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2007年12月14日 (金)

侵略者?(中編)

彼はその街からかなり離れた場所にいた。
一目を忍んで逃げ続ける間に、彼は己の肉体が特異なものであることを学んだ。彼がこの肉体を得た時、この少女は既に彼の腕の中で息絶えていたのだ。一度死んだ少女は、もう死ぬことはなかった。彼はいくら空腹になっても餓死できない事を知った。手首を切り裂いても血は流れず、傷口は即にふさがっていった。彼は人気のない倉庫の片隅で身じろぎもせずに、時が過ぎ行くのを待っていた。彼は知る由もなかったが、既に彼を追うモノはいなくなっていた。が、彼は隠れ続けていた。
しはし、彼は隠れ続ける事ができなかった。死んでいる体ではあったが、成長は続いていた。流れゆく時は彼の身体を少女のままでは置かなかった。始めのうちは、小さくなった服を脱いで凌いでいた。やがて下着も着れなくなり、彼は全裸で隠れ場所にいた。寒くても凍え死ぬ事はなかった。が、成長を続ける肉体は、隠れ場所を圧していった。ついには隠れ場所自体が狭くなり、彼を匿い続ける事ができなくなっていた。ある日、彼は宵闇に紛れて隠れ家を出た。彼は初めて盗みを犯した。近くのアパートの軒下に無造作に干してあったズボンとシャツを失敬する。お金を持っていなかった事もあるが、お金があったとしても全裸では買い物はできなかったからだ。
彼は食事を採る必要はなかったが、いつまでも盗んだ服と拾ったサンダルのままではいられなかった。もう子供ではなかったので補導されるような事はなかったが、道行く人々の視線が痛かった。しかし、ちゃんとした服を手に入れるにはお金が必要だった。だが、このような身なりではアルバイトも探せない。彼は途方に暮れ、公園のベンチに座っていた。

「ねぇ、君。」と声を掛けた男がいた。かなり泥酔しているようだ。「オジサンに良いコトしてくれたら、これをあげるよ。」と紙幣をヒラヒラさせていた。彼が反応を示すのも待たずに、男はズボンのチャックを下ろしていた。男の手が彼の手をつかみ、自分のモノに触れさせる。それだけで男は股間を硬くしていた。さすがに唇を触れさせようとした時には彼も拒絶したが、男のモノをつかむ所で妥協する他はなかった。男は自らの手で彼の手を動かした。男は勝手に精を飛ばすと、彼に紙幣を渡し後始末もしないで公園を去っていった。彼は翌日、その金で服を買った。

その夜は駅前のベンチに座っていた。「ねぇ、君。」と声を掛けた男がいた。「オジサンと遊ばないか?」彼は「遊ぶ」がどういう意味を持つかを理解していなかった。男に導かれるままゲームセンター、ビリヤードと巡っていった。もっぱら男がゲームを進め、彼はただ見ているだけだった。
「疲れたろう?」と男はホテルのレストランに彼を誘った。食前酒に続き豪華なフルコースが運ばれてきた。勧められるままに飲み干したワインが彼の意識を朦朧とさせていた。
「ぁあん♪」彼は久し振りに艶かしい女の媚声を聞いた。それはAV女優の演技されたものではなく、生々しく快感から発せられたものであった。そして、彼はその声が自ら発したものであることを知った。「幼いのに感度は良いようだな。」男はそのざらついた舌で彼の身体を嘗めまわした。男の舌先が彼の鋭敏な箇所に触れる度に、彼は艶声を上げるのだった。

彼は幾枚かの紙幣を手にしていた。街を歩いていると、店先には様々な女の服が飾られていた。彼は自分の体が女である事を否定するかのように、男物のズボンとシャツを着ていた。しかし、体や顔は女であることを隠しきれていない。鏡を見る度に、その事を痛感させられていた。彼はふと、店先に飾られている服を自分が着たらどう見えるだろう?と考えていた。
ショウウィンドウのガラスに彼の顔が映った。それなりに可愛い顔をしていた。が、髪の毛は何も手入れがされておらず、伸び放題となっていた。奇麗な服を着せてるには問題がある。彼は近くにあった美容院のドアをくぐった。再び服の前に戻った彼は着ている服を除けば、どこにでもいる女の子と変わりはなかった。彼の目に止まった服を着てみたい気持ちは更に強まっていた。
彼は店に入った。「あれ試着できますか?」とショウウィンドウの服を指した。「サイズは?」店員は厭な顔もせずに応対してくれた。分からないと彼が言うと、彼の体にメジャーが当てられた。しばらくして飾ってあったものと同じ服が彼の前に差し出された。
「お似合いですね。」言われるまでもなく、彼は美しく装った自分自身に陶酔していた。更に、アクセサリーや化粧がどんなに自分を奇麗に見せるかを想像していた。
しかし、それらを実行するには費用がかかるのだ。この服でさえ、彼の手持ちでは手に入れることはできない。お金を得る必要がある。彼は二度の実績から体を売ることが最大の近道であると知っていた。彼はしばらく思案した。

彼は今日も駅前のベンチで男を待っていた。男から得た金で毎日違った服を着ることができた。様々なアクセサリーを身にまとう。自分の美しさがワンランク上がる度に、寄ってくる男達のランクも上がっていった。
そして彼はその街から消えた。

「あぁん、んあん♪」彼は艶声を上げる。男はその気になって、ありったけの精を彼の膣に放出する。毎日異なった男が彼のマンションを訪れてくる。彼を抱いて満足すると、彼に報酬を残してゆく。その金で彼は自らを飾りたてる。彼は壁一面を占める大きな鏡に時間をかけてドレスアップした自分を映し出しては悦に入るのだった。

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