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2007年1月27日 (土)

ベットに入りサイドテーブルに置いてある瓶から一錠の薬を取り出す。「良い夢が見れますように。」そう言って飲み下すと、一気に深い眠りへと引き込まれていった。

僕は立っていた。ずーと立ち続けていた。

目盛りが動いてゆく。やがて0を指すと僕は両足を広げ、腕を曲げる。僕の動きに合わせて音楽が鳴りだすと、眼下に控えていた人達が一斉に動きだした。
やがて音楽が止みアラームが鳴る。アラームが鳴り終わると同時に僕は足を揃え、直立不動の姿勢をとる。しばらくすると、大量の車が押し寄せてきた。僕は赤い光りに照らしだされている。
僕は交差点に立つ信号器だった。再び目盛りが0になり、姿勢を変える。その慌ただしさに嫌気がさした。

僕はたんぼの真ん中に立っていた。両腕を広げ、粗末な服を着せられている。
遠くで鳥の声がした。風が稲穂を揺してゆく。僕はかかしだった。追い払わなければいけないカラスが遠慮なく僕の上に止まっていた。おもむろに僕の顔を啄み始めた。
田舎なんて厭だ。やはり都会が良い。

街の灯が消えてゆくと、ガラスは鏡のように僕を写しだす。僕はショーウィンドウの中のマネキンだった。女の服を着させられるのには抵抗があったが、ガラスに写った僕が美しく飾られているのを見て気が変わった。何より、今の僕は女の体なのだ。女性の服は僕の膨らんだ胸、細くくびれたウエストをより魅力的に見せてくれるのだ。
それに、かかしのように同じ服を着たきりになることもない。しばらくすると、深夜に部屋の模様替えがある。その時一緒に新しい服に変えてもらうのだ。服に合わせて化粧も変えてもらえる。
新しいポーズで立ち続けていればそれで良いのだ。カラスに襲われることもない。
道路から覗き込む人々の視線に快感さえ覚えるようになった。

ちょっと格好良い男がこちらを見ていた。ウィンクすると、彼の目は僕に釘付けとなった。

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コメント

うん、かかしよりもマネキンのほうがいいものね。きれいだし・・・
わたしもマネキンになりたい!
だって、はずれが少ないもの。^^

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