« 携帯変えました | トップページ | マネキンの続き »

2008年1月25日 (金)

マネキン

ショーウィンドウの中で七色に輝くドレスをまとったマネキンを見て、僕もあんなドレスを着てみたいと思ったことはないかしら?あなたが男性だからといって恥ずかしがることはないのよ。ちょっとだけ勇気を出してアタシの言う通りにしてご覧なさい。大丈夫よ。あのマネキンのプロポーションだって思いのまま。さぁ、この石に手を置いてアタシの言う言葉を唱えるのよ。良い?僕は…

「僕はあのマネキンになりたい。」
魔が差したというのだろうか?僕は彼女の言う通りに言っていた。その途端、目の前が真っ白に染まった。

光に目が慣れてくる。ガラスの向こう側に「僕」の顔があった。白目を剥き、ガラスに手を掛け、ゆっくりと崩れ落ちて行こうとしていた。その身体を支えようと僕は手を伸ばした。

コンッ!!

無機質の乾いた音が響いた。僕の指がガラスに触れたのだ。ようやく、僕は自分の体がマネキンになっている事に気づいた。
ガラスの向こうで「僕」の身体が鋪道に落ちてゆく。僕は出口を探した。小さなドアをくぐり表に出る。僕は「僕」の身体を抱き起こした。「僕」は死んだようにぐったりしていた。脈を診ようとしたが、今の僕の掌は何も感じる事ができない。僕は耳を「僕」の胸に押し当てた。
「大丈夫とは言えないけど、かろうじてまだ生きているわよ。」女の声に僕は振り向いた。「!!」叫ぼうとしたが声がでない。「そう、あなたはマネキンになった。マネキンはただの人形よね。アタシの魔法がなければ動くこともできない。」ショーウィンドウに僕の姿が写った。僕は七色のドレスを着たマネキンだった。「この身体を死なせたくないわよね。」僕は頷いた。「では、あなたはこの身体を生かすことに同意したのね。」再び頷く。「魂のない肉体はすぐにも死んでしまうわよね。だから、この身体に魂を入れるわね。」彼女の手が宙で何かを掴むと「僕」の頭に押し込むような仕草をした。
「僕」の瞳に生気が戻ってきた。「ぅう!」とうめき声が上がった。「どう?契約は履行したわ。」彼女が「僕」に向かって言った。「おや、美女のだっこのオプション付きか?」「僕」がゆっくりと起き上がった。「この娘はたまたまよ。売り物だから傷付けないでね。」
売り物?僕の耳には彼女がそう言ったように聞こえた。「いくらだい?」男が言った。そして当事者である僕を差し置いて売買の交渉が始まっていた。
「良かったな。」男が僕を抱き締めた。「お前、この身体の持ち主だったんだな。俺のお陰で自分の身体と離れ離れにならなくて済んだんだ。感謝しろよな。」僕は何が何だか解らないまま、頷くしかなかった。
男は「僕」の服に入っていた金でタクシーを拾うと、僕を乗せて男のマンションに向かった。男はかなりの金持ちなのだろう。最上階の1フロアがそのまま男の持ち物のようだ。「俺は後で指紋を登録するが、お前には指紋がないから俺と一緒じゃないと出入りできないぞ。もっとも人形が一人で出歩いていたら、即ニュースネタにされてしまうな。」男はハハハと嗤って隣室に入っていった。
男が何者であるかなど解りようもなかったが、僕の身体が男に奪われ、僕自身も動くマネキン人形として買われてしまった事には間違いはなかった。彼女の説明によれば、所有者が望む範囲であれば、僕は自由に動く事ができるそうだ。逆に男が望まない事はできない事になる。試しに外に出るドアを開けてみた。このドアは指紋登録は関係ないらしい。そして、その外に出ようとした途端、僕の体は動かなくなってしまった。
「何をしてるんだ?こっちに来い。」男の声がした。僕は条件反射のようにドアを閉めると男の所に戻っていた。男はゆったりとしたガウンをはおってソファに座りテレビを見ていた。「ここに座れよ。」と男は自分の股の間を差し示した。男がガウンを肌けると、僕の目の前に男の…「僕」の男性自身が曝け出された。それは僕が見慣れていた筈の僕自身のモノである筈なのだが、何故か魔が魔がしく見えた。「これは、お前のモノだったのだろう?毎晩お前がシていたように、俺にもヤってくれないかなぁ。」
実際には毎晩ではないのだが、僕は男の指示を理解していた。ソレは僕のものであったにしろ、現時点では他の男のペニスである。男としての僕の意思はそれを拒絶していたが、体が男の指示に素直に反応してしまう。僕は男のペニスを手に取り、しごき始めていた。
僕は魔法の力で動く人形でしかなかった。夜になると男が買い与えた衣装を着て、男の性処理をさせられた。美しいドレスや様々な制服を着ることができたが、男である僕が男の性処理をしなければならない事は屈辱以外の何物でもなかった。

« 携帯変えました | トップページ | マネキンの続き »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マネキン:

« 携帯変えました | トップページ | マネキンの続き »

無料ブログはココログ