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2007年8月19日 (日)

入れ換わり

目の前にいるのは本当に僕自身なのだろうか?
ミキが取り寄せた女装用のパーツと彼女の化粧の技術は僕の外見を全く女に変えてしまっていた。
「どう?」僕の中にいるミキが言った。その声は少しハスキーで声だけからは男とも女ともつかない。「全然男に見えないよ。」と答えた僕の声は誰が聞いても女の子の声にしか聞こえない。そう、僕とミキは心と体が入れ換わってしまっていた。僕の体の中にはミキがいて、ミキの体の中に僕がいるのだ。
中身が入れ換わってしまったことは誰も知らない。僕はミキのミキは僕のふりをしている。幸いな事に僕等は同棲していたので四六時中互いのおかしな所を指摘できた。とは言っても、本来が男の僕にとってスカートを履くことはなかなかできなかった。必然的にジーパンなどのズボンばかり履いていた。そこをある日指摘されたのだ。
「あたしもたまにはスカートを履きたいわよ。」「僕を笑い物にさせたいのか?男がスカートを履くなんて一部の芸人とオカマくらいだぜ。」「じゃあ、笑われなければ履いても良いのね。」
僕はミキに抗うことはできなかった。そして、今のこの状態が展開されたのだ。「ねぇ、外に出ない?」思いもしなかった提案に戸惑っていると、「大丈夫よ。パスできるわ。」と僕の手を引いて立ち上がった。
傍から見れば女の二人連れである。どちらが男かと聞かれても答えに困るだろう。男のようななりはしていても、僕の身体は正真正銘の女なのだ。ミキはと言えば元々が女なので、服を引ん剥いて裸にでもしない限り女にしか見えない。そんな二人が街を歩けば、いつの間にか注目の的と化していた。
いくつもの視線を引き付けながら、僕等は一軒のブティックに足を踏み入れた。ミキが選んでゆく服はどれもレースやリボンがたくさんついた可愛らしいものばかりだった。当然、彼女自身が着るものと思っていると「あなたが着るのよ。」と事もなげ言い、僕を試着室に連れ込んだ。「服を脱げばあたしの正体がバレてしまうでしょう?それにこの身体では胸の開いた服は着られないわ。とにかく自分の服を買いたいんだからサイズは実際に着てみて確認しておきたいのよね。」「自分のって?」判っていた事だが、ミキがミキの服を買おうとすれば試着するのは当然、今の「ミキ」である僕になるのだ。ここまで来ては彼女の言うことを聞くしかなかった。
彼女の罠にはめられた僕はブティックを出る時には着てきた服は紙袋に詰められ、買ったばかりのヒラヒラのドレスに身を包んでいた。

街を歩いていると幾人ものナンパ男達に声を掛けられた。ミキはそんな彼等を鼻先であしらい、久々の「女」を楽しんでいた。僕はミキを見習うことなど出来ず、彼等を無視してミキの後を付いていくしかなかった。
仮の姿ではあるが「女」に戻れた事でミキのストレスはかなり改善されたようだ。「ねぇ、久し振りにシていかない?」
いつしか、陽も暮れて僕達はネオンのきらめくホテル街を歩いていた。ミキが完全に女に戻っていたので、自分が女である事を思い出したのはホテルの部屋の鏡に自分の姿が映し出された時だった。
「脱がせてあげるから、先にシャワーを浴びてきてね。」と風呂場に追い立てられた。入れ換わる前からもミキの裸は見ていたし、入れ換わってからも何度も風呂に入っているので、シャワーを浴びるだけなら何ていうことはない。が、今はSEXを前にしてのものだ。もちろん、入れ換わってからは一度もしていない。いつもなら、すでに準備態勢を整えている息子はどこにもいない。いや、僕の息子はミキの所にあるのだ。もしかして?と思うまでもなく、僕は女としてそれを受け入れる事になるのだ。ドクリと心臓が鳴り、下腹部に熱の塊が生まれた。熱は腹の中を焦がす。汗の粒が内股を落ちていった。
身体に付いた水分を拭き取り、タオルを巻いて何事もなかったかのように出ていくと、ミキはまだ服を着たままそこにいた。「ねえ、タオルを取って。」僕はミキの願いにすぐに従った。「これがあたしの身体なのね。」そう言って僕をベッドに押し倒すと、唇を合わせた。「女の子同士みたいね。」ミキの手が僕の乳房を揉みあげる。「ぼ、僕は男としてミキを抱くことしか考えられないね。」と僕はミキの腕を止めた。「じゃあ、あたしを抱いてくれる?」
僕は上半身を起こし、ミキを抱いた。胸が合わさる。布越しに生身の乳房と贋物が押し合う。ミキに与える筈の快感が僕の方にもたらされる。これではいけないと、体を入れ替えミキをベッドに押し倒した。捲れたスカートから覗いた大腿に指を這わした。「ああん♪」とミキが吐息を漏らした。「カンじてる?」僕が聞くと、「もっとね。」と要求する。僕は更にスカートの奥に手を延ばす。「?」彼女は既にショーツを脱いでおり、僕の指は股間の奥にあるモノに触れていた。「それ、あたしのクリちゃん。優しくシてね♪」
僕は彼女の言う通り、ソレが僕の息子ではなく彼女のクリトリスと思い込むようにした。硬くなったソレに指を絡めると、ビクリと動いた。と同時にミキが「あんっ」と喘ぐ。僕は掌と指でソレをさすり上げた。
もう一方の手で服の上からミキの胸を揉んでやると、本当に感じているのか、快感に悶える仕草をした。僕は男としてミキを攻めていた。「ああん、何か来そう。ねぇ、入れてくれる?」
僕は自分にペニスがあるつもりで自らの腰を彼女の股間に割り込ませた。彼女の脚を抱え、いざ挿入しようとしてペニスがないことに気付いた。「早く入れて♪我慢できない!」ミキが腰を振ると、何かの弾みかスルリと彼女のクリトリスが収まった。「ああ、良い!あたしのナカって凄い。もう即にでもイッちゃいそう♪」ミキはそのまま上機嫌で腰を振り始めた。が、僕の方はそれ所ではなかった。ミキのクリ、いやこの期に及んではもうペニスと認めるしかない、が僕の膣の中にいるのだ。それが動く度に得体の知れない快感に襲われるのだ。僕は必死になって漏れ出ようとする声をかみ殺した。
「あん、あん、あん♪」僕の下でミキが悶えている。見た目は女の子だが、彼女の股間のペニスは僕の膣で暴れているのだ。僕は、僕の感じている快感が女の快感であることを認めたくはなかったが、もうそれも限界だった。ミキのペニスが子宮口を突き上げてくる。僕の意志ではなく膣が震える。ミキの動きに併せて収縮を繰り返す。
「ぁあん、ぁあん。」知らずの内に声が漏れていた。「あなたもカンジているのね。一緒にイきましょう♪」ミキのリズムが変わった。フィニッシュに向けて激しさを増す。「あんあんあん」二人の媚声がハモっている。そしてミキの動きが止まった。「あ、あ~~~ん!!」ミキが声を上げる。僕のナカにミキのペニスから熱い塊が注ぎ込まれた。多分僕は嬌声を上げていただろう。込み上げてきた強烈な快感に、僕は意識を失っていた。

女性に生理があるということに気が付いたのは気分の悪い日が続き、計らずもミキの前で嘔吐しそうになった時だった。「つわりかもね?」と冗談で言ったつもりが、見る見るミキの顔色が変わっていった。「あんた、この前の生理はいつだったの?」と迫られたが、僕はのほほんと「生理って?」と聞き返す始末だった。
そう実際入れ換わってこの方、僕は一度も生理と言うものになった事がなかった。だから生理が来ない事を気付く事など出来る筈もない。
「中絶は厭よ。」「ぼ、僕が産むのか?」「この際、元に戻ることは諦めた方が良いわね。」ミキはそう言ってしばらく考え込んだ。

「ミキさん。」ミキが真剣な顔をして僕に向き直った。「ミキはお前だろう?」僕は言ったが、「もう覚悟を決めましょう。今日からはあなたがミキよ。そしてミキ、僕と結婚しないか?」
突然の展開に僕は何も言えなかった。「別に子供が出来たから責任を取るというものではない。確かに子供はきっかけだけど、僕は君が好きなんだ。男だとか、女だとかは関係ないの。純粋に君が好きなんだ。」ミキの瞳は真っすぐに僕を向いていた。「愛している。結婚してくれるかい?」僕は何と答えて良いか判らなかった。普通ならこんな時、考えさせてくださいとか言って少し時間を置くべきなのだろう。いや、本来は男の僕が言わなければいけない台詞だ。
ミキの視線は熱かった。僕は目を反らせられなかった。何かを言わなければ、と喉を震わした。
「はい。」僕の口はそう言っていた。
ミキが僕を抱き締めた。そして、唇を合わせる。キスは長い間続き、僕は気を失いそうになっていた。

「ミキ♪」彼が僕の掌を握ってくれた。幾分か気分が楽になる。お腹からの痛みが再びやってきて、僕が顔をしかめると彼が手に力を込めた。「大丈夫よ。女の人はみんな経験することだもの。」僕はそう言って彼の手を離した。
ベッドが分娩室に続く扉をくぐった。「やさしそうな旦那さんね。」ベッドを押していた娘が言った。「はい♪」
今の僕にはもう迷いはなかった。僕は彼の妻であり、生まれてくるこの子の母になるのだ。

「さぁ、あと一息ですよ。」医師の声に合わせて再度いきんだ。気が遠くなりかける。その直後、大きな赤ん坊の泣き声が響き渡った。「お母さんに似た愛らしい女の子ですよ。」その声を聞いて僕はほっと胸を撫で降ろした。

今日は特別な日。僕は娘を抱いて待っていた。扉が開き、美しい女性が現れた。「ミキ、」僕が声を掛けようとすると、「ミキは貴女でしょう?あたしはマキ。マミちゃんのもう一人のママよね♪」と僕の腕の中からマミを奪ってゆく。
一年に一度だけ、ミキは女に戻る。それが、僕達の約束なのだ。今日だけはマミの母親の座を彼女に譲ってあげる。
今日は僕達が入れ換わってしまった記念日だから...

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コメント

レズ?ホモ?カップル??
どんな体になっても、愛する二人には障害にはならないんですね

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