« 妖精の檻 | トップページ | 妖精の魂 »

2009年2月20日 (金)

妖精の餌

俺は気を失っていたらしい。
体中に粘液の干からびた残祉がこびりついていた。シャワーでも浴びたいところであるが、今の俺にはどうする事もできそうになかった。
今の俺は、身長が20cm程しかなかった。もちろん、普通の意味での「人間」ではあり得ない。人間のミニチュアのような身体に羽の生えている姿は「妖精」と呼ばれている。
羽を広げれば宙を飛ぶこともできるが、身体の大きさに比例して、持てる力も激減していた。
つまり、ドアのノブに手を掛けることはできても、それを回してドアを押し開く事ができないのだ。そもそも、ノブ自体が両腕で抱えなければならないくらい大きいのだ。
俺は机の上にあったティッシュを引き出して、身体に付いた汚れを削ぎ落とすことで妥協した。

 
俺は羽を広げると、一旦天井近くまで昇った。部屋全体を俯瞰する。ベッドと造り付けのクローゼット、机の上には工具が散らかっていた。
入り口のドアの近くには鏡があり、その隣のドアの向こうはバスルームなのだろう。未練はあったが、先ずは目的のものを見つけなければならない。
それはゴミ箱の中に放り込まれていた。ゴミとは言っても、紙屑ばかりである。その一番上に俺の「服」が落ちていた。
スーッと舞い降りて、服を拾い上げる。机の上に並べて置く。全てが揃っているのを確認し、下着から着始めた。
俺のような「妖精」が裸でいても、誰も咎めはしないだろう。しかし、俺の意識はまだ「人間」である。全裸で人前に出ることには躊躇がある。
服を着たことで人心地ついた俺は、次の行動に移ることにした。まずは、この部屋からの脱出である。
非力な「俺」が窓やドアを開ける事は不可能である。だれかに開けてもらうしかないが、この部屋の男に見付かれば、簡単には逃がしてもらえないだろう。
彼に見付からずに逃げ出す方法を考える。もし俺が数cm程度の虫のような大きさであれば、コートのポケットにでも潜り込めたかも知れない。
とりあえず、どこかに身を隠すのは正解のようだ。彼が探しても見付からず、いざと言うときにはすぐに逃げ出せる場所はないかと探してみた。
が、そうそう見付かるものでもない。そうこうしているうちに、ドアの外に近づく足音があった。
俺は慌てて、壁に掛かっていたコートの中に身を隠した。

ガチャリ。
無頓着にドアが開けられた。その隙を突けば出られたかも知れないが、俺は隠れるのに必死だった。その事に気付いた時には、ドアはピタリと閉められていた。
俺はコートの影で息を殺していた。

男は部屋の中をぐるりと見渡した。「ほう、逃げたか?いや、まだこの中にいるのだろう。ならば…」
男はニヤリと笑みを浮かべるとおもむろにズボンを脱ぎ落とした。「いつまで耐えられるかな?」
男はパンツの中から彼の逸物を取り出した。男の匂いが漂ってくる。
俺の「肉体」が反応していた。コートの隙間から中を窺うのだが、その視線が彼のペニスに釘付けになる。そこから放出された精液に塗れて歓喜していた昨夜の自分がフラッシュバックする。
「妖精」としての存在が俺の意思を上まろうとしていた。妖精の「女」の肉体が股間に蜜を溜めてゆく。乳首が硬く尖り、肉欲に体が打ち震える。
男が肉棒をしごき始めた。すぐに硬さを増し、先走りの汁が先端に染み出てきた。
俺は俺の肉体を押さえ切れなくなっていた。勝手に羽を広げ、浮き上がろうとする。
花蜜に誘われる蜂のように、彼の股間に飛んでいこうとする。
糸を引いて汁が床に落ちようとしていた。
「ダメ~!!」
俺はそう叫ぶと同時に飛び出していた。
雫は俺の手の中に落ちてきた。濃厚な芳香に眩暈がする。コクリと喉を鳴らして飲み込んだ…

気が付くと、俺は再び彼のペニスに抱きついていた。舌先で精液の残りを舐め取っていると、男の指が俺の股間から愛蜜を掬い取ってゆく。男はそれを美味しそうにしゃぶり尽くす。
そこには快感の連鎖が産まれていた。

 

俺はその部屋から外に出る事を許されるようになっていた。
しかし、ここを離れてどこかに行くことは出来なかった。俺の意思がそれを欲しても、肉体がそれを拒絶する。いつしか、俺の頭もそれを考えることを止めてしまっていた。

街路樹の木の葉と遊んでいると、ピューと彼の口笛がした。
俺は急いで飛んで帰る。開け放たれた窓から、彼の股間にダイブする。
チャックを開け、パンツの中からソレを取り出す。
快感の連鎖が再び始まる。
俺は芳香に包まれて、至福の一時に思いを馳せていた。

« 妖精の檻 | トップページ | 妖精の魂 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 妖精の餌:

« 妖精の檻 | トップページ | 妖精の魂 »

無料ブログはココログ