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2009年5月 4日 (月)

合わせ鏡

 

深夜の合わせ鏡は魔物を呼ぶ…

何が出て来るか解らぬまま、フリマで買った古めかしい鏡をフローリングの部屋の中央に向かい合わせて置いた。呪文とかはいらないようだ。僕は時計の針が午前二時を指すのを待っていた。
部屋の照明を消しても、部屋の中の家電製品のLEDがあちこちで灯っている。真っ暗闇を作るのは難しいが、これはこれで妖げな効果がでている。
ロウソクがなかったので懐中電灯に古めの電池を入れ明る過ぎないようにして時計の針が進むのに注視していた。

午前二時

僕は鏡の間に立った。
鏡には僕が写っている。前を向いた僕、後ろを向いた僕。幾重にも重なった「僕」の隙間に魔物が顔を出していないか、一生懸命に探した。
乏しい灯火が作る中途半端な闇の中にソレが居そうな気がした。目を凝らす。覗き込もうとすると、鏡に額をぶつけてしまう。頭を動かさないようにして探し求める。垂れてきた前髪を掻き上げる。まとわりつく髪を邪魔に感じて、ポケットに入っていたゴムでまとめておいた。
部屋の中の温度が上昇しているのだろうか?額から汗が落ちてきていた。ハンカチを出して汗を拭う。温度はまだまだ上がりそうだった。
シャツのボタンを外してゆく。鏡に写る姿を見ながらだと、左右が反転していて指が上手く動かない。
シャツを脱いだが、まだ暑い。下着を脱ごうと手を掛ける。(?)その時、違和感があった。どこか間違っている。
下着にしているTシャツを脱いだが、まだ、何かを体に着けている感じが残っていた。それに、脱いだのもTシャツではないようだ。

鏡の中の「僕」は確かに上半身裸になっている。短く刈り込んだ髪の毛が垂れてくるなどありえない。
が、
僕の後ろ、背中を向けている人物は長い髪をゴムで束ねていた。更に、その肩にはベージュ色の紐が掛かり、胸の周りの同色のベルトにつながっている。
(これはブラジャー?)
後ろに振り向くと、そこにはブラジャー姿の女性がいた。彼女は僕に見られて騒ぐ訳でもなく、瞳を大きく見開いていた。
そう、彼女が驚く筈はない。さっきから至近距離で僕の背中を見ていた筈だ。

(…?!)

この部屋に居るのは「僕」だけだ。僕は合わせ鏡の間に立っているのだ。だとすると、目の前にいる女性は「誰」なんだ?
僕が口を開けると彼女も口を開けた。右手を上げると、彼女は反対側の左手を上げた。まるで鏡に写っているように…

僕は両手を胸に充てた。彼女も同じようにブラの上に両手を置いている。僕がブラの隙間から豊かな乳房を取り出すと、彼女も同じ事をする。
乳房の先端にサクランボのような乳首があった。それを摘んでやると「ああんっ」と女の吐息が漏れた。
快感が僕の体を通り抜けていった。股間が熱を持つ。片方の手を下に伸ばした。スカートをたくしあげ、下着の上から股間に触れてみた。
微かに濡れている。更にショーツの縁に指を掛け、その中に掌を滑り込ませた。僕の手の下に女の秘部があった。割れ目に這わした中指が染み出てくる愛液に触れていた。
隙間の中に指を潜りこませた。

「あ!!!!」

指の腹が敏感な所に触れた。頭の中で閃光が爆発した。脚から力が抜ける。ストンと床に尻が落ちる。体が鏡に触れ、ゆっくりと鏡が倒れてゆく…

どだん!!

必要以上に大きな音を発てて鏡が床に転がった…

 

 

放心状態の僕が気を取り戻したのは、それからどれくらいの時間が経ってからだろう。時計を見るのを思い出して確認した時には、既に四時を回っていた。
立ち上がり、部屋の明かりを点けた。フローリングの床の上に倒れた鏡。対になる方は少し向きを変えていた。
「クシュン」とくしゃみが出た。熱気が去った部屋の中はいつも以上に冷たくなっていた。床の上に僕の脱いだシャツ等が落ちている。僕は上半身裸であった事を思い出した。
下着と思われるものを一枚拾い上げた。Tシャツではなく、肩の所が紐になっている。
それを手にした「僕」が鏡に写っていた。

キャミソールを手にした「女」の姿が…

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コメント

男とおんなは表裏一体。
丑三つ時に合わせ鏡に立つと、裏(性転した)の自分が見れるのか。
見たいようなこわいような・・・

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