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2008年5月 7日 (水)

確率と可能性 -1-

それは、だれでも経験する事ではないが誰もが経験する可能性を持っている。僕は漠然とそうなることはないと思っていたが、それを否定できないからこそ、可能性という数値が存在することを思い知らされたのだった。

朝、目覚めると、僕は女の子になっていた。

俗に「盲腸」と呼ばれる虫垂炎よりも確立は低いが、自然性転換症と呼ばれる病気が蔓延して十数年が経過していた。今では、発症した人がスムーズに社会に受け入れられるよう、法整備も進んでいた。が、僕はこれまで性転換症になった人を見たことがなかったので、他人事のように思っていた。
しかし、それは目の前の現実として僕自身にもたらされていた。
その朝は、何か違和感を感じた目覚めだった。その違和感の正体も判らずに僕は毎日の朝の行動を進めていた。パジャマを脱ぎ、Tシャツの上にワイシャツを切る。ズボンは学生服の黒ズボンだ。寝ぼけ眼をこすりながらリビングに向かう。
「お早う。」と母さんに声を掛けテーブルの上に並べられた朝食に向かう。いつものように食べ終わり、いつものように洗面台に向かい、いつものように出掛け前のトイレの中に立った。
そこまではいつも通りだったが、その朝はパンツの中からなかなかおちんちんが出てこなかった。と言うより、おちんちんの存在が感じられない。そして…膀胱が耐え切れなくなった。小便が股間から溢れ、パンツとパジャマを濡らし、足元に水溜まりを作った。
「あ、あーっ」僕は訳も判らず叫んでいた。
「とうしたの?」と母さんがやってきた。僕の惨状を見るなり、「アレが来ちゃったのね?」と言う。「いつまでも濡らしたままで立ってない。さっさと脱いで風呂場で洗ってらっしゃい。」と僕をトイレから追い出した。

「今日は学校はお休みしておきなさい。」と着替えを渡してくれた。「こ、これって…」それは女性用の下着だった。「トイレで慌てないように、ズボンは穿いちゃだめよ。」とスカートが渡された。「学校には連絡しておいたから、今日は一日のんびりしてなさい。母さんはあんたの下着とか買って来るからね。」そう言って慌ただしく家を出ていってしまった。
いくら股間が女の子になったからといって、はいそうですかとパンティーを穿ける訳もない。が、母さんは箪笥の中にあった僕の服を全てどこかに隠してしまっていた。唯一の例外は、今、洗濯機の中で回っている。
いつまでも下半身丸出しでいる訳にもいかず、僕はパンティーに足を通した。この上にスカートを穿く気などある訳もない。僕はベッドに戻り、布団の中に潜り込んだ。自然性転換症…僕の身に起きた事がソレであることは容易に想像がついた。布団の中で股間に指を這わすと、縦に刻まれた溝がはっきりと判った。柔らかい♪弄んでいると、ソコが湿り気を帯びてきた。パンツが濡れてはいけないと、パンツの中に手を入れた。
指が割れ目に沈み込んでゆく。と同時に僕のナカに侵入してくるモノを感じた。「あ、あん。」指の腹が敏感な所に触れ、思わず小さな喘ぎ声を出してしまった。
体の奥が染み出てくる液体が指に絡まる。指を動かすと肉壁に刺激が届く。反射的にぎゅっと力が込められると、肉壁が指を圧する。
「ああん♪」指が敏感な所に触れる度に声が出てしまう。それがオンナの快感であることを認識するより先に、僕はその快感の虜になっていた。集中してソコを攻めたてると、快感はどんどんエスカレーションしていった。
「あっ、ああ~~っ」四肢が痙攣するように突っ張った。快感が爆発した…

これがイクって事なのだろうか?僕は快感の余韻に浸りながらベッドの中でぐったりしていた。僕の指はまだソコに挟まったままだった。
トントンとドアがノックされた。「母さんだけど、良いかな?」僕は慌てて指を抜き「どうぞ。」と返事をしていた。ドアが開き、袋を抱えた母さんが入ってきた。「いろいろ買ってきたから、箪笥に入れておくからね。」と袋の中から買ってきたものを取り出し、タグを外しては畳み直して引き出しの中に入れていった。そのどれもが女物の衣服である事は間違いない。
空になった袋を片付けると、母さんはベッドの端に腰掛けた。「どう?オンナの子って凄いでしょう?」「す、凄いって?」「もう弄ってみたんでしょう。男の時より感じるし、イった後も快感に浸ってられるものね。」
僕はどう反応すれば良いか判らなかった。「母さんも経験した事だから、手に取るようだわ。」「経験した?」「そうよ。生まれた時は男だったのよ。高校生の時に発症してね。同級生だった父さんは、皆の好奇の目からあたしを庇ってくれてね。」
遠い目をして母さんが言った。「父さんにオンナの悦びを教えてもらったのよ。その後も父さんと一緒に大学に行って、卒業後は別々の会社だったけど、すぐに貴方が出来てあたし達は結婚したのよ。」
「母さんて男だったの?」「自然性転換症って遺伝するのかしらね?その頃は今みたいに皆が知っているようなものじゃなかったから大変だったのよ。そうそう、診断書が必要になるから病院にも行かないとね。」
そう言って母さんは立ち上がった。「お腹空いたでしょう。ご飯作っているから、その間に買ってきた服に着替えておいてね。濡れた下着は洗濯カゴに入れておけば良いから。」と、部屋を出ていった。

僕は引き出しを開けてみた。そこは色とりどりのパステルカラーの布地に溢れていた。その中から一つを取り出してみた。
水色ストライプのパンティーだった。

僕は濡れたパンツを脱ぐと、それを身に着けていた。

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