に退屈になりうとうとしだしていた。

「こんな感じかしらね♪」と姉さんが筆を置くと同時に意識がはっきりした。「見てみる?」とキャスター付きの姿見が引き寄せられた。

(…)

僕は何も言えなかった。僕の胸には写実的な「女性の胸」が描かれていた。
「良いでしょう?あたしより大きめに描いてあげたのよ。感謝しなさい。」
って、何を感謝しなければならないのだろうか?
「じゃあ仕上げにするからね♪」と再び刷毛を手にした。
今度は真っ黒な墨のような液体だった。
塗り終えてしばらく経つと黒い表面が泡立ってきた。コーラが吹いた泡のように僕の胸に厚い泡の層が出来上がった。
やがて、泡は厚みをもったまま、石膏のように固まった。

「さあ、仕上がりを見てみましょうね♪」
と僕の胸から石膏が外されると、そこには姉さんが描いた「女性の胸」が三次元化されて存在していた。

「揉み心地も良いようね。」と姉さんの手が僕の胸にできたバストを掴んでいた。驚くことに、掴まれた感触が僕の脳にダイレクトに伝わって来たのだ。
「こ、これって…」僕はそれ以上言葉にできなかった。
「これは、描いたものが実体化する絵の具らしいの。もっとも、人体に限ってっていう制約があるけどね♪」と、バストの重さを量るように下から持ち上げる。「こんなに上手くいくとは思わなかったわ。」
姉さんはもう一度刷毛を手にした。「下の方も仕上げといきましょうか?」と僕の脚を持ち上げた。
玉袋の上に黒い液体が塗り込められる。胸と同じ反応が起きて、股間が石膏で固められたようになる。
同時に、姉さんもパンツを脱ぎ、同じ様に股間を石膏で固めていた。

 

股間の石膏が剥がされる。鏡に写された股間には、新たな穴が穿たれ、その周りに肉襞が形作られていた。
それは正しく女の子の股間だった。

続いて、姉さんが自分の股間の石膏を外した。
そこに現れたのは男のペニスだった。
「元はあんたのだけど、逞しくデフォルメしてみたの♪」と、姉さんのペニスは次第に勃起していった。
「ねぇ、あんたの中に挿れさせてくれない?」と全裸になって僕に伸し掛かってきた。
僕が姉さんに逆らえる筈もなく、姉さんのペニスは僕の股間の出来たての穴に侵入してきた。

 

「ねえ、モデル頼まれてくれない?」
姉さんが久しぶりにモデルの依頼に来た。もちろん、僕に断るという選択肢はない。
「姉さんの友達はどうしたの?」と僕は背中に手を廻し、ファスナーを下ろしながら聞いた。
「何故かみんなお腹が大きくなっちゃってね♪」
(原因はアンタだろうが!!)と言いたいのを我慢して、僕はブラジャーを外しながらイーゼルの輪の中に入っていた。

木漏れ日の中…

木漏れ日の中を歩いてゆく。
狭い森の中の路ではあるが、舗装されていて歩き易い。
今朝も気分が良かったので、お化粧もしないで散歩に出ていた。

季節外れの別荘地には殆ど人がいない。特に朝早い時間であれば、道を歩いていてもすれ違う人などまったくいない。
人によっては淋し過ぎると言うが、ひきこもりであった僕には、願ってもいない状況だった。

 

僕は、それまでは単なるひきこもりの「男の子」だった。
転地療養を勧められたのは、もともとのひきこもりに加え、突然「女の子」になってしまったことがある。
女の子としての生活に慣れることと、少しでもひきこもりを改善することが、ここでの僕に与えられた命題だった。

一つ目の命題は、ほとんど強制的に克服されるようになっていた。
置いてある服は全部スカートだった。僕はこれを着るしかない。そして、女の子の服を着ていると、自然と女の子らしい仕草になってくるのだ。

部屋の中にはテレビもラジオさえも置かれていなかった。あるのは女の子向けのファッション誌や、手芸用品などばかりである。ひきこもりで部屋の中にいるとする事が何もないのだ。
暇を持て余し、鏡に顔を映していた時、ふと口紅が目に止まった。

気紛れが僕の唇に口紅を塗っていた。

ただそれだけだったのに、僕の顔は可愛らしい女の子になっていた。
鏡の周辺には様々な化粧品と化粧の仕方を図解した小冊子が置かれていた。
僕は暇潰しにいろいろなお化粧を試してみた。化粧だけでなく、髪型も変えてみる。
アクセサリーを付けてみる。雰囲気に合わせて洋服も変えてみた。
鏡の中には様々な女の子が現れた。

そこにいたのは、ひきこもりの男の子ではなかった。
快活そうな女の子がそこにいた。この娘は部屋の中ではなく、太陽の下にいるのが似合っている。
僕はサンダルを履いて外に出ていた。
二つ目の命題も変則的ではあるが、解決の方向が見えてきたようだ。

 

僕はちょくちょくこの娘を外に連れ出すようになった。
しっかりとお化粧をしたら、もう「僕」ではない。
ひきこもりの男の子ではなく、普通の女の子…街の中にいても恥ずかしいことは何もない。
バスに乗って街に出る。街の中をぶらつく。気に入ったアクセサリーを買ったり、ブティックで服を選び、試着してみる。歩いていると男の人に声を掛けられた。
何度かは断っていたが、この人なら大丈夫と思える人の誘いには乗るようになっていた。

喫茶店でコーヒーを飲みながらお喋りを楽しむ。もっとも、僕には話すような話題がないので、専ら聞き役に回ってしまう。それでも、相槌を打ったり、面白い話しに笑ったりしているだけで、相手は満足しているようだった。
コーヒーを飲むだけだったのが、ゲームセンターで遊んだり、カラオケに行ったりし始めると、親密度が増してくる。
彼が僕の事を友達に紹介するとき、「この娘、俺の彼女♪」等と言っている。
確かに、並んで歩く時にも手をつないでいるので、端から見ても恋人同士に見えたに違いない。

 

僕は今、ホテルの部屋にいた。
何でここにいるのか?と自問してしまう。部屋の真ん中で固まったように立っていると、彼の手が背中のファスナーを下ろしてゆく。
これから何が始まるのか?「男」としての僕の意識は、彼がこの娘を抱こうとしていると理解していた。
「女」としての僕は、まだ何が起きるのか理解していない。

髪を団子にして止めていた櫛が外された。
髪の毛が肩に広がる。
「セクシーだね♪」
僕は下着姿を彼の前に晒していた。恥ずかしさが湧いてくる。「見ないで」と言おうとした口が彼の唇で塞がれた。
両腕の外から、彼に抱き締められる。彼の舌が僕の口の中に入ってくる。押しつけられた下半身の間で、彼のペニスがビクビクしていた。
唇の次には、彼のペニスが僕の中に入ってくる…漠然と、そんな事が頭に浮かんだ。

膝が震えていた。
脚に力が入らない。
崩れ落ちる身体を彼の腕ががっしりと支えていた。

「感じ易いんだね♪」僕は彼に抱え上げられ、そのままベッドに運ばれていた。
彼の手でショーツが下ろされた。
「固くなってるね♪初めてなのかい?」

僕はどう答えたら良いのか解らなかった。もちろん、男の子としてもSEXの経験はなかった。
「力を抜いてね♪」
彼の掌が僕の股間に当てられた。指が溝の上で小刻みに蠢いていた。
「あ、ああん♪」もう一方の掌が性感帯を探して僕の肉体を隈なく触れて回っていた。むず痒さの中に快感が目覚めた時、僕は思わず喘ぎ声を上げてしまった。

「ほら、濡れてきただろう?これはキミの愛液だよ♪」
初めての快感にボーッとしながら彼の声を聞いていた。
「少し痛いかも知れないけど、すぐに気持ちよくなるからね。」
彼が伸し掛かってきた。
「いくよ♪」
僕の内に彼が侵入してきた。

(イタイ!!)

その痛みに僕は声すら上げる事ができなかった。「力を抜いて!気持ちを楽にするんだ。」そう言いながらも、彼は腰を動かし、更なる痛みを僕に与え続けた。
僕の目から涙がこぼれていた。

そして、僕は何も感じなくなった…

 

 
いつの間にか彼はいなくなっていた。
サイドテーブルに数枚の紙幣が置かれていた。
「女」の僕には、それが何を意味するか解らなかった。
起き上がると、膣の中から精液がこぼれ落ちていった。
シーツに赤い染みが付いていたのに気付くのはそれからしばらくしてからだった。

 

 
僕はふたたびひきこもりになった。
それでも、天気の良い日は家の周りを散歩している。

木漏れ日の中、ふと、僕は立ち止まった。
ゆったりとしたワンピースの前で両手を組む。
膨らんだお腹を抱えて空を見上げた。
キラキラと木の葉が輝いていた…

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