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2007年2月24日 (土)

宿

ベットに入りサイドテーブルに置いてある瓶から一錠の薬を取り出す。「良い夢が見れますように。」そう言って飲み下すと、一気に深い眠りへと引き込まれていった。

僕は砂浜に寝転んでいた。
ジリジリと太陽が照りつけてくる。もう水着の跡は付いているだろうか?僕は肩紐をずらしてみた。
そう、今僕が着ているのは女子のスクール水着だ。別にセパレートのものでも良かったのだが、今の僕は女の水着を着る必要があった。

上半身を起こして背中の砂を払い俯せになる。

こんな事をしているのは「彼」のせいだ。「彼」とは僕の部活の顧問をしている美弥子先生だ。部活とはいっても僕以外は皆幽霊部員で、部長の肩書をもった僕でさえ本来の化学実験もそっちのけで準備室のソファで美弥子先生とイケナイ事に明け暮れていた。
それならば先生は「彼女」であって「彼」ではないと思うだろう。しかし、部活の間の僕は女子の制服を着せられ男女が逆転するのだ。そして夏休みの直前、先生が合宿にいくぞと言い出したのだ。ノースリーブの女の子の肩には水着の跡がなくてはならない!の一言で、僕は今身体を焼いているのだ。
もちろん、水着もノースリーブのワンピースも先生が揃えてくれたものだ。程良く焼けたのを確認して、水着の上にTシャツを着てズボンを履くと部室に向かった。先生は焼け具合を確認すると「シャワーを浴びてきな。」と宿直室の鍵をくれた。

「ふ~む。やはりな。」とワンピースに着替えた僕を見て唸っていた。「制服だと目立たないが胸元の広い服だと胸のないのが目立つな。がんばって大きくできないか?」「無理ですよ。男でなくてもがんばってどうにかなるものではないでしょう?」「そうだな。そのためにこういう物があるのだな。」と、目の前に乳房の造り物が差し出された。「これを僕が付けるんですか?」「それ以外に何か考えられるか?」そんなやりとりの後で僕の胸には魅惑的な谷間が生まれた。
「じゃあ行こうか?」「先生?!」白衣を脱いだ先生はいつにも増して女っぽい格好をしていた。「あたしが運転するんだから、免許の写真と違っていると何かと面倒でしょう。」と言うのはたてまえで、レディースプランで宿泊費を浮かせたかったらしい。「アロマテラピーも付いているから一緒にしようね♪」と浮かれている美弥子先生に、専門家が触れば僕が男だと即にばれるとはなかなか言い出せなかった。

「さあ、着いた。早速お風呂に行こう♪」部屋に荷物を置くなり、先生はタオルを手に僕の腕を引っ張った。「って、僕は内風呂じゃないんですか?」「なに言ってるの?一緒にお風呂に入りに来たんじゃない。ぐだぐだ言ってないで女湯に行こっ♪」
「先生は僕が男だっていう事、忘れてないですか?」「合宿中は先生じゃなく美弥子さんって呼ばなくちゃ。お姉さまでも良いわよ。」「だから僕は…」「もう薬は効いている筈よ。だれもあなたを男の子だとは思わないわ。」「薬って?」「その胸をくっ付けた接着剤に含まれているのよ。何だったらここで裸になってみると良いわ。」

結局、僕は美弥子さんとお風呂に入り、アロマテラピーを体験した。

「さぁ、オイルを塗ってあげるから。」と水着を脱いで横になると、美弥子さんの手が僕の胸にオイルを塗ってゆく。造り物の筈なのに彼女の指の動きまで感じる。
「ああん♪」突然乳首を撫でられ、そのくすぐったさに僕は身を捻った。

ピンク

僕は独りホテルに残されていた。
社会人になった先輩は仕事があるからと朝早くに出ていった。僕は下半身の疼きが収まるまで幸せの温もりとともに毛布に包まっていた。しかし、チェックアウトの時間が近付いていた。僕はベットを抜け出し、洗面所の鏡の前に立った。
家を出る時には奇麗にしていても、一夜を明かすとそこここに髭が頭を出していた。ハンドバックからシェーバーを取り出し、丁寧に剃り落としてゆく。
化粧水で肌を整えた後、ファンデーションで髭の剃り跡を隠してゆく。男物の着替えなど用意していない。先輩に買ってもらったお気に入りのワンピースを着てホテルを出るには、ちゃんとお化粧しておかなければならない。ましてや太陽の下に出るのだ。念入りに、かつ、あまり濃過ぎないように気を付けなければならない。

このまま学校に行っても良かったが、天気も良かったので自主休講することにした。
僕は今、予備校生だ。先輩とは中学三年の時、高校入試のための家庭教師として出会った。先輩が大学一年の時だった。翌年は晴れて先輩の卒業した高校に通うことになった。
その時に先生から先輩に変わり、今の二人の関係が始まったのだ。もちろん、最初から女装していた訳ではない。先輩の部屋に行ってはゲームをしたり本をよんだりビデオを見たりして過ごしていた。
僕にはその気はなかったのだが、先輩は最初から僕を女の子として見ていたらしい。何度か泊まるようになると洗面台に歯ブラシが並ぶようになった。見分け易いようにと、僕のはピンク色だった。同じ理屈でコップやタオルが揃えられていった。ブルーが先輩ので僕のはピンクだ。バジャマに至っては「色で選んだらこれになってしまった。」とボタンが左右逆に付いた女物になっていた。
Tシャツやトレーナを揃いで買うときも色違いと、ブルーとピンクで統一された。ここまで徹底されるとピンクのものに違和感がなくなる。先輩と揃いでなくとも無意識にピンクのものを手に取ってしまう。そして、ピンク色のものは女性向けの方が充実しているのだ。当然の如く僕の持ち物に女物が増えてゆく。ハンカチ、靴下、財布にカバン。可愛らしいものが増えてゆくと男物の武骨さが厭になる。男が着てもおかしくないような中性的な服に始まり、とうとう下着に至った。ブリーフとショーツでは機能に差異はないと思い始めるとショーツのデザインにばかり目が行ってしまう。人前でズボンを脱がなければ判りはしないと買ってしまった。僕は一線を越えた。Tシャツはキャミソールに代わり、ワイシャツがブラウスになった。
「なぁ、これを着てみてくれないか?」ある日先輩が差し出したのは僕の学校の女子の制服だった。ピンクのスカート、ピンクのベスト、ピンクのボレロとピンク尽くめに曳かれるものがあった。が、さすがにスカートを履くことはためらわれた。「髢を付ければらしく見えるよ。」とロングのウィッグを取り出した。ここまでする先輩に厭とは言えず、僕はスカートを履くことを了解した。

確かに鏡の中の僕は女の子だった。髪形一つでこうも変わるものかと感心した。「俺と付きあってくれないか?」最初は何を言われたのか理解できなかった。それが女の子への告白であると気付くまでしばらく時間がかかった。
先輩の目は真剣だった。僕には「はい」以外を答えることはできなかった。「ありがとう」先輩が僕を抱き締めた。その暖かさに僕は満ち足りたものを感じた。先輩の顔が近付いてくる。僕は彼の接吻を受け入れていた。

最初は部屋の中だけだったが、やがて女子の制服を着たままファミレスやバーガーショップに出掛けるようになった。
さすがに人前に出るようになると髭や無駄毛が気になり出す。自分が「女装」しているのだと意識し始めた。お化粧を覚えるようになると、先輩は「日曜日にデートに行こう。」とワンピースを買ってくれた。

先輩の部屋には更に僕の持ち物が増えていった。女物の洋服が先輩のタンスを占領した。ハイヒールなどの靴も増えていた。僕は学校が終わると先輩の部屋で女の子に変わる。部屋を片付け、洗濯を始める。外での食事が決まっていない時は買い物に出掛ける。最近覚えた料理を準備するのだ。先輩に買ってもらった可愛らしいエプロンを付けて台所に立つ姿は新妻に見えるかしら?
先輩に裸エプロンをしてくれと頼まれたが、それだけは許してもらった。その代わりに常にブラジャーを着けるように言われた。いままではデートの時に服の見栄えを良くする為にパンストを詰め込んでしたことはあったが、先輩は映画の特殊メイクに使うような疑似バストを用意していた。学校にもブラジャーをして行くことになったが、僕のこれまでの言動のせいか、誰も何も言わなかった。

初体験は三年の夏休みだった。先輩と二人で旅行した時だった。ホテルの窓から海に打ち上がる花火を見ていた。ホテルで用意してくれた女物の浴衣を着てベットに並んで座っていた。ふと横を見ると先輩は僕の方ばかり見ていた。「花火見ないんですか?もうすぐ終わっちゃいますよ。」「良いんだ。俺は花火より、花火を見ているお前を見ていたいんだ。」
僕はそれから先の花火を見ることはなかった。暗闇の中で音だけを聞いていた。が、それさえも、いつしか僕の喘ぎ声に掻き消されていた。

結局、大学は先輩の後輩なはなれず、今は予備校通いを続けている。高校と違い制服がないのでどんな格好で行っても咎められることはない。たまにズボンを履いていっただけで「男装している」と言われてしまう。高校の卒業と同時に先輩の所に転がり込み、今は同棲生活をしている。予備校に通っても、今の僕の成績では、到底先輩の行っていた大学には入れそうもない。いっそ、このまま先輩のお嫁さんになれないだろうか?

最強の剣

HPにまとめてUPしました。

  INDEX

 0.光の泉
 1.ドレス
 2.姫
 3.狩り
 4.休日
 5.帰還
 6.雨宿り
 7.夢
 8.力
 9.妖怪
 X.最強の剣

 

2007年2月22日 (木)

女の人の手が僕の股間を撫であげる。ズボンの中で僕のペニスは緊張していた。
「うぶなのね♪」耳元で囁かれると顔が真っ赤に茹であがる。「若いことは悪くはないわ。いえ、お姉さんは若い子が大好きよ。」ツーッとズボンのチャックが下ろされた。彼女の指がパンツの中に侵入してくる。硬くなったペニスが把まれ、ずるりと引き出された。

彼女の手の中に僕のペニスがあった。かぷりと白い歯を立てて先っぽを噛み取った。
「あぁ、おいしい。あなたも食べてみる?」熟れた果物でもあるかのように僕の口元に近付けてきた。「なんてね。あたしは美味しいものは独り占めしたいの。」と、僕の唇に触れる寸前で取って返した。彼女は美味しそうにペニスを食べている。僕のペニスはもう半分以下になってしまった。
もし、この状態でペニスを返されたらどうなるのだろうか?全部食べられてしまったら、僕のペニスはどこにもなくなってしまう。
「大丈夫よ。あなたのペニスはなくなった訳ではないわ。あたしの中に吸収されただけ。だからほら、」と彼女はスカートをたくし上げる。
下着を着ていない彼女の股間が見えた。そこにニョキニョキと何かが生えてきた。それは半分程の長さのペニスだった。「残りはまだ食べ終わってないからね。良く見て、これはあなたのペニスでしょう?」僕がそれを見るためには跪づくしかなかった。
僕の目の前に僕のペニスがあった。彼女の女の体臭とともに恥垢の饐えた匂いが鼻を突いた。ギュッと下腹部で臓器が蠢いた。ツーッとペニスの抜けた跡から何か垂れてくるものがあった。
「どう?美味しそうでしょ?」僕は何と答えるべきか判らなかった。「欲しかったら着ているものを全て脱ぎなさい。」欲しいかどうかにかかわらず、服は脱がねばならない雰囲気だった。
最後のパンツを脱ぐとペニスの抜けた跡が女の子のような縦筋になっていた。
「四つ這いになって、お尻を向けなさい!」彼女の命令に逆らうことはできなかった。高くお尻を突き上げると、僕の中に「僕」が入ってきた。
彼女はむしゃむしゃと「僕」の残りを食べ切ってしまうと、僕の中で「僕」が更に大きくなった。「動かすわよ♪」と言うなり、前後に揺すり始めた。くちゅくちゅと淫らな音がする。僕の身体から出てきた体液がペニスと擦れて音をたてているのだ。
「あぁん♪」僕は女の子のように喘ぎ声をあげていた。彼女の手が僕の胸をさすると、乳首が勃ち、乳房のように膨らんでいった。
彼女の動きが激しくなる。「あぁ…」と彼女も艶声を上げる。
そして、僕の中に熱い塊が放出された。

「ごちそうさま♪」
僕の胸から彼女の唇が離れていった。
「あなたのミルクも十分美味しかったわよ。」

帰る

ここから帰るにはどうすれば良いだろう。
まだ陽は沈みきっていないが、乗り過ごした電車はその日の最終電車だった。この駅で一晩過ごし、明日の朝に始発で動き出すことになっていると言う。運転手が自家用車で駅を去ってしまうと、そこには誰もいなくなっていた。
駅前には何もない。バス停の時刻表を見ると、正午に一本しか載っていない。タクシーも来るとは思えず、僕は線路に沿った道を歩き始めた。
線路脇の道は駅に直交するように延びていた道より若干細目ではあったが、線路と並んでいるという安心感があった。しかし、徐々に道幅が狭まってくると次第に不安に駆られてくる。小型車であればなんなく擦れ違いができたものが、いまでは大きめの自動車は通るのが難しくなっていた。やがて、小型の車も通れなくなる。引き返そうかとも思ったが、これまで歩いた距離からすると次の駅まではあと少しの筈だった。

道が線路から反れ始めた。並行して走っているようだが、だんだん離れていっている。
路面はアスファルトから土くれに変わっていた。左右の薮が線路を見えなくする。木立が茂り上空を覆う。
辺りは暗くなっていた。これまで街路灯の一本も目にしていない。
上空を覆う木の葉の密度が上がり、僕は闇の中に包まれていた。

最初は幻聴かと思った。遠くで街の雑踏が聞こえた。僕の足が速まる。前方に光が見えた。僕は走りだしていた。

「パババパッ」
警笛が僕の前を走り抜けていった。僕は雑踏の中にいた。振り返るとそこはビルとビルの隙間だった。人はおろか、猫でさえ通れない。
僕はどこから来たのだろうか?

立ち尽くしていると「どうしたの?」と声を掛けてきた女性がいた。僕が呆然としていると彼女は合点がいったように「あなた、新入りさんね。」と言った。「ここがどこだか判らないのでしょう?ここはどこでもない所よ。説明するより体験してもらった方が早いわね。こっちに来て♪」と僕の手を引いて一軒の店の中に入っていった。

「何か好きなのはあるかしら?」僕は女の子の服に囲まれ途方に暮れていた。「これなんかどうかしら?赤と青でペアになってるわ♪」とヒラヒラのドレスを手にしていた。「お姉さんには可愛過ぎませんか?」「大丈夫よ。」とお姉さんが試着室に消える。
「どお?」しばらくして試着室の中から青いドレスを着て出てきたのは、彼女の為にデザインされたと思えるようにそのドレスに似合った美少女だった。
「さぁ、あなたの番よ。」とその少女に赤いドレスを持たされ、試着室に押し込められた。カーテンが閉められると手の中の服が蠢きだした。突然の事に手を放してしまったが、ドレスは宙に浮いたままだった。フリルの付いたスカートが僕を飲み込むように被さってきた。ドレスが下りてきて首の所から顔が出た。正面の鏡には赤いドレスに纏わりつかれた僕が映っている筈である。が、鏡に映っていたのは見知らぬ少女の顔だった。
僕の身体に纏わりついたドレスは僕の服を消してしまったようだ。ドレスの生地が直接肌に触れていた。が、僕の服が靴下まで完全に消え去ると、今度はドレスとの間に肌触りのよい布地が現れた。肩から紐のようなもので吊されていた。
次に脚が肌色の光沢のある布に包まれていった。ストッキングだった。僕の股間が小さな布切れに被われる。これもまた女物の下着なのだろう。
胸が締め付けられた。今度はブラジャーだ。胸が盛り上がり、女の膨らみが強調される。ドレスの上から胸に触れてみた。触れられる感覚があると言うことは、この膨らみは詰め物なんかではないと言うことだ。
再び鏡を見た。そこに居る少女に僕の面影はなかった。「どお?」先程の少女が問い掛けてきた。
カーテンが開けられる。「良いじゃん。可愛くなったじゃないの。」と僕の肩をつかみ、鏡に向かせる。鏡の中の少女達はまるでアイドル歌手のようであった。
「判る?ここはなんでもありの世界なのよ。美醜も壮老も思いのまま。あなたのように性別さえも変えてしまえるのよ。すてきでしょう?」僕は彼女に振り返った。「ぼ、僕は帰りたいだけなんだ。」「良いじゃない、帰らなくったって。ここは楽しいわよ♪」
僕はスカートをたくし上げ、ドレスを破ってでも脱ごうとした。が、どんなに頑張っても綻びひとつも作れなかった。「ここでは服を脱ぐ必要はないのよ。新しい服を選べば、自動的に今着ている服は消えてなくなるのよ。」
試しに手近にあったセーラー服を手に取ってみた。しばらくすると、鏡の中にはお提げ髪の女子高生が映っていた。

僕はキュロットで妥協して店の外に出た。とにかく、男物の服を探さなければならない。が、街のどこにも男物の服を置いている店がない。女物でもと探したが、ジーンズを始めズボンはどこにも置いてなかった。良く見ると町中には男は一人もいなかった。皆がいずれも美女か美少女である。
「ここはそういう所なのよ。」青いドレスの少女が声を掛けてきた。「僕を帰してください。」「帰るって、どこに?」どこ?思いだそうとした僕の頭の中は白いもやに包まれていた。「ねぇ、どこに行こうとしていたの?」「ぼ、僕は…ズボンを探していた。」「デニムので良ければこの店にもあるわよ。」と引き込まれた店には花柄の刺繍やカラフルなアクセサリーが縫い込められたパンツがあった。「けど、なんでズボンなんか探していたの?」
それは僕が本当は男なのだからズボンが当たり前で?って「男」って何?僕の記憶からどんどん大事なものが消えている気がする。
「あなたはズボンよりヒラヒラしたスカートの方が似合うわよ。」鏡に映る僕にワンピースが充てられた。確かにパンツは似合わない。キュロットよりワンピースの方が可愛く見える。「これなんかどう?」それは彼女のものとは色違いの赤いドレスだった。
そのドレスに手が伸びかけたとき、どこか遠くで危険を知らせるベルの音が聞こえた。
落ちかけたドレスが赤い顎を開いて僕を飲み込もうとする。制止する少女の手を振り切って店の外に飛び出した。ドレスが追ってくる。僕は警告を発するベルの音を頼りに走った。
目の前に閉まりかけの自動扉があった。
僕は迷わずに飛び込んだ。

「発車時の駆け込み乗車は大変危険ですのでお止めください。」
社内アナウンスが聞こえた。足に伝わる振動が、電車が動き始めたことを教えてくれた。
始発電車の乗客は僕一人のようだった。外はまだ暗い。窓ガラスに僕の顔が映る。息を切らして苦しそうだった。座席は十分に空いている。

僕はシートに座ると何げにスカートから伸びる脚を揃えていた。

2007年2月14日 (水)

帰還

最強の剣を隠しておいた場所は未だ荒らされていなかった。
覆いの為に積み上げた岩塊には草が根を下ろしていた。俺が小刀を岩の隙間に差し込むと岩塊は覆いの役目を終え、崩れていった。
中には俺が隠した時と変わらずに俺の荷物と剣の鞘が置かれていた。が、最強の剣だけはその姿を失っしていた。

俺が女になっているのは最強の剣を手に入れたための代償であった。この剣を抜いた途端に俺の身体は女に変身してしまうのだ。しかし、剣を鞘に戻せば元の姿に戻れた。
が、肝心の剣が消えてしまっていた。俺はもう男には戻れないのだろうか?俺は崩れるようにしてその場にしゃがみ込んでしまっていた。
「それは姫の恋人の遺品なのでしょうか?」振り向くとそこに吟遊詩人が立っていた。「な、何でこんな所にいるのよ。」奴は俺の問いには答えず、いま一歩近付き俺の前に屈み込んだ。「涙に暮れる姫もまた美しい。」そう言って俺の頬を伝う滴を拭った。
俺は自分が泣いていた事にさえ気付かなかった。「ほっといてよ!」と奴の手を払う仕草まで俺は女になってしまっていた。
吟遊詩人は立ち上がり、後ずさった。俺の手に小刀が握られているのに気が付いたからだ。「皆の所には必ず戻るわ。だから、今は独りにしておいて。」そう言って俺の服を胸に抱えた俺は、どう見ても恋人を失った女の姿にしか映らないだろう。

陽も暮れかけていた。俺は荷物をまとめ、中身のない剣の鞘を持って街に戻った。宿の部屋で汚れた服を着替え、泣き腫らした目が目立たないように化粧を整えた。階下の酒場は賑やかにざわめいていた。
酒場のドアを開けると、そこには見知った男達の顔があった。「み、みんな…」俺が絶句していると、「今宵は私が席を戴いてもよろしいですかな?」「異議なし。」と男達。吟遊詩人が俺の隣に座り、いつもと同じ宴が始まった。

部屋に戻り、男の俺の荷物を解いてみた。あの時のままの品々が床の上に広がった。そこにないのは最強の剣だけであった。俺は鞘を抱き締めた。
この中に収められていた剣のことを思うと胸が熱くなる。ドクリと鞘が脈動した。いや、それは鞘の中に存在しているモノだ。俺は鞘を逆さにして中のモノを取り出そうとした。何度か振ってみると、コトリと落ちてきたモノがあった。干からびた木の枝のようにも見えた。手に取ると心なしか温かみがあった。
以前、どこかで同じような温かみを感じたことがあった。そう。ドラゴンの前で最強の剣の把に触れた時だ。剣の脈動に俺の意識が同調し、光に包まれると最強の剣は俺のものとなったのだ。
俺は枯枝に気を送ってみた。ピクリと身震いしたようだ。干からびたそれには水分が足りないのだろうか?しかし、水を取りに戻れば吟遊詩人が必ず怪しむ。そこで俺は口の中に溜めた唾液を垂らしてみた。
水分を得た枯枝は表面の滑らかな棒になった。良く見ると最強の剣の把の面影がある。「もしかして、お前は最強の剣なのか?」棒はYESのつもりか、俺の手の中で身震いするのだった。

鞘の中に棒を押し込んでも、俺が男に戻ることはなかった。しかし、希望はある。剣が元の姿を取り戻す事ができれば良いのだ。俺は荷物の底に棒を隠し、鞘を恋人の形見と称して刀身のないまま背中にくくった。

「姫」の一行は獲物を求めて、再び旅を再開した。

2007年2月10日 (土)

休日

俺が女の姿で過ごすようになって大分経つ。
俺が女になっているのは俺の意志ではない。俺の手に入れた最強の剣に付いていた代償のせいだ。この剣を抜いた途端に俺の身体は女に変身してしまうのだ。剣は抜いたままとある所に隠してある。俺が男の姿を取り戻すには、そこに戻らなければならない。俺はいつになったらそこに戻れるのだろうか?

今日は狩りを休みにしている。俺の身体は見た目だけではなく、女としての機能を全て備えていた。妊娠することも可能であり、出産すれば乳房から母乳もでてくるのであろう。しかし、その前提として男との性交が必須条件となる。
俺の意識は男のままであったが、既に言動は女のものになっていた。男と接する時には、相手を男として意識してしまう。
格好良い男の股間が逞しく膨らんでいるのを見て、己の股間を潤ませたのも一度や二度ではなかった。最近では夜中に突然たかぶりを向かえ、自らの指で治めることもある。
そんな事のあった翌日は男達が異様に興奮しているのが感じられた。俺が屈強な男達の集団の中にいる唯一の女であることを思い出させる。

このままで良いのだろうか?
俺は自問してみた。今は良い。今は彼らも自制し、牽制しあって大事に至ることはない。しかし、ひとたびこのバランスが崩れたらどうなるのだろうか?一人、二人であれば何とか切り抜けられるだろうが、集団で来られれば防ぎようもあるまい。
そして妊娠でもしてしまえば、剣を戻しても男に戻れなくなるのではないだろうか?

「どうかしましたか?姫♪」声を掛けてきたのは吟遊詩人だった。
「浮かない顔をされていますね。」
うるさいわね!と退けようとしたが、そもそもこの男が俺に付きまとうようになったのは男の俺を探していたからだった筈だ。「いつまであたし達に関っているつもりなの?最強の剣の話しはどうなったの?」
「姫達とは話が尽きるまでご一緒させていただきたいと思っています。もちろん、最強の剣の方も諦めてはおりませんよ。まあ、最強の剣を手にしたという男の件はその後消息がつかめていませんのでガセだったかもしれません。噂では、その男が持ち去ったと言われていますが実は最強の剣はまだそこに残っているとの噂もあります。」
どういう事なのだろうか?ドラゴンは最強の剣は俺のものと交換と言っていたが、俺の持っていた剣は他の剣と一緒に床の上に転がしておいたはずだ。それを最強の剣と称するのなら、あの洞穴に行ける程度の男であれば持ち帰れない筈もない。
俺は俺の最強の剣の安否が気になりだしていた。体調は万全ではないが、即にでも駆けつけたかった。幸にも今回の獲物には相当の懸賞が掛けられていたので男達がしばらくここで遊んでいても問題はない筈である。俺は旅支度をして男達に言った。「あたしはちょっと旅行をしてくる。好きにしてくれていいが、絶対にあたしの跡を付けて来るなよ。」一人でも供を付けさせてくれと懇願されたが、俺の細身の剣を残し必ず帰って来ると誓わされてようやく納得してもらった。
街の外れで用意しておいた馬に跨る。あれだけ言い含めても追い掛けて来る奴は必ずいる。俺は街道を真っすぐに疾していったが、最強の剣には直接向かわずに追っ手をまくことを第一に馬を駆った。

女の身体が軽いのか、馬は思った以上に走ってくれた。しかし、これまでいろいろと回り道はしたが隠し場所からは離れる一方だったので、いくらとばしても1日や2日で走破できるものではない。第一、俺自身の身が保たない。
夜には宿を求め、ベットに横になる。

脳裏に残してきた男達の顔が浮かぶ。
俺の股間が潤んでいた。

狩り

俺の後を屈強な男達の集団が付いてきていた。別にパーティーを組んだ訳ではない。男達が勝手に後を付けてくるのだ。俺が本物の女であれば気分も良くなるであろうが、俺が女になっているのは俺の意志ではないのだ。

俺の手に入れた最強の剣には困った代償が付いていた。この剣を抜いた途端に俺の身体は女に変身してしまうのだ。今は訳あって剣を抜いたままとある所に隠してある。俺はそこに戻るまでは女の姿でいなければならない。
女の俺はかなりの美貌の持ち主だった。加えて狩人としても腕が立つとあれば荒くれ男達を魅了せずにはいられない。俺は男であるから男に言い寄られても嬉しくはない。ついつい冷たくあしらってしまうが、それがまた良いらしい。
こいつらが俺の正体を知ったらどんな顔をするのだろうかと思う半面、正体を知られた後の俺がどうなるのかと考えると次第に剣から足が遠のいてゆくのだった。

「姫」と男の一人が声を掛けてきた。「またあいつが来てますよ。」あいつとは自称吟遊詩人の男である。「やあやあ皆さんこんにちは。」と疎まれているのも気にせずに近付いてきた。「今日は姫に良い話しを持ってきたのですよ。」いつの間にかこの男も俺のことを「姫」と呼ぶようになっていた。「この先を西に行ったところに、厄介な奴が居るそうですよ。懸賞もかなりの額だそうです。」「で、どう厄介なのかも情報を得ているのだろう?」「もちろんです。」とどこから仕入れてきたのか、詳細なデータが彼の口から澱みなく流れでてくる。「何でそこまでするんだ?お前は狩人でないから分け前もないんだぞ。」と聞いてみた事がある。彼は「姫の活躍を伝えれば、それだけで金になる所もあるんです。もちろん私の方で多少の脚色は付けさせてもらっていますがね♪」と笑って答えていた。

獲物は6匹いた。やはりリーダー格の奴が最も手ごわそうであった。雑魚はあいつらが対応してくれると判っていたので、俺はボスを倒す算段を練った。が、ボスの脇にもう一匹離れずにいる奴がいた。どうやら軍師らしい。吟遊詩人の情報にはなかった奴だ。俺は隣の男に耳打ちした。「わたしはボスに向かうと見せ掛けて隣の奴をやる。その間ボスを牽制しておいてくれ。」俺は奴らの前に躍り出ると、ボスに向かって突き進んでいった。

「今回は俺が一番だな?」街に入り獲物を換金すると、酒場に乗り込み祝宴が始まる。男達は誰が俺の隣に座るかを協議する。その時の狩りでの功労者が選ばれる事が多い。今回は俺の援護をし、ボスを倒してのけた男がすんなりと決まった。
酒が注ぎ足され、気分が良くなると多少の事には厭わなくなる。男の手が俺の肩に廻される。その暖かさに気分が和らいでゆく。俺は女のように男にもたれていた。「姫、今回の俺はどうでした?」「あぁ、良くやってくれたよ。」「じゃあ、ご褒美を戴けますか?」俺は男を見上げた。これは最近の祝宴での恒例行事になりつつある。俺は男の頬にキスしてやった。

女の身体で過ごしていると、言動も女らしくなってくる。祝宴の翌日は休息日と決めていた。俺はスカートを履き、化粧をして街を散策していた。店先に並ぶアクセサリーの美しさにしばし心を奪われる。目に止まった髪飾りを頭に当てて鏡を覗き込み、自分に似合うか確認した。
その姿は既に女としてなんの違和感も感じさせていない。俺は自分自身がここまで女に成り切っている事に気付くことはなかった。
「姫」と声を掛けてきたのは吟遊詩人だった。「よろしければ、その辺りでお茶でもご一緒しませんか?」特にする事もなかった俺は「えぇ♪」と返事をしていた。

2007年2月 9日 (金)

俺は最強の剣を手に入れた。だが、その為に払った代償は大きかった。

俺は獲物を前に街道を大きく外れていった。俺は最強の剣を持っているが、今使えるのはもう一本の細身の剣しかない。俺は死角を探すと最強の剣を抜き、そのままそこに隠した。俺は荷物の中から防具と女物の下着を取り出した。
獲物を前にしてふしだらとは言うな。最強の剣を抜いた途端、俺の身体は女になってしまうのだ。身体に合った服や防具を着けるのは戦士の常識である。脱ぎ終えた服と荷物も隠し、細身の剣を持って立ち上がった俺は誰が見ても疑いのない「女」狩人だった。
俺は剣を抜き獲物に迫っていった。女の身体では男の時のような力押しはできない。地形を読み最も俺が有利な体勢を作り上げる。そして細身を構えて獲物の前に躍り出る。敵は力があり、男の時の俺であれば互角に打ち合えるのだが、今は女の身体で剣も頑丈にはできていない。俺は敵の攻撃を浮け流し、かいくぐり、敵の急所に肉薄してゆく。そして細身の剣を一尖させると、動きを止められた敵がどうと倒れていった。

パチパチパチと手を叩く音と共に若い男が現れた。「いや~素晴らしいですね。ほれぼれしますよ。」と馴れ馴れしく近付いて来る。
「何だお前は?」「まぁ、吟遊詩人みたいなものです。噂を聞き付けては事の真偽を確かめ、市井の人々にこれを広めるのです。こ度は最強の剣なるものを手にした男の噂を聞き付けやってきましたら、何とそこには妙齢の美女が居ではありませんか。それも、かなり腕が立つ。もしや私の情報に誤りがあり、むさい男ではなく、このようなご婦人が最強の剣を手にしていたとあればそれはそれでおいしい話しになるのですが、貴女のその剣が最強の剣なのでしょうか?」
俺は奴の話しの半分も聞いてはいなかった。話しが途切れた所で「うるさい。うせろ!」と叫ぶのが精一杯だった。
やつの姿は消えたが、しばらくは付きまとわれるのを覚悟しなければならない。少なくともこの獲物を換金し、街を出るまでは元の姿に戻ることはできないのだろう。
俺は獲物の証を切り取り袋に詰め込んだ。いつもの俺であればこんな手間は掛けずに獲物ごと持ち込むのだが、この姿ではそれにふさわしいやり方をするしかなかった。街に戻り獲物の証を換金する。奴がしつこく付け回すのが見えている。狩人は獲物を倒した晩は祝杯を上げるのが習わしである。このまま街を抜け出す訳にもいかず、俺は宿を取ると着替えの為の服を調達した。

俺は女の服を着て宿の酒場で祝杯を上げていた。予想通りに奴がやってきた。「これはこれは、どこぞのご令嬢かと思いましたよ。」
俺は委細構わず「うせろ!」と言ってやった。奴は言葉を続けようとしたが酒場に屯していた屈強な男達に睨まれるとその場を去らざるをえなかった。
俺は男達と酒を酌み交わしていた。いつものペースで盃を空けていたのだが、思った以上に廻りが速かった。気が付いた時にはテーブルに顔を埋め、意識を朦朧とさせていた。
男達の話声がした。揉めているようだが、彼らにしては珍しく紳士的であった。血を見るどころか、声を荒げる者もいない。やがて結論が出たようだ。
一人の男が俺に近付いてきた。酩酊状態の俺は何も反応する事ができなかった。そんな俺を男は軽々と抱き上げた。俺は女のように身を横たえて抱かれていた。

「おやすみ。お姫様♪」そう言って男はドアを閉めた。俺は反論するどころか、ベットの心地よさに眠りの中へと引き込まれてゆく。
階下の酒場では再び男達の喧噪が始まっていた。

2007年2月 7日 (水)

ドレス

俺は最強の剣を手に入れた。だが、その為に払った代償は大きかった。

今、俺はこの剣を抜けない。いや、抜くことは出来るのだが、抜いた途端に俺の身体は女に変身してしまう。女の身体では筋力が不足し、剣を持つことさえおぼつかなくなるのだ。
従って、俺はこの剣を抜かない。しかし、狩人の俺が剣を抜かないでは仕事にならない。俺は荷物になるのを承知で細身の剣を持つことにした。最強の剣を持ったまま戦うにはここまで譲歩するしかなかった。しかし、細身の剣は俺の全開したパワーに耐えられない。抑制しようとしても、戦いの中では抑制しきれるものではなかった。
幾本かの剣を折ったある時、戦いのさ中に背中に固定していた紐が緩み俺の激しい動きに耐えられず放り落とされた。剣が何かの弾みで鞘から抜け出してしまった。俺は細身の剣を構えたまま、自分の身体が為す術もなく女になってゆくのを感じていた。幸にも、敵も俺の突然の変容に驚いて動きを止めていた。俺は一気に近付くと敵の急所に細身の剣を突き立てていた。

俺は脚を掛けて斃た獲物から細身の剣を抜き取り剣の無事を確かめた。女の身体で初めて剣を振るったことになるが、細身の剣は俺の手に馴染み俺の身体の一部のように扱うことができた。更に女となったことで低下した筋力は細身の剣に掛かる負担を少なくしていた。
俺の頭に一つのアイデアが浮かんだ。この身体であれば細身の剣を折らずに済む。俺の剣技をもってすれば女の身体でもある程度までは戦える筈だ。女になることには抵抗があった。が、これから失われるであろう細身の剣の数を思うと好き嫌いも言っていられなかった。

俺は女の服を買って宿に戻った。剣を下ろし、服を脱いだ。剣を鞘から抜き取ると、俺の身体は女になった。買ってきた服は少し大きめだったが、着られないことはなかった。細身の剣だけを持って俺は道具屋に向かった。
女の防具は思ったより揃っていたが、そのどれもがデザイン重視で実用に耐えなかった。ただ一つ目を引いたものがあった。運動性は高く、確かに急所は防いでいる。が、他の部分は何も被われていない。相当腕とスタイルに自信のある女が着けていたものだろう。
しかし俺の目に適ったものは他にはない。試しに着てみたが、あつらえたようにフィットしていた。店主は店の目玉商品を手放すのを渋ったが、俺以外にこれを買えるような客がいないのも確かである。俺はこれから失われずに済む細身の剣の本数を考えながら店主に金を渡した。

女の狩人は数が少ない。更に今の俺はその防具が丁度良い程に魅惑的な肢体をしていた。この格好で街を歩いて注目を得ない方がおかしい。ようやくその事に気付いた俺は着替えるべき服をサイズが合わないからと捨ててきた事を後悔した。手近の服屋に飛び込んだは良いが、犧の羊を手にした店員に店中の服を試着させられた。試着だけでも遠慮したかったが、いつの間にか店はファッションショーの会場となっていた。モデルは俺だった。マダム達が取り囲む中、一段高い通路を往復させられる。もちろん顔には化粧され、そこらじゅうをしゃらしゃらとアクセサリーに飾られている。最後に純白のウェディングドレスを着せられてショーは終了した。
控室でぐったりしていると、店員の一人がやってきた。「ありがとうございました。おかげさまで多くの引き合いをいただくことができました。」とお礼のつもりかショーで着た服の一部が詰められた紙袋を渡すと、忙しそうに部屋を出ていってしまった。

... このドレス、どうやったら脱げるんだ?...

俺は途方に暮れていた。

2007年2月 3日 (土)

復活おめでとう

Tira様。復活おめでとうございます。
末永くTSFとお付き合いできるよう祈っております。

ところで、わたしもブログを始めようかと開いてみました。まだ勝手が解らず四苦八苦しております。

同僚

シクシクと下腹部に痛みがあった。こんな時は動かない方が良い。
ベンチに腰を降ろして自然と痛みが引いてゆくのを待つことにした。

俺は男だ。いや、既に過固形で話さなければならないのだろうか?俺の外見は今もって男として通用する。が、身体の内側はもう男とは言えなくなっていた。胸は平のままであったが、乳腺は存在している。子供ができれば乳首が持ち上がり、ちゃんと授乳できると言われている。
そう、俺の腹の中には子宮が存在するのだ。それは正常に働いており、月に一度の生理も規則正しく訪れてくる。勿論経血を排出する器官も存在している。今も丁度そこにタンポンが挿入されている。そして俺が今、堪えているのは男には経験できない生理痛というものなのだ。

だからと言って、俺は自分が女であることを認めた訳ではない。必要に迫られて生理用品は携帯しているが、それ以外の言動は男のままである。ましてや男を性対象として見ることはない。そう思っていたし、それを否定する事実はどこにもなかった。…彼に出会うまでは。

新しく配属されてきた彼は、まだ幼さの残る青年だった。俺が指導することになり、外廻りを始め、ほとんど一日中二人で行動することになった。当然、夜も一緒の事が多い。
その晩も二人で飲んでいたが、たまたま俺の精神が不安定な時期であった。いつもより回っているなと思っていた所に直球の質問が飛んできた。「いつも僕とばかり飲んでいますが、先輩には決まった人とかいないんですか?」
俺は彼を見た。「お前なら良いな♪」思わずそう言っていた。「~と、僕は男ですよ。」言ってしまった事は取り消せない。あとは雪山で転げた雪ダルマ「俺も男だだからお前が女になれ。」「お化粧すればあたしより可愛いかも。」と店の女の子達も参加して、あっと言う間に彼は女装させられてしまった。その愛らしさに惚直し、気が付いた時にはホテルに連れ込んでしまっていた。
覚悟を決めたのか、彼=彼女はされるがままだった。ディープキスの後、彼女のドレスのファスナーを下ろしてゆく。肩から脱がすと、ドレスはスルスルと足元に落ちていった。キャミソールの肩紐を外すとブラジャーに包まれた胸の谷間が見えた。
ドクリ。興奮して俺の心臓が轟いた。しかし、俺の股間は固くならず、熱い汁を滴らせるのだ。
ここに来てようやく今の自分が何者であるかを思い出した。「どうしたの?」半裸の彼女が聞いてきた。そして何も言わずに俺のシャツのボタンを外していった。シャツが脱がされランニングも外された。彼女の手がズボンのベルトを外したところでようやく彼女を停めにかかったが、時既に遅く、彼女の指はチャックを開け俺のペニスを探していた。
ズボンとパンツが下ろされた。俺の濡れた股間を彼女の舌が嘗め上げていった。
俺はベットの上に押し倒されていた。

「大丈夫?」とベンチで休んでいた俺に声が掛けられた。はいと彼女が買ってきた生理痛の鎮痛剤を渡してくれた。
俺達は平日は会社の先輩後輩として仕事に励み、休日は男女のカップルとしてデートを楽しんでいる。もちろん俺は男として着飾った彼女をエスコートするのだ。そして夜になると男女が入れ替わる。俺はベットの上で股を広げていた。彼が、男が俺の中に入ってくる。俺は自分が女であることを認めざるを得ない。しかし、俺に不満はない。女の快感に満たされ、俺は悦楽の嬌声を上げるのだった。

ベットに入りサイドテーブルに置いてある瓶から一錠の薬を取り出す。「良い夢が見れますように。」そう言って飲み下すと、一気に深い眠りへと引き込まれていった。

俺は最強の剣を求めて旅をしていた。噂を聴いては秘境に赴き伝説の剣といわれるモノを手に入れてきた。しかし、そのほとんどが宝剣の類いで家庭の包丁にも勝てないものばかりであった。
中には相応の剣もあったが、これまでに俺を満足させたものは一本もなかった。

俺は今、密林を分け入っていた。この先の光の泉に棲むドラゴンが剣をもっているという。俺は数々の難所を経て光の泉にたどり着こうとしていた。
これまでの苦難を考えると、それはありきたりの泉であった。密林が途切れそこにだけ光があたっているのでそう名付けられたのであろう。俺は泉に感銘を受けることなく、脇にあった洞穴に足を踏み入れた。
奥には広い空間があった。床一面に剣が散らばっている。そのほとんどが結構な業物と思われた。
「剣が欲しいか?」突然頭上から声がした。見上げるとそこにドラゴンの顔があった。俺は剣を抜き、ドラゴンと向き合った。「最強の剣があると聞いてやってきた。力ずくでも頂いてゆくぞ。」「ふ~む。なかなか良い剣を持っているな。お前の剣と交換してやる。もし、お前が剣を抜けたならばな。」ドラゴンがそう言うと目の前の壁が二つに分かれていった。その奥の壁に目的の剣が突き立てられていた。俺は剣の把に手を掛けた。把は生温かかった。
一気に抜こうとしたがビクともしない。何度か繰り返すうちに把が俺の手の中で脈動しているのに気付いた。つまり、剣と気を合わせないとならないと言うことか?俺は剣の気に意識を集中させた。
「ぁあ、うっうう~」突然、ドラゴンが呻き声を上げた。と同時に剣が光輝いた。今だ。俺は一気に剣を引き抜いた。溢れ出た光が俺を包んでいた。

俺は洞穴の中で目覚めた。気を失っていたようだ。壁は元通りになっていたが、俺の手の中には最強の剣が握られていた。
俺は起き上がると今までの剣を床に投げ捨て、最強の剣を鞘に収めた。

「さて、」誰もいなくなった洞穴の中でドラゴンが動き始めた。「新しい剣を練るとするかね。」と、脚を開き股間を覗き込んだ。
岩壁と見えたのはドラゴンの脚であった。その股間には今までの剣に代わり、あの男のペニスがあった。

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