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2008年12月23日 (火)

親殺しの…

SFのネタでは良くある事だが、タイムマシンを作った時、誰もが考えるのは「親殺しのパラドクス」である。歴史などの大きな流れを変えようと、重要人物を殺しても、歴史の流れは別の人物に同じ役割を果たさせて、何も無かったように補修してしまう。
しかし、身近な問題であれば歴史の流れの補修は効かない。俺はそれを試すべく、父親が母親と出会う前の世界に時間旅行を敢行したのだ。

父親は大学の研究室で俺と同じタイムマシンの研究をしていた。俺がこの研究を始めたのも父親の影響かも知れない。もっとも、俺の父親は俺が幼い頃に失踪しており、その顔も写真でしか見た事がない。
俺は大学に向かうと研究室のドアを叩いた。
「どうぞ。」との声に中に入ると、そこには写真で見た通りの父親の姿があった。「乃州先生?」俺はそう父親に挨拶した。
「あなたは?」「黒木将といいます。」俺は用意しておいた偽名を名乗った。「先生のタイムマシン理論に興味がありまして、少しお話をしたいと思いましてやってきました。」
親子であるが故か、二人はすぐに打ち解けた。更に俺の知識は実証済みのタイムマシンに裏打ちされているため、俺の優位のうちに話を進めることができた。そして、俺達は意気投合し、その夜は父親の宿舎に泊まり込んだ。

俺は父親を「殺す」つもりはない。俺が彼の遺伝子を持たないようにするだけで良いと考えている。先ずは俺の母親と会わせないこと。俺がこうして彼の近くにいれば、排除は簡単だ。
次に考えたのは、彼に女を近づけさせないこと。俺が母親とは別の女性から産まれる可能性を排除するのだ。そのために、俺は彼を男色になるよう誘導していった。屈辱ではあったが、俺は彼に尻を差し出すこともした。
その甲斐あってか、彼は女に見向きすることは無くなっていた。彼の視線の先には常に俺がいた。いつも俺と行動し、夜になると股間を開き、彼の尻に俺のペニスを咥え込んでは悦楽の境地をさまようのだ。

日に日に彼は可愛くなっていった。本来の年齢よりもずっと若く、大学に通う女の子達と見分けがつかなくなっていった。
ある晩、彼が「将、見て♪」と俺にその裸体を晒した。胸には豊かな乳房があった。
股間にはペニスはなく、替わりに女の子の秘裂がくっきりと浮かび上がっていた。
俺の理性はあっという間にふっとんでいた。

気がつくと俺は彼女の膣に幾度となく精液を注ぎ込んでいた。
「うれしい♪」と彼女は言う。そして、俺をギュッと抱き締めた。「もう、男に戻れなくても構わない。あたし、幸せ…」

彼女が女になったのは非合法の性転換薬だった。それは、一時的に男を女に変えるのだが、女の間にSEXして妊娠してしまうと元に戻れないと言う代物だった。
そして、彼女はその一夜の行為でしっかりと妊娠していた。

「どうしたの?」と彼女が首を傾げた。
俺はその姿に見覚えがあった。それは俺の母親そのものだった。つまり、彼女の腹の子は俺自身なのだ。

俺は目の前が真っ暗になった。
大学の研究室に向かう。そこには作りかけのタイムマシンがあった。俺は何も考えずにスイッチを入れていた…
 

 
研究室のドアが叩かれた。
「どうぞ。」と私が声を掛けると、一人の男が入ってきた。
以前、会ったような気がするが、今の私は実験中の事故の所為か、所々に記憶の不確かな箇所がある。
「乃州先生?」男はそう挨拶した。
「あなたは?」と聞くと「黒木将といいます。」
男はそう名乗った。

私は何かとんでもない事が始まる予兆を感じていた…

 

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コメント

輪廻の蛇ですね。
うむ、こっちの方がすっきりしている。
ハイラインよりも奈落さんのほうが面白いです^^

いやぁ~
「輪廻の蛇」と比較されると恥ずかしいです。

しかし、あの作品があったからこそ、こういう発想もできてくるというもので、ハインライン氏また彼等の作品を紹介してくださった先達に感謝します。
(今年はそういう方々の訃報が多かった気もします)

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