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2007年11月10日 (土)

ガラスの靴

「あぁ、貧乏はやだな。こんな生活から抜け出したいよ。」
そんなつぶやきをどこで聞き付けたか、僕の前に魔法使いのお婆さんが立っていた。「ちょうど良かった。あんたなら良さそうだ。あたしの言う事を聞いてくれたら、贅沢な暮らしをさせてやるが、乗らないかい?」お婆さんの言葉の裏には何かありそうだったが、僕は即座に同意していた。
「あと少ししたら、お城から娘を捜しに使者がやってくる。あんたはその娘の代わりになってくれれば良い。」「無理だよ。別人に成り済ますなんて。第一、僕は男だよ。」「大丈夫、彼らはその娘の顔を知らない。王子からは、残されたガラスの靴が履ける人物を捜しているんだ。ほら、もう来たみたいだよ。」
広場にはざわめきが広がっていた。時折「何で入んないんだよ」と口汚く叫ぶ女の声がした。「さぁ、行っておいで」と僕は背中を押された。
「あのぉ~、僕も良いですか?」と人垣を割ってでると、役人は「はい、どうぞ。」と僕の性別も確認しないでガラスの靴を差し出した。
僕はタオルで足を拭き、ガラスの靴に滑り込ませた。「ぉおおっ!!」とどよめきの輪が広がってゆく。僕の足はガラスの靴にピタリと嵌まったのだ。「おめでとう。あたなに決まりです。」役人が声を掛けてきた。「問題がなければ、このまま城までご同行願えませんか?」「行って良いのか?」「王子様がお待ちです。」

あっという間にその日は来た。
僕は白いウェディングドレスを着せられ、化粧を施され、頭には本物の王冠が被せられていた。この数日の間に、僕は王子の花嫁として相応しい女性に造り替えられていた。もちろん、肉体もそれに相応しく改造されていた。男のシンボルを切り取られ、替わりに豊満な胸と、熟れた股間を与えられた。
今夜 式が終わると、僕は女として王子に抱かれるのだ。頭の中では同性に抱かれる嫌悪感で一杯の筈が、僕の股間は期待に雫を漏らし始めていた。
「どうぞ。」と侍女に手を引かれ、仕度部屋から出た。通路に出た時、「どうだね?もう貧乏とは言わせないよ。」と一人の老婦人が僕に近寄りそう囁いた。彼女は魔法使いのお婆さんだった。僕は何も言うこともできず、そのまま式場に連れて行かれた。

教会の鐘が鳴っていた。
国中の人々が見守る中、僕は王子様に抱かれ、彼の口づけを受け入れていた。
「さぁ、シンデレラ。これでもう、君は僕のものだよ。」
僕は王子様に抱き上げられた。

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コメント

な、な、なんと!
シンデレラって、身代わりだったんですね。
ひょっとして、本物は、お城の階段から転げ落ちて「死んでれら?」

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