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2008年9月 4日 (木)

メタボ

「メタボ対策が必要ですが、どのコースにしますか?」

とメニューが渡された。
 

1.生活習慣改善コース
つまりは、もっと運動しろと言っている。俺にはそんな暇も体力もない。

2.食生活改善コース
俺は好き嫌いは無い方だが、あれはダメ、これはダメといちいち覚えるのが面倒だ。更に、材料毎に何グラムまでとか細かい事は気にしていられない。

3.サブリメントコース
薬で抑えられるのなら面倒なことはないだろうと言われるが、何時に何を何粒だとかいうのが面倒なのだ。

4.外科手術コース
強制的に内蔵脂肪を削ぎ落とすと言うものだが、入院なんかしている暇もない。

「これしかないのか?」と聞くと「ない事はないんだが、まだ研究段階でとうてい勧められるものじゃないよ。」と言われた。「ちなみに、どんなものなんだい?」「下着だ。」「下着?」「そう。着ているだけでメタボが解消する。特殊な縫製で内蔵脂肪を締め上げ、効率良く燃焼させる。着るのにちょっと難があるが、着てしまえば快適そのもの。バイオコーティングが施してあるので、長期の連続着用も可能になっている。」「それ、良いじゃないですか。」「まだ、研究段階だよ。最近試作ができあがったばかりだよ。」「じゃあ、データが必要でしょ?俺が着るから、そこからデータを取れば良いじゃないですか。」「良いのかい?」
「もちろん♪」

 
それはボディースーツと言われる上下一体となった下着だった。「トイレの時は股間のボタンを外す必要がある。小用でも個室を使う事になる。」苦労して着込んだ後にそう言われた。
最低でも2週間はモニタとしてコレを脱ぐ事はできない。まあ、2週間ならそれくらいの面倒も苦にならないだろうと、俺は着てきた服を再び着込んでいった。
下着を着ただけなのだが、既にズボンのベルトの穴が一つ移動していた。
「データは携帯電話から自動的に発信されるから、何も気にする事はないよ。普通に生活して、1週間後にまた来てくれないか?」

 
そうは言われたが、丁度1週間後に仕事が修羅場を迎えてしまった。報告に出向くどころか、家にも帰る暇が無くなっていた。瞬く間にモニタ期間の2週間も超えてしまっていた。
「主任、働き過ぎじゃないですか?」その頃には周りのメンバが心配する程、俺の体は痩せてきていた。しかし、それは不自然な痩せ方ではく、顔色は至って健康、肌も以前より瑞々しいくらいだ。気になる所と言えば、これだけ痩せてきているのに、胸の贅肉は一向に落ちる気配がない。全体のバランスから見ると、そこだけプックリと膨れて、女性の乳房みたいになっていた。

「主任、何か替えの服を持ってきましょうか?」数日後にはそう言われるくらい服がだぶついていた。ズボンも切って短くしたベルトで締めつけて辛うじて脱げないでいる状態だった。「何かあるのか?」と聞くと若いのが紙袋を抱えてきた。
ワイシャツがあったので着てみると、何故か俺の体に丁度良かった。胸の贅肉部分も特殊な加工がしてあるようで、ゆったりと収まっていた。
「ジャケットもありますよ。」と薄い黄色の上着が差し出された。着てみると、サイズ的には丁度良い感じだったが「丈が短くないか?」普通なら脚の付け根に届く位の裾が、腰の上までしかない。
「確か、そう言うデザインだったと思います。いや、何か足りないなぁ…」と紙袋の中を覗くと、「ああ、これだ♪」と何か取り出した。
「主任、ちょっと目を閉じていてくれませんか?」訳が解らなかったが、言われた通りにした。襟が立てられ、ネクタイでも結ばれているようだ。更に髪の毛が梳かされた。
「良いですよ。」と言われ鏡の前に立たされた俺は言葉を失ってしまった。
着せられた服は事務のOLの制服である事はすぐに解ったが、それ以上に髪の形を変えただけなのに、その服が俺の体に何の違和感も与えなかったと言うことだった。
俺が固まっている間にもズボンが脱がされていた。どこから持ってきたのか、ストッキングが穿かされた。ジャケットと同じ色のスカートを着けて、パンプスを履かされていた。
「な、何をやっているんだ!!」俺はようやく我に返った。「早く仕事に戻れ!」と追い返した。いくら違和感がないからと言って、女装して仕事をする訳にもいかない。俺は着せられた服を脱ぐと同時に、メタボ対策のボディースーツも脱ぐ事にした。着た時と逆の順序で脱いでゆく。締め付けられて細くなった腹周りは、脱いでもその細さを保っていた。が、胸の贅肉は拘束が解かれた途端、一気に膨らみを増した…

 

「ふう…」
俺は全身を写す鏡を見てため息をついた。それは、どこから見ても女性の肉体だった。大きく膨らんだバスト。くびれたウエスト。腰から尻への滑らかで肉感のある曲線。そして…股間からは男のシンボルが失われていた。
あのボディースーツは一人では再び着ることは不可能だ。すなわち、この体型を誤魔化す手段はない。見ると紙袋の中にもボディースーツがあった。もっともこれは女物の下着であったが、何故か抵抗なく着る事ができた。

「仕事を続けるぞ。」
OLの制服を着た俺が声を掛けると、いつも通りの修羅場が再開された。ぶかぶかの服より、身体に合った服を着ている方が仕事もはかどるようだった。あれよあれよという間に仕事が片付いてゆく。あと三日は掛かると思っていたのが、翌日の昼過ぎには目鼻がついてきた。
「ちょっと抜けるな。」俺はシャワーを浴びに席を立った。今着ているボディースーツにはバイオコーティングなどないので老廃物が溜まってくる。自分でも気になる程の臭いがしていたのだ。

シャワーの下で改めて自分の肉体を確かめてみた。
俺の身体は完全に女のものになっていた。伸びた髪の毛の髪質は柔らかく、顔を撫でる掌に髭が当たる事もない。浮きでた鎖骨、豊なバスト、引き締まったウエスト…
股間に手を当てる。トイレでも確認していたが、俺のペニスは跡形もなくなっていた。小水は股間から直接排泄されるので、終わった後は女のように紙で拭かないといけなかった。
シャワーの下で俺はその先を確認しようとしていた。肛門との中間で手を止める。指先は女の割れ目を捉えていた。肉襞は確認できなかったが、そこから奥に続く肉洞の存在が感じられた。指を立て、ゆっくりと挿入する。俺の股間から異物が侵入してくる感覚が届いてきた。
ピクンと乳首が勃起していた。「っあ!!」指の腹が敏感な所に触れ、思わず声が出てしまった。シャワーのお湯が俺の腕を伝って股間を湿らす。俺は更に指を推し進めた。中指が根元まで入っていた。肉洞は更に奥まで続いているようだった。
俺は指を曲げ、肉壁に触れた。「これが俺の膣なのか?」向かい側の鏡に瞳を妖しく潤ませた女の顔が写っていた。俺は空いた手を胸に当てた。バストの重さを感じる。更に、乳首に触れた。「あんっ♪」俺の口から女の喘ぎ声が漏れる。乳首を摘まみ、刺激を与えるとこれまでに感じたことのない快感が沸き起こってきた。
股間の指がシャワーのものではない液体に遭遇した。俺の女の身体が愛液を漏らしているのだ。俺は自分が完全に女になってしまった事を実感していた。

 
用意されていた新しい下着と洋服を着て仕事場に戻ると…
「主任、仕事も一段落した事だし、みんなで飲みに行きませんか?」これまで誘っても頑として靡かなかったメンバが、彼等の方から俺を誘ってきた。俺は嬉しくなってすぐにOKした。そのタイミングを計ったかのように、終鈴が響く。
俺はそのまま押し流されるように、街に連れ出された。
「カンパーイ♪」
テーブルを囲む皆の顔が明るく輝いていた。

メタボが解消されただけで仕事も人間関係も、こんなに良くなるのなら、もっと早くからメタボ対策をしておけば良かった。
俺は甘酸っぱいカクテルを飲みながら、そう実感していた。

 

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コメント

これは・・・健康管理と業績アップを可能にした夢のシステム?
う~ん、私もメタボ気味だからほしいなぁ。この下着^^

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