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2007年12月14日 (金)

侵略者?(後編)

その夜、街に宇宙から飛来したものがあった。中には手足の生えたオタマジャクシのような生物が乗っていた。それが彼を呼んだ。「どこに居る?」
彼は男に抱かれ、悦楽の際にいた。が、その声には逆らうことができなかった。一瞬にして正気に戻る。「はい、ここにいます。」と宙に向かって答えると、のしかかっていた男をはねのけた。
男のモノが抜けた股間から、男の精液が滴っていた。彼はティッシュで手早く処理すると、服を身に着けていった。化粧は簡単に済ませ、部屋に鍵も掛けずにマンションを飛び出していった。
そこは祈念公園となっていた。彼は広場の中央に立ち、上を見あげた。そこには見えないが、宇宙船が存在している。「ヤツはどうした?」彼の頭の中に声が響く。「知らないわ。」彼は宇宙船に向かって言った。「調べろ。我々が直接調べるより、この世界に精通したお前が行う方が効率が良い。」彼はこの身体もまた奪われてしまうかとビクついていたが、どうやら回避されたようでホッと胸を撫で下ろした。

「あたしが安眠マスクをあげたのは、少しでも明かりがあると眠れないと言われたからです。」調べを終えた彼は再び宇宙船の下に戻ってきた。「あたしもあの身体の頃は安眠マスクをしていた。何故餓死したかについては、あたしの推測ですが、安眠マスクをしたままだったので、夜がずっと続いていると思っていたのではないでしょうか?夜だから、寝続けていたと思います。あなた方は、今のあたしのように食事を採ることなく生きてきたのでしょう。空腹感が何を意味するかが判らなかったんじゃないでしょうか?」「我々は遥か昔に他の動植物を殺生し、自らを生きながらさせるというような野蛮な行為は行っていない。」「それにしては、大量の人命が失われたわ。小さな子供の命まで。」「我々も今回の事故の件は想定していなかった。やつは身をもって償いをしたと考えてやろう。我々は不幸にも事故によりあなた方を傷付けてしまった。深く謝罪する。が、死を克服することはできても、一度失われた肉体を取り戻すことは我々にも出来ない。せめて、あなたには可能な限りの償いをさせていただきたい。元の姿に戻す事はできないが、その身体を男性にする事は可能だ。」

「男に戻るのは厭よ。」彼は即座に答えていた。「あなた達の干渉さえなければ、あたしは十分幸せよ。女の方が楽だし、楽しいし、この身体なら妊娠することもない。」「では、我々でできる事はないと?」「もう、あたしの事は放っておいて。じゃあね。」彼はそう言うと宇宙船に背を向けた。

「あっ、」と彼が立ち止まる。
彼は「私」を指さした。「もう、あたしはとっくに女なの。彼って言わないで頂戴!!」

彼… 彼女はそう言って街の中に消えていった。

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コメント

侵略者?
淡々と語られていくのですが、結構ハードなお話ですね。おもしろかったです。
それに、かなりシビアな宇宙人ですね。^^

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