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2007年1月31日 (水)

同窓会

突然の風に僕は「きゃっ」と叫んでいた。しかし、履き慣れていないスカートは押さえるタイミングを逃し、派手に捲れ上がってしまった。

確実に何人かの目には僕の下着が焼き付いていると思われる。僕は顔を真っ赤に染めて、足早にその場を離れていった。

僕がこんな格好をして出歩いているのには訳があった。同窓会の二次会でのゲームに負けた罰として、女装してあるものを買って来ることになったのだ。今にして思えば、全て仕組まれていたに違いない。そうでなければ僕の背丈に合った女の子の服など用意できる訳はない。

かと言ってこのままトンズラする訳にもいかない。財布や身分証明証の入った服が彼らの下にあるのだ。彼らが指定したドラッグストアに辿り着いた。

「えっ?三次会に行ったって!」戻って来ると店には誰もいなかった。「地図を預かっているわ。」はいと店の小母さんから紙を渡された。「あなたも大変ねェ」と同情する一方で「その格好の時はもう少し可愛らしく喋った方が良いわよ。」と笑っていた。「余計なお世話です。」と地図を引ったくり、店を出た。

三次会の場所はホテルだった。以前より周到に計画していたのだろう。ホテルに着くと「こちらです。」と案内されたのはウェディングデスクだった。きらびやかなドレスに囲まれた通路の奥にある部屋に通される。「時間も圧していますから、パッパとやってしまいますね。」

僕は扉の前に立たされていた。モーニングを着た先生が隣に立っている。「これも同窓会の余興だと思って諦めてくれ。」と言われても納得できるものではない。何故僕が純白のウェディングドレスを着なければならないのだろうか?しかし、僕の意志を無視して扉が開き「式」が始まった。

旧友達の見守る中、誓いの詞を述べ、指輪を交換する。皆に祝福されて式場を後にすると、今度は披露宴だった。雛段に座っていると先生が二人の馴れ初めを紹介する。何かが間違っているとは思いつつも、僕は先生の話しを聴いていた。

先生の言葉で昔を思い出す。架空の歴史ではあったが、僕の中でははっきりイメージできていた。続いて旧友達が僕の過去の言動を紹介する。僕の「過去」が次第にあやふやになっていった。

「彼女は発育があまり良くなかったのですが、彼とであったとたん、今までの遅れを取り戻したばかりでなく、こんなにも立派に育ちました。」言われるとそんな気がする。確かに以前の胸は真っ平だった。今は肩が凝る程にブラのカップを満たしている。

「新婦は今日、妻という称号を得ました。おめでたいことは重なるもので、彼女はもうすぐ母という称号も得ることになっています。」つまり、僕は妊娠しているんだ。そう思うとおなかの中に命が宿っている気がする。よく見ると以前よりおなかが膨れている感じがする。

「愛する二人は今日ここに結ばれ、幸せの絶頂にあります。」僕は彼を見た。視線が合わさっただけで、僕の心は幸せに満たされていた。

僕はもう、何も考えられなかった。

彼に抱かれてスイートルームに入った。窓一面に夜景が広がる。ベッドの上でドレスを脱がされた。

下着も取られると、間違いない「女」の裸体がそこにあった。彼の指が肌に触れると僕の女の身体が敏感に反応していた。

その夜、僕は彼の腕の中で何度も昇天していた。

最後に気を失う前、彼の声が聞こえた。

「ありがとう。」

翌日、僕は花束を手に母校の跡地にやってきた。そこは公園になっていて中央に石碑があった。先生や旧友の名前を確かめ、石碑の前に花束を置いた。

唐突に風が吹いた。悪戯好きな風は僕のスカートを一瞬で舞い上げていた。

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コメント

暗示によるTS.
そしてラストシーン。素敵な幻想ストーリーですね。
幻想TSF.いいなぁ。

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