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2009年1月24日 (土)

いきます…

 

「どこに行く気?!」
男の声に僕は振り向くことはせず「もう一度…死にに行きます。」と廃墟のビルの非常階段を昇り始めた。
「止めなよ!!」男が僕の腕を掴んだ。「今のあんたに自殺すべき理由があるの?今のあんたは、さっきまでのあんたではないのよ!!」

僕は死ぬ事しか考えていなかった。だから、現在の自分の状況をまったく把握していなかった。
廃墟のビルから飛び降りた筈が、気が付くとビルの前の道路で寝ていたのだ。だから、もう一度飛び降りる必要があるのだ。
「待ってよ、もう一度自分の姿を確認して!!」男はうるさく言ってくる。
「何なんだよ。他人の事など放っておけば良いだろう?」僕は男に向かって言った…
「生憎、他人事ではないのよね。」

よく見ると、男は「僕」だった。
「自殺の理由なんか知った事ではないけど、あんたが飛び降りた時に下に居たあたしを巻き込んだのは事実なのよ。そして、神様の悪戯か、あんたとあたしの身体が入れ替わってしまったのよ。今、あんたが死ぬって事は、あたしが死ぬ事になるの!!」

ようやく、僕は自分の姿を見る事になった。僕はスカートを穿いていた。胸に手を当てると、女性だけの持つ膨らみを感じた。
「解った?」男の声に刺を感じた僕は、下半身を確認するのを止めて「ああ」とだけ答えた。その声はもう「僕」自身の声ではなく、高い女の声だった。

 
「あたしは小室由紀恵。25才OL。彼氏なし。これがあんたのプロフィールになるのね。」
僕は喫茶店に連れてこられた。「ぼ、僕は橋本秀司。フリーター…でした。」
「過去形って事は現在無職って事ね。で、どこに住んでるの?今流行りのネットカフェ難民てやつ?」
「そ、そんなトコです。」僕は彼女(彼?)のペースに飲み込まれてしまっていた。
「とにかく、今夜はあたしのマンションに行きましょう。その前に携帯貸して。」僕は携帯など持っていないが、由紀恵のバッグには華麗にデコレーションされているやつが入っていた。
「俺」とは思えない馴れた手つきで幾通かのメールを送信した。「掛かってきても出ないでね。とりあえずマナーモードにしておいたから、解らないとは思うけど。」僕は返された携帯を再び由紀恵のバッグに入れた。
「そうだ。中に財布があったでしょ?それ貸してくれる?」と財布から数枚の紙幣を抜き取り、ポケットに入れた。「やっぱり女の子に払わせる訳にはいかないからね?」
もともと由紀恵のお金なのだから、僕にはどうでも良い事だ。それよりも…「あの~ぉ、いつまで入れ替わっているんでしょう?」
「あんた、どうせ死ぬつもりだったんでしょ?なら、しばらくあたしに身体を貸してくれたって良いんじゃない?」と押し切られ、僕達はそのまま由紀恵のマンションに向かった。

「お風呂は沸いているから先に入ってて。」僕は由紀恵に言われるがまま、慣れない女の服を脱いだ。
湯船に浸かっていると由紀恵が入ってきた。見知った「僕」の身体であったが、股間のモノを目の当たりにして、思わず目を背けていた。
「あんたの身体でしょ。恥ずかしがる事ないんじゃない?」と、由紀恵はここ数日シャワーも浴びていなかった汚れた「僕」の身体を洗っていった。
「ほら、洗ってやるから出てきなさい。」さっきより大きくなっていた股間のモノに躊躇はしたが、結局由紀恵の指示に従うことになった。実際、女性の身体をどう洗えば良いのかなど知らないので、僕はその身を任せるしかない。
由紀恵の手が背中、腕とボディソープを刷り込んでゆく。その手が前に廻り、胸を包み揉みあげる。
「あぁん♪」快感のようなものに思わず声をあげてしまった。
「そうね。気持ち良かったら我慢せずに喘いだ方が良いわよ。」と、由紀恵はワザと感じる所を攻めていった。
由紀恵の指が僕の股の間に滑り込んできた。「イヤッ」と反射的に声をあげ、ギュッと閉じたが「ここはデリケートな所だから、ちゃんと洗わなくちゃだめよ♪」と耳元で囁かれた。

由紀恵の指技に翻弄され、僕は風呂を出るなりグッタリとベッドの上に横たわっていた。風呂の中で僕は幾度となくイかされたのだろう。それがオンナの快感である事を今になって理解し、僕は頬を赤らめていた。
由紀恵は何かを探してゴソゴソとしていた。やがて、ベッドの近くの椅子に座った。
「何してるの?」と由紀恵の方を向いた。
そこには鏡に向かいお化粧をしている女性?がいた。女物の服を着ているが、髪の毛は男のよう…
その人物は「僕」だった。お化粧が終わり、ロングのカツラを被ると、とても「僕」には見えなかった。
「あんたが痩せていてよかったわ。」男とも女ともつかない声色で由紀恵は僕に全身を見せた。詰め物をしているのか、胸はしっかりと膨らんでいる。腕や脚の毛は綺麗に剃り落とされていた。
「このマンション、男子禁制なのよ。誰かに見られるといけないから女装してみたの。似合ってると思わない?」とくるりと回転し、スカートの裾を舞わせた。
由紀恵の言う通り、元が「僕」だとは思えないほど女らしかった。

が、僕がベッドの上で起き上がったと同時に由紀恵が、「え?やだ!」と突然下半身を押さえていた。見るとスカートにくっきりと男のシンボルが浮かび上がっていた。全裸の僕の姿に反応してしまったらしい。
「あんたの身体でしょ。ちゃんと始末してよね。」とスカートをたくし上げた。
小さなパンティから「僕」の男性自身がはみ出ている。由紀恵は僕の頭を引き寄せると、パンティから取り出したペニスを僕の口に咥えさせた。
何をさせようとしているかは解っていた。そして、僕はそれに抗うことができないのも解っている。僕は「僕」のペニスにしゃぶりついた。
しばらくして由紀恵がうめき声を上げると、口の中に精液が放出された。僕はこぼさないように全てを飲み込み、舌で残祉を舐め取って萎えたペニスをパンティの中に戻した。

 
僕が「女」である事をなかなか受け入れられないでいる間にも、由紀恵は着々と事を進めていた。既にマンションの中では「由紀恵の妹」という事で認知されていた。「美人姉妹」とも噂されているみたいだ。
由紀恵は「僕」の身体に女装させるだけでは納まらなかった。ホルモン剤を飲み始めると胸が膨らみだし、身体つきもよりオンナらしくなっていった。僕の裸体を見ても勃起する事はないようだ。ペニス自体も大分小さくなってしまっていた。
「しばらく外泊してくるから」
と言って戻ってきた時には、「僕」の股間からは完全にペニスが失われていた。股間には今の僕と同じ、淫靡な縦の筋が走っていた。
由紀恵の変身が進むにつれて「僕」という存在がどんどん薄れていくような気がした。
顔の整形手術が終わって帰ってきた由紀恵は、今の僕と同じ顔になっていた。
「今日からあたしが小室由紀恵に戻るからね。あんたの新しいプロフィールはあたしの妹って事になるわね。さあ、携帯を返してくれないかしら。」
僕はしばらくの間ではあるが「小室由紀恵」として使っていた携帯を彼女に戻した。
「僕はどうなるの?」
「できれば、整形して小室由紀恵とは赤の他人になってもらいたいわね。そうすれば生きるも死ぬもあなたの自由よ。」

僕は由紀恵に言われるまま、整形手術を受けた。
別に、男に戻れる訳でもなかった。顔の包帯が取れると、鏡の中には見知らぬ女の顔が映っていた。
「橋本秀子って所かしらね。」
僕は再びフリータの生活に戻っていった。違うのは、今の僕が女であること…
しかし、そらの違いには大きなものがあった。仕事はきつく、収入もほとんどない生活を続けてきた昔の僕。自殺も考えた事もあった。
女となった僕には楽で稼ぎの良い仕事を見つける事ができた。
街角に立っているだけで、金を持った男達が声を掛けてくる。その相手をするだけで男の時の数倍の収入が得られるのだ。それに、きついどころか、快感さえ伴っている。
僕はベッドの上で脚を広げる。
快感が訪れる。
極上の悦感の中で僕は叫ぶ。「イ、イく…イっちゃう~~♪」

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コメント

『いく』
あの世に行くはずが、女の身体に行って、女としていって・・・
戻れない道を行った彼
元彼が、女の身体になっていくのがいいです。^^

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