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2009年3月26日 (木)

身代わり

「高砂や~」
俺は三三九度の杯を台の上に戻した。
俺の隣には義兄さんが座っている。これは二重の意味で望みもしない結婚であった。

昨夕、両親が寝静まったのを見計らって姉さんが俺の部屋にやってきた。抱えてきた古めかしい本を机の上に置く。
「あたしが結婚したくないのは知ってるでしょう?」それは何度も聞かされた話だった。これは父さんが出世の為に無理矢理仕組んだものだったのだ。
当然、義兄さんと姉さんの間に「愛」なんてある訳がない。母さんは「結婚なんてそういうものよ」と言って父さんの味方しかしない。
「だからね、あんたに代わりをしてもらうわ。」と、机に置いた本を広げると姉さんは呪文を唱え始めた。

俺の記憶はそこで途絶えていた。
次に気が付いたのは、もう結婚式当日の朝だった。俺は姉さんの部屋で、姉さんの姿になっていた。
分刻みで事が進んでゆく。白無垢を着せられ、化粧が施されてゆく。神殿に上がり、神主のお払いを受けていた。

 
これは二重の意味で望みもしない結婚なのだ。父さんのエゴと姉さんのエゴが俺に伸し掛かっている。本来は男である俺が、好きでもない男(相手が美女ならまだしも)に抱かれキスされている。この男は公式には俺の「夫」なのだ。
父さんは上機嫌で披露宴の客に酒をついで廻っていた。この宴の客の殆どが父さんの関係者だ。残りは「夫」の友人関係である。
新婦側の親族も新婦の友人も一人としていない。新婦の「弟」が独り寂しく…嫌らしい薄笑みを浮かべて…出てくる高級料理に手を付けていた。

 

新婚旅行も終わり、新居での生活も落ち付いてきた。
自炊していたので、主婦らしき事も適当にこなせた。しかし、本当の意味での「妻」にはまだなっていなかった。
彼は毎晩のように酔って帰ってはすぐに寝込んでしまう。休みの日も家にいる事がない。
別に期待している訳ではない。男に抱かれるなど正気の沙汰ではないが、新婚カップルとして、それは不自然なのだ。

夫婦の時間が持てないのは、どうも仕事が忙しいとかいう問題ではいようだ。そもそも、彼には一人前の仕事をするだけの能力がなかった。「創業者の血縁」というだけで席を与えられている。まともな仕事など回ってこないので、仕事で忙しい筈もない。
新妻を放って、家に戻らない「夫」を良く観察してみた。どうやら、彼は「男」としても問題があるようだった。
家では難しい専門書を読んでいる(ふりをしている)が、喫茶店で暇を潰している時は女性週刊誌を舐めるようにして読んでいた。
駅ビルを通り抜ける時も、何故か遠回りをしてレディースのフロアを通ってゆく。
俺が化粧をしていると恨めしそうに覗いている。そんなに興味があるなら、俺の代わりに化粧してくれと言いたくなる位だ。

 

俺は久しぶりに実家に戻った。「俺」の部屋でアノ「本」を見つけた。呪文もちゃんと書いてあった。

 

 

「ただいま。」
俺がドアを開けると「おかえりなさ~い♪」と声が返ってくる。全裸にエプロンだけ着けた姿の姉さんが駆け寄ってくる。いや、姉さんではない。彼女は俺の「妻」なのだ。
元の「夫」は俺と入れ替わり「女」となった。甲斐甲斐しく「妻」として家事をこなし、夜は娼婦のように俺の腕の中で妖しく悶えるのだ。
女である事が彼の本質であったのだろう。「男」であった時よりも活き活きとして見える。

「奥さんに感謝しないとな。」と良く言われる。端から見れば、結婚して人が変わったように仕事をしだしたのだ。まさか、本当に「人が替わった」とは思わないだろう。
そこそこの業績も残せるようになってきた。父さん(今はお義父さんと呼んでいるが)も満足そうに声を掛けてくる。「君のような男が息子になってくれて嬉しいよ。」(って、俺は昔からあんたの息子だよ)とは言わないでおく。

 

家に帰れば姉さんの姿の「妻」がいる。
俺の腕の中で「姉さん」が悶え、喘いでいる。「ぁあ、アナタ。もっと、もっと突いて頂戴♪」
姉さんが俺にねだっている。俺は姉さんを四つ這いにさせると、獣を犯すように突き入れた。「ああん、あ~ん♪」姉さんが淫らに吠吼する。
俺は「姉さん」の膣に思い切り精液をぶちまけるのだった。

 

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コメント

望まない結婚が一転して幸福になったのかな?お姉さんは弟の体になったけどそっちはそれで幸せになれたのかな?
お姉さんの心理編も気になります。

何故か更新していないのにアンテナに引っかかっていたので、急遽在庫からUPしました。


*** 後日談 ***
あの呪文を母さんに教えてあげた。
次の日から父さんが妙に優しくなっていた。
「お義母さんと何かあったんですか?」
と聞くと
「今更ながら『女』に目覚めたみたいでね♪」
とニヤリと笑っていた。

紀子さん
早速のコメントありがとう。

後日談2 は検討してみます

弟になった姉がどうなっているかが気になりますね。

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