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2008年1月25日 (金)

卒業式

魚住美緒は男勝りを絵に描いたような女の子だった。
女の子からもラブレターをもらうような彼女が「付き合って欲しい。」と言われたのは高校三年の秋だった。大学受験を控えている時期にそのような時間は無いと判ってはいたが、僕達はどうにかしてデートの時間を作り出していた。付き合ってみればこんなにも女の子らしい子はいないと思ったが、それは彼女が造りあげた幻影でしかなかった。
クリスマスの夜、彼女に連れられるようにしてラブホテルに入った。お互い初めてのことであったが、何とか目的は果たした。しかし、その次の日「やっぱり、私には女の子はやれない。付き合いは無かったことにしてくれないか?」と宣言された。結局、僕は彼女を翻意させる努力もせずに、そのまま受験の波に飲まれていった。

卒業式の翌日、僕は彼女に呼び出された。「私の個人的な卒業式に付き合ってくれないか?」
待ち合わせの場所に、彼女は大きな紙袋を持って待っていた。「何なんだい?」と聞くと、「卒業式に必要なものさ。」としか答えてくれなかった。私服の彼女は以前と違い女の子らしさの小片も残していなかった。それは単にスカートではなくズボンだったという類のものではない。彼女の雰囲気からして男を感じさせられた。だから、デートと言うよりは友達同士の付き合いのようにしか見えなかった。
「クリスマスの後、いろんな子と付き合ってみたんだ。」ファミレスの片隅で彼女はそんな事を言った。「女をやめた筈なのに、お前との以上の快感を得ることができなかったんだ。だから、最後にもう一度だけお前とやってみたいんだ。それが私が女を卒業する儀式だと思っている。」「僕は別に構わないけど、そんなんで本当に良いのか?」「私の決めた事だ。けれど、お前にもちょっと難しい注文を出すことになる。」「な、何なんだよ。一緒に死んでくれと言うのはなしだぞ。」「大丈夫。肉体を傷付けるような事はしない。今は詳しい事は言えないが、できればOKしてほしい。」魚住の真剣な瞳に僕は圧倒されてしまっていた。
場所はクリスマスの夜と同じ。ホテルも部屋の場所も。そこにいるのが魚住と僕の二人だけであることも。紙袋には、あの日と同じ服が入っていて、それに着替えさせられた。但し、彼女の着ていた真っ赤なドレスを着たのは僕の方だった。「今からお前が美緒だ。私は男として女の美緒を抱く。」彼女…彼はそう言って僕を抱き締めた。

「ぁあん♪」喘ぎ声を上げたのは僕の方だった。彼は女の子の感じる所を熟知していた。僕は自分が男なのか女なのか判らなくなっていた。「やっぱり美緒が一番だ。」彼の手がスカートの中を這上がってくる。「あぁ、もうパンティが濡れているね。」と彼の手が股間を撫で上げる。「いやっ!!」と僕はスカートの上からその手を抑えつけた。
「美緒は感じ易いんだね。」僕の抵抗など牙歯にも掛けずショーツの中に手を入れた。「美緒のアソコがひくひくしている。」彼の指が入り口を刺激していた。「○×?!」彼の指が僕の中に入って来た。僕は意味を成さない叫びをあげた。それは痛みではない。これまで経験したことのない快感であった。そして僕は一気に上り詰めていった。「あぁ、あぁ、ああ~~ん♪」
僕は一瞬、頭の中が真っ白になってしまっていた。確かにイッた筈なのに、僕のペニスからは射精した形跡がない。「美緒はちゃんと、女としてイけたんだよ。」そう言って、彼は愛撫を続けながら僕の服を脱がしていった。「今度は俺の番で良いよね。」彼が全裸となった僕の股間を押し開いた。僕の課下腹部が疼いていた。「キて♪」僕は彼に向かって腰を突き上げるようにした。
「行くよ。」彼が言った。彼が僕の中に入ってくる。実際は僕のペニスが彼の方に挿入されているのだが、僕の感覚は全て女のものに変わってしまったようだ。「良いぞ。美緒のは良く締まる。」僕は挿入されてくる彼のペニスを愛しく思った。二人の股間が密着した。「動くよ。」と彼、「うん♪」と僕。僕の膣の中を彼のペニスが動きだした。
「あぁ、もうイきそうだ。」彼がうめく。「良いヨ。出して、僕の中に。」そして、ドクリと僕の膣に彼の精が放出された。「あ、ああ~~っ」彼と同時に僕も再び絶頂に達していた。

二人は高校の正門の前にいた。既に夜も更けており、門は閉ざされていた。二人はそれぞれの制服を着ていた。「ありがとう。俺の個人的な卒業式に付き合ってくれて。心残りではあるが、これで君とは別れ別れだね。」詰め襟姿の彼はいつになく逞しく見えた。「いいえ。僕もあなたと一緒に卒業できたと思う。だから…だから、これでお別れなんて言わないで。」「美緒…、こんな俺だけど、この先も付き合ってくれるというのか?」彼の視線が僕の瞳を貫いてゆく。
「はい…」僕は小さいけれどはっきりと、そう答えていた。何故か僕の目に涙が浮かんでいた。僕はスカートのポケットからハンカチを取り出そうとしたが、それより先に彼が僕を抱き締め、こぼれた涙を舐め取っていた。

「行こうか?」彼が歩き始める。僕は足早に追いつくと、彼の腕に僕の腕を絡めた。
二人を囲む並木の桜はまだ蕾を付けたところだった。

マネキンの続き

「どう?色々な服を着せてもらえたでしょう。」屈辱の日々が続いた後、あの女が再び僕の前に現れた。「でも、そろそろ限界ね。無機物に封じた魂は一定期間で消滅するの。あなたに二つの選択肢を用意したわ。一つは魂を元の肉体に戻す。もう一つはその体を生身に変える。前者なら横に、後者なら縦に頭を振りなさい。」突然の展開に僕はどうして良いか解らなかった。「おい、俺はどうなるんだ?こいつに身体を返すなんて否だぞ。」と脇から男が口を挟んだ。「その時はあなたがこの娘の体を使うなんてどう?何なら最初から生身の体にしてあげますよ。」「俺はこの身体が気に入っている。お前もだろう?」男が僕に同意を求めた。人形の体は所有者の意思に逆らえない。僕は頭を縦に振っていた。

翌朝、毛布の中で何かが違っているのに気付いた。僕は毛布の暖かさを感じていたのだ。胸に手を当てる。ふっくらとした膨らみがそこにあった。起き上がり、鏡に姿を写してみた。そこには、マネキンそのままの姿で生身の身体となった僕がいた。
「ナ~オ」と声を上げ足元に擦り寄る存在があった。僕はその猫を抱え上げ、一緒に鏡に写した。が、猫は自らの姿を拒絶するように顔を背けていた。
僕は人間に戻れた。その代償に「僕」という存在が消失した。肉体を失った男が新たに手に入れたのは猫の身体だった。
鏡に写されるのを嫌い、猫は僕の腕の中で暴れた。「キャッ!」猫が飛び出した反動で僕は尻もちを突いていた。じんわりと痛みが広がってくる。そして自分が声を出した事、息をしている事にようやく気付いた。
床に座ったままでいると、猫が僕の脚に擦り寄ってきた。猫はそのままネグリジェの中に潜り込んで来る。太股に猫の獣毛を感じた。「ヒャン?」僕は思わず声を上げていた。猫がそのざらざらした舌で僕の股間を舐め上げたのだ。毎夜のごとく、僕は下着を着けていなかった。猫の舌は直に股間の敏感な所に触れていた。
猫の内にはあの男の魂があった。猫は男の想いで動いているのだ。猫は明確な意思をもって僕に悪戯を仕掛けているのだ。「ぁあ、あぅん…」猫の行為に女の肉体が反応を始めた。股間の秘裂が熱を帯び、じわりじわりと甘汁をにじませた。ピチャピチャと音をたてて猫が舐め取ってゆく。いつの間にかネグリジェは捲れ上がり、下半身がむき出しになっていた。その上に猫が伸し掛かるように上ってきた。猫は自らの股間を僕に押しつけてきた。パンパンと腰を叩きつける。しかし、それだけの行為でしかなかった。
「ナーーーッ!!」猫が怒りの叫びを上げた。「あなたには無理よ。」あの女の声がした。彼女は猫の首を掴んで持ち上げた。「あなたはもう猫なのよ。それもメス猫。女をヤるどころか、オス猫にヤられる方なのよ。発情期がくれば望まなくても快感に浸れるわよ。」と、猫を放り投げた。
猫は身軽に着地すると、サッとどこかに隠れてしまった。

「どう?本物の女の身体は。」彼女は僕を見下ろすようにして言った。「あ、あぁん♪」僕は元に戻せと言おうとしたが、官能のスイッチが入ってしまった肉体は少しでも動くとそれだけで快感を伝えてくる。発しようとした言葉はみな、淫淘な喘ぎ声に変わってしまう。「そう。早速女の快感に酔い痴れているのね。でも猫ちゃんの舌では満足できないでしょう?」僕は否定しようとしたが、口からでるのは淫声だけだった。
「子宮が疼いているんじゃない?欲しかったらコレをあげても良いわよ。」彼女はスカートをたくし上げた。その股間には本来有る筈のない…男のペニスがぶら下がっていた。「欲しかったらご奉仕しなさい。でもね、手は使っちゃ駄目よ。お口でシてね♪」僕の目はソレに釘付けになっていた。目の前にソレが迫ってくる。舌を伸ばすと剥き出しの亀頭に触れた。ピクリとソレが動いた。今度は唇を開き、竿の部分を挟み込んだ。ソレは自らの力でゆっくりと持ち上がってきた。
「口の中に入れて、吸って頂戴。」僕は彼女の指示に従った。僕の口の中でソレは太さと硬さを増していった。「奴に教えられたの?なかなか良いじゃない。そのまま出すから頑張ってね。」
四つ這いになり、手は獣のように身体を支えていた。とは言ってもそれは片手で十分。空いた手は奉仕に使えないので、自らを慰めるのに使った。少しでも疼きを鎮めようと股間に伸ばした。そこは甘汁があふれ、止めどなく滴り落ちていた。その中に指を入れる。肉襞がうごめき侵入してくる指に絡みつく。しかし、指等では到底間に合うものではなかった。
「さあ、出すわよ。全部飲み込むのよ。」ドクリとペニスの先端から放出されたものがあった。僕は躊躇わずにそれを飲み込んだ。「良い娘ね。ご褒美をあげるわ。」僕の口から引き出されたモノは、萎えることなく威様を保っていた。彼女はスカートを脱ぎ、ベッドに上った。「こっちにいらっしゃい♪」僕は彼女に導かれ、彼女の上に跨った。
ペニスの先端が僕の膣口の下にあった。「腰を降ろして良いわよ。」僕の動きに合わせて彼女のペニスが僕の胎内に入ってきた。お尻が彼女の太股に触れた。更に密着させるとペニスの先端が子宮口に当たるのが感じられた。「さぁ、好きなように自分で動いてご覧なさい♪」
彼女のペニスが挿入されたことで僕は満たされた気分になっていた。が、疼きはまだ収まっていない。多分、彼女の精をこの中に取り込まない限り、収まることはないのだろう。僕は腰を動かし始めた。
「その肉体のプロポーションはどんなに食べても変わることはないわ。その肉体は通常の食事からは栄養を採ることはないの。その替わり、一週間に一回は男性の精液を取り込む必要があるの。それを忘れると、いくら食事を採ってもあなたは餓死してしまうわ。もっとも三日も男と交わらないと、どうしようもなく疼いてたまらなくなるし、男の方も理性をなくして襲ってくれるから心配はないけどね♪」
彼女の嗤い声を余所に、僕は腰を揺すり続けていた。ペニスが僕の膣の中を行き来すると、そこから快感が広がってくる。まだ疼きは収まらないけれど、なんだかイッちゃいそう。媚声が止まらない。ビクビクと子宮が痙攣を始めた。全身から快感の波が押し寄せてくる。部屋の中に僕の嬌声が響き渡った。「ああん、あ~ん♪イッちゃうノォ~!!」

マネキン

ショーウィンドウの中で七色に輝くドレスをまとったマネキンを見て、僕もあんなドレスを着てみたいと思ったことはないかしら?あなたが男性だからといって恥ずかしがることはないのよ。ちょっとだけ勇気を出してアタシの言う通りにしてご覧なさい。大丈夫よ。あのマネキンのプロポーションだって思いのまま。さぁ、この石に手を置いてアタシの言う言葉を唱えるのよ。良い?僕は…

「僕はあのマネキンになりたい。」
魔が差したというのだろうか?僕は彼女の言う通りに言っていた。その途端、目の前が真っ白に染まった。

光に目が慣れてくる。ガラスの向こう側に「僕」の顔があった。白目を剥き、ガラスに手を掛け、ゆっくりと崩れ落ちて行こうとしていた。その身体を支えようと僕は手を伸ばした。

コンッ!!

無機質の乾いた音が響いた。僕の指がガラスに触れたのだ。ようやく、僕は自分の体がマネキンになっている事に気づいた。
ガラスの向こうで「僕」の身体が鋪道に落ちてゆく。僕は出口を探した。小さなドアをくぐり表に出る。僕は「僕」の身体を抱き起こした。「僕」は死んだようにぐったりしていた。脈を診ようとしたが、今の僕の掌は何も感じる事ができない。僕は耳を「僕」の胸に押し当てた。
「大丈夫とは言えないけど、かろうじてまだ生きているわよ。」女の声に僕は振り向いた。「!!」叫ぼうとしたが声がでない。「そう、あなたはマネキンになった。マネキンはただの人形よね。アタシの魔法がなければ動くこともできない。」ショーウィンドウに僕の姿が写った。僕は七色のドレスを着たマネキンだった。「この身体を死なせたくないわよね。」僕は頷いた。「では、あなたはこの身体を生かすことに同意したのね。」再び頷く。「魂のない肉体はすぐにも死んでしまうわよね。だから、この身体に魂を入れるわね。」彼女の手が宙で何かを掴むと「僕」の頭に押し込むような仕草をした。
「僕」の瞳に生気が戻ってきた。「ぅう!」とうめき声が上がった。「どう?契約は履行したわ。」彼女が「僕」に向かって言った。「おや、美女のだっこのオプション付きか?」「僕」がゆっくりと起き上がった。「この娘はたまたまよ。売り物だから傷付けないでね。」
売り物?僕の耳には彼女がそう言ったように聞こえた。「いくらだい?」男が言った。そして当事者である僕を差し置いて売買の交渉が始まっていた。
「良かったな。」男が僕を抱き締めた。「お前、この身体の持ち主だったんだな。俺のお陰で自分の身体と離れ離れにならなくて済んだんだ。感謝しろよな。」僕は何が何だか解らないまま、頷くしかなかった。
男は「僕」の服に入っていた金でタクシーを拾うと、僕を乗せて男のマンションに向かった。男はかなりの金持ちなのだろう。最上階の1フロアがそのまま男の持ち物のようだ。「俺は後で指紋を登録するが、お前には指紋がないから俺と一緒じゃないと出入りできないぞ。もっとも人形が一人で出歩いていたら、即ニュースネタにされてしまうな。」男はハハハと嗤って隣室に入っていった。
男が何者であるかなど解りようもなかったが、僕の身体が男に奪われ、僕自身も動くマネキン人形として買われてしまった事には間違いはなかった。彼女の説明によれば、所有者が望む範囲であれば、僕は自由に動く事ができるそうだ。逆に男が望まない事はできない事になる。試しに外に出るドアを開けてみた。このドアは指紋登録は関係ないらしい。そして、その外に出ようとした途端、僕の体は動かなくなってしまった。
「何をしてるんだ?こっちに来い。」男の声がした。僕は条件反射のようにドアを閉めると男の所に戻っていた。男はゆったりとしたガウンをはおってソファに座りテレビを見ていた。「ここに座れよ。」と男は自分の股の間を差し示した。男がガウンを肌けると、僕の目の前に男の…「僕」の男性自身が曝け出された。それは僕が見慣れていた筈の僕自身のモノである筈なのだが、何故か魔が魔がしく見えた。「これは、お前のモノだったのだろう?毎晩お前がシていたように、俺にもヤってくれないかなぁ。」
実際には毎晩ではないのだが、僕は男の指示を理解していた。ソレは僕のものであったにしろ、現時点では他の男のペニスである。男としての僕の意思はそれを拒絶していたが、体が男の指示に素直に反応してしまう。僕は男のペニスを手に取り、しごき始めていた。
僕は魔法の力で動く人形でしかなかった。夜になると男が買い与えた衣装を着て、男の性処理をさせられた。美しいドレスや様々な制服を着ることができたが、男である僕が男の性処理をしなければならない事は屈辱以外の何物でもなかった。

2008年1月20日 (日)

携帯変えました

携帯…とはいってもPHSですが、ドコモが撤退したことで、ウィルコムのPHSになりました。このブログの作品は殆どが携帯でメモしたものをPCに送って、一度成形した上でUPしています。これまでは♪や…が書けなかったので、代替文字をPC側で変換していました。新しい携帯はそんな事をしなくても良さそうですが、変換辞書が違っているので、今まで出せた文字がでて来ないとか、試行錯誤をしています。

このブログですが、携帯から見れることになっているそうなので、PHSのブラウザでアクセスしてみました。結果はNG。このブラウザでは文字コードが対応していないみたいで、完全に文字化けしていました。

HPの方は見ることはできましたが、携帯ブラウザの利用を考えていなかったので、操作性がものすごく悪いことに気付かされました。

ちなみに、携帯でこのブログやHPを見ている人はどのくらいいるのでしょうか?携帯向けに文章を校正する際に考慮すべき点があれば教えていただけると助かります。 (奈落)

一人旅

「良かったらアルバイトしないか?」運転席に座った若い男が僕に提案してきた。

大学生になって初めての夏休みに「気ままな一人旅」を計画した。最初は各駅停車で行けるとこまで行って、それから先は気分次第と、意気揚々と出発つした。が、それもすぐ様破綻する事になった。都会を離れると、駅近くに泊まれる所がない。仕方なく、駅舎のベンチで夜を明かすことになったが、ある朝目を覚ますとベンチの下に置いてあった荷物がなくなっていた。着替えとかはどうでも良いが現金が失われてはどうにもならない。交番とかに泣きつけば何とかなるが、旅はそこで打ち切らざるを得ない。
このまま旅を継続するとなると、一般の交通機関は使用できない。徒歩か、ヒッチハイクという事になる。金がない処で体力を使いたくはなかった。腹が減ってもそれを満たす事が困難だからだ。僕は駅舎を出ると朝日が上り始めた道を歩き出した。
駅前の地図で確認した国道に辿り着いた。が、まだ早朝の為かなかなか車が通らない。ヒッチハイクなど考えなければ良かったと思ったその時、僕の前に白いスポーツカーが止まった。「どっちに行くんだい?」運転席から声を掛けてきたのは感じの良い青年だった。
僕がこれまでのいきさつを話すと、彼はアルバイトの提案をしてくれた。「この先、旅を続けるなら少しでも蓄えはあった方が良いんじゃないか?長くは引き留めないよ。まずは一週間やってみないか?」「って、あなたが雇ってくれるんですか?」「これでも青年実業家のはしくれでね。人を雇ったりするのも融通が利くのさ。どうだい?住み込みで三食付き。」「お願いします。」僕は食い物に釣られOKと答えていた。

小さな街では、この高さでもかなり高いビルになるのだろう。僕はその最上階のオフィスに通された。「ネットを使っての商売なんでオフィスを構える必要もないんだが、公私を分ける為に置いているんだ。」と説明されたが、どこも生活臭に溢れていた。風呂もキッチンもあり、奥にはベッドルームもあった。「君には秘書として働いてもらう。とは言ってもスケジュール管理なんかはPCがやってくれるから、身の回りの雑用をお願いする事になる。寝る所は奥のベッドを使ってくれ。前の人の服が残っているから気にせずに使ってくれ。背丈も同じ位だったからサイズは合う筈だよ。」とクローゼットからシャツとズボンを取り出した。「下着なんかは脱衣所の戸棚に入ってるから、食事の前にシャワーを浴びてきなさい。」
脱衣所には洗濯機があったので着ていた服を全て放り込んだ。久しぶりの風呂であったが、彼を待たせているのでのんびりとしている訳にはいかなかった。シャワーでざっと汗を流しただけで切り上げ、バスタオルで体を拭きながら脱衣所に戻った。洗濯機が元気良く回っているのを見ながら、戸棚の中から下着を取り出した。ランニングシャツのようだが、ちょっと変わったデザインのトップがあった。ボトムは前開きのないボクサーパンツだ。ちょっと窮屈目だが問題はない。問題は彼に手渡されたシャツを着ようとして発生した。僕はドア越しに訴えた。「すみません。これ、ボタンが左右逆なんですけど?」
「どうした?入っても良いかい?」と落ち着いた彼の声が返ってきた。僕は慌ててズボンを履き、ドアを開けた。「慣れていないから填め難いだろう。やってあげるから貸してごらん。」て僕の手から引き取っていった。だいたいの想像はついていたが聞かずにはいられなかった。「なんで左右逆なんですか?」「それは、前の秘書が女性だったからね。女物の服は袷が逆だよね。」「他にはないんですか?」「ここにある中では一番男っぽいものを選んだつもりだよ。それより、食事の予約をしてあるから、さっさと支度を済ましてしまおう。」
結局僕はその上に女物のジャケットをはおり、かかとの少し高い革靴を履かされた。「近くだから」と徒歩で行く事になった。女装ではないと自分に言い聞かせるが、今身に付けているもの全てが女物であることに違いはない。街を歩けば人目に触れる。僕が女装者と見られているのではないかとビクビクしていた。「その靴は歩き辛かったかな?」「な、なんとか大丈夫です。」と虚勢を張る。「帰ったら色々な靴を出して慣れておいた方が良いね。」「仕事中もこの靴を履くんですか?」「靴もそうだが服にも慣れておいた方が良い。仕事中は制服を着て欲しいがどんな服でも良いよ。オフィスの中は他に見る人もいないからね。ただし、裸は困るよ。」

「お早う。」寝室のドアがノックされた。僕は慌てて起き上がった。結局寝間着はひらひらのネグリジェしかなかったので裸で寝ていたのだ。着替えをどいしようと考えて、自分の服が洗濯機に入れっぱなしであった事に気付いた。それはまだ生乾きで着られそうにない。昨日食事に着ていた服はさっさとクリーニングに出されてしまっていた。「食事にしよう。誰も見ていないから服は適当で良いよ。」と急かされる。手にしたのはピンク色のパンティだった。後で替えれば良いと、脚を通した。トップは肩が紐状になっていて下端にはレース、胸元にはリボンがあしらわれたものだった。ブラジャーも置いてあったが無視した。寝室に戻り、クローゼットの一番手前にあった服を取り出した。ワンピースだった。スカートの類しかない事は彼も承知している筈、笑われる事はないだろう。僕はボタンが前に付いていることに若干の感謝をしながら填めていった。
サンダルを履いてオフィスに入ると会議卓の上に皿とカップが並べられていた。皿の上には焼き立てのトーストにハムエッグが添えられていた。「おはようございます。」と彼に挨拶した。彼はコーヒーを注ぐ手を止めこちらを見た。「あぁ、お早う。夕べは眠れたかな?」僕の格好を見ても平然としていた。朝食が終わると僕はエプロンを着けて片付ける事になった。彼は机について仕事を始めていた。
「おーい。」ベッドを片付けているとオフィスから声が掛かった。「はい。」と手を止め彼の下に向かう。「申し訳ないがコンビニでこれを買ってきてくれないか?」
大至急と付け加えられる。「着替えたら即に行きます。」と言うと「そのままで大丈夫だから。それより、こっちは一刻を争うんだ。君にその損金が負担できると思っているのかい?」
現在、一文無しの僕にとってお金に絡む話しは決定的なものがあった。女装という羞恥心をねじ伏せるしかなかった。メモを手にコンビニに向かった。何故これが一刻を争うものかは判らなかったが、カゴに放り込みレジに差し出した。「いらっしゃいませ。」と店の叔父さんが僕を一瞥した。カゴの中の物を一つづつ取り出していく。僕は女装がばれないように声を出さないことにした。合計金額が告げられる。彼から渡された紙幣を渡し、お釣りをもらった。「あんた、若旦那ん所の新しい秘書さんだろ?もう少し愛想良くした方が良いぞ。折角の美人が台無しになる。」
「余計なお世話です!」と出かかった言葉を飲み込み、僕は一礼しただけでレジ袋を受けとるとオフィスに戻っていった。「ありがとう。これでなんとかなりそうだ。」と彼は買ってきたものも確かめずにそう言った。「しばらくは何もないから、着替えるのも良いし好きにしていいよ。」
僕は寝室に戻り、クローゼットの中を確かめた。が、結局何を着ても同じである事が判っただけだった。改めて鏡に自分の姿を写してみた。コンビニの店員が言った「美人」は商売句としても、喋らなければ女に見えない事もない。
ふと見ると鏡の前に化粧品が並べられていた。これで化粧をしたらどうなるのだろう?僕の手は口紅のスティックを取り上げていた。キャップが外される。深紅の芯が頭を出していた。その先端を唇に当ててみた…  唇が朱色に染まった。僕の顔は皿に女らしくなっていた。
「そろそろ食事に行かないか?」と彼の声が掛かった。「ちょっと待って下さい。」と口紅を拭おうとすると、「良いんじゃないか?そのままで。」と背後に立っていた彼が鏡越しに僕の顔を覗いていた。「見ないで下さい!」「大丈夫。おかしくはないよ。さぁ、行こう。」と、そのまま外に連れ出されてしまった。
「何が良い?」彼はさかんに何か言わせようとしていた。僕が何か喋れば即に男であることかばれてしまうと判っていて意地悪しているようだ。メニューを指して注文したが「ライスにしますか?パンにしますか?」と聞かれてしまった。僕は相当困惑した表情をしていたのだろう。「ライスで良いよね?」と彼が助け船を出してくれた。僕がYESと首を縦に振ると「じゃあ彼女にもライスで。」とその場を収めてくれた。

「これを付けてみるかい?」と蝶の形のアクセサリーが差し出された。「これを首に付けると微弱な電磁波が声帯に緊張を与え、声が高くなるんだ。」僕はそれを喉に当ててみた。「こんな感じですか?」恐る恐る出してみた声は、確かに本来の僕の声よりは高くなっていたが、それだけでは女の声には聞こえなかった。「声は声帯だけで出すものじゃないんだ。口の大きさや開き方、舌の使い方など様々な要因が複雑に絡み合っているんだ。自分の声にするには、もう少し練習が必要だね。」彼は装置をリボンで僕の首に固定してくれた。
「ちょっと寄りたい所があるんだが良いかな?」レストランを出ると彼がそう言った。僕は新しく手に入れた声で「はい」と答えていた。連れて来られたのは美容院だった。「彼女をもう少しお洒落させてあげてくれないか?」そう店員に話している。ここまで来ては逃げようもなかった。「オフィスに戻っている。今日はもう用事はないから、ゆっくりしていきなさい。」結局、僕はエステのフルコースを体験することになった。磨きあげられた僕はどこから見ても女の子だった。

翌朝、僕は美容院で教えられた通りにメイクをしていた。首から上はもう、すっかり女の子になっていた。服を選ぶのも楽しくなってくる。唯一の難点は胸だった。男には存在しない胸の膨らみを、ブラジャーに詰め物をして再現してみたが、どうしても不自然さが拭いきれない。何より、胸元の開いた服が切れない事で選択枝が大きく狭まってしまう。僕は胸元に飾りのあるブラウスでごまかす事にした。
「今日はタイトスカートか?キャリアウーマンらしくて良いね♪」褒められ、僕は気分が良くなった。「お茶を淹れますね。」とキッチンに向かおうとすると、「これから出掛けなければならないんだ。」と制された。「君にも来てもらいたいんだが、出掛ける前にこれを付けてもらえないだろうか?」と箱が手渡された。開けてみると、それは胸に貼り付けるタイプのブラジャーだった。それも、僕が使うことを前提としているかのように、カップのほとんどが専用のパッドで埋められていた。「少し待ってもらえますか?」僕はそれを手に寝室に入った。
ベストとブラウスを脱ぎ、今付けているブラジャーを外した。バラけるように詰め物が床に落ちた。説明書を読みながら新しいブラを手にした。ずっしりと重みがあった。ホックを外して左右のパーツに分け、専用の接着剤を裏側に塗り込む。胸の上に貼り付けると自然な形のバストが出来上がった。もう片方も貼り付ける。ずっしりとした重みは女の証とでも言うのだろうか?時計を見て所定の時間が経過したことを確認する。ブラのホックを止めると…おぉ、更に胸が形良く突き出してくる。僕はブラウスを元に戻すと、少し化粧を直してオフィスに戻った。
「キャンッ!」彼に胸を触られ、僕は女の子のように叫んでいた。「悪い、悪い。君がすごく綺麗でセクシーになったんで、我を忘れてしまったよ。」「セ、セクシーですか?」「そうだよ。今にもベッドに押し倒したいくらいだ。」「何言ってるんですか?僕は男ですよ。」彼はその答えをうやむやにしたまま、僕を車に乗せ発進した。

車は街を離れ山の方に向かっていった。緑に囲まれた小高い丘の上にはお城のようなホテルがあった。駐車場には高級そうな車が並んでいた。エントランスに着くとボーイがドアを開けてくれた。「ありがとう♪」差し出された手を取って車を降りる。僕はできるだけ愛想良く振る舞ってみた。案内された控え室にはお姫様が着るようなドレスが飾られていた。彼はその脇にあったタキシードを手に取ると「じゃあ後で。」と隣室に消えていった。となると、このドレスを僕が着るということ?
「失礼します。」と係りの女の人達が入ってきた。「お着替えのお手伝いをさせていただきます。」と、てきぱきと支度を始めていった。僕一人では到底着る事などできなかっただろう。一旦、下着姿にされると、コルセットを始め様々なパーツが僕の体に取り付けられていった。そしてドレスが被せられる。
コルセットで絞め上げられたくびれが、その下につながるスカートの広がりをより優雅に見せている。彼にもらったブラジャーが作り上げた胸の谷間がレースの飾りに縁取られ、官能的に強調される。僕は王子様を待つお姫様になっていた。

ホールには沢山の人が集まっていた。そのだれもが上流階級の人々だった。そんな中に僕は迷い込んでいた。逃げ出したい気持ちを、彼とつないだ手が引き留めてくれていた。雰囲気に呑まれ、僕は何をしていたのか記憶できていなかった。
「お疲れ様。」彼のキスでようやく自分を取り戻した。僕達は部屋の中で二人きりになっていた。とは言っても、いつものオフィスではない。「ここは?」「ホテルの部屋だよ。今日はここに泊まってゆくんだ。」「ここに?」僕の目にはキングサイズのベッドが写っていた。「一緒に… 良いだろう?」
僕はどう返事をしたら良いか解らなかった。彼の手がブラウスのボタンを一つ一つ外してゆく。心臓が激しく脈打っていた。スカートのジッパーが下ろされ、ホックが外された。スカートが床に落ちた。すぐにブラウスも後を追う。手を引かれ、下着姿のままベッドに横たえられた。
彼の唇が僕の口を塞ぐ。僕は彼の舌を受け入れていた。パチりと胸元のホックが外された。彼の手がブラジャーを剥がしてゆく。解放されたバストの先端で乳首が摘まれた。痛みではなく、快感が広がってゆく。彼の唇は僕の口を離れ、喉を這い降りるともう一方の乳首に到達した。彼の口の中に僕の乳首が含まれていた。「あ、あぁん♪」乳首を吸われると、僕の喉からオンナの喘ぎ声が漏れていった。
彼の手がショーツの上から僕の股間を撫でていた。その奥が熱く潤み始めていた。彼の手がショーツの縁に掛かると、僕は腰を浮かして彼がそれを剥ぎ取るのを手伝った。彼の指が直に股間に触れた。割れ目の中に侵入してくる。クチュリと愛液が淫碑な音を発てた。僕の股間が疼いていた。
「いくよ。」彼が僕の上に覆い被さっていた。脚が抱えられ、大きく股間が開かれていた。ゆっくりと彼が侵入してくる。「あぁ、あぁ…」言葉にはならない。痛みはなかった。僕の肉体が満たされてゆく満足感に支配される。僕の内で彼が動いていた。

僕は快感に失神していたようだ。ベッドの隣には彼が眠っていた。結合は解かれていたが、僕の股間は今だ彼の存在を覚えていた。僕はベッドを抜け出してバスルームに向かった。股間から彼の名残りが伝降りてきた。
僕は鏡に全身を写してみた。僕の肉体は完全に女の子のものになっていた。胸に貼り付けた筈のパットは僕の肉体の一部と化していた。コルセットで締め付けられたままの形で腰のくびれが残っていた。彼を受け入れた股間の穴は新しく穿たれたものであった。そして、僕のペニスはどこかに消えてしまっていた。僕はその姿に当惑するどころか、満足げに笑みを浮かべていた。

「お早うございます。」僕はオフィスの会議机に朝食を並べると、寝室に彼を起こしに行った。ホテルのように広くはないが、抱き合って眠るには十分な広さがあった。「お早う。」と彼も起き上がる。彼は全裸だった。彼の股間をまともに見てしまった僕は「キャッ」と叫んで顔を赤く染めていた。
アルバイトの一週間はとうに過ぎていた。季節はもうすぐ冬になろうとしている。「大学に戻らなくて良いのか?」と彼は言ってくれるが、この姿で戻れる訳もない。「今はこの子を産んで、育てることが大事でしょう?」
僕は胎児の宿るお腹を摩りながらそう答えていた。

再会

晶は振り返ると僕に言った。
「じゃあね♪」それは彼の最後の別れ言葉だった。僕は親友の目に涙が浮かんでいた事に気付くことはなかった。

僕は大学に入って二年目の春を迎えようとしていた。長らく空いていたアパートの隣の部屋に引っ越し業者が入っていた。騒がしさから避難するようにパチンコ屋に出かけて帰ってくると、僕の部屋の前に女の子が立っていた。「今日、隣に越してきた宮園晶です。」と手を伸ばしてきた。「初めまして。」と差し出された手を取ろうとすると、彼女の手はするりと逃げていった。
「初めてじゃないよ。」と言われてもこんな可愛いコなら忘れるなんてあり得ない。「でもこの格好じゃ大親友でも無理かな?」
あれっ?彼女の今の言葉、何か引っかかるものがあった。僕は重大なことを見逃しているみたいだ。「でも、この顔に見覚えがないとは言わせないぞ。」確かに彼女の顔は記憶の底に存在した。宮園さん、宮園さん、と記憶のドブさらいが始まった。
宮園さん、宮園晶、晶… 「晶?!」たった一つ一致した顔と名前があった。「ようやく思い出した?親友の顔は忘れないでよね。」「だ、だって、お前、女…」
「そうなのよね。あたし、女になっちゃったのよね。実際はもともと女だったんだけど、生まれた時におちんちんがあったんで男の子として育てられたって話なのよ。」晶を僕の部屋に招き入れると、晶はこれまでのいきさつを話してくれた。
「手術やカウンセリングなんかで1年遅れたけど、こうやってお前と同じ大学に入る事ができたって訳。女になると同時に女子校に入れられちゃったの。そこは全寮性でめったに外にでられなかったし、実家に帰る以外はグループて行動しないといけないの。お前を含め男と会うなんて一切許されないのよ。だから、学校を卒業するまで会えないのなら、大学くらいはお前と一緒にいたいと受験勉強をがんばったんだ。そんなんで、お前に会うのがここまで延びちゃったと言うわけなの。」
僕は一生懸命に説明してくれる晶に見とれていた。晶には悪いが晶の説明はほとんど聞いていなかったようにも思えた。

「ねえ、再会を祝してパーティしない?」晶の突然の提案に僕はすぐに反応する事ができなかった。「パーティって言ってもそんな大げさなものじゃないわよ。引っ越したばかりであたしの部屋がまだ片づいていないんで料理できないから、ついでにお前と食事しようってだけだよ。」「ぼ、僕は構わないけど。」「じゃあエプロン取ってくるわね。」「って、ここで作る気か?それに、料理できるのか?」「当然、親の脛を齧っているうちは節約しなくちゃ。それに、何年あたしが女の子してると思ってるの?家に帰るたんびに母さんに仕込まれちゃったわ。」しかし、僕の部屋の冷蔵庫の中には食材と言える物など入ったためしがない。「じゃあ、その前に買い物ね♪」と晶は僕の腕を引いて立ち上がらせた。

傍目には僕達はどう写っているのだろう?手をつないだ若い男女はどこから見ても恋人同士ではないか?晶はどう思っているかは知らないが、僕はこの状況が嫌ではないと認識していた。
晶はコンビニではなく、その先のスーパーに入っていった。僕はカゴを手に荷物持ちに徹することにした。あれこれと商品を吟味している晶の姿はいっぱしの主婦の雰囲気があった。「これは?」最後に缶ビールが放り込まれた。「お祝いだもの。良いんじゃない?」

晶の料理は美味かった。「良い奥さんになれるね。」などと僕はバカな事を口走っていた。呑み馴れないビールに酔っているのだろうか?てきぱきと後片付けを終えた晶が戻ってきた。エプロンを外す仕草が色っぽい。ビールの缶を手に僕の隣に腰を下ろした。
「やっと会えた。」晶が呟くように吐いた。「お前が変わっていなくて良かった。」「晶に比べればな。これでも少しは逞しくなったんだぞ。」「そういう無神経な所が進歩がないって言うか…。それじぁ、彼女の一人も持った事ないでしょう?」「そ、それは言うな。」「ねぇ、あたしが彼女になってあげようか?」「あ、晶?酔っぱらっているのか?」「素面でも同じよ。あたしのコト嫌い?」「嫌いな訳あるか。」「じゃあキスして♪」
晶が僕に迫ってくる。僕は必死で晶が親友であると自分に言い聞かせた。晶の濡れた唇が吸い付いてきた。胸の間で晶の柔らかな胸の膨らみが押し潰される。僕の理性の糸はぷっつりと途絶えていた。

「お早う、ダーリン♪」晶の声に目覚めた。僕は裸で寝ていたことに気付きはっとした。「初めてはお前って、ずっと思っていたんだ。」晶の手が僕のぺニスを優しく握り締めた。「僕、で良いの?」「あなたしかいないわ。愛してる♪」
彼女は唇で僕の答えを封じ込めた。僕は心の中でもう一度繰り返した。
(僕もだよ♪)

2008年1月 9日 (水)

VR

雨は容赦なく俺の体から体温を奪っていった。
雨を避けるための庇はおろか、体を隠せるような木の一本も生えていなかった。延々と続く荒野の中で、俺は雨に打たれ、緩慢な死を迎えようとしていた。脚は次ぎの一歩が踏み出せずにいた。何かの干渉を受ければ、膝はその荷重を支え切れずに崩れ落ちてしまいそうであった。
雷鳴が轟いていた。眩い閃光が俺を包んだ。「GAME  OVER」俺の頭の中に女の声がした。「HPがなくなりました。もう一度挑戦しますか?」俺がNOと答えると、視界がブラックアウトしていった。

ヘッドギアを外すとそこは僕の部屋の中だった。
僕は勉強もそこそこにバーチャルGAMEに夢中になっていた。しかし、同じGAMEを続けるのも能がない。僕は本棚の奥から真新しいパッケージを取り出した。本当は僕の年齢では利用できないアダルトVRだ。今日こそこいつを試してみる。
僕は固い決意の元にヘッドギアを被り直した。

「ねぇ、何ボーっとしてんのよ。」
向かい側から女の人の声がした。その声であたしは正気に戻った。ここは喫茶店、あたしは女友達と二人でコーヒーを飲んでいた。「な、何でもないよ。」と慌てて答えたあたしの声はいやに甲高かった。視線をずらすと壁が一面鏡のようになっていて、あたし達の姿を映し出していた。
テーブルには向かい合わせで二人の女性が座っていた。緑色のカーディガンを羽織っているのが向かい側に座っている彼女だ。では、もう一人、白いワンピースを着ているのがあたしなの?あたしはVRの内容を良く確かめていなかったことに気付いた。確か、タイトルは「レズカップルを襲う巨根の怪人」だったっけ?あたしは男優ではなく、レズ側の一人に移入されているみたいだった。
「そろそろ暗くなってきたわね。」向かいの女の人が言った。「今日は公園でシようね♪」彼女はウキウキとレシートを持って席を立った。あたしも彼女に引き寄せられるように立ち上がった。これまで、女物の靴など履いた事もないので、踵の高いサンダルで足元がふらついた。ゆっくりと彼女の後に付いて店を出る。風が足元を吹き抜けてゆく。ズボンで守られていない脚に風が当たる。そして、スカートの中にまで風が舞い込んできた。
「キャッ」とあたしは慌てて膨らみ始めたスカートを上から抑えつけていた。「大丈夫?」と彼女が振り向く。あたしは顔を真っ赤にしていたに違いない。「今日は特別、可愛いわね。」とそっとあたしの肩を抱き締めてくれた。彼女の言った可愛いという言葉にあたしは更に顔を紅くしているに違いない。最初は恥ずかしさだけであったのが、いつの間にか嬉しさに替わっていた。「あたしも頑張って可愛がってあげるからね♪」あたしは体中が火照るのを感じた。特に、胸の先端と下腹部に熱気が集中してゆく。
下腹部が疼きが股間に滲み出してショーツを濡らす。股間で膣口の肉襞がヒクヒクと蠢きだした。ペニスのあった辺りの敏感な部分が更に感じ易くなっていた。もう立っているのも限界に近いと思われる頃、あたし達は公園に辿りついた。
あたしはベンチの上に崩れ落ちた。彼女があたしの脇に体を密着させるように座った。体から一気に力が抜けていく。「大丈夫?」彼女があたしに覆いかぶさるように体を近づける。唇が合わされた。あたしには彼女の行為に抵抗する力が出せなかった。抵抗がないと判ると、彼女は舌を入れてきた。条件反射だろうか、あたしの舌は勝手に彼女の舌にからみついていった。脳が痺れてゆくみたいだ。何も考えられなくなってゆく。彼女の手があたしの太股の内側を這い上がってきた。
「もう、ぐっしょりね♪」彼女の爪があたしのショーツを切り裂いた。「本当にあなたって感じ易いんだから。」彼女の指が割れ目に這わされる。彼女が何かをする前に、股間の肉襞がその指を絡め捕った。蠕動する肉壁が彼女の指を奥へと誘ってゆく。あたしは胎の中に進入してくる異物を感じていた。しかし、それは決して不快なものではない。悦感を伴い、あたしの神経をどろどろに溶かしてゆく。
「じゃあ、始めるわね。」彼女に言葉に「だめ…」と発した抵抗の言葉は形だけのものでしかなかった。彼女が指を動かした途端、あたしは快楽の渦に呑み込まれてしまっていた。指で、舌で、道具を使って彼女はあたしの秘部を責めたてた。まだ、そんなに時間は経っていないのに、あたしは何度もイかされてしまった。目の前にかざされた巨大なバイブが大きくうねっていた。次の瞬間、それは彼女の手であたしのスカートの中に消えていた。そして異物が股間に触れる。小刻みに振動しながら、それはあたしの中に入ってきた。膣が張り裂けそうになる。しかし、その痛み以上の快感があたしを満たしていった。

「おや、お姉ちゃん達だけで宜しくやっているのかい?」男の声がした。あたしは男がそこにいると認識するのがやっとで何の反応もできなかった。「何よ!あんたは?」反応したのは彼女だった。「俺もお楽しみに混ぜてもらえないかな?」「残念ね。あたし達は男には興味がないの。」「君たちにはなくとも、もう俺のジュニアが我慢できなくなっているんでね。」男は見た目以上に素早かった。あっと言う間に彼女は行動の自由を奪われていた。男は有無を言わさず、ズボンから突き出た、巨大で醜悪な彼のジュニアを彼女の股間に突っ込んでいた。前技もなにもない。凶悪な逸物を突っ込まれた彼女は一気に達するとそのまま気を失っていた。
「さてと、今度はお嬢ちゃんの番だね。」男が近付いてきた。「お楽しみ中で悪いんだが、ちょっと場所を空けさせてもらうよ。」とあたしの股間からバイブを抜き取った。「おや、これだけのモノが入るのかい?じゃあ、彼女より長く楽しめそうだね。」男はあたしの体を軽々と抱えあげた。スカートが捲くられ、ノーパンのお尻が露わにされる。男がベンチに座り、彼の脚の上にあたしを降ろしてゆく。膣口に男のモノの先端が触れた。「お嬢ちゃんには本物の素晴らしさを教えてあげようね。」あたしの中に男のペニスが入り込んできた。
これまでと違い、それ自身が熱を帯びている。有機物同士の結合には一体感が伴う。ペニスの表面の血管の中を血液が流れているのだろう。そこにもう一つの心臓があるかのように、ビクビクと脈打っている。「顔に似合わず、良いモノを持っているね。俺ももう我慢できないよ。」と男は息を荒らげた。そして、膣の中で男のペニスの先端から子宮に向かって何かが放出された。
その途端、あたしの意識はプツリと途絶えていた。

「続けますか?」あたしの頭の中に女の人の声がした。「これ以上の体験は心身を害する恐れがあります。継続される場合でも、一旦保留を選択して1時間程度の休憩を採られることをお勧めします。」あたしは後ろ髪を引かれつつも終了を選択した。

ヘッドギアを外すとそこは僕の部屋の中だった。
今の体験がVRでの疑似体験であるとは思えなかった。それは、あまりにもリアルでありすぎた。あのまま続けていたら、本当に自分が女の子であると錯覚してしまいそうだった。
確かに一部分でVRは現実とリンクしているようだった。気が付くと僕はズボンを脱いで下半身丸出しの状態になっていた。床の上に引き裂かれたパンツが落ちている。パンツは僕の撒き散らした精液にまみれている。更に、太い万年筆が床に転がっていた。これも何かに濡れているようだった。たぶんバイブに見立てられたのだろう。
そして、僕の左手の指はまだそこに突き立てられていた。男のペニスに見立てて僕の股間に入り込んでいる。悦感が再び舞い戻ってきたような気がした。愛液が滲みでてくる。僕の膣が期待に蠢いた…

痴漢

窓の外を通過駅のホームが走り抜けて行った。
僕は女になった体を隠すように学生服を着て満員電車に乗っていた。胸に触れられないようにドアの脇に体を寄せている。こちら側のドアは終点まで開かないようになっているからだ。鞄をドアと体の間に挟みじっと身を潜めていた。が、アイツは僕のすぐそばにいた。アイツは僕に密着してくる。僕はアイツとドアの間に挟まれていた。
アイツは僕の体が女になっているのを十二分に知っている。他の乗客には分からないように、僕のズボンのチャックを下ろすとパンツの中に手を差し込んできた。本来は小便の時におちんちんを出し入れする隙間から、アイツの指が侵入してくる。そこには邪魔になるおちんちんはない。即にもアイツの指が僕の女の子の割れ目に達する。指が立てられ、指先がずぶずぶと割れ目の中に割り込んでくる。
アイツの指の腹が敏感な所に接触すると、僕の体の中を電気のようなものが走り抜けてゆく。その度に声を上げそうになるが、周りの人の目を気にして必死になって堪えていた。「我慢は体に毒よ♪」耳元にアイツが囁き掛けてくる。フウと耳朶に息が吹き掛けられた。
アイツは女だったから女の感じる所を熟知している。もう片方の手で学生服とワイシャツのボタンを外すと、Tシャツの上から胸の先端の突起を弄び始めた。更に体を密着させてくる。アイツの股間で硬くなっているモノを僕のお尻に押し付けた。アイツはスカートを履いているようだが、ショーツで抑えつけているのか膨らんだだけの所をぐりぐりと押しつけてくる。
しばらくして「あぁっ」と微かにアイツも呻いていた。ドクリとアイツのおちんちんの中を通過してゆくものがあった。アイツの手の動きが止まった。密着していた体が離れる。胸から、股間から、アイツの手が抜かれた。

キキッとブレーキが掛かった。プシュッとドアが開く。「お、降ります。」とアイツ。僕も手を引かれて一緒に降りた。「チャック上げなさいよ。」とアイツ。人の流れが過ぎ去り、ホームには僕とアイツしかいなかった。
「パンツの替えなんて持ってないでしょ?」とアイツが紙袋を差し出した。確かにパンツは僕の女の子から出てきた愛液で濡れ、不快感があった。「あたしも替えてくるからね。」とアイツは女子トイレに入っていった。僕は紙袋の中を覗いてみた。たぶんアイツ自身の下着なのだろう。パステルピンクの生地が見えた。当然の事ながら、それは女性用の下着の筈だ。履きたくはなかったが、濡れた下着の不快感には勝てなかった。
トイレの中でズボンを脱いだ。濡れたパンツも脱いだ。紙袋の中にはショーツの他に、同じ柄のブラジャーも入っていた。これを着ければ乳首がTシャツにこすれて痛むこともないとは判っていたが、男としての自尊心がそれを紙袋の中に押し戻していた。

アイツはトイレの入り口で待っていた。「どぉ?あたしのパンツの履き心地は。」僕が答えられずにいると、構わずに腕を絡めてきた。引き寄せられた腕がアイツの胸に押しつけられる。いつもなら、腕に感じる弾力物はそこにはなかった。「ブラがいらないって楽よね。」アイツの腕が僕のバストに押しつけられた。平な胸ではなく、そこには弾力のあるモノがあった。「形が崩れるから、ブラジャーはちゃんと着けましょうね。今度は制服も交換しましょ♪」
そんな事を言われている間にも、ホームに電車が入ってきた。僕はアイツに腕を引かれて中に入った。

ドアが閉まった。「今度はノーブラの胸を中心に責めてあげるわね。」
アイツの声で僕はTシャツの下の乳首を硬くさせていた。

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