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2007年3月11日 (日)

反転

薄暗い路地に開いた入口から更に暗い地階へと続く階段を降りていった。剥き出しの脚に冷たい空気が纏わり付く。階段を下り切った先にドアがあった。微かな明かりに浮かぶ表札が教えられたものと一致することを確認した。
呼び鈴はなく、ドアをノックしても何の反応もなかった。試しにドアノブを捻ると抵抗なく回った。ドアを押し開き、中に入って行く。薄明かりに辛うじて中の様子が判った。カウンターとテーブルが二つ。椅子が並べばそれで一杯になってしまうスナックのような造りだった。壁際のソファに稼働式の椅子は重ねられているようで、奥に向かう通路は確保されていた。突き当たりの両脇にドアがあった。一方はトイレのドアで、反対側はスタッフルームへの扉だった。ためらわずにトイレのドアを開ける。自動的にそこだけ明かりが灯った。
トイレの表示はあったが、中はがらんとしていた。もう一枚ドアがあった。入ってきたドアを閉め、もう一方を開いた。
こちら側は光りに溢れていた。良く見ると入ってきた店を反転させたような造りだった。全ての椅子が正規の位置に並べられていた。テーブルにはクロスが掛けられ、花瓶に花が飾られていた。
カランとベルが鳴った。ドアの開く音と同時に「いらっしゃいませ。」とカウンターの中から声が掛かった。
「よぉ!」と奴が入ってきた。そのままカウンター席に座る。カウンターの中からおしぼりが出され、程なく水割りのグラスが置かれた。奴はグラスを手に取り一口付けるとこちらを向いた。
「おい、いつまでそこに突っ立っている気だ?せっかく奇麗な服を着せてやったんだ。こっちに来て良く見せてくれないか。」動こうとしたがその一歩が出せない。ここまで自分の足で歩いて来たのに、歩き方を忘れてしまったようだ。さぁ、右足を出して!と思うが、どっちが右足なのだろう?
「どうだい?こっちの世界は面白いだろう?頭の中が左右反転しているのなら、鏡を見ながらやってごらん。」横を向くとソファ側の壁が鏡になっていた。こっちが右だから鏡の右足を上げれば良い。なんとか奴の所まで辿りついたが、混乱した頭と慣れないハイヒールでバランスを崩し、最後は奴の腕の中に倒れ込む形になった。「キャッ」と悲鳴を上げた僕をギュッと抱き締める。胸が苦しい?
様々な違和感があった。それは左右が混乱しているからだけではなかった。さっきの悲鳴。僕はあんな愛らしい声は出せない。そして胸の上の感触。本物の乳房のように感覚が伝わってくる。奴の手がスカートの中に入り、お尻をさする。二本の指が立てられ、歩むように尻たぶの谷間を進んでくる。じわりと股間のクロッチが湿り気を帯びていた。
「ほぅ、身体の方も反転したか?」奴の指がパンティの隙間に潜り込んできた。振り払おうとしても、奴は片腕で僕を固定している。「厭!」と叫んだ声も女の子のものだった。
僕の抵抗など気にならないように奴の指は進んでくる。僕の目からは涙が零ていた。ヌッと奴の指が僕の中に入ってくる。たぶんそこが膣なのだろう。いままで感じたことのない感覚だった。
そして、挿入された指が一気に膨らんだ。
「俺の反転はちょっと変わっていてね。指がペニスになっているんだよ。」トントンと奴のペニスの先端が僕の膣の奥を叩いた。「ほら、こうやって動かすと気持ち良いだろう?」ああんと僕の身体は僕の意志を無視しと快感に喘いでいた。股間も自らの体液でぐっしょりと濡れていた。
僕は腰を振り、奴の掌に股間を押し付ける。「ぁあ、イイっ。いく、イっちゃう~~~♪」絶頂に達する。そして、世界が反転した。

僕は何もない白い空間の中に漂っていた。

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コメント

性別だけの反転かと思ったのですが、色んなものが反転しているんですね。
う~ん、さすが日本TSFのロッド・サーリングと言うべきかな?
うんうん

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