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2007年8月19日 (日)

入学試験

兄貴が東京の大学に行ってから、電話は掛かってくるものの一度も帰ってくることはなかった。
僕も高校三年となり、大学受験のために東京に出ていくことになった。東京では兄貴の所に泊めてもらおうとしたが、即座に断られた。結局ホテルに泊まることになった。試験日を考えると一週間の連泊となる。親にしてみれば心配な事ではあるが、僕にとっては初めて手にする完璧なプライベート空間にわくわくしていた。
試験の初日で手応えを感じた僕は、残りの試験より今度の土日の計画に向けて気持ちが集中していた。
土日の計画とは、皆の想像する通り「兄貴の住み処を襲撃する」である。それも、兄貴に気付かれないように、変装して行くのだ。僕は試験が終わると、残りの時間を翌日の準備ではなく、土日のための買い物についやしていた。その為の資金はこの一年間のバイトで充分に溜めておいたのだ。

そして土曜の朝。まだ空が暗いうちから支度を始めたが、兄貴のアパートに着いたのは昼近くだった。表札には兄貴の名前に並んで女の人の名前があった。あの兄貴が同棲していることに驚かされる。
気を取り直して呼び鈴を押した。「は~い♪」と女の人の声がした。カチャカチャと音がしてドアが開いた。「タカシよね?良く来たわね。とにかく上がりなさいな。」僕は彼女に腕を引かれ中に入っていた。(この女性は誰?なんで僕の事を知っているの?どうして、こうも簡単に変装が見破られたの?)混乱する頭のまま、彼女に導かれるままリビングのテーブルについた。コーヒーのカップが並べられ、彼女が席についた所でようやく一声だけ発することができた。
「あの~、兄貴は?」

しばらくの沈黙の後、彼女が口を開いた。「判らない?目の前にいるのよ。」そして彼女の声が変わった。「俺だよ、俺。」それは男の、兄貴の声だった。
「あ、兄貴?」僕は開いた口がふさがらなかった。「こら、この姿の時はお姉様と呼びなさい。」再び姿に合った女の声に戻っていた。「それにしても、あんたも随分可愛くして来たわね。さすがはあたしの弟よね。」
兄貴も兄貴であるが、僕が変装として選択したのが「女装」だったのは何か兄弟の縁があるのだろうか?「ねぇ、受験でこっちに来たんでしょう?どう案配は?大学はこっちに来れそう?」兄貴(?)の矢継ぎ早の質問には「な、なんとかなりそう。」と答えるのが精一杯だった。

一緒にお昼を食べようと外に連れ出された。勝手にマサミという名前を付けられ、食事の後も連れ廻された。「妹に服を買ってあげるのって憧れだったのよ。」そう言って試着室に運ばれてくる服を、僕は片端から着ていくしかなかった。
買い物が終わると、僕のボイストレーニングと称してカラオケBOXに缶詰にされた。当然の事ながら歌わされるのは美少女アイドルの曲ばかりだった。そして声の出しかただけでなく、女の子らしい仕草も同時にたたき込まれた。
結局、兄貴のアパートに泊まる事になった。風呂から出て素顔に戻りくつろいでいると、後から入った兄貴も出て来た。が、兄貴はバスタオルを胸の所で留めていた。兄貴の胸は女の人のように膨らんでいた。
僕の視線を感じたのか、兄貴(?)がバスタオルを外した。「ねえ、奇麗でしょう?」兄貴の体はどう見ても男には見えなかった。バストだけではない。ウエストはくびれ、なだらかなヒップラインにつながっていた。そして、股間の淡い茂みの下には何もなかった。
「見てみる?」と片脚を上げ、指で股間の裂け目を押し広げた。「どお?素適でしょう?」それはどこから見ても女の秘部そのものだった。「手術?」まさかとは思いつつ尋ねてみる。
「違うわよ。そんな大金持っていないし、痛いのも厭だからね♪」と、ハンドバックから何かを取り出した。「これなら簡単に女の子になれるのよ。あんたも使ってみる?」
僕はごくりと唾を飲み込んだ。僕が女装したのは単に兄貴にばれないよう変装することが目的だった筈だ。しかし、一日中連れ廻されて女の子でいることに馴らされてしまったのだろうか?僕はその「Vスキン」と書かれたパッケージから目が離せなくなっていた。
兄貴に手伝ってもらいスキンを装着した。ペニスが押し込められる痛みを我慢してしばらくすると僕の股間は女の子になっていた。「凄いね。」と言った僕の言葉はまだ男のままだった。「ほら、練習した通りにしないと恥ずかしいことになるわよ。」と兄貴が笑う。
「Vスキンはそこだけしか変えてくれないから、声とかはそのままなのよ。まぁ、変声器なんてものもあるけど地声でないとどうしても不自然さは残ってしまうものよ。」「わ、わかったわ。頑張ってみる。」僕は練習したての女声でそう答えた。

兄貴のベッドは何故か二人で寝ても充分な広さがあった。枕を並べて眠るなんて何年ぶりだろう?と考えているところに兄貴が身体を寄せてきた。避けるように背中を向けると、その背中にバストを圧し付けてきた。「あ、兄貴。止めろよ。男同士で何をするんだよ。」僕の抵抗を楽しむかのように、兄貴は腕を廻してきた。「何言っているの♪あたし達は女の子同士でしょう?これくらいのスキンシップは普通の事でしょう?」本物の女の子でない僕には、どこまでが普通なのかを知る術がなかった。
兄貴の身体が僕の背面に密着する。前に廻した手が股間に伸びてきた。「!!」これまで感じた事のない、猛烈な快感に襲われた。「気持ち良いでしょう?あなたのソコはちゃんと濡れているわよ♪」兄貴が指を動かすと僕の股間からクチュクチュと湿った音がする。その度に僕は喉に込み上げてくる嗚咽をかみ殺した。
「我慢することはないのよ。媚声を上げちゃいなさい。そうすれば、もっと気持ち良くなるわよ。」それは薄々気が付いていた。我慢しなければもっと大きな快感が得られる。しかし、それは男が決して味わう事のない「女」の快感なのだ。僕は変装しているだけで、女の子になりたい訳ではない。僕は本質的には「男」なのだ。
だが、兄貴の巧妙な責めは執拗に続いた。「ぁぁん…」と微かではあるが、一旦嗚咽を漏らすと堰を切ったように僕の口から甘声が続く。それは誰が聞いても女の嬌声にしか聞こえなかった。
「ああん、あん。お願い、欲しいの。もっと、もっと。」僕は股を開き、腰を突き上げていた。「そうね。じゃあ、これはどうかしら?」兄貴は枕元から棒状のモノを取り出した。バイブだった。実物は見た事がなかったが、女の人のアソコに入れて使うものだという知識はあった。それが、僕の中に入ってきた。スイッチが入れられた。バイブが僕の中で動き始めたのを最後に、僕の記憶はぷっつりと途絶えてしまっていた。

快感の余韻を引きずったまま、月曜の朝を迎えた。受験勉強で詰め込んだ知識は身体を動かすそばからボロボロとこぼれ落ちていった。電車に乗って試験会場に向かう。電車がトンネルに入ったとき、窓に僕の姿が映った。
「?」
僕は窓に映った自分の姿に愕然とした。僕は無意識の内にかつらを被り、化粧をしていた。兄貴に買ってもらったワンピースを着た僕は「女の子」にしか見えなかった。気が付くと視線を感じる。周りの男達から送られてくる視線は女の子を品定めする好色の視線だった。
いつもとは異なる視線は僕に緊張を与える。それは、僕に自分が女の子であることを意識させた。窓に映る自分が女の子としておかしな所がないか確認する。まわりにいる数少ない女性の視線を確認する。彼女等は一瞥しただけで、後は僕に関心を示すことはない。とりあえず、おかしな所はないと言う事なのだろう。
僕は再び男達に視線を戻した。「女」として彼等を見てみる。ヤニまみれのおじさん、いかにもスポーツマンといいたげに汗臭を撒き散らす若者、似合いもしないブランドスーツで気取っているサラリーマン。そんな中にひとりだけ目を曳かれた男性がいた。
このひとなら、あたしも抱かれても良いかな♪なんて思っていると、じわりと股間が潤んでくるのが感じられた。
(いかん、いかん。)僕は自分が男である事を思い出す。男に抱かれたいなんか、どうかしているぞと自分に言い聞かした。

試験場に入ると周りの雰囲気は一転する。張り詰めた緊張感が漂っている。私服の者もいるが、半分以上は高校の制服を着ている。男子が多いので私服の女の子は更に数が少なくなる。僕はそんな中で浮いた存在なのだろう、誰もが僕を見ては気にしているようだ。
「あなたはどこの出身なの?」教室の決められた席に着いた途端、見知らずの女の子に声を掛けられた。誰も知る者はいないと自分の通っている高校の名前を教えた。「あたしは聖蘭女子なんだ。」て、同郷?僕は自分が男であることがばれないように慎重に言葉を選んだ。特に自宅の場所が特定されないように注意する。当たり障りのない駅前の店の話題で時間をつないでいると、試験の予鈴が鳴った。
試験は思った程難しくはなかった。それよりも、僕はさっきの女の子の方が気になっていた。「ねぇ、一緒にお昼しない?」案の定、午前の試験が終わると声を掛けられた。断る理由も見付からぬまま、近くの喫茶店で食事をすることになった。ほとんど一方的に喋る彼女に付き合っているうち、彼女が僕の家の近くについてはあまり明るくないことが判った。午後の試験の後にも合うことになったが、心には大分ゆとりができていた。

試験の最期に面接があった。「君は普段もそういう服を着ているのかね?」試験官が僕に聞いた。「服装は自由と聞いています。何か問題があるのですか?」と聞き返すと、「自由な校風はウチのウリだが、自由の裏には責任が伴うことを理解してもらいたい。君にはその覚悟はあるのかね?」そう言ったのは中央に座っていた学長その人だった。僕は彼を見据えると、「はい。」と答えていた。

春がきた。僕は新調したワンピースを着て入学式の列に並んでいた。
人生の新しいページがこれから始まるのだ。

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コメント

兄弟揃ってVスキンのとりこですね。
こうして、新たな餌食・・・ちがう、利用者が増えていくんですね。^^

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