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2009年5月 1日 (金)

脱出

 

「さあ、どれを着ますか?」
俺の前に並べられたのは、きらびやかな女物のドレスの列だった。既に追っ手の掛かっている状況で、この館から脱出するには別人に変装するしかない…とは言え、女装だけはしたくはなかった。
「早く選ばないと、時間が無くなります。」と俺を急かすのは、俺の脳に埋め込んだ機械脳だ。様々な可能性をシュミレートし、現状で最適な行動をアドバイスしてくれる。が、今はうるさいだけのガラクタにしか思えなかった。
「時間切れです。あなたに選択肢はありません。」
俺が制止しようとするより早く、シックな緑色のドレスを手にしていた。機械脳が暴走を始めてしまった。勝手に優先ランクを上げ、俺からの命令を保留状態に陥れていた。
俺の肉体は機械脳の指示でさっさとドレスに着替えてゆく。俺なら躊躇したであろう、女物の下着もためらいなく着けていた。鏡の前に座ると、並んでいた化粧品から適切なモノを選び、俺の顔に塗りつけてゆく。
見る間に俺の顔は「女」になっていった。

 

「ここで間違いないな?」
俺が機械脳に確認すると「問題ない」と返事が来た。
変装のおかげで、怪しまれずに館の内部を移動する事はできたが、慣れない靴と脚に絡むスカートには苦慮させられた。しかし労せずして、俺は抜け道があるという地下室に辿り着いていた。
四方の壁は何の変わりもないように見えた。機械脳の指示は正面の壁だった。壁に掌を押しつけ左右に動かすと、くるりと壁全体が反転した。その先には、地下道が闇の中に続いていた。
すぐにも変装を取りたかったが、闇の中ではどうする事もできない。
片手を壁に当ててゆっくりと進んだ。急ごうにも足元は掘ったときのままであり、慣れない靴を履いているので、すぐにも転びそうになるのだ。
やがて薄明かりが見えてきた。生い茂った蔦が出口を覆い隠していた。隙間から、辛うじて外の明かりが漏れてきていたのだ。

 
眩しさに目をしばたいた。辺りが見えてきた。

!!

俺の周りを囲むように、人の壁ができていた。そして、その中央には俺が最も会いたくなかった男がいた。「お嬢さん、どちらに行かれるのでしょうか?」その薄笑いを浮かべた顔は、俺の正体を知っての台詞である事を物語っていた。
「そのドレス、貴女にとても良く似合っていますが、それは館の中での事。このような所では泥にまみれて、その愛らしさも半減してしまいますよ。」
俺は囲いのどこかに隙がないか探したが、奴の指示にはぬかりはなかったようだ。
「ここはアイツに従うしかないでしょう。いずれは何処かにチャンスが見つかりますよ。」機械脳の楽天さには呆れるが、今は他に選択肢がないのは確かだった。
「判った。投降する。」俺が両手を上げると、「そうですね。女の子は素直が一番です。」と奴はあくまでも俺の事を女の子扱いする。奴が目配せすると人の壁は崩れ、俺達の前に馬が連れられてきた。
俺は奴の腕に抱えられると馬の背に上げられた。続いて奴も馬に跨る。「先に行くぞ。」と手綱を引いた。不安定な馬の背中から落ちそうになり、俺は不本意ながら奴の腰に腕を廻す。
「走ります。しっかり掴まっていてください。」奴に言われ腕に力を入れる。当然のように奴と俺の身体が密着する。俺の尻が奴の股間に触れる。薄布越しに奴の股間のモノを認識してしまった。
馬の駆る振動とは別のリズムでソレは脈動していた。奴のような男であれば、その逸物で幾人もの女を征服してきたであろう。
ジュンと俺の股間から染みでてくるものがあった。「準備はできています。いつでも彼に抱いてもらえますよ。」機械脳が伝えてきた。「準備って何だ??俺は男に抱かれる趣味はないぞ!!」
「この状況で館に着けば、当初の約束に従いアナタは彼の所有物になります。アナタは彼の望む通りにするしかありません。もし、あなたがソレを拒絶しようとすれば、機械脳が強制介入することになります。」
「もし、俺が怪我をするのも顧みず、ここで手を放そうとしたら?」「アナタがそれを実行する事は不可能です。既に、意識の一部に介入させていただいてます。」
「そ、そうなの?アタシは本気よ。気に入らなかったらすぐに手を放すわよ!!」とは言ったものの、アタシは何を拒絶しようとしていたのか思い出せなくなっていた。

 
馬が館に着いた。
先に降りた彼が手を伸ばす。図らずも、アタシは彼の腕の中に転げ落ちていった。アタシは彼の腕に抱かれたまま、館に入ると階段を上り、手近の客間に入っていった。
その先にはベッドがあった。アタシは当然のようにその上に降ろされた。アタシの本能が警告を発し続けている。すぐにでもこの場を離れたかったが、手足が言うことを聞いてくれない。
「解らないことは何でも教えてあげますよ。」機械脳が言ってくる。「うるさいわね。少し黙っててくれない?」と言って、ようやく手足が思うように動かせないのが機械脳の所為であることに思い至った。
「さぁ、早速だが、俺にも良い思いをさせてくれないか?」と彼がアタシの前に立っていた。アタシの手がズボンの中から彼のペニスを引き出していた。口を開き、フェラチオを始めた。やり方はみんな機械脳が教えてくれる。アタシはうっとりと彼のペニスに舌を絡めていた。
「なかなか上手いな。じゃあ、今度は俺がアンタを気持ち良くしてやるよ。」そう言ってアタシをベッドに押し倒した。スカートの中から下着が剥ぎ取られる。それは、既に十分湿り気を帯びていた。「ほう♪準備は万全だな。」アタシの中に彼が侵入してくる…

 カラ~ン

その時、どこかで缶が蹴飛ばされる音がした。
「さぁ、行きましょうか?」機械脳が俺に呼びかけてきた。奴はあの音とともに姿を消していた。俺は再び元の姿に戻っている。
「今度はどこから脱出すれば良い?」
俺は機械脳の情報を頼りに、再びこの館からの脱出を図った。

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コメント

機械脳におちょくられてませんか?この主人公。
再び彼は機械脳におちょくられるのかな?

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