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2007年1月27日 (土)

ベットに入りサイドテーブルに置いてある瓶から一錠の薬を取り出す。「良い夢が見れますように。」そう言って飲み下すと、一気に深い眠りへと引き込まれていった。

両親が急に海外赴任となった。僕は大学受験を考えると日本に残った方が良いということになった。しかし、広い家に僕一人を残すこともできないので、僕は寄宿制の学校に転校することになった。家は売ってしまった。空港で両親を見送った僕は、その足で転校先の学校に向かった。
既に荷物は送ってある。僕はジーンズにトレーナーのラフな格好で校門を潛った。小綺麗な校舎のあちこちに制服姿の女生徒が佇んでいた。
「あなた!ここに何の用ですか?」僕の上に高圧的な女の人の声が降ってきた。見るとシスターの格好をした女性だった。「ぼ、僕は転校してきた広尾正実です。」
「えっ?」と彼女が聞き返す。「僕は転校…」僕の答えに彼女の顔が見る見る青くなる。「た、大変。とにかくこちらへ。」と僕は立派な応接室に連れて来られた。

「多少の手違いはあったようですが、あなたの転校の手続きは全て済んでいます。」同じくシスターの格好をした学園長が言った。「荷物も届いていて、部屋に運んであります。そしてこれが制服です。さっそく着替えてもらえますか?」手渡されたものを広げてみる。上着は女生徒達と同じデザインだった。シャツも同じく襟が丸くカットされていた。そしてズホンを広げたつもりが、
「なんでスカートなんですか?」僕は学園長を見返した。「ここは男子禁制の女子校です。当然、制服はスカートしかありません。」「ぼ、僕は男ですよ。」「いくつかの手違いはありましたが、あなたはもう、この学園の女子生徒です。規律には従ってもらいます。」
僕は呆然となった。
「大丈夫ですよ。あなたなら即に学園に溶け込めます。ほら、制服を着てみてご覧なさい。」僕が動けずにいるのを見てシスター達が寄ってたかって僕を着替えさせた。

鏡の中には一人の女生徒がいた。
「良く似合ってますよ。」学園長の言葉は魔法のように僕から恥ずかしさを拭ってゆく。「それから、宿舎も含め学園内はズボンは禁止です。今度のお休みの日にでもお友達とスカートを買ってらっしゃいな。あなたも女の子なのだから、もっとお洒落しましょうね。」

「転校生を紹介します。」と先生の合図に促され、教室に足を踏み入れた。女の子達の視線が集中する。
(何も恥ずかしいことはない)自分に言い聞かせる。(だって、あたしは女の子なんだもの)

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コメント

おお、順応の早いこと。
でも、ほかにも元・男の子がいるのかも?
だって学園側の対応が早いんですもの

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