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2009年5月31日 (日)

交差点(3/7)

彼女の本体は遺跡から発掘された奇石だった。もちろん、その時点では性別などは持っていない。
奇石を電子頭脳の代わりとして使うための器である素体の造形が、女性型をしていたことで、素体の自意識を女性として持たせる事にしたのだ。
奇石自体はそもそも生物ではない。が、そこに記憶された情報は知的生物…すなわち各時代の人間達から得てきたものである。女とはどういう生き物であるかは知り尽くしている。
本来、素体には殆ど皮膚感覚がないのだが、奇石はその僅かな感覚から、本来の感覚を再現してしまっていた。すなわち、僕が素体に触れれば僕の頭に本物の女性が感じるのと同じ感覚を伝えてくるのだ。

僕は風呂場で固まってしまっていた。

 
夜になり、当然のように風呂を沸かしていた。姿がどうであろうと、夜になれば晩メシを作って食い、風呂に入り、ベッドで眠るものなのだ。
素体にはそれらの行為は必要ないと言われても、これが僕のポリシーであり、こうする事で自分が人間であり続けることができると確信していた。
だから、寝る前にいつものように風呂に入ったのだ。多少は恥ずかしさもあったが、既に一度教授の前で裸になっていたのだ。風呂に入るために裸になる事は何の問題もなかった。
いつものように手足を洗った。
そこまでは何ともなかった。しかし、泡立てた石鹸を乗せた掌を股間に充てた途端、事態は一変した。
僕の股間は女の娘のものだったのだ。男の時とは全く異なる感覚がもたらされたのだ…

僕は自分が女になってしまった事を実感していた。
そこにはペニスはなく、深い溝が刻まれていた。AVで見た画像が再現される。女はここに男のペニスを受け入れるのだ。膣の中でベニスが動きまわると、女は快感に悶えるのだ。AVの女優と自分自身が重なっていった。
そのまま固まっていた僕の内股を、とろりと流れ落ちるものがあった。すぐに愛液だと解った。指先をその奥に誘われる。快感が沸き起こり、スッと脚の力が抜けていった。
ペタリと洗い場の床に尻を付いてしまっていた。脚がM字に広がる。その中心に僕は指を立てていた。
掌で膣口全体を刺激する。立てた指は膣の中を動き回る。快感がエスカレーションしてゆく。

やがて僕は絶頂を迎えていた。

 

気がつくと僕はベッドの上にいた。
だぶだぶのパジャマは本来の僕のもの…「男」の匂いがそこから漂ってきていた。ズボンの中に手を入れる。穿いていたパンツは女物だった。
風呂場での痴態が思い出された。初めての「女」の快感であった。僕は女としてイッてしまったようだ。
僕が意識を失っている間に彼女が体を拭き、パジャマを着せ、ベッドまで連れてきたのだろう。
何故、僕に主導権を渡すのだろう?彼女は何でも自分で行動できるように思える。

「それは違います。」と彼女の声がした。「あたしは単なる道具にしか過ぎません。素体という肉体を与えられても、あたしは電子頭脳の代替でしかありません。そもそも、この素体もあたしの記憶を引き出すための道具です。しかし、あなたは人間です。自意識をもった知的生物です。それはあたしと融合したからといって、変わるものではありません。あなたが自意識を保有している限り、道具であるあたしは、可能な限りあなたのお役に立つべく行動するように規定されています。」
「良いよ。僕=春日純也という男はもう存在しないんだから、後は君の好きにやってもらいたいね。」「あなたは現在、春日純子という女性として存在していることになっています。ですから、あたしの勝手にはできません。」
「僕は女になんかなりたくないんだ!!」僕はベッドの上で大の字になって叫んだ。
「それはあなたが女性の素晴らしさを認識していないからでしょう?先ほどの快感にしても、まだ氷山の一角にもなっていません。」「だから何だと言うんだ?」「あたしの記憶から、あなたに女性の素晴らしさを教えてあげます。」

彼女の宣言と同時に、僕の脳裏に彼女の記憶にある「女の快感」が再現された。僕はそれを自分自身の経験として反芻することになった。
僕は逞しい雄に貫かれ、歓喜に体を硬直させていた。絶妙な愛撫にボクの体は骨が抜けたように溶けてゆく。愛する男と一体となった悦びに、あたしは何度もイき続けていた…
記憶の中のあたしは、愛に満たされた女以外の何者でもなかった…

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