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2008年10月 4日 (土)

変わらない日々

 

朝、気が付くと俺の股間からペニスが消えていた。
しかし、熱があるとか、どこかが痛いとかいった症状がなかったのと、仕事が忙しかったのもあって、病院にも行かずに放っていた。

何食わぬ顔でいつも通りの毎日を過ごしていたが、数日後に生理が来た。近くのコンビニに生理用品を買いに行った。生理用ショーツというものもあったので一緒に購入した。俺が初めて買った女の下着だ。
ショーツは男のパンツとは違い、肌にピタリと貼り付くような感じだった。穿いてみて思ったが、女の下着は穿き心地が良い。それは俺の股間が女になったからなのかは、こうなる以前に試した事がないので判断できない。
ともあれ、数日で生理終わっても、俺はショーツを穿くようになっていた。もちろん生理の時以外は、生理用ではなく普通のショーツを買い足して穿いている。

最初はコンビニで購入していたが、店頭で買うのが恥ずかしく、即に通販で買うことにした。通販カタログを見ると、ショーツだけではなく、様々な下着が並んでいた。
俺の肉体の変化は股間だけで、胸は膨らんでいはない。ブラジャーなどは端から着けるつもりはなかった。が、それ以外の下着もショーツと同様に着心地が良いのだろうと、試しに男が着ても不自然にならないようなタンクトップや肩紐が広いキャミソールを手に入れてみた。

 
俺は通販カタログを手放せなくなっていた。女の下着は着心地が良いし、デザインも豊富だ。その日の気分に合わせて変える事ができるし、逆に下着によって気分を変えることもできる。
下着ばかりではない。平日はいつもの姿を装うが、休みの日はカジュアルな服になれる。通販で手に入れた女の下着の上にレディースのアウターを着る。下着と同様にアウターも着心地が良い。

この所、床屋に行っていないので髪の毛も大分長くなっていた。髪を伸ばし、レディースの服を着ていれば、女に間違えられても仕方ないだろう。
俺が街を歩いているとヘアサロンのチラシや化粧品のサンプルがつぎつぎと手渡されてくる。チラシは即にごみに捨てられるが、サンプルは捨てられずに洗面台の鏡の前に並んでいった。

最近は顔を剃らなくても髭が伸びてくる事がない。朝は歯を磨き、顔を洗うだけで終わっていた。
ふと、チラシの中に初心者向けの化粧の手ほどきが載っていたのを思い出した。古紙の束からそのチラシが出てきた。鏡の前には必要な化粧品が全て揃っていた…

 

朝、気が付くと俺の胸が女のように膨らんでいた。
これでは「何食わぬ顔で仕事に行く」事は難しい。試しに男の服を着てみたが、どうしても胸の膨らみが目立ってしまう。
俺は意を決してレディースのスーツを取り出した。髪を結い上げ、化粧を決めた。

 
「おはようございます。」オフィスのドアを開けた…
「あぁ、おはよう。」反ってきたのはいつもの挨拶だけだった。違ったのは事務の娘が「その服、素敵ですね。」とコメントしただけだった。
オフィスの中の男達は皆、女性化症候群で女になり、ブラウスやワンピースを着ている。俺だけが男物のスーツで通していたのだった。

その日もまた、変わらない一日が過ぎてゆくのだった。

 

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コメント

淡々と語られる変化。そして、ラストの衝撃の事実も淡々と語られる。
なんだか不思議な感じがしました。^^

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