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2008年3月18日 (火)

魔物の卵(3)

胸騒ぎがした。俺は獲物の事は二の次に家路を急いだ。手前の街に辿り着くと、町中がざわついていた。「どうしたの?」「魔物の巣が見つかったんだ。そこの広場に焼け落ちた櫓があるだろう?魔物の卵を孕んでいた女を焼いた跡だよ。明日にでも魔物の巣を焼き払いに行く。たまげたよ、街の近くに魔物の巣があったなんてな。」俺の記憶では、この街に魔物に関する知識は皆無であった筈だ。更に聞くと、旅の導師がたまたま孕んだ女を見つけ、その腹に存在するのが魔物の卵であることを暴き、魔物の脅威を人々に説くと伴にその女を火炙りに架けたと言うことだった。
俺はこっそりと街を抜け出した。辺りを注意しながら家に近づく。当然の事ながら見張りがいる。彼らの注意を反らす為に、俺は離れた場所にある納屋に火を放った。
奴等が浮き足立っている隙に家の中に滑り込んだ。「ママ?」ドアの影から彼女が顔を出した。成長した彼女は女になった俺と瓜二つだった。「逃げましょう。朝が来れば街の人達がこの家に火を付けにくるわ。」「駄目よ、ママ。あたしは逃げられないわ。この姿はあたしの仮の姿なのよ。本体は巣に根を下ろしているの。動くことはできないわ。」「本当に駄目なの?」「これが宿命なの。だから、ママを解放してあげるわ。ママはもう自由よ。」
俺の目の前で女の顔が崩れていった。魔物が擬態を解いたのだ。同時に壁や天井が朽ち落ちてゆく。家は元の廃墟に戻っていた。「さようなら、ママ。」俺の耳に彼女の囁きが聞こえた。

俺は旅を続けた。この世界にもう魔物はいないようだ。あの導師達は組織的に魔物を根絶していった。俺はあの街に戻っていた。当然のように、中に居た魔物は焼き殺されていた。

「ねえ、オジサン♪」俺は高みから声を掛ける。戦車のハッチから上半身を晒し、張りのある乳房の先端の突起までも男に見せつける。「何だい?」「オジサンの足元にある紙袋、取ってもらえないかな?」男は地面を見ると、転がっていた紙袋を拾い上げた。「何で自分で取りに降りて来ない?」「乙女にそれを言わせる気?その中のもんがないと出るに出れないのよ!」
男は紙袋を開け、中に入っているのが女の下着である事を認識した。男は紙袋を持った手を広げ、ポトリと紙袋を落とした。男は戦車の壁面の突起に手を掛け、捩上って来た。俺は「きゃっ!!」と叫んで中に隠れる。ハッチは開いたままにしておく。男がハッチの上に立った。俺は手で胸と股間を隠しながら男を見上げた。

俺はこれから行われる悦楽の時間を思い、密かに笑みを浮かべていた。

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コメント

あれ?あれ?あれ?リングが繋がった。
こうして、おろかな男は餌食になっていくんですね。^^
ダークファンタジーおもしろいですね。

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