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2007年5月16日 (水)

無題

湯舟にたらりと秘薬をたらす。湯水が見る見る内に毒々しい色に染まってゆく。腕を突っ込みひと掻きする。その色が均一になった。湯舟から抜いた腕は白く、そして細くなっていた。
俺は着ていた服を全て脱ぎ捨てると、湯舟の中に身を沈めていった。目を閉じ、息を止めて頭のてっぺんまで湯に浸かる。髪の毛がぞわぞわと伸びてゆき、湯面に広がる。頃合いを見て立ち上がると艶やかさを増した黒髪が俺の体にまとわり付いてくる。いや、それはもう「俺」の体ではなかった。腕と同じように全身の肌が白く、瑞々しくなっていた。脚も胴回りも腕と同様に細くなっていた。が、胸回りは逆に肉が付いていた。俺の胸にはふくよかな女の乳房が出来上がっていた。当然の事ながら、股間はすっきりと何もなく、神秘の割れ目が刻まれている。俺は両手で湯を掬うと、三口、四口と喉に流し込んだ。これで、俺の声もまた女らしくなるのだ。
湯舟に中和剤を入れると一瞬で毒々しい色が消え、普通の湯に戻る。栓を抜いて湯を流しながら、シャワーで「女」の体に残る薬液を洗い流した。薬の効果はまる二日間持続する。その間の俺はどこから見ても「女」そのものなのだ。

バスタオルをいつもより高い位置に巻き付け、その端を胸の所で止めた。ベッドでは恋人のカオルが俺を待ちかねていた。「あら、可愛らしくなったわねぇ♪」おネエ言葉で声を掛けてきた彼もまた、別の薬液で男になった元女である。「だめよ、それじゃあオカマみたいだわ。」と俺が指摘してやると、「細かい事は気にすんな。」と両腕を広げた。俺はそのまま彼の腕の中に身を預ける。しっかと抱き締められると、彼の唇が俺の口を塞ぎ舌が押し入ってきた。「ううん♪」と身悶えると、ハラリとバスタオルが解け、俺は全裸となった。
彼の手が俺の体を這い始めた。性感帯を刺激される度に俺の股間が濡れてゆく。快感に身を任せ、俺は喘ぎ、悶えた。「自分ばかり楽しむなよ。」と愛撫が中断された。しかたなく体を入れ換えると、彼の股間に顔を近付けた。彼のペニスはビンビンに勃起していた。それを愛むように口に含む。「あぁ、いいわ♪」彼が男の声で女のように喘ぐ。それを指摘する以前に俺はペニスに奉仕する行為に夢中になっていた。「ぁあ、いくぅ!」という声とともにペニスが脈動する。そして精液が俺の口の中に送り込まれてきた。俺は迷わずそれを飲み込んだ。

再び攻守が交替する。彼は俺の上になり俺の両脚を押し広げた。「恥ずかしいわ。電気を消して♪」俺が頼むと彼の手がスイッチに伸びてゆく。俺は股間を開いたまま、彼を待った。
部屋の中は間接照明の仄な明かりだけとなった。が、暗いからこそ、彼の瞳が欲望に一層輝いているのが判った。「来て♪」と俺が誘う。「いくわね。」と彼。そして、彼の太いモノが俺の中に入ってきた。
俺の中で彼が暴れまわる。俺は快感に翻弄される。口は意味を成さない言葉を吐きまわり、下の口は甘露を撒き散らす。幾度となく絶頂を迎え、女の肉体が更なる高みを欲して止まない。朦朧とする意識の中で、俺は「彼」に抱かれていた。

「どう?女として受け入れるのは?」既に効果時間を過ぎたカオルは元の姿に戻っていた。「じゃあ、今度は女同士でシましょう♪」彼女が伸し掛かってくる。先程までの快感の余韻のせいか、受け身にまわってしまう。主導権をカオルに奪われたまま、俺は再び官能の渦に巻き込まれていった。
「さあ、今度はこれで悦ばしてあげるわね。」彼女はペニスバンドを装着していた。「あなたはもう、コレがないとイけなくなったんじゃないの?」と疑似ペニスを俺に押し付ける。俺はもう何も考えられない。股間の疼きが限界に達する。俺は叫んでいた。
「お願い、早くそれをアタシの中に入れて頂戴!!」

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コメント

やられた!って感じです。
アイデアだけでお話にできなかったのに、入浴剤を入れると、湯船に湯葉のような薄い膜ができて、頭まで使って、あがるとその膜が身体に引っ付いて女性の姿になると言うのを考えていたのですが、描写ができなくて、あきらめました。
奈落さんのこの作品を読んでいると、さすがにうまいですね。私もこう言う風にかけたならなぁ・・・
彼と彼女のトランスプレイ!面白かったです。
さらに開拓された彼、これからどうなるのかな?

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