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2009年2月20日 (金)

妖精の庭

ここが異世界であることはすぐに分かった。

俺を看てくれていた女の耳が長く先端が尖っていることや、背中に羽が生えている事などは、緑色の髪や紫の瞳が些細な事にしか思えないくらいだ。
それが、彼女だけの突然変異だとしてここが異世界であることを否定しようとも、窓の外の空に二つの太陽を見て、まだこれが異世界でないと言い張る事はできないだろう。
妖精のような容姿が彼女だけのものではない事は、この部屋に訪れた人々を見ればすぐにでも分かった。しかし、それだけではなかった。俺の姿もまた彼女達と同じ「妖精」となっていたのだ。

「起きれますか?」
俺が目覚めたのに気づき、彼女が声を掛けてきた。「医師がもう体を起こしても大丈夫だと言っていました。」
「良いのか?じゃあ…」と体を起こしてみた。

診察の時以外は手足を拘束され、自ら寝返りをする事も禁じられていたのだ。違和感があり、体のバランスが取り辛かったのは、拘束されていた事で手足の筋肉が鈍ってしまったのだろうと思っていた。が、起き上がったことで初めて、俺は自分の身に起きていた異変に気付かされた。

「鏡はあるかな?」
息を落ち着かせて、彼女に尋ねた。
「ちょっと待ってて♪」と彼女が部屋から出ると同時に、俺は細くなった手を胸に当てた。寝間着の胸を押し上げている膨らみが、俺自身のものであることを確認した。
袷を押し広げて胸元を覗き込むと、そこには寝間着の胸を押し上げていた存在=女のような胸の膨らみが存在した。
形の良い釣り鐘形の肉塊の先端に愛らしい乳首が載っかっていた。垂涎もののバストではあるのだが、これが自分の胸に付いているとなると話は変わってくる。
もう一箇所、大事な所も変わっている事が感じられた。手を伸ばし、それを確かめようとした所で「お待たせ♪」と彼女が部屋に入ってきた。

「これが俺?」
予想はしていたが、鏡に映った俺の顔は、彼女達と同じ妖精の顔であった。
「そう、それが今の貴女よ。この世界で生きるのに、過去はいらないわ。昔の事など、全て忘れてしまった方が良いわよ♪」
「そ、そんな……お、俺は男なんだぞ…」
「男って何のことかしら?この世界にいるのは私達妖精だけよ。」「それでも何で女なんだ?」「ですからここには妖精しか…」
俺は「まさか?」と思った。しかし、この世界で合った妖精達はみな美しい女性の姿をしていた。この世界には男は存在しないのか?

「では聞く。妖精とはどういう存在なのか?どうやって子孫を残す?」彼女は少し考えた後、「過去の世界とは比較すべきではないわ。」
彼女は窓の外を見た。「ここには子供も老人もいません。男や女というものと同様に、そういう概念がないのです。皆、この姿で存在を始め、死とともに存在が失われます。」
「存在を…始める?」「他の世界から辿り着いた魂が、ここに肉体を得て存在が始まります。その姿は皆等しく妖精の姿となるのです。」
「では、君も?」「過去は忘れました。貴女も早く忘れた方が良いですよ。何でしたら、お手伝いしましょうか?」と彼女は妖しい笑みを浮かべた。

「…ひとりにして欲しい…」俺がそれだけ言うと、彼女は音もなく部屋から出ていった。
ベッドの柵に手を掛け、ゆっくりと立ち上がってみた。バランスが取れない理由が判っていれば、対処のしようもある。女の肉体と背中の羽をイメージできれば問題はない。
俺は壁にあった姿見に自分の身体を映してみた。寝間着を結いた紐を解き、スルリと寝間着を床に落とす。下着は着けていなかったので、妖精の裸体がそこに映し出された。
目の前にあるのは紛れもない女の肉体であった。それも官能的な肉付きをしている。
「男」の意識が性的な興奮を覚える。が、反応する筈の男性自身はどこにもなかった。興奮は俺の頬を紅潮させ、女の顔に艶っぽさを加える。
恥ずかしさに無意識のうちに胸と股間を隠そうと腕が動く。
「あんっ♪」
愛らしい淫声が俺の喉から漏れた。腕が乳首に触れたのだ。これまで感じた事のない快感に、思わず淫声をあげてしまった。
「女はこんなにも感じるのか?胸でこれだけ感じるのなら、股間の秘所からはどれだけの快感が得られるのか?」
股間を隠していた手が肌に触れてきた。中指が曲げられ、秘裂に潜り込もうとする。

「!!!!!!」

俺の叫びは声にはならなかった。強烈な快感が俺を打ちのめす。既に立ち続けていることはできなかった。がくりと膝を付き、崩れるように床に身を横たえた。
股間に差し込んだ指が濡れていた。俺の股間が女のように愛液をあふれさせている。ソコからもたらされる快感に、女のように喘いでいる自分がいる。
「あん、ああ~ん♪」俺の声もまた「女」のものだった。俺は自分が女となっている事を認めざるを得なかった。

オンナの快感が俺の脳を揺さぶる。「過去の事など忘れてしまいなさい。」彼女の言葉が頭の中にこだましている。
「男だった事など、いつまで引きずっているの?貴女はもう女なのよ。さあ、女の快楽に委ねてしまいなさい!!」
混沌とした意識の中で、俺はオンナである事を受け入れた。

 

 

悦感が体中に広がってゆく。硬く委縮していた背中の羽が広がってゆく。

浮遊感♪

俺は宙に浮かんでいた。
羽の動きにつられて部屋の中を漂っている。羊水の中の胎児になったかのような心地よさ。
押しては引く波のように、繰り返し快感の波に洗われる。徐々に、快感のボルテージが上がってゆく。

「ぁぁ、ああ、ああ~~っ♪」

いつしか、窓をくぐり抜け庭の上を浮遊していた。
庭には色とりどりの花が咲き乱れている。
その上に

飛沫となった
「俺」の愛液が
降り注がれていた…

 

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